思惟石

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【読書メモ】2013年3月② 『壬生義士伝』

2020-06-02 09:46:21 | 【読書メモ】2013年
<読書メモ 2013年3月②>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。

『壬生義士伝』浅田次郎

だいぶ昔に実写映画を観た。
南部が東北にあるのか九州にあるのかもわからず
(雪景色の印象は残ってる)、
歴史の知識ゼロで見たのでまったく理解できなかったな〜。
という思い出。
こちらの原作はおもしろいと思う。
けど、全力で泣かせにかかりすぎではなかろうか。
「花嫁の手紙か!」というくらいあざとい。
いや、巧いし面白いんだけど…。

(ここから、2020年の追記です。
 「南部藩って南の方じゃないの?どこなの?」
 という地理感ゼロ問題の顛末は以前も書きましたが。

 南部地方盛岡藩を脱藩して新撰組に参加した
 吉村貫一郎が主人公の小説です。

 初期の結成メンバーが幅を利かせていた新撰組のなかで、
 後発組&外様として軽んじられながらも
 一部では一目置かれていたという不思議な存在として描かれます。

 最初に観た映画版は老人となった斎藤一からの聞き語り、という体裁。

 小説は、大正4年に記者が色々な人から吉村に関して
 聞き取り取材をする、という体裁。
 『珍妃の井戸』が「信頼できない語り手」による
 藪の中ミステリなのに対して、
 こちらは多角的な語りから、吉村の人柄や真実が見えてくる構成。
 お話しのフォーマットは似ていますが、
 描き出すものが対極で、おもしろいですね。

 映画版の中井貴一の、ちょっと頼りないビジュアルは
 小説のイメージに合って、良い!
 と全力でうなずいていたところ、テレビ版は渡辺謙なのね。
 それはちょっと違う気がするなあ…。

 ところで、時代小説のイメージがある浅田次郎ですが、
 この作品が初の時代小説だそうです。
 2000年刊行。
 ちょっと意外でした。

 第13回柴田錬三郎賞(2000)受賞作。

 そんな南部地方(東北だよ!)の歴史が虚実混ざりつつも
 おもしろく学べるのが、中島京子「かたづの!」
 おもしろいよ!)
コメント
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