DVDで『1980』という映画を観た。舞台はタイトル通り1980年の冬。主人公はそれぞれの悩みを抱えた三姉妹。夫の浮気に悩む高校教師の長女、突然アイドルを辞め、高校教師を志す男癖の悪い次女、映画研究会の作品でヌードを披露する必要に迫られる高校生の三女。物語は次女が、長女が勤務・そして三女が生徒として通う高校に教育実習生としてやってくるところから始まり、彼女の自由奔放で不安定な生き様を主軸として進む。とにかくすぐに男に惚れてしまい、B級アイドル時代に様々な人間と浮名を流した次女は、実習先の高校で早速男子生徒を誘ってしまう悲しい程のズルズルぶり。さらに過去の男関係を全て記した暴露本まで出され、精神的に追い詰められていく…。1980年という時代を必死で駆け抜ける人々の群像映画である。
舞台が1980年ということで、当時の文化がいたるところに顔を出す。カラフルな色使いの家具や洋服、当時の最先端だったテクノポップ、ポータブルというにはかなり大きい初代ウォークマン、ルービックキューブ、スライム、留守番電話などなど…数年前の「80年代ブーム」でも紹介されたアイテムがぞろぞろ出てきて、当時生まれてもいなかった世代としてはとても興味深い。ただ、音楽にしてもファッションにしても80年代モノをあまり好まない自分にとっては見ていて少々ダルく感じる箇所もあったが。例えば作品中随所で流れるテクノポップ、あれ、どこがいいんだ…ドラムンベースが結構好きな私には単純なピコピコ音がちょっと不快(笑)。ただ、YMOの「ライディーン」が流れている際に醸し出す強烈な哀愁のようなものにはビビったけど。
作品としてあまり面白いと思えず、「これは80年代に思い入れのある人が喜ぶタイプの映画なのか?」と考えたのだが、ネットなどの感想を見たらむしろ80年代っ子の人達のほうがよりこの映画に失望しているみたいだった。この映画の監督は、80年代のインディーズシーンで一世を風靡したバンド、「有頂天」のボーカリストで、現在は劇団「ナイロン100℃」を主宰し、演劇の世界でも脚光を浴びるケラリーノ・サンドロヴィッチ(本名:小林一三)氏。80年代のインディーズバンド市場を切り開いた人の一人であり、その方面では80年代を象徴するような人物である。そんな人が『1980』というタイトルの映画を撮るということで、期待はかなり大きかったようだ。でもそれらに応えるほどの映画ではなかったのかもしれない。独特なプラスチックな雰囲気になじむのに私は30分かかってしまった。
ただ、部分的に素晴らしい箇所はある。ミッチーが出演しているシーンは明らかに空気が違うので何度も見てしまう。流行にあわせてコロコロと音楽性を変え、しぶとく芸能界に生き残る歌手を演じるミッチー。彼の出てる場面はフルスロットルで狂っててとても楽しめた。持ち歌の歌詞も意味不明で笑える。なんだよ、「セルロイドの夜」って…。そして三姉妹がビルの屋上から夕日を見つめ、遠い未来である2000年について語るシーン。あの夕日のシーンが今現在と地続きのように感じられて切なくなる。彼女たちは「2000年代はもっと良い時代になってるはず」という考えを多かれ少なかれ持っているようで、それを思うと……なんとなく、合掌。
舞台が1980年ということで、当時の文化がいたるところに顔を出す。カラフルな色使いの家具や洋服、当時の最先端だったテクノポップ、ポータブルというにはかなり大きい初代ウォークマン、ルービックキューブ、スライム、留守番電話などなど…数年前の「80年代ブーム」でも紹介されたアイテムがぞろぞろ出てきて、当時生まれてもいなかった世代としてはとても興味深い。ただ、音楽にしてもファッションにしても80年代モノをあまり好まない自分にとっては見ていて少々ダルく感じる箇所もあったが。例えば作品中随所で流れるテクノポップ、あれ、どこがいいんだ…ドラムンベースが結構好きな私には単純なピコピコ音がちょっと不快(笑)。ただ、YMOの「ライディーン」が流れている際に醸し出す強烈な哀愁のようなものにはビビったけど。
作品としてあまり面白いと思えず、「これは80年代に思い入れのある人が喜ぶタイプの映画なのか?」と考えたのだが、ネットなどの感想を見たらむしろ80年代っ子の人達のほうがよりこの映画に失望しているみたいだった。この映画の監督は、80年代のインディーズシーンで一世を風靡したバンド、「有頂天」のボーカリストで、現在は劇団「ナイロン100℃」を主宰し、演劇の世界でも脚光を浴びるケラリーノ・サンドロヴィッチ(本名:小林一三)氏。80年代のインディーズバンド市場を切り開いた人の一人であり、その方面では80年代を象徴するような人物である。そんな人が『1980』というタイトルの映画を撮るということで、期待はかなり大きかったようだ。でもそれらに応えるほどの映画ではなかったのかもしれない。独特なプラスチックな雰囲気になじむのに私は30分かかってしまった。
ただ、部分的に素晴らしい箇所はある。ミッチーが出演しているシーンは明らかに空気が違うので何度も見てしまう。流行にあわせてコロコロと音楽性を変え、しぶとく芸能界に生き残る歌手を演じるミッチー。彼の出てる場面はフルスロットルで狂っててとても楽しめた。持ち歌の歌詞も意味不明で笑える。なんだよ、「セルロイドの夜」って…。そして三姉妹がビルの屋上から夕日を見つめ、遠い未来である2000年について語るシーン。あの夕日のシーンが今現在と地続きのように感じられて切なくなる。彼女たちは「2000年代はもっと良い時代になってるはず」という考えを多かれ少なかれ持っているようで、それを思うと……なんとなく、合掌。