まろの陽だまりブログ

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せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

映画『お父さんと伊藤さん』

2017年05月07日 | 日記

ビデオ屋で何気なく手に取ったのだが・・・
なかなか面白い映画だった。
柄にもなく「家族って何だろうな~」などと
シンミリ考えてしまうヒューマンコミカルドラマである。

書店でアルバイトをしながら気ままに暮らす34歳の彩(上野樹里)は
小学校の給食センターでアルバイトをする
20歳年上のバツイチ男の伊藤さん(リリー・フランキー)と付き合っている。
二人は家庭菜園のある小さな古アパートで仲良く同棲中である。
それだけでも充分に想像力をかきたてる設定だが
そこに息子夫婦の家を追い出された彩のお父さん(藤竜也)が転がり込んで来て
たちまちドラマは波乱含みの展開となる。
父親は娘に思いもかけぬ同棲相手がいたことに驚くが
一方的に「この家に住むぞ!」と宣言して奇妙な共同生活が始まる。

あくまでも自分のペースで日々の暮しを大切に生きる彩。
つねにウィットを忘れずに飄々として生きる伊藤さん。
頑固一徹で口うるさいもののどこか憎めないお父さん。
そんな三人三様の個性のアンサンブルが
この作品の見どころ、楽しみどころではあるのだが
とくに彩役の「上野樹里」がいい!
上野樹里と言えばやはり映画「スウィングガール」が鮮烈だったが
三十代を迎えてその演技にもぐっと幅が出て来た。
この作品でも34歳という中途半端な年齢を生きる独身女性の
倦怠や不安、父親や恋人への複雑な愛情を
イキイキと過不足なく演じていて大いに感心した。

映画『お父さんと伊藤さん』予告編


この作品には・・・
行き場のない老人の孤独とか
子供を産まない選択をした独身女性の生き方とか
住む人もないまま放置される空き家問題とか
現代日本の断片を象徴するシリアスなテーマも垣間見えるのだが
一つ一つを深刻に取り上げるのではなく
さりげなくユーモアにくるんだ「家族」の姿として描いたのが
成功の何よりの要因ではなかろうか。
公開時にはあまり評判を呼んだ記憶はないのだが
なかなかの「掘り出し物」である。