山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

樹木を育むキノコの役割

2010-10-26 22:23:57 | 菌類(きのこ)

今年は猛暑の影響で、松茸をはじめとする、キノコ類がたいへん豊作だそうです。
当然ながら、毒キノコも豊作で、昨日のニュースではツキヨタケによる食中毒事故が
報じられていました。おそらく食用キノコのヒラタケなどと一緒に生えていたので間違って
食べてしまったものと思われます。

キノコと言えば、まず食べることが頭に浮かびますが、日本に自生するキノコは約5,000種類ぐらいあって、
その内の約10%ほどが有毒種(毒キノコ)と言われています。
まずは危険な有毒種を覚え生態や色、形を楽しむことから始めることが大切です。

キノコの専門家でもない一般人がこういった事故に逢わないためには、「自生しているキノコは食べない」
が基本で、特に初心者は観賞、観察、撮影くらいに留めるべきでしょう。

一般に書店に出ている図鑑に載っているのはせいぜい300種ぐらいなので、これを見ただけで
安易に食毒を判断するのは極めて危険なことと言わなければなりません。


ムラサキアブラシメジモドキ <フウセンダケ科 フウセンダケ属> 腐生菌 
小型のキノコですが、紫色の鮮やかな、非常に美しいキノコです。里山の落ち葉の
積もった場所でよく見かける種類です。一応、食用キノコですが、これもムラサキシメジなどの
類似した有毒種が何種類かあるようです。うっかりと手は出せません。


ところでキノコはその種類にかかわらず、森の自然が豊かに再生されていく上で非常に
重要な役割をはたしています。

例えば、ここに取り上げた腐生菌や木材腐朽菌は、林に降り積もった落ち葉や、倒木を
栄養にして分解し、無機質(土)に戻す役割を担っています。

林床がきれいになるので、若木が育ちやすく、また分解の過程で発生する二酸化炭素は
森の植物の光合成を助けます。

もしキノコのこうした働きがなければ、林床は倒木や落ち葉が積もり重なるばかりで
若木の育ちにくい環境が出来上がってしまいます。




コメント
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