まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

茶碗の中の宇宙

2017年05月12日 | 日記

東京国立近代美術館。
皇居・北の丸公園の散歩を楽しんだ後、
久しぶりに絵でも観ようとやって来たのですが・・・



絵ではなく「焼き物」の展覧会でした。
かつては陶芸家を目指した(?)こともある私ですから
焼き物の展覧会も大好きです。
千利休ゆかりの「樂焼き」は京都発祥だけに馴染み深いですねえ。
学生時代、清水坂の焼き物通りを歩きながら
よく楽茶碗を手に取ったものです。
でも、茶碗の中に宇宙があるとは知りませんでした。(笑)

樂茶碗と言えば千利休です。
彼の「侘び茶」の精神を最も忠実に具現化した茶碗でしょうか。
よけいな装飾性を一切排して
ひたすら土の肌ざわりと風合いを追い求めた究極の茶碗。
楽家初代の長次郎は利休の指導を受けながら
茶の湯の世界に一時代を築きました。
その初代から十五代まで「一子相伝」の作品がズラリ一堂に会して
それはもう壮観と言うしかありませんでした。



初代・長次郎の手による赤樂茶碗「一文字」は重要文化財。
利休が気に入って生涯持ち続けた茶碗です。
どうです、この「侘び寂び」の精神を体現するたたたずまい。
得も言われぬ色合いと光沢。
私、勉強不足で知らなかったのですが
樂茶碗は「ろくろ」などの作陶道具は一切遣わずに
ひたすら手で捏ねて作り上げるとか。
両手で包み込めるほどの小ぶりな作品がほとんどですが
手の感触が感じられるものばかりでした。



会場の外には茶室のセットも設けられ写真撮影OK。
この日はかなりの混雑ぶりで
人抜きの写真を撮るのに30分以上もかかってしまいました。
数ある作品の中でも私がとくに気に入ったのは
本阿弥光悦の黒茶碗でした。
作品のすばらしさもさることながら
茶碗の「値段」が気になって仕方がありませんでした。
そんな無粋な人間ですから
茶碗の中の宇宙など見える筈はありませんでした。(笑)