思惟石

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『ストーナー』静かに凄い

2019-03-10 10:24:22 | 日記
ジョン・ウィリアムズ『ストーナー』読みました。

内容は、
「うだつのあがらない大学助教授の人生」
的な説明をされることが多いし、
まあ、そういう小説なんですが。

なんか凄いぞ。
なんかおもしろいぞ。
なんか、忘れがたいぞ。

刊行は1965年のアメリカで、そんなに話題にもならず。
2006年に復刊されてもさほどではなかったのが、
2011年、フランスで翻訳されて大ブームになったそうです。

単行本の解説に書かれている

主人公があまりにも忍耐強く受動的で、
華やかな成功物語を好むアメリカ人には受けなかったから、
というのがおおむね一致した見解


というのが納得感半端ない。
フランスで熱烈歓迎されたってのも、
なんか分かる感じありますよね。

主人公ウィリアム・ストーナーが
貧しい農家に生まれ、農学を学ぶために入った大学で
英文学の深淵になんとなーく囚われ、
そのまま教師として大学に残り、
淡々と、
思索したり授業したり結婚したり友達できたり
恋したり喧嘩したりします。
めちゃくちゃ淡々と。

それが良いんですよねえ。
私はストーナーになりたい。

単行本の解説には、作者のインタビューが引用されてます。

わたしは、(ストーナーは)じつに幸福な人生だったと思います。
間違いなく、たいていの人よりはよい人生だったはずです。
やりたいことをやり、自分のしていることにいくらかの適性があり、
みずからの仕事が重要であるという認識をいくらか持てたのですから。


私もそう思う。
ストーナーはだいぶ恵まれている人だと思う。
うらやましいくらいです。

ちなみに訳文もとても良いですよ。
東江一紀(あがりえかずき)訳です。
闘病しながら最後の作品として『ストーナー』を選び、
翻訳をしたとのことで、
その事実にも、読後、静かな衝撃を受けました。

とにかく凄いです、『ストーナー』。
めちゃおすすめ。
文庫化されてないのが謎なんだけど。

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