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某年金生活者のぼやき

まだまだお迎えが来そうに無い

憲法押し付け論の愚

2013-05-03 18:15:27 | ぼやき
 今の日本の憲法は占領軍におしつけられたもので、日本人が作ったものではない、とか、国辱ものだなどと、でたらめを言う政治屋が多い。憲法制定の事情も知らず、ただそういう。聞く方も何も知らないから、なるほどマッカーサーが勝手に作って日本に押しつけたのか、もう自分たちで作らなければ国辱ものだなどと「納得して」しまう。嘘はやめろ、と言いたくなる。
 占領軍から示された憲法草案は、日本の議会(まだ帝国議会)で長い時間をかけて審議され、多くの条項が追加され意味内容を変えて可決された。
 例を挙げると 1)九条=戦争放棄の項目。これは日本の大臣がマッカーサーに申し出たものだ。当時天皇の戦争責任を問う意見が諸外国から上がっていた。これを退け、天皇を裁判にかけないようにするためには今後二度と戦争はしない、軍備も持たない、と宣言するのが良い、と判断したのだ。マッカーサーは軍人だから軍隊の無い国、戦争をしない国、などと言う発想はなかった。これはいい、と言うので憲法草案に盛り込まれた。九条を変えたがっている議員はほとんどが天皇制賛美者なのに、都合の悪いことには目をつぶっている。
 2)参議院の創設。ねじれ現象とか言って邪魔な参議院をなくそうとする動きがある。しかし、あれも憲法審議の過程で日本側が散々粘って追加したものだ。米側の草案では衆議院だけの一院制が提案されていた。アメリカの国会は下院と上院の二院制だが、人口比だけで議員を選出すると、小さい州はいつも大きな州の言うなりにされてしまう。それを避けるために、50州其れぞれから同人数の上院議員を選出している。しかし日本の県にはアメリカの州のような独立した権限がないから、利益代表のような議員はいらない、と判断されたのだ。しかし、日本には貴族院があった。皇族、華族、高級官僚、多額納税者から選ばれた「特権階級」議員。これを残したくて日本側は粘った。そしてついに二院制にした。しかし、昔のような特権階級は殆どなくなったから、選出方法は衆議院と殆ど変らなくなった。参議院をなくせという保守議員たちは、アメリカ側の案を飲めと言っているようなものだ。呆れるほどのご都合主義。
 3)憲法第25条。生存権。これは森戸辰男が粘りに粘ってくわえさせた。彼はイギリスの生存権の思想や社会政策に詳しく、貧窮にあえぐ民衆の生活を救うのは国家の責務だと考えていた。
 4)義務教育を中学まで延長。26条。アメリカ側は「基礎教育」と明記して、小学校(読み・書き・そろばん)の教育だけを考えていた。当時議会の外では、母親たちが大運動を起こして「これからの時代はせめて中学までの教育を受けさせなければ」と要求した。それが実って「普通教育」と文言を改め、中学までを無償の義務教育にした。
 数え上げればきりがないほどだ。1)や2)のように日本側の狙いには好ましくないものがあったにせよ、これらはすべてNHKテレビが2007年に憲法特集番組で放送したものだ。見た人は沢山いるだろうに、護憲派でもごく一部の人しか覚えていない。それでいて、押しつけだの国辱だのと言われると、成るほど、と思ってしまう。そのくせ、憲法のことはよく知らない、勉強したいと思う、などと毎回言う。これではいつになっても駄目だね。
 96条を先ず変える、と安部さんは繰り返し言っている。日本の憲法は他に類を見ないほど変えにくくなっているとか(これは全くの嘘)、3分の1の議員が反対すれば変えられないなどと決められているのはおかしい、とか。そのくせ、彼が良いと言っている戦前の大日本帝国憲法でも「議員の3分の2以上の出席、3分の2以上の賛成」が憲法改正の要件となっていることには触れない。知らないのか?都合の悪いことには目をつぶる。ご都合主義だなぁ。
 大和市の若い市会議員が、今の憲法は正しい手順を経ずに出来ているから無効だ、と言ったそうだ。馬鹿だな。あれは大日本帝国議会が憲法に定める改正手続きをして改正公布されている。憲法の冒頭に書いてある。読んだこともないのが歴然としている。本当は国民投票をして全く新しい憲法を制定したほうが良かったと私は思うが、現憲法は手続き上は改正憲法であって「新憲法」ではない。主権者が代わっているのに改正憲法と言うのはおかしいと思うが。

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アイルランドでも同性の結婚が認められそう―憲法問題

2013-04-16 00:34:17 | ぼやき
 昨日のアイリッシュ・タイムズに、カトリックの圧倒的に多いあの国としては画期的なニューズが載っていた。同性愛者など同性の結婚を合法化するよう憲法を改正せよという要求が大変強くなったというのだ。
 アイルランドには2012年12月から憲法会議が発足している。これは100名で構成されている。内訳は、一般市民から無作為に選ばれた66名(匿名)、「共和国」の国会議員から29名、北アイルランド自治議会議員4名、そして政府指名の議長1名となっている。先日の会議で、このメンバーの内79%が同性婚を認めるよう憲法を改正する国民投票をすることに賛成した。改正の支持者たちは歓声を挙げ、中には感極まって泣き出す人も多数いたという。副首相も賛成で「人が誰と恋に落ちるか、誰と一緒に暮らしたいか、を判定するなんてのは国の仕事ではない」と言う談話を発表している。
 反対は19%。カトリック司教会議は激しい反対の態度を堅持しており、「会議の結果には失望している。女性と男性の結婚が唯一のものであり、それが子供達と社会に最も良いものものである」として、両性間の結婚を促し保護してゆくと述べている。アイルランド「共和国」では依然として85%位の人々がカトリックであるから、同性婚が近年あちこちの国で認められ始めたとはいっても、その風潮にのるのはかなり先だと私は思い込んでいた。なにしろ「離婚」が認められてからまだそんなに経っていないし、中絶は依然禁止。カトリックの倫理規範が強く残る唯一の国と言ってよいほどだから。
 国民投票は次回の総選挙より前に行われるらしいと今日のアイリッシュ・タイムズは伝えている。
 数年前、ニューヨークでは3月17日のパトリクス・デイの大祭典にゲイのグループが参加を申し込み、主催者側に拒否されている。その時は、やはりカトリックだな、と思った。しかし、来年はどうだろう。一番人の集まる企画になるかもしれない。
 記事を見ながらふと気がついた。日本の憲法は同性婚を認めているかどうか、と。早速六法を見た。結婚は両性の合意、とある。つまり、男と女でないと結婚出来ないのだ。日本でも、アイルランドのような提案が出てくるのだろうか。
 なお、アイルランドの憲法会議には、此の両性婚のほか、大統領の任期を7年から5年に縮めてはどうか、とか、投票権を17歳にさげては、とか、選挙制度の見直しや、海外居住者に大統領選挙の投票権を与えてはどうかなど、いくつもの課題が与えられている。憲法問題は日本でもかなり大問題になっている。これからもあの国の生き方を注視することにしよう。
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サッチャー氏の訃報

2013-04-09 14:41:32 | ぼやき
 サッチャーさんが亡くなった。会った事もないし、握手したこともないが、なんだかちょっと知っているような感じ。あまり良いことで覚えているのではない。
 彼女が首相になった時、知り合いのイギリス人が「これから国民はいじめられるぞ」といった。「なにしろミルク・スナッチャーだからな」と。スナッチ snatch つまりヒッタクリ。強奪。誰から奪ったか。イギリスの小学生から。それまで小学校では給食のミルクが無料だったのを有料にした。だから小学生からミルクをひったくった人といわれていた。まだ厚生大臣だった時のことらしい。サッチャー(ご先祖が屋根ふき業だったのだろう。)にひっかけたイギリス式ジョーク。本心だろうが。
 本当に、「鉄の女」だな、血も涙もないのか、と私がゴマメの歯ぎしりをしたのは1981年。北アイルランドの刑務所に収監されていたIRAの若者たちが「俺たちは政治犯だ、破廉恥罪の連中とは違う待遇をしろ」と要求してハンガー・ストライキをした時。ボビー・サンズという若者が66日のハンストの後死亡し(彼は獄中から立候補して当選し、イギリスの国会議員になっていた)、その後合計10名の若者がハンストの結果死亡した。回りから色々な進言があったらしいが、彼女は「テロリストとは交渉しない」と頑張って、とうとう10名餓死させてしまった。自分にも同じ年頃の息子がいるのに、なんというむごい母親だ、とこっちは常識人だからむかむかしていた。
 大学の経費削減にも大ナタを振るった。特に文系が狙われ、ある大学では歴史学科がまだ学生がいるのに急に廃止された。教員の任用も若い人は1年単位になり、その間にしかるべき研究業績を出せなければお払い箱、となった。ベルファストの知り合いの教授は、その当時経済学部長だったが、「若い人が上や周りの顔色ばかりうかがって、せこせこと小論文を書いている。大きな研究をしていては首になってしまうから」と嘆いていた。その後日本でも同じようなことが起こってきたが、サッチャーさんの軌跡を日本は歩んできたように思える。
 新聞の追悼記事にはまだこんな悪口は書いてない。亡くなったひとへの礼儀なのかもしれない。
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何故吹矢の「練習」ではなく「受験勉強」と書いたか。

2013-04-08 01:38:49 | ぼやき

「吹矢の受験勉強ではなく、練習とか修行と言った方がいいではないか」とか「受験勉強なんてつまらないだろう。まるで灰色の高校生時代みたいだ」などという感想を言って下さる方がいた。普通はそう考えると思う。私の説明不足で、意図が伝えきれなかった。ちょっと偉そうで面映ゆいが、再度書かせていただく。
 そんなに大層なことではない。剣道修行の心得に「守破離」というのがある。私はこの「守」を「受験勉強」と言い換えただけだ。「守」というのは、師匠の言うことを良く聞いて其れが出来るようにすること。前にも書いたが、私の剣道の師匠は「いい先生について、まっすぐな稽古をすれば誰でも五段にはなれる」と良く言っていた(私は三段で終わってしまったから師匠の言葉を証明出来ないが。)
 吹矢で昇段試験を受ける時も同じだと思う。幸い私の吹矢の師匠は名人で第一人者だから、今まで言われるとおりにやってきて間違いなかった。勿論、言われるとおりに出来ているわけではない。そうやりたいといつも思っている、というだけ。点数を稼ぎたいから、つい自己流でやってしまう。だから、師匠の言う通りに出来ないで四苦八苦している。これはまだ「守」の段階だ。「受験勉強」も同じ。独創的な研究ではなく、学力を付けるための修練だ。吹矢では、人にもよるだろうが、大体六段までは「守」の段階だとおもう。
 「破」や「離」がどのようなものか、私にはまだ分からない。「破」というのは、多分、師匠の言うことに拘束されず、わざと違った行き方をすることだろう。しかし、「師匠と違う」と意識している限り、まだ独自のものとは言えないだろう。全く新しい自分だけの道を歩むのが「離」なのだろう。私には夢のまた夢だからどんなものかわからないが。
 中国の弓の名人の話がある。百発百中になってしばらくすると、弓を持たず、ただ射る姿をするだけで鳥が落ちるようになった。或る時、晩年の大名人をしたって弓の達者な人が会いにゆき、弓を見せたが、この老名人には其れが何であるかすらわからなかった、という。昔読んだときは、年をとってボケただけだ、と思ったが、この三段階が「守」「破」「離」なのかもしれない。
 
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久しぶりのアイルランド映画

2013-04-07 04:55:10 | ぼやき
 正確にはアイルランドを扱った映画というべきかもしれない。タイトルは「シャドー・ダンサー」 銀座のシネ・スイッチでみた。いや難しい映画だった。ハリウッド映画なら顔つきで善人悪人が分かり、筋は単純で、派手に動いてドンパチやるからすぐ理解できる。イギリスやアイルランドの映画は、まるで説明抜きのドキュメンタリー。おまけに外人さんの顔はどれも同じように見えるから、MI5の男かIRAの男か見分けがつかない。女性も同じようで、だれがだれだかわるまでに話は大分進んでしまう。
 吹矢の練習場が銀座にあるから、練習のあとで見た。吹矢のお陰で銀座を少し歩けるようになり、映画館にも行けるようになった。
 映画は、ベルファストに住むIRA系の一家の悲劇。主人公の女性は、弟を英軍とIRAの撃ちあう流れ弾で殺されるという経験を幼いころにする。長じて母親になっても、弟を殺した英軍に復讐する気持ちもあって、IRAの活動家として活躍し、ロンドンの地下鉄に爆弾を仕掛けるが、MI5(英国情報局保安部)に逮捕される。20年以上刑務所に服役するか、それとも密告者になって子供と暮らすか、と迫られ、また、弟を殺したのはIRAの弾だと教えられたりして、結局密告者になる。しかし、彼女の密告とは違う情報によるらしい事件が起こって、MI5の係官も別の情報源(シャドー・ダンサー)がいるのではないか、と探り始める。一端逮捕されながら、ロンドンからベルファストに無事帰って来た女性は、当然IRAに疑われる。私は、いつばれるか、とひやひやしながら見ていた。幸い?ばれずに、しかし、殺人は時に成功?したりするが、最後は子供をつれて北アイルランドから逃げ出す。彼女は知らないのだが、実は「シャドー・ダンサー」を守るための囮だったのだ。では「シャドー・ダンサー」はどこの誰だったか、興を削ぐからそれは言えない。
 結局は話がわかるのだが、いや苦労した。完全に理解するには、あと2回は見なければならないだろう。DVDになるまで待つか。
 DVDといえば、第二次大戦中沢山のユダヤ人を助けたアイルランド人の神父さんがいた。そのことを描いた映画かTVドラマがあって、それも
DVDになっている。「赤と黒の十字架」というタイトルらしい。原名は「The Scarlet and the Black」。「バチカンの紅はこべ」というタイトルもあるから、訳書もあるのだろう。目下探索中。「シンドラーのリスト」のアイルランド版か、アイルランドの杉原千畝さんか。そういえば、シンドラーの役を演じたリアム・ニーソンはアイルランド系だったな。

コメント (1)
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