某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

アイルランドの国民投票ー同性婚と大統領21歳から―

2015-05-30 03:48:04 | 健康
 アイルランドの国民投票で同性の人々の結婚を認める憲法改正が圧倒的多数で可とされたことは日本でもかなり大きく報道された。5月22日。既に同性の結婚を認めている国または地域は多いが、国民投票をやって合法化したのはアイルランドが始めてらしい。カトリックが80%以上いる国でなぜ?と私もこの数カ月首をかしげていた。新聞は連日賛否両論を識者に書かせていた。カトリック教会はもちろん反対。市民結婚式で結ばれても、教会では認めないなどと投票前には脅しをかけていたし、結果が出てからも、人間性にもとるなどとぐずぐず言っている。結婚する二人が信仰心の篤いカトリックだったら困るだろう。政治家はけろっとしていて、「誰を好きになるか」などは法律の関与する事ではない、と訳知り顔だった。
 既に認めている国にはカトリックの多い国が多い。スペイン、フランスなど。アイルランドが加わってますます、カトリックの強い国=同性婚可という図式が出来そうだ。何故か。少なくともアイルランドでは、その理由の一つは、カトリック教会への不信感であろうと思う。
 独立するまでアイルランドの民族主義とカトリック教会は共通の基盤に立っていた。土着のアイルランド=カトリック、「プロテスタント」は英国、と。独立後カトリック教会は憲法上特別な「国民の倫理・道徳・社会規範の指導者」の地位を与えられていた。これは、いくらなんでも、北アイルランド問題の解決に邪魔になる。だから前に国民投票で削除した。しかし、心には残っている。週一度教会に懺悔に行かないと落ち着かないというご婦人は多い。男性からは聞いたことがないが。
 しかし、独立後権力の側に立ち国民の指導者になると宗教組織は腐敗する。「不良」「不品行」な少女を収容し「矯正」する修道院と、そこの洗濯工場での「奴隷」労働と聖職者たちによる凌辱。男子特に孤児を収容して働かせる「産業学校」での教育という名の奴隷労働と、やはり聖職者たちによる凌辱。そうしたカトリック聖職者らによる蛮行は1990年代から次第に明らかにされ、告発が続き、首相による公式謝罪もあったが、まだかたずいていない。さらに「不品行」な少女達が生んだ子供をアメリカ人の養子にし、或る程度の金を修道院が受け取る、という幼児売買も行われたらしい。国民特に若い人々の不信感は強まっている。これが今回の投票結果に表現されていると私には思える。
 大統領の被選挙権を21歳に引き下げるという案は圧倒的多数で否決された。21歳の大統領が出ては、いくらなんでも、ということだったのだろう。案外正解だったかも。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 筑紫のきわみ陸(みち)の奥―... | トップ | 老人の性 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

健康」カテゴリの最新記事