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野上弥生子『秀吉と利休』文学!

2019-12-10 16:28:31 | 日記
途中まで、なかなか進まなくて難儀しましたが、
野上弥生子が77歳で取り掛かった大作
『秀吉と利休』無事読了しました。

しつこいですが、中公文庫で定価500円。
現代ではランチも食べられるかどうかって値段で
野上弥生子の大作が一冊読めるとは、
おそるべし昭和の文庫

ところで、野上弥生子という人の概要ですが、
生まれも育ちもとっても良くて
(フンドーキン創業者の長女です)
教養も才能も努力も抜きん出ていて、
なんというか、文句をつける隙がない感じなのです。

なんというかね…。
読むの敬遠しちゃうよね…。

私なんかが読むのはおこがましいんで、
今回は失礼します〜って感じで。
敬遠し続けて数十年。みたいな。
そういう感じって、ないですかね?

私はそんな感じでなんとなく避けていたんですが、
松岡正剛ファンに千夜千冊の記事を教えられまして。
志賀直哉や武者小路実篤を慎ましくぶった斬ってるのとか
岡本かのこ等とのお付き合いに1ミリも意義を見出せない
感じとか、おもしろい人だなあと思ってしまった。

これは読まねば。と。

というわけで前段が長くなりましたが
本棚でくすぶっていた『秀吉と利休』を読んだ次第。

この二人の感情の絡まりというか、対比というかを小説の題材に据えたのは
野上弥生子が最初らしいですね(ってのも千夜千冊情報)。

正剛先生が例えばで挙げた井上靖(『本覚坊遺文』こちらも74歳の作)や
赤瀬川原平(これは何を指しているのかな?)は未読ですが
2009年直木賞受賞作である山本兼一『利休にたずねよ』は
そこそこおもしろかった。
とはいえ利休ってこういう人かな?こういうこと考えるかな?
という疑問も結構大きくて。
総じて、まあ、フィクション歴史小説だなあという感想。

で。
『秀吉と利休』はさすがの野上弥生子節というか
感情の変化とか、ちょっとふんわりした感情の機微とか、
なんというか「わかります」と頷いてしまう感じ。

風物とか情景とかも良いですよね。
山上宗二の死と、青臭く追求してくる三男の存在が良かった。

三男の紀三郎は小説内の創作で
全体としては効いていると思いますが、
私は個人的には、小説の幕引きは紀三郎よりも
秀吉の衰えを描いてもらう方が良かったなあと思う。
それだと読者の想定内すぎるかな。

なにはともあれ野上弥生子は良かった。
凄かった。
今度は中勘助の『銀の匙』を読もうかな。

そして本当にどうでも良い話ですが、
『戦国鍋』にとっぷり煮込まれた過去がある私は、
細川忠興といえばオッキーで利休七哲で
チェックの服
を着ています。


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