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思惟石

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【読書メモ】2013年3月① 『珍妃の井戸』

2020-06-01 09:57:59 | 【読書メモ】2013年
<読書メモ 2013年3月①>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。

『珍妃の井戸』浅田次郎
様々な視点から事件を証言する構成。
黒澤明の羅生門のカタチ。

(なんだかんだでジロリアンな私です。
 1月に『蒼穹の昴』を読み、その勢いでシリーズ続編(?)の
 『珍妃の井戸』を読んだ
次第です。

 『珍妃の井戸』の舞台は、「蒼穹」の後になるのかな。

 そもそも珍妃というのは、清朝末期の光緒帝の寵姫です。
 西太后がぶいぶい言わしてる時代ですね。
 光緒帝が戊戌の変法(ぼじゅつのへんぽう)で政治改革をしようとし、
 西太后一派に敗北したことから、一緒に幽閉されてしまいました。
 で、義和団の乱による大混乱の中で、
 井戸に投げ込まれて殺されてしまったという悲劇の人です。

 この小説は、ミステリ仕立てというか、
 珍妃を殺した犯人は誰か、を調査する流れで
 様々な証人へのインタビューという形式になっています。

 それぞれが、まったく違う視点や持論を抱いていて、
 『藪の中』形式のお話しとして、大変おもしろく読めます。
 『蒼穹の昴』に出てくる人物(作者による架空の人物)が出たり、
 大枠の史実というか、当時の中国の事情がわかりやすかったり。
 『蒼穹の昴』を読んだなら、その勢いでこちらも読んでおくと
 良いと思います!
 珍妃が井戸に投げ込まれたという史実は事実なので、
 悲しいけどね)