つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

ちょろっとくらい

2005-09-30 21:29:44 | 伝奇小説
さて、ネタバレもいいよねの第304回は、

タイトル:ヴァンパイヤー戦争4 魔獣ドゥゴンの跳梁
著者:笠井潔
出版社:講談社文庫

であります。

なんか、続き物だからちょっとでもネタバレにならないように3巻分。
……とは言うものの、とてもレビューにはならないので、少々のネタバレはやむなし、と言うことで、いまから読み始めたいひとには向かないかも。

さて、4巻。
1巻ではヒロインのラミアがヴァンパイヤー一族のとても重要な位置を占める存在であり、宇宙で大戦争を繰り広げる種族ラルーサ人のひとりであるヴァーオゥ……ムー大陸の文明を創始した不死人を甦らせる唯一の存在であることが語られていた。

2巻はラミアを掲げるトランシルヴァニアのヴァンパイヤー一族から日本のヴァンパイヤー一族……ヴァーオゥの不死の力を与えられた一族との話。
日本に伝わる三種の神器が、ラルーサ人と敵対する種族であるガゴール人が残した通信装置で、これを狙うアメリカ、ソ連の2大国、そして日本を影から操り、日本のヴァンパイヤー一族と長年に渡る敵対関係にあった礼部一族……。

そうした2大国の諜報組織CIAやKGB、礼部一族に加え、3巻ではソ連の権力中枢の奥深くまで入り込み、謀略を企てるスペシネフという黒幕が現れ、三種の神器を巡る争いが混迷を増す……。

……と、いままでのネタバレかましといて4巻。

副題の魔獣ドゥゴン……スペシネフが語る真の神の僕である魔獣……なんだけど、副題になっている割には登場シーンはちょろっとだけ。
まぁ、3巻でそのまんま鬼のような化け物が出てきて、今度はさらにわけのわからない化け物まで出てきて、さらに伝奇らしく……。

そして人体改造で創られた人間兵士であるゾンビ・コマンドなる存在まで出てきてさらにさらにらしく……。

……って、いままでも戦ってばっかだったけど、ここでも主人公の鴻三郎は戦い、そして幾度となく窮地に追い込まれていく。
よくもまぁ、次から次へと窮地を用意できるもんだと思えるくらい。

けれど、ここからちょっと違うのは、とうとうヒロインであるラミアの活躍が出始める。
最も濃い不死の血を持つヴァンパイヤーであるラミア。
その能力はかなりのもの……だけど、1巻の最後で鴻三郎を救って以来、さしたる活躍の場がなかったけど、この4巻でその場が与えられている。

またいつもの説明台詞では前半でゾンビ・コマンドとの戦いで絶体絶命の窮地に陥った鴻三郎を救った組織との会話の中で、鴻三郎の出生の秘密がいくらかあかされている。

でも、読後感としてはやや物足りない。
ラミアの活躍なんかは見どころになるとは思うけど、1巻2巻ではけっこういろんなことが明らかにされたりしてたけど、いままでと較べると謎を深める感じで終わっているし、どうも鴻三郎も負けっ放しですっきりしない。

まぁ、そのぶん、逆に続きが気になるところもあり、1巻2巻のような活躍も期待したい気もする。
もっとも、ここまで読んでしまったので、いまさらやめるわけにもいかなかったり……(笑)

いっしょくただからだろーかねぇ

2005-09-29 11:01:46 | 木曜漫画劇場(紅組)
さて、なぜ題名がこうなのかと思ってるの第303回は、

タイトル:フルーツバスケット(1巻~18巻:以下続刊)
著者:高屋奈月
出版社:白泉社花とゆめコミックス

であります。

鈴:ネタとしてはそれなりにおもしろいと思って買ったLINで~す。

扇:つーか、初登場以降変身しない奴ばっかだなと思うSEでーす。

鈴:……そういやしてないな。
由希のネズミ姿は一部のひとにはかなり萌えだろうと思っているのだが、すでにそういうところに気が回らなくなっているのだらう。

扇:うーむ、透以外に眼中無かったクソ鼠が他の人間にも興味示すようになったからなぁ……十二支も全員出ちまって、それをネタにすることもできなくなったし、苦労してるんだろう。

鈴:クソ鼠ってな……いくら猫がそう言ってるとは言え、ファンに喧嘩売ってるんじゃないか?
まー、別に誰がネズミだろうが猫だろうがかまやしないが。
で、ストーリー紹介だけど、う~む、いちおう、早い時期から由希その他、十二支の一族の呪いを解くために、主人公の透くんが尽力する話、にしておこう。

扇:まぁ、キョン吉とクソ鼠の喧嘩も沈静化したから良いではないか、一時期完全にマンネリ化してたからなぁ。
一応、ストーリーはそういうことになる……のかな、ではキャラ紹介へ。

鈴:つか、マンネリ以前に、このふたりの喧嘩ってその後の話にさして影響を及ぼしてないような気がするんだがな。
さて、キャラ紹介と言うことで、本田透。
本編の主人公兼ヒロイン。いろいろとつらい過去を背負いつつも、明るく天然で元気に生きてる女の子。
由希及び夾のどちらかを選べるおいしい役どころにあったりする。
ただし、天然&家庭的と言うことでツボなひとはけっこういると思う。

扇:草摩由希、主人公の彼候補その一。
草摩一族の呪われた十二支の一人、女性に抱きつかれると鼠に変身する。
生まれつきの王子様体質、やたらと女装が似合う、滅法喧嘩が強いが持病持ちという凄いキャラだったが、現在それられの設定は忘れ去られているっぽい。(笑)
兄貴と同じく、自分の好きな物以外はぞんざいに扱う性格だったクソ鼠は真人間に戻れるのか……って、透以外に安らぎがないのは変わってない気はするが。

鈴:草摩夾。主人公の彼氏候補其の二。
つか、候補どころか、お約束でいけばどう足掻いても透はこいつに転ぶ。
熱血漢で、喧嘩っ早く、不器用、好きな女に邪険にすると言う王道を貫く少年マンガ的なキャラ。
しかも、十二支の中でつまはじきにされた猫の呪いを受けた不幸なひと。
でも、見た目、十二支の中にいながらその中でさんざん艱難辛苦を味わった由希のほうがつらいと思うんだけどさ。
こいつの場合、自分の生まれを嘆いてりゃそれですむんだし。

扇:これで、きょん死んだら立ち位置がそのまんま沖田成利なんだけどな、そして少女漫画の伝説が一つ増える。(解る人には解るネタ)
草摩紫呉、犬。透が居候している草摩宅の家主……?
表面上は女子高生好き、イタズラ好き、ダジャレ好き、担当いびりが趣味の小説家で、時々大人な態度を見せたがったりするが、正体はただの小悪党。
日常生活では、余計な一言でキツイツッコミを受けるボケ役を演じている。
根っこは初登場時の由希より暗いが、それでも友達はいたりする。(笑)

鈴:じゃぁ、次は十二支からはずれて、花島咲。
透の親友のひとりで、怪しい電波を感じる程度の能力の持ち主(東方的)
透からは花ちゃんと呼ばれ、根暗で無表情ながら誰よりも透を愛していると自負し、由希でさえも邪魔者扱いするひと。
その怪しさで、数多のキャラクターをあらぬ恐怖のどん底に落とす特技を持つ。

扇:「呪いの効果は三日後よ」……素敵だ。
好きなキャラと紹介してるレビュアーが互い違いになってるなぁ。
魚谷ありさ、透の親友のもう一人。
絶滅寸前のヤンキー、実は透の母が元ヤンだったのでつながりがある。
いわゆる頼りになる姐御で、恋愛に関してはオクテというステレオタイプ。
微妙に担任教師とキャラ被ってる気がしないでもない。
つーか、キャラで花島に完敗してるとも言う。

鈴:キャラで完敗しててもエピソードでは魚ちゃんの勝ちじゃ(笑)
じゃぁ、最後に草摩慊人(あきと)。十二支の頭領で、絶対者。
由希を虐げたのを始め、十二支を好き放題やらかしたが、ストーリー上はけっこう同情票が集まりそうな描き方をされている。
まー、読んでりゃ、確かに同情票集めそうなエピソードはいくらでもある。……とは言うものの、けっこう好き嫌いははっきりしそうなキャラ。

扇:実際のとこ、ただの弱い人で終わっちゃいそうな感じはあるな。
この方がダメダメだとマクロな話が崩壊するので頑張って欲しいところだ。
高屋奈月の過去の作品はそれはもう読むに耐えないものばかりなので……一抹の不安はあるがね。

鈴:ふむ……。このひとの前の作品を読んだことがないから何とも言えんが……。
でもまぁ、ラストがうまくなけりゃ全部が台無しだからなぁ。
とりあえず、お約束でがっかりさせてもらいたくはない、とは思いつつ、やっぱりお約束なんだろうなぁ、とラストを予想しつつ、この辺で。
さよなら、さよなら、SAYONARAっ!

扇:何がお約束かは敢えて言わない方がいいだろうな。
えーと、まとめちゃうとやっぱり草摩由希の成長物語になるのかなぁ。
夾はほぼ完成キャラになってるし(人気高いのもよく解る)、透はそもそも救いの女神であって成長する勇者ではないし。
連載中なので何とも言えませんが、群像劇の一つとしてチェックしても悪くない作品だと思います、後半の間延びっぷりは置いといて。
では、さ~よ~な~ら~。

モルドールへGO!

2005-09-28 19:58:23 | ファンタジー(異世界)
さて、そういえば未完のアニメーションがあったなぁ、な第302回は、

タイトル:指輪物語(旅の仲間、二つの塔、王の帰還)
著者:J・R・R・トールキン
出版社:評論社

であります。

映画『ロード・オブ・ザ・リング』の原作。
カバー見たら3-6○○って名前が書いてあった……。
読んでから○○年経つんだなぁ、としみじみしてしまいました。(笑)

バトルファンタジー(?)の元祖です。
すべての指輪を支配できる『一つの指輪』を巡って、ホビット、人間、エルフ、ドワーフと魔王サウロンの配下が熾烈な戦いを繰り広げます。

問題は……長い

一言で言っちゃうと、ホビットの青年フロドが『一つの指輪』の所持者となり、仲間ともにサウロンの魔の手から逃れつつ、指輪を破壊できる唯一の場所である滅びの山を目指すお話。
これに枝ストーリーとしてフロドとはぐれた仲間達の冒険や、中つ国連合軍と魔王軍の戦いなどが挿入されています。

ただ、メインストーリーである筈のフロドの物語が非常に冗長。
盛り上がりに欠ける上、非常に細かいことまで書いてあるので、読んでて眠くなってしまいました。
フロドが嫌い……と言ってしまえばそれまでですが、序盤もかなり冗長だったし、単に旅の記述が退屈なだけかも。

強力だけど無敵ではない魔術師ガンダルフ、仕切ってるけど実はリーダー適正に難があるアラゴルン、指輪に魅入られて肉体が変質してしまったゴクリなど、味のある方々が登場しますが、個人的にはフロドの従者サムが一番好き。

サムは一芸に秀でているキャラではありません。
魔法は使えないし、剣技も並みかそれ以下、しかも泳げなかったりする。
しかし、忠誠心だけでフロドを守り続けます、はっきり言って最強。
つか、最後の最後までこいつがキーマンだった……。

見せ場は結構ありますが、全部通して読むにはかなりの気合いが必要です。
正直、飛ばし読みでいいと思う。(ひどっ)

ど~こ~にあ~る~の~♪

2005-09-27 16:00:05 | 時代劇・歴史物
さて、思えば結構遠くへ来たもんだ、な第301回は、

タイトル:邪馬台国はどこですか?
著者:鯨 統一郎
文庫名:創元推理文庫

であります。

どこにでもある、地下一階のバー。
バーテンダーの松永は今日もまた三人の常連相手に悪戦苦闘している。
彼らが揃うと、決まって歴史談義に花が咲く、酒のペースも速くなる。
注文を受け、話に相づちを打ち、訪ねられたらそれなりの答えを返さなくてはならない……ただ、松永自身がそれを楽しんでいるのも確かだった。

美貌の文学部助手、早乙女静香が常識を声高に叫び、
正体不明の男、宮田六郎が奇説を展開してみせ、
三谷敦彦教授が慎重に捕捉を入れる。
さて、今日のお題は……?

全六編の歴史ミステリ短編集です。
釈迦、邪馬台国、聖徳太子、織田信長、明治維新、ジーザス。
誰もが知っている歴史の常識に軽妙な会話でメスを入れていく好著。
歴史ミステリと言うよりは、小論文を会話調にしてみましたって感じの作品ですが、それが面白い。

特筆すべきは、毎回奇説を提示し、証明してしまう宮田六郎。
彼は何も好きこのんで奇抜な答えを出しているわけではありません。
冷静に定説の矛盾点を突き、妥当と思われる筋道をたどっていくとこういう事実が浮かび上がってくるよ、と言っているだけです。

これに対するは保守派の急先鋒、早乙女静香。
知識はさすがと言うべきですが、それを確固たるものと信じて疑わない。
散々に宮田にやりこめらても、次に会った時は再び彼を馬鹿呼ばわりするあたり、学習能力がないと言うか……この方自身がお馬鹿というか……対抗馬としては非常に頼りないキャラでした、盛り上げ役としては一級なんだけど。

面白かったのは、邪馬台国とキリストの話、かなり説得力がありました。
逆に信長と明治維新の話は……なんかこじつけっぽかった。

歴史詳しい人は必読。
ミステリ好きにはオススメしませんが、歴史好きなら絶対のオススメ。
是非是非、無学な私に変わって、宮田君に反論してやって下さい。(笑)

最後に、巻頭に掲げられた一文を紹介しておきましょう。

『この作品がフィクションであるという保証はどこにもありません』

古典ギャグの一つですが、本書にはピッタリ合ってると思います。


『たろけさんの記事』にトラックバックさせて頂きました!

マープルだけが知っている

2005-09-26 23:17:22 | ミステリ
さて、記念するべきなのか? な第300回は、

タイトル:ミス・マープルと13の謎
著者:アガサ・クリスティ
文庫名:創元推理文庫

であります。

ミステリの女王アガサ・クリスティの短編集。
今宵もまた、ミス・マープルが一つの謎を解きほぐす。

各人が、自分が過去に遭遇した怪事件を語るという会がある。
既に解決された事件の場合は真相を伏せておくのがルール。
そして、未解決の事件の場合は場の者に謎解きを求める。
各々が迷答、珍解答を疲労する中、鮮やかに謎を解いてみせるのは常にミス・マープルであった。

うーん……どうしても『黒後家蜘蛛の会』と比較してしまいます。
一応、十三編全部読んだのですが、綺麗さっぱり忘れちゃいました。
あっちに比べると各人のキャラが薄いのです、どれもミス・マープルの引き立て役としてしか存在していない感じ。

のほほんとしてるようで、実は細かい粗に目を光らせているミス・マープルのキャラクターは結構好きです。
でも推理は……ちょっと強引すぎる感じがしました。
過去の事例を持ち出し、人間は同じ事を繰り返すものだみたいな説明をされても、それが毎回はまるってのは如何なもんでしょう。

犯人当ても、こいつ以外ない! か、こいつに特定できるほどの情報が不足している! のどっちか。
特に最終話、人間性云々だけで犯人を特定するのは危険でしょう。
どうしても、勘で物を言ってるように見えてしまうところがマイナス。

私はミステリ・ファンと言うほどミステリ読んでないので、推理小説としてどうか、と言われると何とも言えないのですが、個人的にはオススメ出来ません。
短編集なのでさらっと流して読むのがいいのか……。

(うーむ、300回記念でも毒吐いてるなぁ)

資料兼趣味

2005-09-25 14:25:55 | 古典
さて、記念すべきキリ番のイブ(?)な第299回は、

タイトル:有職故実(上)
著者:石村貞吉 (校訂:嵐義人)
出版社:講談社学術文庫

であります。

340ページあまりの文庫で1100円!
た、高い……(笑)

しかも巻頭の「自序」には、「昭和28年暮」とあり、古い本を文庫版に復刻した、と言う感じのもの。

有職故実というと、まぁ、平たく言えば、昔の制度や行事などを研究する学問で、「枕草子」や「更級日記」などの随筆や日記文学、「源氏物語」などの物語、「大鏡」などの歴史物語を読むときに、ある程度は必要になる貴族たちの肩書きや、節会などの行事などを知ることができるもの。
もちろん、そうした制度が「延喜式」に代表されるように、奈良・平安時代に概ね固まったこともあって、そういう時代のがほとんどだけど、それより時代が下ったときの話もある。

なので、はっきり言って、この手の本は興味のあるひとでなければ、これっぽっちもおもしろくないんじゃないかなぁ。
強いて言えば、官職・位階くらいは、いわゆる奈良・平安時代をベースにした小説やマンガを読むときに、知っているのと知らないのとでは違うので、せいぜいこの部分くらいかなぁ。

まぁ、かくいう私も興味のあるものとは言いつつも、平安ものを書くときに必要なので半分は資料的な意味合いがあるんだけどね。

さて、本書は大きく4つの項目に分けて解説されている。

「官職位階」は、その名のとおり、用いられた官職及び位階についての章。
ある官職名が、どういう職掌を持ち、位としてはどこに位置するのか、と言うことが、また各組織がどういう仕事をする組織なのか、どう改廃されてきたのかなどまで、詳細に解説されている。

「平安京及び大内裏」は、ホントそのまんま京と大内裏の解説。
平安京のほうは数ある大路の名称や、どこにどういうものがあるのかや、市ではどういうものを売り買いしていたのか、右京と左京の違いなどが詳細に述べられている。
大内裏も、どういう施設がどこにあって、どの殿舎につながっているか、どの殿舎の東西にあるかなどが書かれている。
大内裏のほうは古典を読んでいるとよく見かける名前があるけど、こういう地理とか、構造物のことを文章のみで表現されると、かなり掴みにくいところがあるので、図とか絵をふんだんに使ったものにしてほしかったなぁ、と言うところ。

「儀式典礼」は、即位のことや婚礼、元服、裳着などの成人の儀式などについて。
「年中行事」は1年の宮中で行われる行事や節会などの解説と、その手順……どの官職位階の者が何をするのかなどについて、詳細に解説されている。

上巻はここまでで、下巻はどちらかと言うと制度とかに関するものではなく、服飾などの風俗に関することになっているけど、それは次に。

……にしても、いくら興味があるとは言っても、解説に現代語訳のない原文の引用(漢文であれば読み下し文)が入っているのはちとつらい。
昔と違ってそこまで読めるほうではないので……。

まぁでも、やっぱり官職だの何だのは読んでいておもしろい(と思うのは私だけか(笑))
「枕草子」を始め、「源氏物語」「とりかえばや物語」などの物語は読んでるし、「更級日記」や「蜻蛉日記」などの日記文学もかじったことがあるので、あのキャラはこういう仕事をするところにいたのか、などと思い起こしてみたりするのが楽しい。

行事なども「枕草子」とかには出てきたりするので、こういうのを読んで、また古典を読み返してみる、と言うのもいいかもしれない。

古典好きなら、と言う注意書きつきにはなるだろうけど。

下巻に続く

丸々一冊伏線かいな

2005-09-24 14:59:17 | 伝奇小説
さて、とりあえず読み進めているの第298回は、

タイトル:ヴァンパイヤー戦争3 妖僧スペシネフの陰謀
著者:笠井潔
出版社:講談社文庫

であります。

2巻で主人公の鴻三郎が出会った女性水城蒔恵とともに、日本でのヴァーオゥとの関わりにつながる歴史などが語られ、さらに3巻ではそのあたりのことが続けて語られている。

また、副題ともなっているスペシネフというKGBの黒幕も現れ、確かヒロインのはずだったラミアもようやく戻ってくる。
もっとも、ラミアの場合、戻ってくるとは言っても、登場シーンは短いので、ホントにこいつがヒロインなのだろうかとちと疑ってみたくなるくらいではあったけど(笑)

さらに、日本でヴァーオゥと関わる一族と鴻三郎の出生にまつわることなどを追い求めると言う要素も加わって、話は進んでいくんだけど、なんか3巻ってほとんど丸々伏線みたいな感じで、ちょっと落ち着いた話になっている。
鴻三郎の養父や妹まで出てきたり、蒔恵との別れなどがあったりして、そういう中から鴻三郎の人間臭さが少しは出てきた感じではあるけれど、まー、こういうジャンルのものだから、そこまでじっくりと書き込まれているわけではない。
当然、そういうことを期待しているわけでもないので、別にいいんだけどね。

もちろん、お約束の戦闘シーンもあり、鴻三郎絶体絶命の場面などは、ようやく黒幕が出てきたからか、ヴァンパイヤーを除けばだいたい人間相手だったのが、とうとう化け物まで出てきて、さらに伝奇っぽくなってきたのかな、とは思う。
でもどちらかと言うと次へつながる謎とか、そういうものを残して3巻終了、と言った感じかな。

まぁ、全11巻の長丁場なんだし、こういう巻もあるだろうとは思うので、そこはさして気にはならない。
でもちょっと盛り上がりに欠けるところがある、と言うのは、こういう位置づけの巻だから仕方がないとは思うしね。

……にしても、相変わらず解説は無駄に長い。
解説者も一緒だし。

ネットでこやつの名前を検索してみたらホームページがあって、ホラー系の評論家らしい。
……やっぱり評論家だったのね、とかなり納得。
無駄に長い解説も、引用の多さも、単語を横文字にしたがるところも、まー、そういう職業だからと100万歩くらい譲って、我慢してあげよう。
ページ数が値段に入っている、と言うところだけはまだ気に食わないけど。

失敗作

2005-09-23 19:02:38 | ファンタジー(異世界)
さて、こんなことを言うときついとは思いつつの第297回は、

タイトル:天の階 竜天女伝
著者:森崎朝香
出版社:講談社X文庫ホワイトハート

であります。

とりあえず、最初のがなかなかだったので、まぁ、他に手を出してはずれを引くよりは、と思ったんだけど、見事にはずれ。

まぁ、こういうのもやってみようと言う意気込みはいいけど、失敗したら元も子もないわな。

……さておき、話は前と同様、古代中国を舞台にしたファンタジー。
前作「雄飛の花嫁」から時代が下り、統一王朝が出来たくらいの時代がベース。

ときの皇帝は、後宮に数多の女性を侍らせつつも、後継たる男子が産まれない。
ある占いに従い、出会ったのがとある隠者で、ある年のある時期に生まれた女児が後継たる男児を産むであろう、との予言を受ける。

それを受け、国中を探して9人の女児を捜し出し、18になる年に後宮へと召し上げることとなった。
その中には、恨みを持った妾に誘拐され、この捜索にかからなかった女児もひとりいて、まぁ、これが主人公と言うことになるのだろう。

著者のあとがきに曰く「いろんな『お約束』を集めた話」と言うだけあって、この選ばれた9人の女性たちは、確かにお約束なタイプ、と言える。
宰相の娘で、容姿、才覚ともに後宮においてさえ並び立つ者がいない女性や、皇帝の寵を受け、栄達を望む野心的な女性、かたや栄達などには興味がなく、好きな本を読んで暮らす女性、雛育ちであるが故に無知で、純朴な、けれどそれが寵を競う後宮にあって皇帝の寵を得る女性……などなど。

また、主人公は不吉な予言から頑なに女であることを厭い、剣を取って戦う女性になっている。

まぁ、これだけのキャラがいるのはいいとしよう。
主人公にまつわる占いと、皇帝が得た予言との関係も、ネタとしては、まぁ許容できるものと言えるだろう。

ただし、300ページに満たないたった1冊の文庫の分量で、これらの9人の話を、しかも主人公がいるのでそこにもページを割かないといけないと言う状況の中で描くとなると、どうしてもキャラクターに深みと言うものがなくなってくる。

前作の主人公も、お約束なキャラではあったけれど、しっかりと書き込まれた心理描写のおかげで、魅力的なキャラクターになっていたけれど、この作品ではそうした部分が大幅に抜け落ちているために、キャラクターが「お約束」と言う表面で捉えられる、薄っぺらなだけのものになっていて、主人公と9人のメインキャラそれぞれに魅力がほとんど感じられない。

主人公、皇帝に与えられた占い(予言)との関係、主人公が出会う男性の素性、主人公の素性、9人のメインキャラともに、せめて上下巻くらいで、じっくりと書き込んでくれれば、もっとキャラにも話にも深みが出て、読み応えのある作品になったのではないかと思う。

1冊と言う分量に縛られていたのであれば、9人のメインキャラの話ではなく、主人公を中心とした話にしたほうが、もっと読める話になっていたと思う。

そう言う意味で、はっきりと、著者には悪いが、『失敗作』と言っておく。
前がそれなりにいい得点をつけられただけに、非常に残念ではあるのだが……。

○めはめ波~!

2005-09-22 06:36:45 | 木曜漫画劇場(白組)
さて、若返り以降はずっと生き返らせてた、な第296回は、

タイトル:ドラゴンボール(全42巻)
著者:鳥山明
出版社:ジャンプコミックス

であります。

扇:普通の人間なら七つ集める前に死ぬよな~と思うSENでーっす。

鈴:死ぬ前に見つけて若返りたいLINNで~すっ。

扇:えーと、十万何歳だったかな……。
何歳若返るつもりだ?

鈴:百三十万五千歳くらいかな……。
ってひとを不老不死みたいに言うなっ!(なってもいいけど(爆))

扇:不老不死か、とりあえずドラゴンボールに願っても多分無理だな。
ってとこでドラゴンボールなんだが。
説明いるのかな?

鈴:いらないだろう
とは思いつつも、概略だけは言っておいてよいのではないか?

扇:七つ集めると何でも願いがかなうというドラゴンボールを巡る冒険譚。
――だったのだが、戦闘→仲間死亡→ドラゴンボールで復活→戦闘を繰り返す漫画になってしまった作品。
(うーむ、初手からハイブロウだな)

鈴:その割には最初に死んで生き返ったおっちゃんは、それ以来戦ってないけど。
では、いつものようにキャラ紹介といきますかね。

扇:主人公の孫悟空、実は異星人。
超天然、気は優しくて、拳法の達人。
幾度も修行を繰り返し、幾度も地球人類を救う。
筋金入りの格闘マニアだが、子供には極甘だった。(笑)
そういや、如意棒はどこ消えたんだろ?

鈴:如意棒はでかくなった途端に用無しになってなぁ。
じゃぁ、次は、ブルマ。
一部の方が萌えるアイテムではなく、連載の最初のころから出ているメインのサブキャラ。
あらゆるものをカプセルに収めてしまう技術で大企業となったカプセルコーポレーションの令嬢(?)で、本人も希代の技術者。
……と言うと、聞こえはいいが、性格はお気楽なお姉ちゃんで、たいてい怒鳴ってばかりいる。
ただし、悪運強し。

扇:そういや、この漫画で死ななかった数少ないメインキャラの一人だな。
亀仙人、悟空の師匠。
必殺技かめはめ波を悟空に伝授した方。
作戦考えたり、大魔王に挑んだりとなかなかイカス活躍をして下さるじーさま。
ただし、本質はただのエロジジイで、大抵はトイレでビニ本を読んでいる。(笑)
「一つのドラゴンボールからすべてが始まり、そして世界を救ったのです」と神様にお説教喰らわすくだりは結構好き。

鈴:ほんまにエロジジイだったなぁ、亀仙人。
さて、次はクリリン。もともとはどこかの寺で修行していたお子様で、亀仙人の弟子になる。
寺にいたとは思えないほど、亀仙人と意気投合できるエロさ加減がおもしろいのだが、そのうち、極めてまじめ人間になる。
最終的には人間では最強になるが、その他が人間外なので影が薄くなっている。

扇:ピッコロ大魔王、実はナメック星人。
親と子、二人存在するキャラ。
親は世界征服を企むが、最終的に悟空に殺される。
子は別名マジュニアといい、悟空に破れた後は紆余曲折を経て仲間となる、通常ピッコロと呼ばれているのはこっちの方。
なお、仲間になった後は悟空の子供悟飯の師匠となり、二番手~四番手キャラをウロウロするが、忘れられた頃にパワーアップして二番手に返り咲く、を繰り返した不思議な方。

鈴:じゃぁ、次はちょっとストーリーが飛んで、ベジータ。
悟空の種族であるサイヤ人のエリートだが、おちこぼれのはずの悟空にも負け、さらにスーパ^サイヤ人の伝説を悟空にさらわれ、さらに苦労して手に入れたスーパーサイヤ人も、悟空とか、自分の子供にあっさりと手に入れられる、けっこーみじめなひと。
ある意味、プライドが高いと言う設定を除けば、ごくごくふつうの苦労人。

扇:孫悟飯、悟空の息子。
格闘オタクの父、教育ママの母の間に生まれた子。
非常に大人しい性格で、将来は学者になることを望んでいるが、父に引きずられて戦いの日々を送る不幸な少年。
周囲にいた人がアレだったためか、成長後は真面目だけどちょっとズレてる高校生としてスクールライフを満喫……できなかった、可哀相に。

鈴:うーん……、だいたいこれくらいかなぁ。
あ、あと、メインキャラではないんだが、個人的にいい味出してるキャラとして、ミスターサタン。
人類最強……と言いつつ、クリリンとか飲茶……もといヤムチャよりも弱い気はするが、ある意味、討たれ強さは人類最強。
しかも、わけのわからないうちに、悟空たちに倒された相手を見て、自分が勝ったと胸を張る、その根性には敬服する。

扇:いいキャラだよなぁ、意外と強かったりするし。
じゃ個人的に好きな奴等でギニュー特戦隊。
フリーザ様(ナメック星編のラスボス)の次に強いことを自称する五人組。
登場時に五人揃ってスペシャル・ファイティング・ポーズを決め、散々に自分達の強さを自慢したはいいが、すぐにメンバーの一人グルドを倒されてしまい、「五人揃わねば我々特戦隊のスペシャルファイティングポーズは美しくない……(だったかな?)」とかかなりズレた会話をかましてくれた方々。

鈴:極めて独特のキャラではあったが、その割には、他のメンバーもけっこうあっさり倒されてたような気がする……。
つか、特戦隊って特別な割には、リーダーのギニューは負けたんだかよくわからない終わり方したし、ファイティングポーズ以外に、ほとんど印象に残らないキャラばっかだったような気がするんだが……。

扇:それを言うな、「バータのスピードは宇宙一だ」とか「おれはやさしいだろー!」とか笑える台詞はいっぱいあるぞ、それにこいつらベジータより強かったし。(笑)
うーむ、やはりこの漫画のポイントはメインキャラの異常なまでのヘタレっぷりかも知れない。ただ負けるだけならよくあるが。

鈴:まぁなぁ、大口叩いておいて負けるキャラはかなりたくさん……いや、ベジータあたりが代表として、それなりにいたからなぁ。
でもまぁ、突っ込みどこりは満載ながら、そろそろだれそうなところで、うまく盛り上げたりと、相変わらず、鳥山はうまいなぁ、と思える作品ではあるがね。

扇:無理矢理描かされても読ませてくれるところは上手いと思うな。
てなとこで今日は終わっときましょう、突っ込みだしたら凄いことになる。
さよーなら~。

鈴:ひどいどころか、いくらでも突っ込みどころはあるがね。
……とは言っても、久しぶりに読んでみても、やっぱり楽しく読ませてもらえるのでいい少年マンガだと思うけどね。
と言うわけでこの辺で、さよなら、さよなら、さよならっ!

精霊ポーの心臓を11人売ります

2005-09-21 13:22:00 | その他
さて、エッセイ読んだのは久々な第295回は、

タイトル:思い出を切りぬくとき
著者:萩尾望都
出版社:あんず堂

であります。

少女漫画界の巨星、萩尾望都のエッセイ集。
第一期と第二期にまたがる1976~86年に書かれたもので、そこかしこに時代の雰囲気が溢れてます。

漫画家としての苦労話。
趣味のバレエ、演劇鑑賞の話。
アニメ、映画の好みの話。
日常生活、家族、友人の話。
テーマに統一性はありませんが、気軽なお喋りといった感じの文章で、どれもすらすらっと楽しく読めます。

ミステリー好きなんだけど、自分で描けないとか。
一つ一つ、ミステリに必要と思われる要素を列挙しますが……。
最後に出した結論が、こんなもんどうやって描けるんだァ。(笑)

望都子と呼ばれていたので、それが本名だと思っていたとか。
お母さんは望都子、お父さんは望都と名付けたかったらしいです。
デビュー後、ファンに男性の名前だと思われて轟沈……。

作家と編集の関係とか。
描きたいものと描かせたいものの不一致。
妥協か強行か? これは多分現代でも同じでしょうね。

一番面白かったのは『トーマの心臓』の裏話。
初回の読者アンケートが最下位だったとか。
打ち切って『ポーの一族』の続きを描けとせかされたりとか。

萩尾ファンは必読。
ファンじゃなくても、漫画の楽屋話として楽しめると思います
青池保子、山岸凉子、山田ミネコ等、同時代漫画家の方々の話がちょこっと出ててきたりもします、オススメ。



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