思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

山尾悠子『飛ぶ孔雀』理解不能なのにおもしろい。

2019-04-16 17:23:31 | 日記
山尾悠子『飛ぶ孔雀』を読みました。

私はこの作家さんは存じあげなかったのですが、
根強いファンが多い方みたいですね。
煽り文句も
「伝説の幻想作家、8年ぶりとなる連作長編小説」
と書かれてましたし。

ある事故がきっかけ(?)で火が燃えにくくなった(?)
山と麓の街を舞台にした不思議すぎる物語。
「I 飛ぶ孔雀」「II 不燃性について」の二部構成ですが、
前者が雑誌掲載作で、後者が書き下ろし。

さらに細かい章立てになっているので、
「幻想!」「不思議!」「混沌!」「理解不能!」
がてんこ盛りですが、息継ぎがしやすくてありがたい構成です。

いやもう、本当に「理解不能!」なんですが、
なんか凄いですよ。おもしろいですよ。美しいですよ。

地下の温水プールとか、中洲の家とか、ペレットから取り出す小さな骨とか、
風景が良いし、モチーフも良いし、文章のリズムも良い。
怪しく魅力的な文章で、「わからん!」と思いながらも
意外とすいすい読めてしまいます。
内容は不可解なのに、文章が足腰しっかりしてるというか
骨太で筋が通ってる表現だからでしょうか。
読んでいて安心感がある日本語なのです。
(自分でも何言ってんだって感じの感想ですが)

作者の山尾悠子さんはデビュー当時、
「幻想小説」というジャンルが確立されておらず
「SF」ジャンルの作家に分類されていたようですね。
うん、SFじゃないわ…。

とにもかくにも、理解不能ですが、おもしろかったです!
特に「I 飛ぶ孔雀」が良いので、前半だけでも是非。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ケイト・モートン『湖畔荘』... | トップ | 【読書メモ】2010年9月 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事