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『犬物語』

2024-02-15 13:41:01 | 日記
『犬物語』
ジャック・ロンドン

こちらは柴田先生が愛読書をセレクト&翻訳するシリーズ
スイッチパブリッシング社の<柴田元幸翻訳叢書>です。
ジャック・ロンドンの短編集2冊目。

1冊目である『火を熾す』を読んだ時も、
ジャック・ロンドンって犬が出る作品多いな〜
というか、犬のこと大好きだよな〜と思っていましたが。

柴田元幸氏は読者の斜め上を行くので、
「犬」が登場するお話しだけで短編集を編みました。
さすがです。

以下、収録作。

『ブラウン・ウルフ』
犬が飼い主を選ぶお話し。
賢いなあ、犬。

『バタール』
悪魔のような犬のバタールと、同じく悪魔みたいな飼い主ルクレールの
闘い(?)の短編。
ここから派生して、『野生の呼び声』が書かれたそうです。

『あのスポット』
以前の相方であるマッカイの悪口から始まり、
なぜか性悪犬スポットの悪魔的エピソードが詳細に語られる。
ちょっとふざけた感じの短編。
オチまで行くと、マッカイてめえこの野郎の意味がわかる
よくできた短編です。

『野生の呼び声』
優秀で気高い大型犬バックの一代記。
セントバーナードとスコッチシェパードから生まれた
体格と頭脳に恵まれたバックが、
金持ちの生家から攫われて北部で橇引き犬として売り払われ、
才能を発揮しつつも主人が変遷し…という。
もうね、大河ドラマです。
自然の脅威と犬の働きに敬意を示せないニンゲンが
氷の割れ目に沈んだときはガッツポーズ出ましたね。
犬用サブスクでドラマ化したら良いのに。
それはそれとして『ベルカ、吠えないのか』を思い出す作品。

『火を熾す(1902年版)』
名作『火を熾す』の習作でもある1902年版。
犬がいません。いないんかい!!
そして名作と呼ばれる1908年版では主人公が「男」ですが
こちらでは「トム・ヴィンセント」という名前があります。
読み比べると、確かに、質実ともに08年版の方が優れていて、
「男」という記号性(柴田氏は普遍性という)が効いています。
「犬」が「男」を頼り、見捨てる過程が08年版の良いとこだよな〜。
と、しみじみします。

表紙の最高にかっこいい写真は
オオカミの写真家として有名なジム・ブランデンバーグの一枚。

これ、ジム・ブランデンバーグの写真集の表紙と比べると
オオカミくんの角度や毛並みが違う気がする。
同じ構図でこんな微差な一枚が撮れるものですかね。
デザイナーのレタッチと言っても、たいぶ違く見えるけど。謎である。
(PHOTO byジム・ブランデンバーグと明記されてはいる)

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