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『すみれ荘ファミリア』凪良ゆう

2022-03-15 11:43:57 | 日記
『すみれ荘ファミリア』凪良ゆう

主人公の幸薄な和久井さんが管理人を務める下宿すみれ荘に、
感情が薄くて謎な人物・芥(あくた)が転がりんでくる。
というところから始まります。

作者のプロフィールにBL出身と書いており、
そういうのは別に良いのですが、
物語の導入からして、え?そういう話ですか?!と無駄に身構える。
と思ったら、芥は24年ぶりに会う弟だと判明。
早く言ってくれ。

なぜかお互い知らんぷり状態が続きますが、
低いテンションの会話は良い感じ。
下宿人・美寿々ちゃんのPMSでの荒れっぷりも良い感じ。
下請けテレビマン隼人くんの自意識に揉まれる荒れっぷりも良い感じ。

おお、良い感じだぞおもしろいぞ!
と思ったら、結構クレイジーな犯罪が来た。

すべてが「愛ゆえに」人は狂うというテーマかもしれない。
人の、外から見えている人格なんて、ごく一部、という話かもしれない。

しかし、ぶっ飛びすぎではなかろうか。と思って、ちょっとビックリした。

読了後、ビックリしながら振り返ってみると、
居酒屋の若旦那の「俺って優しい男」発言(実際は昭和の亭主関白を地で行く)も、
母親の恋人三上氏のアバンギャルド発言も、
ちょっと、空気読まなすぎというか、
言わなくていいこと言っちゃう呪いにでもかかってんのかな?この町の人。
と疑うレベルではある。
みんな、愛ゆえに狂ってる町なのか?
芥氏の登場によって、普段のA面ではなく裏のB面モードになったのか?

そんなこんなで読み終わったあとに、
最初からストーリーを思い返して、細部をリプレイして、いろいろ考えた。
という時点で、多分、これは、いい小説なのだと思います。

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