すずめ通信

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第883号 日本《新》連邦はいかが?

2011-04-24 13:24:53 | Tokyo-k Report
中国地方の中心都市は岡山か広島か。東日本人の私には体感的理解ができないからの疑問かと思っていたら、ネット上で熱い論争になっているので驚いた。道州制の導入論議が盛んになって「その場合、どの街を州都にするか」と、具体的なイメージが浮かぶようになったからだろう。現状では広島優位のようだが、地理的な将来性は岡山にあるといった意見も多い。広島から東へ、山陽路の街をたどりながら岡山に着いたところで考えた。

道州制は地方分権の議論に伴ってしばしば耳にするようになったけれど、国民的テーマである割りには依然として曖昧模糊としている。私などは国―道州―県―市町村と、社会を4層に複雑化するだけではないかと危惧する者だが、現在の中央集権を打破しなければ次の時代はやって来ないという閉塞感も理解できる。そこで地方分権ではなく、むしろ国家の分割を提言したい。日本新連邦である。独立各州が連邦政府を経営するのだ。

つまり中央から地方へ、権限や財源を移譲するという発想ではなく、国家を分割していくつかの独立州を創設する。日本国解体というわけだが、象徴天皇制は維持して国家は存続させ、国防や通商などは連邦政府が担当する。連邦議会の開催は各州持ち回りとし、極力小型化された連邦政府機関もそれとともに移動する。天皇は京都に「戻ら」れ、対外的な首都は京都とする。最高裁判所は震災復興のシンボルとして三陸の高台に新設する。

税制も州単位で実施し、連邦政府維持のための費用はそれぞれの州が経済規模に応じて負担する。当然、現行の地方交付税交付金は不要となるが、制度過渡期は各州の負担金のなかから融通する激変緩和交付金を配分する。しかし緩和策は10年程度の時限制度とし、各州の自立を促進させる。

日本列島をどうやって州に分割するかは賑やかな論争になるだろう。私は目下、山陽路にいるので、この地域についてだけ考えている。山陽・山陰の4県に山口県東部瀬戸内地域を加えた中国州とするか? 四国4県も加えた方がふさわしいか? 私は後者の規模が必要だと考える。そしてその場合の名称は「瀬戸内州」だ。

瀬戸内海を広島・岡山・高松・松山の4都市が囲む。そして松江・鳥取、高知・徳島が背後を固める。実にバランスのよい地域社会ができ上がりそうだ。山口県をどう考えるかが悩ましいところだが、山口は九州道に加わる方が落ち着きがいいのかもしれない。

さてその場合、州都はどこに置くのか。あくまでも地域主権を目指す道州制であるから、州内の自治権は市町村が持つことが原則になる。とすれば州の行政機構はできる限りコンパクトな方がいい。従って新しい小さな街を創る発想で考えてみると、広島・岡山県境の岡山県笠岡市あたりの瀬戸内海を干拓し、瀬戸内特別区を造って州都とするのがよろしい。地図を細見すると「笠岡ふれあい空港」というコミューター飛行場が整備済みだ。

福山市(広島県)から倉敷市(岡山県)にかけての海岸は、山陽工業地帯と呼ぶにふさわしい地域で、中間の笠岡市と浅口市を加えた人口は100万人を超える。広島市(114万人)、岡山市(70万人)、高松市(41万人)、松山市(51万人)の中央に州都・瀬戸内市を新設すれば、地域バランス、アクセスともに満点である。瀬戸内地域は、東北での仙台市や九州の福岡市といった一極集中が進んでおらず、新しい地域づくりの自由度が高い。

東日本大震災と福島原発危機で打ちひしがれている日本だが、その復興に全力を傾注する過程で、国家分割という新時代の国づくりの発想が生まれて欲しい。それぞれの州が特性を生かし、互いに地域づくりを賑やかに競う。岡山の、備前焼の陶板がデザインされた県立図書館のラウンジで、そんなことを夢想した。



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