第3の角度
国際社会の対応力が試されているー諸政府と市民社会の連帯で危機の克服を
米国と中国の体制的矛盾が噴き出し、対立が深刻になっている
いま重大なのは、パンデミックのなかで、米国と中国の体制的な矛盾が噴き出し、両者の対立が深刻になってきていることです。
米国・トランプ政権ー「自国第一主義」で国際協力に背を向ける
一方で、世界最大の資本主義国であるアメリカ・トランプ政権は、「自国第一主義」の立場に立ち、国際的な協力によってパンデミックを克服する取り組みに背を向けています。とりわけWHOからの脱退を通知したことは、国際協力に多くの障害をもちこむとともに、アメリカへの信頼を失墜させています。WHOの新型コロナへの対応は検証すべき問題があったとしても、それは国際協力を強める立場で行なわれるべきであって、脱退という選択は愚かというほかありません。
くわえて構造的な黒人差別が、コロナ危機のもとで重大問題となっています。警官によるジョージ・フロイド氏の警官の暴行死事件に対し、米国内外で激しい怒りが広がりましたが、トランプ大統領のとった態度は、差別根絶と結束を目指すどころか、分断と対立をあおるものでした。
4月2日採択された新型コロナウイルスに関する国連総会決議は、次のように述べています。
「人権の完全な尊重の必要性を強調し、いかなる形態の差別、人種差別、排外主義もパンデミック対応ではあってはならない」。これが世界の総意であります。米国・トランプ政権の態度は、この国連総会決議の精神に反するものであり、国際協力にとって重大な障害をもたらすものにほかなりません。
私はトランプ政権に対し、WHOからの脱退の決定を撤回することを、強く求めるものであります。
中国ー人権侵害と覇権主義という体制的問題点がむきだしになった
他方で、世界第2の経済大国である中国は、人権侵害と覇権主義という体制的問題点が、パンデミックを通じてむきだしになりました。コロナ対応の初動の遅れは、人権の欠如という体制の問題点と深く結びついたものでした。1月初旬までに、武漢の研究所は、遺伝子配列を解読し、報告書を提出しましたが、中央政府は許可なく情報を公開することを禁じました。人命にかかわることや、やむにやまれず警鐘を鳴らした何人もの医師、ジャーナリストが「デマ拡散者」として弾圧されました。情報を隠蔽したまま、武漢では数万人規模の行事を行なうと共に、「春節」による大規模なヒトの移動を許可しました。これらが感染を国内外に拡大する結果になったことは明らでり、その責任は重いものがあります。
2003年、SARS流行に際して、当時の胡錦濤主席は、APEC首脳会議後の記者会見で、「国際社会に拡散させたのなら、世界の人々に申し訳なかった」と反省を表明したものでした。ところがいま、中国の習近平指導部は、政権の対応を自画自賛するばかりで、求めたれている経験と教訓の共有化には後ろ向きです。こうした姿勢では、国際社会の真の信頼を得ることは決してできないしょう。
くわえて、中国が、「香港国家安全維持法」を強行したことは、香港の市民的、政治的自由、人権と民主主義を乱暴に抑圧し「一国二制度」の国際公約に真っ向から反する暴挙であり、パンデミック収束に向けた国際協力にも障害を持ち込むものにほかなりません。日本共産党は、重ねて厳重に抗議し、その撤回を強く求めます。
さらに中国が、東シナ海や南シナ海での力による現状変更を目指す覇権主義的行動を、パンデミックのもとで抑制するどころか、エスカレートさせているところも、断じて容認できません。
日本共産党がめざす社会主義。共産主義とは、人間の自由、人間の解放を、大目標としています。
私は、1月の第28回党大会の綱領一部改定報告で、「中国の党は『共産党』を名乗っていますが、その大国主義・覇権主義、人権の行動は『社会主義』とは無縁であり、『共産党』の名に値しません」と指摘しました。 コロナ危機のもとでの中国の無法と横暴を踏まえ、私は、この指摘を、重ねて強調しておきたいと思うものです。
(つづく)
国際社会の対応力が試されているー諸政府と市民社会の連帯で危機の克服を
米国と中国の体制的矛盾が噴き出し、対立が深刻になっている
いま重大なのは、パンデミックのなかで、米国と中国の体制的な矛盾が噴き出し、両者の対立が深刻になってきていることです。
米国・トランプ政権ー「自国第一主義」で国際協力に背を向ける
一方で、世界最大の資本主義国であるアメリカ・トランプ政権は、「自国第一主義」の立場に立ち、国際的な協力によってパンデミックを克服する取り組みに背を向けています。とりわけWHOからの脱退を通知したことは、国際協力に多くの障害をもちこむとともに、アメリカへの信頼を失墜させています。WHOの新型コロナへの対応は検証すべき問題があったとしても、それは国際協力を強める立場で行なわれるべきであって、脱退という選択は愚かというほかありません。
くわえて構造的な黒人差別が、コロナ危機のもとで重大問題となっています。警官によるジョージ・フロイド氏の警官の暴行死事件に対し、米国内外で激しい怒りが広がりましたが、トランプ大統領のとった態度は、差別根絶と結束を目指すどころか、分断と対立をあおるものでした。
4月2日採択された新型コロナウイルスに関する国連総会決議は、次のように述べています。
「人権の完全な尊重の必要性を強調し、いかなる形態の差別、人種差別、排外主義もパンデミック対応ではあってはならない」。これが世界の総意であります。米国・トランプ政権の態度は、この国連総会決議の精神に反するものであり、国際協力にとって重大な障害をもたらすものにほかなりません。
私はトランプ政権に対し、WHOからの脱退の決定を撤回することを、強く求めるものであります。
中国ー人権侵害と覇権主義という体制的問題点がむきだしになった
他方で、世界第2の経済大国である中国は、人権侵害と覇権主義という体制的問題点が、パンデミックを通じてむきだしになりました。コロナ対応の初動の遅れは、人権の欠如という体制の問題点と深く結びついたものでした。1月初旬までに、武漢の研究所は、遺伝子配列を解読し、報告書を提出しましたが、中央政府は許可なく情報を公開することを禁じました。人命にかかわることや、やむにやまれず警鐘を鳴らした何人もの医師、ジャーナリストが「デマ拡散者」として弾圧されました。情報を隠蔽したまま、武漢では数万人規模の行事を行なうと共に、「春節」による大規模なヒトの移動を許可しました。これらが感染を国内外に拡大する結果になったことは明らでり、その責任は重いものがあります。
2003年、SARS流行に際して、当時の胡錦濤主席は、APEC首脳会議後の記者会見で、「国際社会に拡散させたのなら、世界の人々に申し訳なかった」と反省を表明したものでした。ところがいま、中国の習近平指導部は、政権の対応を自画自賛するばかりで、求めたれている経験と教訓の共有化には後ろ向きです。こうした姿勢では、国際社会の真の信頼を得ることは決してできないしょう。
くわえて、中国が、「香港国家安全維持法」を強行したことは、香港の市民的、政治的自由、人権と民主主義を乱暴に抑圧し「一国二制度」の国際公約に真っ向から反する暴挙であり、パンデミック収束に向けた国際協力にも障害を持ち込むものにほかなりません。日本共産党は、重ねて厳重に抗議し、その撤回を強く求めます。
さらに中国が、東シナ海や南シナ海での力による現状変更を目指す覇権主義的行動を、パンデミックのもとで抑制するどころか、エスカレートさせているところも、断じて容認できません。
日本共産党がめざす社会主義。共産主義とは、人間の自由、人間の解放を、大目標としています。
私は、1月の第28回党大会の綱領一部改定報告で、「中国の党は『共産党』を名乗っていますが、その大国主義・覇権主義、人権の行動は『社会主義』とは無縁であり、『共産党』の名に値しません」と指摘しました。 コロナ危機のもとでの中国の無法と横暴を踏まえ、私は、この指摘を、重ねて強調しておきたいと思うものです。
(つづく)