思惟石

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佐藤亜紀『黄金列車』新刊だ!やった〜!

2021-04-19 10:43:56 | 日記
佐藤亜紀の新刊が出てたよ!!
やったー!!!

『黄金列車』2019年初版。

2年前じゃないか!!!
誰か教えて!!!
(現代作家をあまり読まないので
 新刊チェックもしないタイプです)

今回も前作『スイングしなけりゃ意味がない』と同時期、
終戦間際のナチスの鬼畜っぷりから派生したひとつの物語です。

舞台はナチス占領下のハンガリー。
ナチスは敗戦色濃厚で、ハンガリーには連合軍側のソ連が迫っている状態。
ユダヤ人から強奪し「国有化」した財産を
ハンガリーの首都ブダペストからウィーン経由でドイツ方面に
「退避」させるのが、黄金列車です。

毎度おなじみ、歴史背景の説明一切なしで、
おもむろに黄金列車が出発します。
さすがです先生!!
1ページ目から読者おいてきぼり!!!

ハンガリーの歴史にそこまで詳しい読者、いる?
もちろん佐藤亜紀ファンは調教されてるから、調べるけどね!!

が!
さすがにマニアックすぎというか、
いささかの説明の必要を感じたのか、
巻末に「覚え書き」として歴史的解説が載っています。
ありがたや〜。

まずはそこを読んでから、本編だな!
これから読む人も、まずは巻末をチェックだ!!!
(近作では巻末に覚書としてヒントが添えられていることが多い)

というわけで、ようやく本編を読みました。

ユダヤ人から略奪した財産の「管理委員会」の
事務屋であるバログ氏が、一応、主人公。

委員長は没収財産を私物だと勘違いしている
ダメダメ人間ですが、
次長以下、委員会の人々は
役人として「国有財産」の列車を保護しようと奮闘します。

列車の中身は、なんとなーく、みんな知っているものだから、
ダメ上司やら、ナチス敗残兵やら、ウィーン政府やら、クソ役人やらが、
列車の所有権を求めて、ゆすりたかりに来るわけです。

委員会の面々は、それらに対して至って役人的かつ冷静に、
交渉や書類や、若干の分譲(ちゃんと受領書とってる!)で
なんとか列車を守ろうとする。
粛々と。

本編の黄金列車の移送と並行して、
主人公バログの親友であり、家族ぐるみでも仲が良かった
ユダヤ系ヴァイスラーの思い出(悲しい結末になるに決まってる)が。

物語としては、ずいぶんシンプルな構成だなと思ったけれど、
やっぱり佐藤亜紀先生はすごい。
読むうちに心の底の方が、じりじりする。
文章はすごく淡々としているのに。

最後の赤毛は、どう考えてもエルヴィンではないのだけれど、
なんか、ぐあ〜っときた!
言葉になってないけど!!

次の新刊、マダカナ〜。

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