思惟石

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宮下奈都『誰かが足りない』

2019-04-26 13:17:47 | 日記
おいしいと評判でなかなか予約の取れない
駅前のレストラン「ハライ」。
10月の最後の日、ハライに集う人々を描いた6つの短編集。

それぞれの短編は何らかの「足りない」を抱えた人で、
その欠落(もしくは喪失)に静かに向き合った結果、
おいしいと評判の「ハライ」に行こうという
ささやかだけど前向きなアクション(予約)に収束します。

就活にも恋にも失敗した若い男。
認知症の始まった女性。
係長という名ばかりのブラック勤務にふりまわされる女性。
ビデオ越しでないと現実を見られないひきこもりの兄。
客に恋するビュッフェのオムレツ担当男子。
人が失敗する匂いをかげる不思議な能力のある女性。

なんというか、各短編のデキの良さには
正直、ばらつきがあります。
後半に行くにつれて、良くなる感じかな。
個人的には、ひきこもり兄が一番良かった。
まあ、総じて読みやすい内容とボリュームかと思います。

5点満点でいったら、3点。見事な真ん中。
ですが、
ハライに予約を入れる、という、ある意味小さな一歩ですが、
それでも全員が踏み出しているのは、良いと思う。
読んで損した~、とか思うことは無いと思われる作品です。

ちなみにこの作者は『羊と鋼の森』でブレークしましたね。
第13回本屋大賞受賞(2016)、直木賞の候補作にもなりました。

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