すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第356号 団塊世代の入口世代が中学生だったころ 

2006-05-16 14:08:58 | Washington Report
【Washington】この写真を見て何だか当てられる人は当事者だけだということ請け合いです。すずめ通信355号(5月14日)のコメントに書いた、書類の整理をしていたら出て来て、当座の目的はそっちのけで思わず読みふけってしまった中学の我がクラスの卒業作文集なのです。表紙の文敬というのは、お坊さんだった担任の先生の職業名。お坊さんなのにクリスマスに生まれた英語の先生でした。2年、3年持ち上がりで、この先生のもと、よくまとまった、悪さもよくしたけれど、勉強の出来も良いクラスでした。

この作文集、わら半紙にガリ版刷りで、紙の周りはもうぼさぼさだし、色も随分茶色になってしみだらけ。字が薄れて読めなくなってしまった部分もかなりあり、もっと早くコピーしておけばよかったなぁと残念に思ってるところです。各自にわら半紙一枚分が割り当てられ、自分の分は自分でガリ切りしてあります。右半分に作文、左半分は好きなことを書いたり、絵を描いたり色々です。みんな字がうまいし、絵なんかもっとうまい。

学校は転勤族の多い地域で、2年の間に転校してきた人が沢山います。転校して来て、また遠くに引っ越っして行った人もいますが、2年の間に在籍したひとは全員この作文集に含まれています。お坊さん先生は勿論のこと、副主任の先生方、強烈な印象を互いに残しあった先生方の言葉も入っています。

私達が中学を卒業する頃は、まだ中卒で金の卵といわれ就職する人達が沢山いましたし、集団就職の時代でもありました。この年代としては高学歴の多いわがクラスでも、例にもれず中学卒業と同時に就職した人達が何人かいます。今の子供みたいにやりたいことがわからないから就職しないとか、やりたくないことはしたくないとか、またそれを許す社会状況ではありませんでしたね。働かざるもの食うべからずです。これは今でも同じでなければいけないと思いますが。

昔は、多分当たり前すぎてあまり印象に残っていなかったのが、今読みかえしたら、時代をよく写すおもしろい作文や、なかなか含蓄に富んだ作文があるので、一部ここに引用してみます。筆者名は了解をとる暇がないので、頭文字だけとします。

A.K.さん:「この中学校へ来た時は今の第一校舎、第二校舎、第三校舎、第五校者、そして体育館があった。けれども一年生が多くて、...第四校舎がたてられることになった。..., ニ年生は特別教室のある第五校舎に入り、移動教室となった。... そうしているうちに三年生になった。こんども一年生の数が多かった。... 第六校舎がたてられた。」

A.K.さんの作文は、生徒数が多く、校舎や体育館が建て増されていく様子が延々と続くのです。ちなみに我々の学年は13クラス、次に入って来た団塊世代の初めは17クラス、その次は16クラスあったと記憶しています。私達が卒業した後、新しい中学ができ、生徒の半分はそちらに移りました。こんなでしたから、大学入試の倍率は20倍が普通でしたね。我々は少々のことではくじけません。

A.H.さん:「...すぐに職場で働く人や、もっと勉強した後、就職する人もいると思いますが、やはり、源となる所は、社会です。社会にでれば、色々な喜びや、楽しみがあり、その中にも困難が多くあります。その苦難を乗り越える事の出来る人は、将来の社会に生きて成功する。... とにかく、大きな望みをいだくたいと思います。理想と現実は一致しないと、だれもが言いますが、その大きな希望を現実に変えてこそ、ほんとうに自分は満足した、と思う事が出来ると思います。しかし、大半は、自分の望みとちがった方向にそれてしまう。... その人の夢というか、希望をなしとげるために努力をしてこそ、ほんとうに、人間らしさを味わう事が出来ると思う。中には、家庭の関係によって、望みを果たす事の出来ない人もいるが、その人は、別に気を落とす必要はない。その人は、その人なりに、別の方針や、希望を立てて、再び、進めはよいではないか?... 」

まるで45年後の私を慰めてくれているようです。皆が高校受験で浮かれている時、さびしい思いをしていた友がいて、それとなく励ましてあげたのではないだろうかという気もします。今のわがままな若者達に読んでもらいたいですね。
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