私の好きな名探偵 貴族探偵ダゴベルト・トロストラー

2018年12月07日 | 
 「あなたの好きな名探偵投票キャンペーン」
 
 
 というのは、ミステリー専門チャンネル「AXNミステリー」が開局20周年を祝してやった企画だが、そんなものを見せられたら
 
 「オレにも語らせろ」
 
 となるのがファンというもの。
 
 そこで前回(→こちら)「名探偵巫弓彦の話をしたが、続くはこの人。
 
 ダゴベルトトロストラー
 
 といっても知っている人は少ないかもしれないが、オーストリア=ハンガリー帝国時代に活躍した作家バルドゥイングロラーが世に出した名探偵
 
 と聞くと、
 
 
 「世紀末ヨーロッパ? ハプスブルク朝? 帝政ウィーン? もう大好物!」 
 
 
 なんてヨダレを垂らす人もおられるかもしれないが、その通り。
 
 この貴族探偵ダゴベルトは、20世紀初頭の、まだ古きヨーロッパの残り香がかろうじて残っていた、あの時代に活躍する名探偵なのだ。 
 
 歴史もの、中でもヨーロッパ好きにとって、
 
 
 「この時代が舞台なら読む!」
 
 
 という人気時代はいくつかあって、
 
 
 「ローマ帝国」
 
 「革命フランス」
 
 「ヴィクトリア朝ロンドン」
 
 「スペイン内戦」
 
 
 あたりが鉄板で、私なら
 
 
 「第一次大戦から、ナチス崩壊へ至るころのドイツ」
 
 
 が入るが(皆川博子総統の子ら』、須賀しのぶ神の棘』とか)、こういったラインアップの中に確実に、
 
 
 「ハプスブルク家が治めるオーストリア=ハンガリー帝国」
 
 
 というのが入ってくるのだ。
 
 フランツカフカをはじめ、アルトゥルシュニッツラーや、私の大好きなシュテファンツヴァイクヨーゼフロート
 
 そんな面々が活躍したころといえば、その空気感がわかっていただけるのではないか。
 
 最近では、ウェスアンダーソンの映画『グランドブダペストホテル』とか、モロにそのノリである。
 
 ダゴベルト・トロストラーの魅力は、もうそのものズバリ「貴族的」であること。
 
 第一次大戦前で、文化的には頂点を極めた帝都ウィーンで、音楽犯罪学に淫する貴族探偵と聞くと、もうその設定だけでウットリ
 
 そんな彼が、ワトソン役のグルムバッハ豪華ディナーに舌鼓を打ち、オシャレなタキシード姿で葉巻ワインを楽しみながら事件を解決したりした日には、優雅すぎて笑ってしまうではないか。
 
 邦訳されている『探偵ダゴベルトの功績と冒険』も、読みやすくも優雅な文体と、品のあるユーモアに彩られ、「ホームズライバル」と称されながらも、なぜにて日本ではマイナーなのか不思議なほどだ。
 
 そんな格調高いダゴベルトの物語は、ミステリファンのみならず、世界史好きと、あとたぶん将棋の佐藤天彦名人にもおススメです(←今日はこれが言いたかった)。
 
 

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