「具体性に乏しい」などの否定論や懐疑論をどう見るか
歴史上初めての米朝間の合意、簡単には後戻りできない重みがある
小木曽編集長
大変重要な成果があったと思いますが、日本のメディアや専門家の間では「具体性が乏しい」とか、「北朝鮮はまた合意に背くだろう」と言った否定論、懐疑論が多い印象ですが。
志位委員長
そうですね。私はそういう議論は、いま起こっている動きの歴史的意義を見誤っていると思います。
いくつか述べてみたいのですが、第一に、「平和のプロセスの始まり」というところに歴史的意義があると言うことです。だいたい70年にわたって深刻な敵対関係を続けてきた両国の首脳が初めて会って、一回の首脳会談ですべての問題が一挙に解決するなどということはあり得ないということです。
文在寅・韓国大統領は、米朝首脳会談をうけて発表した談話で、「これは始まりであり、今後も数多くの困難があるでしょうが、二度と引き返しませんし、この大胆な旅程を決して放棄しません。歴史は行動して挑戦する人びとの記録です」と語っています。
米朝首脳会談成功のために奔走した文大統領の肉声が聞こえてくる談話です。私も感動をもって読んだのですが、そういうプロセスを始めたところに歴史的意義があることをまず言いたいと思います。
第二に、「過去にも同じような合意を米朝でやっているのに、何度も裏切られたではないか」という議論についていいますと、「過去の合意」とは決定的に違うことがあります。それは首脳間のはじめての合意だということです。
朝鮮半島の非核化に関する過去の合意では、1994年の「米朝枠組み合意」があり、2005年9月19日の「6カ国協議の共同声明」があります。
たしかに、この二つの合意は履行が中断されました。ただ、どちらも外務次官・局長など実務者レベルの合意なのです。今度は首脳間の合意です。ここが決定的に違います。
この首脳間の合意委を覆せるのは首脳しかいないのです。簡単には後戻りしない重みを持っている。
小木曽編集長
不可逆的な意味を持っている。
志位委員長
そうですね。
米、朝、韓、日、全世界の人びとが核戦争脅威から抜け出す扉が開かれた
志位委員長
第三に、何よりも重要なことを強調したいのは、この間の南北、米朝という二つの首脳会談によって、米国、北朝鮮、韓国、日本、さらに全世界の人びとが戦争の脅威、核戦争の脅威から抜け出す扉が開かれたということです。文大統領は「戦争の脅威からぬけだした以上に重要な外交的成果はない」と述べていますが、私も全く同感です。
昨年の不安と脅威を思い出して欲しい。北朝鮮が核・ミサイル実験を繰り返し、米国側も軍事的威嚇を行なう。一蝕触発でいつ戦争になるかわからないとという不安と恐怖が世界を覆いました。それと比べると、情勢の前向きのだいう変動が起こっているわけです。
それはだれも否定できないでしょう。
小木曽編集長
東京新聞の「本音のコラム」で文芸評論家の斉藤美奈子さんは、米朝首脳会談について「日米のメディアは一様に苦虫を噛み潰したような論調だった」けれども、「昨年の一触触発状態に比べたら大進歩じゃない?」とのべ、「もっか国内で米朝会談を評価しているのは共産党だけという異様さ。西側の秩序が乱されるのが嫌なのかしらね」とかたっています。
志位委員長
「大進歩」というのは、偏見なく事実をあるりのままにみるならば、当たり前の評価ではないでしょうか。
いま大事なことは、「具体性に乏しい」とか、あれこれの問題点をあげつらって、この会談の歴史的意義をおとしめるのではなく、開始された平和へのプロセスを前に進め、成功させるために、世界中が協力することではないでしょうか。
注)このインタビューは、まだまだ続くのですが、しんぶん赤旗の一面に掲載された文だけ紹介いたしました。