キクチが真壁農業高校に赴任したのは、1969年(昭和44年)のことです。まだ、普通科が残っていたので、農業高校となったのは、翌年からです。
当時は、高校野球全盛期の頃でした。真壁高校では、いままで軟式野球だったのですが、硬式野球に参加しました。
硬式野球の強豪校は別にして、新参校が勝つのはなかなか難しいのです。創立3年目で甲子園にいった明野高校は例外です。
なかなか同程度の学校と対戦がなかったのですが、ようやく4年目にして、硬式野球部にも運が巡ってきました。対戦相手は、山東(やまひがし)にある八郷高校です。ここは普通科の学校でしたが、農業コースもあった学校でした。
キクチは、応援団の指導というか、世話係を担当していました。
八郷高校との試合での思い出は2つ。
一つは、試合がなかなか始まらなったことです。そのとき、アナウンスが入りました。
「真壁高校の応援団の服装を着替えるまで、試合は始めません」
そうです、真壁高校の応援団は、「長らんといって、長い長い学生服を着ていたのです。 応援団の生徒は、長らんのしたは裸です。一般応援生徒の服を借りて着替えるしかありません。
「この事件は、後日、職員会議で問題になり、チアーガールを入れた応援団をつくることで解決しました。」
「顧問はクビだという話が出るかと期待していましたが、そんな声は全く出ませんでした。
八郷高校なら、勝てると思っていたら、4回まではリードされていました。ところが大雨が降ってきて、「雨天中止、再試合」となったのです。翌日は、ゼロからのスタートでしたから、今度は勝ちました。真壁高校4度目の出場で初勝利です。
今は、真壁高校は野球部は、甲子園の県予選には参加していませんが、夏がくると、いつも思い出します。