まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

望郷五月歌

2017年05月06日 | 日記

照りつける陽射しが
初夏を通り越して真夏を思わせるようでした。
黄金週間もアッという間に過ぎて
ハハハ、ざまあ見ろ!という感じですねえ。(笑)



暑い、暑いとボヤいていたら・・・
昨日、子供の日は「立夏」でもあったんですねえ。
すっかり忘れていました。
まあ、立春も立秋も立冬いいけれど
夏生まれだけに立夏と聞くと俄然、力が湧いて来るようです。
わが季節到来!何ごとかなさざらん!
なんて訳もなく張り切ってしまいますねえ。



空にはもう入道雲です。
雲を見ると誰もが詩人になると言いますが・・・
そんなこと言わないか?
この季節になると佐藤春夫の「望郷五月歌」を決まって思い出します。

     望郷五月歌  佐藤春夫

  塵まみれなる街路樹に 哀れなる五月来にけり 
  石だたみ都大路を歩みつつ 恋しきや何ぞわが古里 
  あさもよし紀の国の牟婁の海山 
  夏みかんたわわに実り 橘の花咲くなべに 
  とよもして啼くほととぎす 
  心してな散らしそかのよき花を 
  朝霧か 若かりし日のわが夢ぞ そこに狭霧らふ 
  朝雲か 望郷のわが心こそ そこにいさよふ   

実に美しい日本語ですねえ。
佐藤春夫は紀伊半島の突端、和歌山県東牟婁郡新宮町
現在の新宮市の生まれですが
南国の太陽が容赦なくふりそそぐ「入道雲」が似合う町です。
そうそう、作家・中上健次も新宮の生まれでした。
照りつける強烈な陽射しの下では夏ミカンがたわわに実り
ヤシの木が生い茂る海岸線に出ると
肌にまとわりつくような濃密なな潮の匂いが立ちこめ
漁師町特有の猥雑さが町中を支配しています。
そんな陰翳に富んだ風景が文学を生み育てるのでしょうか。
ああ、もう一度、新宮を訪れてみたい!(笑)