たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

微かな引っかかり

2017-06-03 10:02:42 |  無社殿神社2

<まないたさま>

 

「まないたさま」という

親しみやすいネーミングとは裏腹に、

熊野の山中にあるその古代信仰の聖地は、

まるで荒ぶる神が宿るかのごとく、

プリミティブな姿を保っていました。

鳥居の向こうに敷き詰められた滑らかな白石と、

岩と岩との間を流れる小さな滝の流れだけが、

未だ朝日も差し込まない深い森の谷底に、

そっと白い色味を添えています。

 

二つの巨岩が折り重なるようにして作られた

狭い空間(磐座)にはご神体があるようですが、

周囲を取り囲む巨岩の圧倒的な存在感と、

心の中の微かな「引っかかり」に阻まれ、

それ以上立ち入ることはできませんでした。

古代そのままの様相を残すこの場所は、

確実にすばらしいところだとはわかるものの、

なぜか「早くこころ立ち去らなければ」

という焦燥感にかられるのです。

 

ひと通り周りの風景を写真に撮ったあと、

この地に立ち寄らせてもらったことの感謝を伝え、

「長居は無用」とばかりに、その場を後にしたのでした。