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『覇権帝国の世界史』 世界史入門に良いのかも(マクニールよりは読みやすいよ!)

2024-04-22 11:24:15 | 日記
『覇権帝国の世界史』

世界史の全体を俯瞰しようという
なかなか難しい課題に取り組んだ一冊。

西世界、東世界、イスラム世界の三つの「ユニヴァース」に分けて
世界の流れを描いています。

あとがきで著者が触れていますが、
この三分類が正解とか唯一の解釈ではなくて
こうやって見ると俯瞰しやすいという一例である、と。
確かに流れや対立構造が分かりやすかったです。

東の系譜は、東ローマ帝国(ビザンツ)からロシアに繋がるのだけれど、
「そうかな?」と思った部分があったり、
「そうかも」と思う部分もある。
唯一史観を主張されるよりもファジーで良いんじゃなかろうか。

私の長年ふんわり抱えていた疑問
「なんでギリシャって偉そうなん?」とか
「ラテン語とギリシャ語の違いは何?」とか
「ヘレニズムって何ですか…」とか。
見事に解決しました。
佐藤先生ありがとう!

アレクサンドロス大王がガーっと広げた大帝国は
あっという間に分解したけれど
ギリシャ文化はガッツリ広がりヘレニズムになる。
当時の国際言語はギリシャ語。

キリスト死後、ローマ帝国内でめちゃくちゃ広まったのは
布教をがんばったパウロがローマの市民権を持っていて、
且つ、ギリシャ語が話せたから。
どこにでも行けて、誰とでも話せる人だった
ユニヴァーサル人材だったから。
ここらへんのキリスト教が拡大した理由とか、状況とか、
なるほどですし、なんか現代もそういうとこあるよね。

(『聖☆おにいさん』のパウロは超絶高学歴だったな…
 私は漁師兄弟を応援するよ)

ローマ帝国が元々は「辺境国」だったのもなるほどだし、
大帝国となり滅びた後、地中海をイスラムに奪われて
西世界の中心がローマから内陸に移ったのもなるほどです。

佐藤先生は、その移動の理由を
「ゲルマン大移動とか言ってるけど、
本当に理由はイスラムに押されたから」
的なことを書いていた。
イベリア半島(スペイン)も長らくイスラムだったし。
なるほどみ。

そんなイベリア半島のレコンキスタ(再征服)が終わったのが
1492年。
コロンブスが新大陸発見した年ですね。
行き場がなくなったレコンキスタ兵士たちが、
新大陸に続々と渡ってコンキスタドールになったわけです。
あ、そこ、繋がってたんだあ。
(ピサロもコルテスも、レコンキスタ兵だったらしい)

国内統一した後の社会問題としての「元兵士」って
フランスの歴史でも散見されたけれど
(戦後リリースされた傭兵が賊になる流れ)
歴史あるあるなんだな。

世界史の最初の一冊としてもおもしろいのかもしれません。
私はあちこちの歴史書をつまみ食いした後に読んだので
コネクト感が楽しめて良かったです。

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