鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

茶農家の苦悩

2016年02月24日 | 議会活動

平成28年2月24日(水)

 

 平成28年度静岡県2月定例会が開会され、週末から始まる代表質問を皮切りに熱い論戦が繰り広げられます。既に議案説明書は配布され知事からの提案説明も受けました。本議会の主な議案は平成28年度予算で、私たち議員もそれぞれ内容の精査に入っています。

 

 農政の分野では、本県の特産である茶業支援策がいくつか盛り込まれており、「日本一の茶どころ」の「現状」を反映しています。

 まずは日本一のお茶どころを示すデータを下記のURLでご確認ください。

   https://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-340/chagyo-gaiyo.html

   https://www.pref.shizuoka.jp/j-no1/m_tealeaf.html


 静岡県茶業の現状(こちらは専門的な資料なので関心のある方はどうぞご覧を)

   http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-340/documents/27ochahakusyo1.pdf

   http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-340/documents/27ochahakusyo2.pdf

 

 現状とは茶農家の苦悩支援です。日本一とはいえ、お茶の生産量や生産額は毎年下降気味で、特にここ4~5年は下落幅が大きく、これ以上茶生産を続けられないという農家も増えてきました。

 原因は多岐に渡り、消費量の減少も大きな原因の一つです。単に消費量というと正しくはありません。急須で入れて飲むお茶の消費が激減し、ペットボトルのように飲む人が直接、茶葉を目にすることがない状態での消費は増えています。

 しかし現実は生産量が減少しています。静岡県の茶産出額のピークは昭和58年の831億円で、平成25年は373億円まで減少しています。一方で、全国第二位の鹿児島県は昭和58年が169億円だったものが平成25年には221億円で、それまでの間年度ごとの変化はあるものの、明らかに減少率は深刻です。茶農業認定者数は地元の富士市では平成21年に113だったものが、統計の取り方が変わったとはいえ平成25年には54に減少しています。茶園面積は、昭和40年に静岡県が19,900ha、鹿児島県が4,410ha、平成25年では静岡県が18,300ha、鹿児島県が8,660haでこれも本県の減少傾向が明らかです。

 このままでは日本一の座を奪われるのは時間の問題です。

 

 県は対策として、茶園の集約化をはかり効率の良い生産体制の推奨や紅茶やウーロン茶のような発酵茶、抹茶の生産拡大も後押ししています。さらに、海外輸出はここ近年大きな伸びが期待され、県内外を含めた販路拡大の支援を行っています。

 

 静岡県の茶農家には大きなハンディがあると聞きます。お茶は5月頃の八十八夜の新茶(一番茶)から始まり、その後伸びる茶葉を刈る毎に二番茶、三番茶のように夏頃まで3回ほどの出荷ができます。茶価は一番茶が高く、その後は飲料用の原料などに利用され下降していきます。茶農家にとっては、一番茶の価格に大きな期待をかけることになりますが、「市場」で評価されることになり、気候による出来具合や生産量、ニーズなどにより決定されます。

 茶の生産地は、南は九州から関東地方まで分布し、日本で一番新茶が市場に出るのは温かい鹿児島県からです。初物として高い評価がでやすい傾向にあり、生産量も見えてくることから需要との関係にも道筋がつきます。それから1~2週間後に静岡茶の初取引が始まり、この時間のずれはハンディとして現れます。この傾向は静岡県内でも地域性が反映され、初出荷が遅くなる私の地元は決して有利な状況ではないと聞きます。

 地域の主力銘柄は「やぶきた」茶で、鹿児島でも同品種を栽培していると聞きます。鹿児島をはじめ福岡県八女市も主産地の一つで、いずれの九州地域では静岡県と同じ品種を比較的平らな集約された農地で機械化して効率よく生産されます。しかも、出荷時期も有利な状況で。茶の取引の形態も両県では異なり、茶農家の収入にも影響があるといわれます。

 本県内では、特色あるお茶づくりを進めるため、山間部では茶に覆いを掛けて玉露を生産したり、先ほど述べた発酵茶への取り組みも進んでいます。

 

 いろいろ書きましたが、大変厳しい競争環境で静岡県のお茶が生産され、これまで茶農家も頑張ってきました。

 私の懇意にしているお茶農家も、こだわりの茶づくりを進めてきましたが、今は元気がありません。若い担い手は「食育」という視点から、小学校に出前講座に出向き「日本茶」の飲み方と効能について伝えていると聞きます。オーナーはJAや行政の主催する勉強会にも積極的に顔を出し、何とかこの難局を乗り越えようと頑張っています。

 農家の手取りは、最終価格の2~3割もあれば良い方だということです。6次産業化で手取り収入を増やすことへの重要性も理解していますが、若い担い手でもいなければ実現できないと嘆いています。複雑な流通ルートも農家にとっては大きな課題です。

 

 様々な農家の想いを聞きながら、「地に足がついた」農家支援ができるよう、頑張っていきたいと思います。

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