思惟石

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『女王陛下のユリシーズ号』 英国海軍ムネアツ本

2023-01-23 17:20:13 | 日記
『女王陛下のユリシーズ号』

アリステア・マクリーン
村上博基:訳


第二次世界大戦後期。
ソ連に援助物資を届けるイギリス船団の護衛艦ユリシーズ号の物語。

ユリシーズ号が主人公というか、
ユリシーズ号の中の男たちの物語というか。
最初から最後まで詰んでる雰囲気のユリシーズ号の最後を、
月曜から一週間、詳細に描いています。

これは史実かな?と思ったら、架空の巡洋艦らしい。
へえ〜。
ゴリゴリに無骨な『終戦のローレライ』という雰囲気か。
人間模様とかリアルでおもしろい。

イギリス北部から北極海を経てソ連に物資を運ぶ航路で、
ナチスドイツのUボートが襲ってくる、という構図。
36隻の船団が、ドイツ軍の執拗な攻撃によってどんどん減っていく。
救援を打診してもなかなか来ない。
このボロボロの船団を囮にして、
ドイツの戦艦ティルピッツ(実在する)を誘い出し、叩きたい、
というイギリス海軍本部の企みが垣間見える。
くぅ〜!っとなってもどかしいし、ずーっとピンチでハラハラする。

ちなみにプロローグですでに過酷な航行続きで
船内でプチ反乱が起きています。
もうね、冒頭から不穏じゃないですか。
P40、なんとか出航した際の表現が
「火山に閉じぶたは冠されたが、鳴動は決してやんではいないのだった」
って、ハードモードすぎて辛い。

ページをめくる度にさらなるハードな事案が続くし、
ずーっと「詰んでる〜」って状態だし、
ユリシーズ号がんばれ!!死ぬな〜!!と思いながら
最初から最後まで読み続けることになった笑

でも読んじゃう。
ムネアツ本。

初版は1955年、邦訳は1967年。
訳文の評価も高いようです。
読みやすかったし、ムネアツだった。

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