8・15終戦記念日に戦争と平和を考えるために
《徴兵制と民主主義》1
第1部 徴兵制の歴史(前半)
問題1 今の日本には徴兵制はありません。それでは他の国々はどうでしょうか。世界の国々(約200か国)の中で、は、どれくらいあると思いますか。
予想 ア、〈徴兵制の国〉がほとんど。
イ、どちらかというと〈徴兵制の国〉が多い。
ウ、どちらかというと〈徴兵制の国〉が少ない。
エ、〈徴兵制の国〉はあまりない。
注)徴兵制がない国=軍隊がない国ではありません。
希望者だけで軍隊を組織する国は志願制と言います。
答 徴兵制の国〉74か国 〈志願制の国〉87か国 〈軍隊のない国〉25か国
〈徴兵制の国〉 アジアでは 中国、ベトナム、
インドネシア、韓国
ヨーロッパでは ロシア、
トルコ、ウクライナ
アメリカでは メキシコ、
ブラジル、コロンビア チリ
アフリカでは
エジプト、モロッコ、マダガスカル
〈志願制の国〉 アジアでは
日本、インド、オーストラリア、
パキスタン
ヨーロッパでは イギリス、フランス、
ドイツ、イタリア、スペイン
アメリカでは アメリカ合衆国、
カナダ、アルゼンチン
アフリカでは
ナイジェリア、南アフリカ、
注)徴兵制の国と志願制の国では、ほぼ同じ数ですが、人口の多い国では、志願制の国の方が多くなっているのです。アメリカ合衆国、インド、ヨーロッパの大国、日本などです。どちらかというと〈徴兵制の国〉は少ないのです。
問題2 それでは明治の初めころ、〈徴兵制の国〉はどれくらいあったと思いますか。明治の初期(明治維新がはじまって10年頃=1878年)に 「日本が模倣をしようと思った大国」 4つ(米、英、仏、独、)と日本ではどうでしょうか。
予想 ア、5か国すべてが徴兵制を行っていた。
イ、5か国すべてが徴兵制を行っていなかった。
ウ、徴兵制を行う国と、行わない国があった。
注)現在は、この5か国は、すべて徴兵制は行っていません。
答 日本 徴兵制(明治6年に徴兵令ができる)
イギリス 志願制(第一次、第二次世界大戦時には徴兵制)
アメリカ 志願制
(南北戦争時と第一次、第二次世界大戦時には徴兵制)
フランス 徴兵制
ドイツ 徴兵制
問題3、現代につながる徴兵制は近代(1800年代)に始まりました。それでは、近代以降
で徴兵制をはじめて行った国はどこだと思いますか。
予想
ア イギリス イ、アメリカ ウ、フランス エ、ドイツ
注)いつから近代と呼ぶかは国によって違います。日本は明治維新以降が近代とされています。
ここでは〈身分制の社会〉でなくなった時代が近代と考えてください。
答 ウのフランスです。
1789年、フランス革命がおこりました。近隣の君主制(王政)の国々は、革命が自国に波及するのを恐れて、軍隊を出して革命に干渉しました。フランスの革命政府は、それに対抗するために志願兵をつのり、1793年には徴兵制を実施し、短期間に数多くの国民を動員しました。他国の軍隊は「傭兵」を中心とした〈職業軍人の軍隊〉でした。
一方、フランスの〈徴兵による軍隊〉は一般国民ばかりでした。この戦争はどちらが勝ったのでしょうか。
勝ったのは、フランスの〈徴兵による軍隊〉でした。その後、フランスの軍隊は、ナポレオンが指揮するようになりました。そして、1800年ごろには、ヨーロッパの大部分がフランスの支配下に置かれる結果になりました。
(徴兵制がある国=軍国主義という図式は成り立ちません。徴兵制と民主主義の関係をみなさんに考えていただくために、この問題を紹介します。フランスの王政復古の変遷とともに、徴兵制度がどのように変遷していったかが次号です。お楽しみに)