拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

あなたのことが、心配でたまらないから―『お父さんは心配症』

2006-06-03 23:20:52 | 漫画
今日は岡田あーみんの代表作『お父さんは心配症』のことでも書こう。この漫画が『りぼん』に連載されていた時期は約20年前。だからどうしても拭いきれない古さが、読む人によってはつきまとう。初期の作品だけあって絵もまだまだ雑だし。そのせいでこの漫画の傑作ぶりが上手く伝わらないんじゃ?と思い、「あーみんを布教したい病」に感染しているにも関わらず『お父さんは心配症』だけは人に貸したことが無いのだが、やっぱり傑作には違いない漫画なので読ませたいという気持ちはなくならない。このブログでも扱わなければ。とりあえず下にあらすじを数行載せておく。
【あらすじ】
主人公・佐々木光太郎は男手一つで育て上げた高校生の娘・典子のことが心配で心配でしょうがない。特に気になるのが典子の彼氏・北野君との関係。どうみてもさわやかで健全カップルの二人だが、光太郎は典子の身の安全を思うあまり北野君を毛嫌いし、二人の仲を引き裂こうと四苦八苦する。典子とのデートの度に光太郎に殴られたり刺されたりと度が過ぎる災難を被る北野君。毎回、奇行の上に奇行を重ねる光太郎から目が離せない、変態バイオレンス漫画。
先ほど、最終巻の6巻をパラ見していて、なんとなく共感してしまった台詞がある。6巻の一番初め。第44話「聞け、父のさけび!!」の巻。このエピソードで、光太郎は中高生の子供達とその父兄が「親子とは何か?」をテーマに討論する、という素人参加番組にひょんなことから出演することに。生放送ということで極度に(岡田あーみんの漫画での「極度」はどの程度か。一度読んでみて欲しい…)緊張しまくる光太郎だが、「親は僕らを心配しすぎる」という中学生の意見に案の定即座にブチ切れる。その後も超アグレッシブに親をナメている子供達に鉄拳をくらわしてしまった光太郎はスタジオを締め出される。しかし「制裁モード」がフルスロットルになった光太郎は我慢ならず他のテレビ局の生放送の歌番組に乱入。「♪大人たちはオレたちの心をわかってくれない 夢見ることを忘れた悲しい人種~」とノリノリで新曲を歌うアイドル・若葉はじめ君をぶん殴り、叫ぶ!
「なにが大人たちは夢見ることを忘れた人種だっ おまえらみたいなクソガキ育てるのに必死でそんなもん見てるヒマあるかっ!」
年齢のせいだろうか。共感してしまった。思えば私は昔から、思春期特有の「大人はわかってくれない」的な反発を抱く人達を「まぁ、気持ちはわからんでもないけど、私たちみたいなわかりやすい悪ガキではなく一見『普通』な子供の気持ちにかまってるほど大人はヒマじゃないんだし」と宥めていた。変に大人ぶっていたつもりは全く無い。趣味に没頭している時の私は子供以外の何者でもないし。大人は大人で大変なんだからそんなに反発してやるな、と。どうせ数年後は自分も大人になるんだし、あとちょっとの我慢だよ、と。こんな性格だからだろうか。若葉はじめ君をボコボコにする光太郎に軽く拍手を送りたくなってしまった。そしてその後の展開に大爆笑してしまった。当然その歌番組からも締め出され、遂には国営放送MHKにまで乱入する光太郎…あぁぁぁもう!続きは自分の目で読んで確かめて!


追記
『お父さんは心配症』を購入しようと思われた素敵な方、買うなら絶対文庫ではなく単行本で。表紙が笑える上にあーみんのエッセイ漫画が読めます。文庫にはエッセイ漫画載ってない(でもあーみん本人によるあとがきがちょろっと付いてたりする)