拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

先生、『PLUTO』新刊まであと十日です

2006-03-19 23:14:13 | 漫画
「浦沢直樹が手塚治虫に挑戦!」の漫画『PLUTO』の最新刊が発売される3月30日まで十日を切った。1年ぶりの新刊。連載を雑誌で追いかけてる人から本当に些細なネタバレをチラチラと聞いてしまったため期待が高鳴りっぱなしである。高鳴りを抑えるため、先程既刊の1~2巻と原作の『鉄腕アトム 地上最大のロボット』を読み返した。
突然だが、『PLUTO』を楽しく読むためには絶対に原作もあわせて読むべきだ。なんといっても第一巻と同時発売された豪華版コミックには、付録として原作コミックが付いているのだから。きっと作者は、原作を読んだ結果読者に芽生えた先入観を利用して作品を描いてるはずである。私は『PLUTO』の先の読めない展開に我慢ならず、続きが読みたくてしょうがなくなり、とりあえず原作があるのだからそっちで先の展開を確認しよう、と思って原作に手を出したのだが、本当に色々と驚いてしまった。まず原作に対して。あのページ数であらゆるメッセージを誰にでも伝わるようにわかりやすく詰め込むなんて離れ業、凄すぎ。恥ずかしながら手塚作品は『BLACK JACK』と『火の鳥』数巻しか読んでいない私が言うのもアレだが。『BLACK JACK』も一話完結なのに一つ一つが物凄いボリュームだもんなあ。うーん手塚読破したい。でも時間がないわ。そして浦沢さん。シンプルなストーリーをあそこまで膨らませるなんて何という妄想、いや想像力。膨らませすぎて相変わらず伏線を張り巡らせている。『PLUTO』の先の展開をなんとか予想するために原作を読んだのだが、浦沢さんが張った伏線の手がかりになるようなものは原作には何一つなかった。わかったのはこの先出てくるロボットの名前ぐらいだろうか。逆に「エプシロンのエピソードとか、浦沢さんはどう描くんだろう?」等キリの無い妄想があふれ出すばかりだ。原作のストーリー展開をしっかり踏みつつオリジナルのエピソードをバンバン詰め込む浦沢さん版アトム。浦沢さんはリメイクの際、初めは絵柄を手塚版アトムに忠実にしたものにする予定だったそうだ。しかし手塚プロダクションサイドから、「どうせやるなら浦沢さんの絵柄で勝負して欲しい」という要請があり、二巻の表紙にもなっている美少年アトムくんが生まれた。原作のようにビュンビュン空を飛んだり、「人間を襲うロボットなんて悪魔だい!」等のセリフを発するのが想像できないほどの知的美少年ぶり。この先敵のロボットと戦うシーンは確実に出てくるだろう。どんな風に描くつもりなんだろう、浦沢さん。
冒頭でも書いたが、ビッグコミックオリジナルで連載を追いかけている奇特な友人から聞いた些細なネタバレ情報によると、エプシロンはもう浦沢版に登場していて、見た目は『MONSTER』のヨハン似らしい。ヨハン顔…「物凄い裏のあるルナティック野郎」的なイメージが芽生えたような芽生えないような。