すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第768号 オペラ「ドン・ジョヴァンニ」を観て

2010-03-13 11:14:17 | Mie Report
.
【Mie】先日、三重県文化会館の開館15周年記念事業として催されたモーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」を観た。キャストは一部の客演の他は地元の三重県人。オーケストラは三重フィルハーモニー交響楽団。合唱は三重県の合唱団というローカル色豊かなオペラだ。

キャストを入れ替えて2日連続の公演で私は2回目を観たが、2年前からこの日のために準備を重ねただけあって、歌手は原語(イタリア語)で歌い字幕付きの本場のオペラさながらで、見応えある立派な公演だった。

また舞台装置や衣装などの演出も素晴らしく、オーケストラの演奏も良かった。ただ一部の歌手がやや声量に乏しく迫力に欠ける点はあったが、本場の外国人より体格が劣るため、それはまあ仕方ないだろう。

舞台は17世紀のスペイン。女とみれば手を出さずにはいられない“稀代の放蕩者”で“人殺し”の貴族ドン・ジョヴァンニ。その極悪非道ゆえに次第に追い詰められ、最後は自分が殺した騎士長の亡霊によって地獄に落とされるというストーリー。

ドン・ジョヴァンニはスペイン名《ドン・ファン》と言い、あの女たらしで有名な貴族だという。当時、実在した人物がモデルのようだが、富と力をもつ人物が悪人だと多くの被害者が出るのは洋の東西を問わない。日本ではさしずめ時代劇に出てくる好色の悪代官か悪大名といったところか。

このオペラは「オテロ」「リゴレット」「トスカ」と同様に観て楽しいオペラではないが、オーケストラの演奏をバックに登場人物が演ずる歌劇と、それを盛り上げる舞台演出には見応えがある。

主演のドン・ジョヴァンニを演じた歌手は声量豊かで迫力があり、クライマックスで亡霊に地獄へ落とされる場面の舞台演出は見事だったし、ドンナ・アンナとドンナ・エルヴィーラを演じたソプラノ歌手は共に声量があって良かった。

今回は前から3列目だったが、最前列と同様に字幕と舞台の両方を見るには前過ぎる。次回はもう少し後ろの席か、あるいはいっそバルコニーの方がいいかもしれない。今度は本場のオペラ歌手による「ドン・ジョヴァンニ」をぜひ観てみたい。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第767号 マジック・ローズ(... | トップ | 第769号 信州《標高950の庭... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Mie Report」カテゴリの最新記事