“名にしおはば逢坂山のさねかづら 人にしられで来るよしもがな”百人一首の三条右大臣の歌で知られるサネカズラ:実葛(モクレン科(マツブサ科とも)サネカズラ属)が、真っ赤な実をつけています。
山野の林縁などに生え、ときには庭木として栽培される常緑つる性木本で雌雄別株または同株、茎の径は2cmくらいになり、葉には光沢があります。
花が終わると花床が丸く膨らみ液果が球状に集まった集合果になります。
和名の実葛は11月ごろ真っ赤に色づくこの実が美しいことから、また別名のビナンカズラ(美男葛)は枝の皮の粘膜を水に浸出して整髪に使ったことからきています。果実は五味子と呼ばれ強壮や咳止めの薬効があります。
上の歌の“さねかづら”の“さね”は“さ寝”に通じ、“来るよしもがな”の“来る“は長いつるを”手繰る“にかけているといいます。昔の歌はややこしい含意があるものです。