思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

『忘却についての一般論』星5つ!!

2021-11-05 18:03:57 | 日記
すごく良かった!星5つ!!
『忘却についての一般論』
ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ
木下眞穂:訳

アグアルーザはアフリカ・アンゴラ生まれの作家。
作品はポルトガル語で書いているそうです。

アンゴラ…。
って、アフリカにある国の名前なのね…。
ウサギの毛皮のことじゃないのね…。

(アンゴラウサギの毛を織ったり編んだりしたものを
「アンゴラ(モヘヤ)」という。毛皮ではない)

アンゴラは19世紀までポルトガルの植民地だった国。
1975年に独立宣言をしたあと
長い内乱状態になりますが、現在は共和国制。

この物語の主人公のルドは、
ポルトガルで生まれ育った内向的な女性。
姉の結婚に同行して、アンゴラの首都ルアンダに移住。
現地のアンゴラ人にとってルドは
豪奢なマンションの最上階に住む、他国者ですね。

1975年の内戦&姉夫婦の失踪をきっかけに、
マンション(屋上テラスに土と木がある)で
自主的ひきこもり生活に突入。
27年もの間、篭城したという物語。

とはいえ、ルドのマンション内サバイバルを綴る物語だけではない
(それもおもしろいのだけど)。
内乱のどさくさで災難に遭うポルトガル兵士、
革命側で汚れ仕事ばかりする悪党モンテ、
鳩からダイヤをもらい商売で成功する男、
失踪事件が大好きな記者、
首都に流れ着いた孤児の男の子。

いろんな人のユニークな掌編が、
モザイクのようにキラキラと綴られていて
ルドの住むマンションに収束する。

すごく魅力的で、不思議な印象を残す一冊。
これはすごい。
読んでいて、人物も文章も詩も良かった。
読後の余韻も良かった。

2013年度フェルナンド・ナモーラ文芸賞、
2017年度国際ダブリン文学賞受賞作。

と言われてもわからないけれど、
個人的に今年の星5つ本にカウントです。
おめでとう私!
(良い本に出会えると、やっぱりうれしい)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする