思惟石

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『ジゴロとジゴレット: モーム傑作選』 傑作しかないね!

2023-12-13 18:29:36 | 日記
『ジゴロとジゴレット: モーム傑作選』
サマセット・モーム
訳:金原瑞人

モームの描く「人間味」がすごく好きだ。
これは良い。
良い傑作短編集!!!

とにかく出てくる登場人物みんな、
血が通った人間!って感じでビックリします。
モームの人間観察力、怖〜っ。

いわゆる主人公や、テーマとなっている中心人物以外も、
もうね、人間味がすごい。
すごすぎて、すぐに感情移入しちゃう。
その人物に夢中になっちゃうので、
途中から主人公が「遅れて登場だぜ!」みたいに
スポットライト掻っ攫うんですけど、
「ええ〜!!」となります。

でもやっぱり主人公の方が魅力たっぷりだから
乗り換えちゃうのよ。
ごめんよ。
「前座も良かったよ〜!」とか言って。

なんだこの贅沢な短編。
すごいわ。
ってなります。

すごいわ。

以下、収録作!

『アンティーブの三人の太った女』
これ、すごくわかります笑
なんで問題が解決した後(リナが去った後)に食っちゃうのよ笑
って思うけど、共感しかない笑

『征服されざる者』
訳者あとがきにもありましたが、これだけ異色作。
モームにしては救いが無いお話しですが、
でも、主人公の男の言動はあり得る気もするなあと思ってしまって
怖い。モームの観察眼が怖い。

『キジバトのような声』
これは若手作家のお話しかな、おもしろい奴だな、と思ったところで
「主人公登場〜」って感じでスポットライト掻っ攫われ案件。
最高におもしろいです。好き。

『マウントドラーゴ卿』
こちらも精神科医は狂言回しですが、深みが凄い。
本人もよくわからないけど「名医」なのだ。なんだそれ〜。

『良心の問題』
これも好き。あんなに愛した妻を殺してしまう過程が、共感しかない。

『サナトリウム』
これが一番好き。(感想、「好き」ばっかりだな)
中盤の、あんなに愛した妻を疎んでしまう気持ち、共感しかない
(さっきも同じようなこと書いたな)。
そして、モームは読者の共感ゲット程度では終わらない。
ラストが秀逸。

『ジェイン』
奇抜なファッションが気になってしょうがない。

『ジゴロとジゴレット』
これも、ラストが好き。最高。

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