つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

ぼっ♪ ぼっ♪ 僕らは××探偵団♪

2005-08-31 17:55:27 | ミステリ+ホラー
さて、伏せ字部分には好きな言葉を入れて下さい、な第274回は、

タイトル:江戸川乱歩傑作選
著者:江戸川乱歩
文庫名:新潮文庫

であります。

乱歩の短編集です。
怪人二十面相な乱歩です。
ルパンならぬ黄金仮面な乱歩です。
顔に爪立てたら、下から探偵の素顔が出てくる乱歩です。
ベイカー・ストリート・イレギュラーズならぬ……。(しつこい)
短編集なので、例によって一つずつ感想を書いていきます。

『二銭銅貨』……紳士盗賊と呼ばれる男の手になる賃金窃盗事件。犯人は逮捕されたものの、彼は金の隠し場所を決して明かそうとはしなかった。そんな折、〈私〉の同居人が奇妙な行動を取り始めた――。記念すべきデビュー作。暗号解読ものですが、ラストがどんでん返しになっているのがいかにも乱歩らしい。紳士盗賊ってネーミングもなんかそのままで微笑ましいです。

『二撥人』……何とはなく親しくなった戦争帰りの男。どこかで見たような気がしながらも、主人公は自分の過去の体験を彼に話し始める。ミステリ仕立ての回想話。オチは読みやすいが、主人公の心情は上手く描けている。

『D坂の殺人事件』……とある古本屋で起きた殺人事件。明智小五郎なる妙な書生と共に、〈私〉はこの事件に巻き込まれるのだが――。密閉性の低い日本家屋での密室殺人事件を扱った実験作。誰もが知ってるあの男が登場し、得意げに推理を展開してくれる。ただし、この時の彼はまだ探偵マニアの青年といった感じだけど。

『心理試験』……ある老婆が溜め込んでいる金に目を付け、完全犯罪を実行しようとする学生。事件直後に召喚された容疑者の有罪を疑う判事。探偵明智小五郎は一つの罠を仕掛ける――。理詰めで犯罪を犯した男と理詰めで犯人を追い詰める男の心理戦。心理試験の薀蓄も興味深いが、やはり会話での戦いが見物。あらゆる手を打ったつもりの犯人が、その心理を逆手に取られて破れる展開は秀逸。お気に入り。

『赤い部屋』……奇怪な話を求めて、〈赤い部屋〉に集う七人の男達。今宵もまた、奇妙な人物による奇妙な物語が幕を開ける――。自らを狂人と呼び、懺悔を続けるT氏のキャラが秀逸。真紅の垂れ絹、緋色のテーブル、明かりはロウソクだけという〈赤い部屋〉の演出も素敵である、ちょっと占いの館っぽいけど(笑)。乱歩らしいどんでんどんでん返しなラストも見事な逸品。

『屋根裏の散歩者』……何をやっても満たされない男がたどり着いた一つの趣味。それは屋根裏から他人の生活を覗くことだった――。屋根裏の散歩、さらにそこから犯罪へと手を染めていく男の心理が上手く描かれています。もっとも明智先生出た瞬間、彼の末路は決定されますが(笑)。しかし、小五郎君て結構意地悪ですね。

『人間椅子』……美しい女流作家に送られてきた手紙。奥様、の出だしで始まるその手紙には恐るべき事実が記されていた――。過程といい、オチといい、思わず笑ってしまうユーモア・ホラー(?)。色々突っ込み所はあるが、敢えて一つ挙げるとすればやっぱりオチか。「わざとやってるだろ、お前」(笑)

『鏡地獄』……病的なまでに鏡を愛する男。彼は様々な鏡を作っては、それが映し出す不可思議な世界に没頭していく――。友人の話、という前フリで語られる赤い部屋の姉妹編? 一応ホラーになるのだろうが、ミラーハウスとかがある現代ではあまり恐怖を感じないような気も。

『芋虫』……戦争で四肢を失い、口もきけず、耳も聞こえなくなった夫の世話をする妻。周囲の人間は彼女の献身的な行為を褒め称えるが――。何とも言えない作品。妻の感情の移り変わりは納得いくし、最後の薄ら寒い感想も解る気がするが、面白い、とは言い難い。

ちょっと性格悪い明智先生の話が一番楽しいです。
むかーし二時間ドラマでやってた乱歩シリーズが好きだった人なら間違いなくオススメ。(微妙な言い方!)

よく見りゃ宇宙はフシギの塊

2005-08-30 10:24:44 | その他
さて、一応私は文系です、な第273回は、

タイトル:ニャロメのおもしろ宇宙論
著者:赤塚不二夫
出版社:パシフィカ

であります。

伝説の名著『ニャロメのおもしろ数学教室』の姉妹編です。
ニャロメとゆかいな仲間達が宇宙論を楽しく解説してくれます。

主人公は……一応バカボンパパになるのかな。
宇宙に関する素朴な疑問、素人らしいツッコミ、真面目な話とは無関係のギャグ、などなど八面六臂支離滅裂の大活躍を見せてくれます。
これに対して、なぜかやたらと頭のいい猫ニャロメ(研究室まで持ってる)が真面目に対応するというのが基本パターン。

全10章で、基本的に各章の話は独立してます。
中性子星、ブラックホール、四次元、相対性理論、宇宙の誕生と終わり等々、ディープな話を求める人は物足りないかも知れませんが、ちょっと興味がある程度の私にとっては楽しい話がいっぱい。
各章の終わりには、作者自身のちょっとしたコラムも掲載されています。

1982年作なのでちょっと古くささはありますが、オススメ。
堅苦しいこと考えずに、赤塚ワールドのキャラクターが所狭しと暴れ回るお祭り風の漫画としても充分に楽しめます。
バカボンパパとニャロメをメインに、レレレのおじさん、ウナギイヌ、ベラマッチャ、イヤミ氏、他にもいっぱい。

個人的には前作の『ニャロメのおもしろ数学教室』の方が内容、ギャグともに充実していたのですが……紛失。(マジで痛い!)
あと、何年か前に本書の現代版とも言える作品が出てましたが、絵の質が落ちた上に内容もかなり堅くなってました、あれはオススメしません。

紅白武士合戦

2005-08-29 16:15:21 | 時代劇・歴史物
さて、これまたブームに乗ったわけじゃないけど第272回は、

タイトル:源平争乱と平家物語
著者:上横手雅敬
文庫名:角川選書

であります。

全二十三編から成る歴史エッセー集。
四章構成で大まかに説明すると――
・平家物語では殆ど描かれていない清盛以前の平氏の台頭
・源平時代の武士の思想および現代人とのギャップ
・平家物語・義経伝・吾妻鏡等の比較考察
・表舞台ではなかなか取り上げられない地方勢力の話
となっています。

既にイメージが固定化してしまっている感のある清盛、義経、頼朝、その他諸々の源平スター達の実像に迫ろうとするところは面白かった、かな。

平家物語では悪役にされている人々、とにかく善人に描かれている人、目立たない人物にしても、それぞれの事情とドラマを持っているのは当然です。
しかし、書物は作者の趣味や政治的立場の影響をモロに受けるため、それによって伝えられた彼らの存在は実像からかけ離れていく。
それが面白いと言ったらそれまでですが。(笑)

もっとも、筆者は『平家物語』を作り話だと言って否定している訳ではありません、むしろその逆で、軍記物語は史書であると言い切っています。

例として、似仁王が挙兵したのは源頼政に誘われたからだとする通説を挙げ、史料を見る限り不自然なこの事実が平家物語に寄っているとした上で、都合のいい時だけ物語の記述を鵜呑みにする歴史学者を非難したりもしてます。

重要なのは、平家物語の記述をそのまま信じるのでも、すべて虚構と割り切るのでもなく、他書との比較を厳密に行った上で史料として活用すべきだ、とする筆者の考え方は一理あります。

清盛・頼朝・重盛・義経、一番強いのは誰? とか、源氏の分家に山本義経(ますらおにも出た方)という人がいたなんて面白い話もありますが、基本的に固い内容なので、飽くまで資料として読むべきかも。

一応オススメ、と言いたいところですが本書には凄い問題があります。
二十三編のエッセーの執筆年代がバラバラなので、同じ説明が何度も出てくるのです、しかも殆ど同じ文章で。
好きなとこだけ飛ばし飛ばし読むにはいいかも知れませんが、通して読む場合苦痛以外の何物でもありません。

というか正直に、「二度と読みたくない」って言った方がいいかな?

やっぱり嫌いだ

2005-08-28 19:15:06 | 学術書/新書
さて、こんな本もあるんだねぇの第271回は、

タイトル:数学物語
著者:矢野健太郎
出版社:角川文庫

であります。

裏表紙に曰く、

「現在記録に残っている最も古い数字、エジプト、バビロニアの数字がギリシャへ渡り、それらを受け継いだヨーロッパでパスカル、デカルト、ニュートン、オイラーなどがどんな仕事を残していたのだろうか。
数学の権威の著者が、数学の誕生から、それが発展していった様子を平易な文章で説く。」

とあり、はっきり言って、これ以上この本を解説するのが無駄なくらいに、そのまんま(笑)

と言いつつも、もう少し補足すると、大きく分類すると3種類の話になっている。

ひとつは裏表紙にもあるように、最も古い数字の話で、ここは結構興味深く読めた。
ちょっと前に、東京都の石原都知事がフランスの数字の数え方を愚弄した話題があったけど、昔から10進法しかなかったわけでもないし、バビロニアは60進法だったみたいだし、ギリシャ数字なんか、「9」を「10-1」(90は100-10とずっと続く)で表現するし、10進法だからと言って表記でわかりやすかったり、そうじゃなかったり……。

こういうのは「へー」と思ったりもしておもしろい。

ふたつめは、幾何学。
みっつめは、代数。
と、いかにも数学らしい話になるけれど、基本的に解説はほんとうに平易。

難しい漢字は極力使っていないし、文章は丁寧。
でも、∠ABCだの、△CABだの、図形関係は文章で読むといまいちぱっとしないけど、こういうときも図入りで、文章と図とをじっくり見ながら読むとわかりやすい。

その点、代数のほうが文章でいけるので読みやすいけど、ただ方程式の展開とかは、詳しすぎて読むのが面倒なときもあったりして。

でも、数学物語……物語、と言うには最初の数字の歴史みたいなところ以外は、けっこう定理の証明とかの説明に紙面が費やされていて、読み物としては不満あり。
いちおう、ターレスから始まる数学者の話でも、その数学者の簡単な略歴や小ネタ、業績なんかが書かれてはいるものの、そういうのが少ないので、気楽に読むにはちょっとなぁ……と言った感じ。

特に私は数学嫌いなので余計にきつい……。

え? なんで嫌いなのにこんなもの読むんだって?
そりゃー、借りたからに決まっているではないかい(笑)

タイトルに偽りあり

2005-08-27 00:01:13 | 小説全般
さて、第270回は、

タイトル:えっちな気持ち
著者:菜摘ひかる
出版社:角川文庫

であります。

ぜんっぜん聞いたことがないひとで、著者解説を読むと、「ヘルス、SMなどあらゆる風俗業種を渡り歩く」とあった。
……こーゆうひとの書く話とはどういうものだろう、と言うのがあって、そいで総ページ数200ページ程度で、25人もの風俗嬢を描いた短編集と言うことで、軽く、読みやすいだろうと思って買ってみた。

話自体は短編と言うより、ショートショートくらいの分量で、1話1話が短いし、文体も一人称でとても読みやすい。

ただし、タイトルに騙されるとおそらく読む気はなくなると思う。

だって、いかにもなタイトルで、軽いノリのものだと思ったら大間違い。
かなりダークな話が多く、いかにも風俗業らしい話でも、明るい話はまず、ない。

何もかも無感動で生きている実感のない女性。
過呼吸症候群で精神安定剤なしでは生きられず、死ぬ前に子供に会いたいとふと思う女性。
妊婦や乳幼児を見ると暴力衝動に駆られる女性。
整形して美人になった途端ちやほやする客を心の中で見下す女性。
夫の一言で過剰なダイエットに走る女性。
風俗の仕事は楽しいのに、何故かいつも渇いていてただひたすらに水を飲む女性。
などなど……。

はっきり言って、なんで主人公が全員風俗嬢なんだ?
このまま、各キャラに別の背景を持ってきても成立する話ばっかじゃない。

そんなふうに思えるくらい、それぞれのキャラクターが立っている。

それに、短いぶんだけ逆にキャラクターの気持ちと言うものへの想像力が掻き立てられるのも久しぶり。

ただ単に、著者がそう言う方面に詳しかっただけだとか、そういう人物を多く見てきたとか、そういうことが影響しているのだろうとは思うけど、そうでなくとも、ここに描かれている女性たちの姿はとてもリアリティがあって、おもしろい。

もしかしたら、ほんとうに著者が知っているひとをそのまま書いたのかもしれない。
裏表紙に「25人の風俗嬢のメモリアル」ともあるので。

ただ、男性が読むにはどうかなぁ。
いろんな話の中でやっぱり客相手に稼ぐためにいろんな負の感情を抑えつつもにこやかな笑顔で接客する女性たちの姿……本音だろうと思える部分がかなり見えるだけに、オススメはしにくいかも。

逆に女性が読むとどういう感想を持つんだろう……と言うのはあるなぁ。
風俗業界と言う特殊な世界に身を置く女性たちのこうした物語に、頷けるのか、それとも違うと思うのか……。

う~む、誰か読んだら感想聞かせてくれ(笑)

……さておき、風俗嬢と言う先入観なんていらない。
ひとりの女性の人生の断片……そんな25人の物語、と言ってもいいと思う。

個人的に、すごいオススメかも。

表紙に騙された

2005-08-26 21:46:43 | その他
さて、ライトノベルではないよの第269回は、

タイトル:カラダで感じる源氏物語
著者:大塚ひかり
出版社:ちくま文庫

であります。

カバーイラストが伊藤理佐と言うひとで、けっこう軽い、コミカルな感じの絵柄。
タイトルも、何だかおもしろおかしく源氏を書いたものかなぁ、と思った。

なので、

「○○と私は考える」
「以前書いた○○で論じたのでここでは詳しくは書かない」
「○○と言うことであろう」

なんて論文みたいな話はまったく予想外、と言うか、いらない。

筑摩書房さんよ、表紙の絵柄はもうちょい中身に対応した絵柄にしてくれよ……。

……さておき、個人的にはまったく期待はずれだと勝手に思っているので、中身についても「あ、そう、そうかもね」くらいにしか思わなかったんだけど、まぁ、冷静に見てみると、読み物として、と言うよりは源氏物語が好きなひとへの、ひとつの読み方を提示する、と言う意味ではいいかもしれない、と思う。

プロフィールでは、著者は日本史学を専攻したとあるし、きちんとした知識に裏付けられたものではあるだろう。

いちおう、これでも源氏は講談社学術文庫にあるみたいに原文、解説、現代語訳の本で全部読んだことはある。(ただし、宇治十帖はほとんど憶えてないが)
なので、引き合いに出されるものは想像できるし、論の展開に無理はない。

基本的なところは、源氏物語が、源氏以前の古典に較べていかにリアリティがある物語であるか、と言うことで、まぁ、確かに、読んでみれば、ふむと納得できるものにはなっていると思う。

でもまぁ、やっぱり源氏が好きなひと向け、だろうなぁ。

先入観を植え付けることになるので、読んだことがないひと、途中までは読んだけど最後まで読んでないなぁと言うひとには、ちょっとオススメできないかも。

友はショック!

2005-08-25 13:43:07 | 木曜漫画劇場(白組)
さて、ついに来てしまった第268回は、

タイトル:北斗の拳(全27巻)
著者:原哲夫
文庫名:ジャンプコミックス

であります。

扇:アーッ・タタタタタタタタタタタ・終わったァ! SENでーす。

鈴:へっ、そんなの痛くも……あん……あ、あ・あ、あべしっ!とは言わないLINNで~す。

扇:言ってるじゃん。(笑)
てなわけで、少年漫画の王道中の王道……に見えてちょっと違う作品の登場です。

鈴:う~む、微妙やなぁ、ずれ方も。
まーでも、かなり人気は出たわなぁ。アニメにもなったし。

扇:この世代の話題の一つであることは間違いないな。
ストーリーは……敢えて説明するまでもないと思うけど、19××年に核戦争が起きて荒廃した世界に、北家神拳を継ぐ雀士が現れて悪の代打ちを次々と打ち破っていく娯楽大作だ。

鈴:ほー、北家神拳かね。
……っつって、いつから麻雀マンガになったんだ、この作品はっ!
つか、そもそも核戦争が起きても麻雀やってる主人公連中っていったいなんなんだよ。

扇:安心しろ、教室漂流しても麻雀は打てる。
私は麻雀は退屈しのぎぐらいにしか思ってないが。

鈴:ほー、打ってたのか、あのマンガ……。
さすがに理論派の作る麻雀マンガだけあって、ネタが計算づくで笑えないな。

扇:で、北斗神拳の話なのだが。
今は巷の遊技場で猛威を振るっている。
つか、覇王は波がありすぎて打つ気にならない……。

鈴:なんかどんどん本来の作品から離れていってる気がしないでも……と言うより、100%してるんだが(笑)

扇:というわけで、キャラ紹介。(強引)
主人公ケンシロウ、北斗四兄弟の末弟で北斗神拳正統伝承者。
色々な技を習得しているが、アニメ版のインパクトが強すぎたため、北斗百烈拳が一番有名になってしまった。
気に入った相手にはとことん優しいが、嫌いな奴には残酷極まりない仕置きを喰らわす……つか結構、と言うよりかな~り性格悪い。

鈴:じゃぁ、次はリン。
最初はホントにちっこい女の子って感じで、声が出せなかったがケンシロウのおかげで直る。
基本的に、この子が本編全体を通してのヒロインだとは思うけど、秘孔で最初に見たひとを愛する、ってので、結局ケンシロウに捨てられたひと……いや、別に本人が幸せなら別にいーんだけど(爆)

扇:では、バット。
ケチなコソドロ→ケンシロウのオマケ→反乱軍の闘士と、全編通して登場し、凄まじいレベルアップを果たした男。
開始時はただの同行者に過ぎなかったリンに第二部になって惚れ(成長した姿に惑わされたとも言う)、最後は命を投げ出して彼女を守った、ケンシロウより男臭い奴。

鈴:んじゃ、シン。
ケンシロウのライバルにして南斗聖拳の使い手。どこかの腕のない北斗神拳伝承者くずれの甘言に踊らされて身を滅ぼしたひと。
最初はケンシロウより強かったはずなのだが、どこでどう道を踏み外したのか、けっこうあっけなくやられたひと。
ケンシロウ曰く「宿敵(とも)」という少年マンガ特有のルビを振られるひと。

扇:ほいだら、レイ。
南斗聖拳の使い手で、連載序盤の二番手キャラ。
最初は達人っぽい扱いをされていてケンとも互角のように見えたが、途中からサブに転落、ケンの怒りゲージを上げるため真ボスであるラオウにのされるという使い方をされた、悲惨。

鈴:では次はトキ。ニッポニアニッポンではないのであしからず。
以上。
……なんかつっこみが来そうなのでまじめに(笑)
北斗伝承者4兄弟の次男。ケンシロウよりも強いはずなのだが、レイに負けず劣らず自己犠牲のひとで、結局お亡くなりになったこのマンガ中、もっとも「いいひと」なキャラ。

扇:つか、トキはラオウより強かったろ。(笑)
じゃ、この漫画の真のラスボス――ラオウ、北斗の長兄。
とっても強くて、とっても野心家で、とっても顔が濃い人。
自ら拳王と称し、一見この漫画中最強に見えるが、実は上から五番目ぐらい。
聖帝サウザーとの戦いを避けたり、対トキ戦では刃物使ったりと意外にセコい。
「我が生涯に一片の悔いなし!」という迷言を残した。

鈴:迷ってるのか、こやつ……。
あとは……誰にしよう。……やっぱりジュウザかなぁ。
豪放磊落を地でいく実はラオウより強いひと。惚れた女が実は妹だとわかって身を引くあたり、結構人格者かもしれない(笑)
同人じゃぁ格好のネタだよなぁ。
でも結局、自分の戦いのスタイルを貫かずにいて結局ラオウくんに負けてしまったひと。
南無~。

扇:よく考えたら、ラオウってフドウにも完敗してたな、しかも二度。(笑)
なんで彼はラスボスだったんだろう……きっとユリアの呪いに違いない。
他にもジャギ様とか、アミバ様とか、ハート様とか笑える人はいっぱいいるんだが、とりあえずこれで終わっとこう。
で、なんでYOUはSHOCKなんだ?

鈴:さぁな、クリスタルキングに聞いてくれ(爆)
しかし、このヴォーカルのあの高音は男じゃないよな、ゼッタイ。
アニソンの中で最も声が出にくい曲No.1に違いない。

扇:No.2はキャッツ・アイだな、あの曲の最後のリフレインは拷問だ。
というわけで、これ以上説明することもないと思いますので、今日はこれにて。
次回は~何だっけ? では、SA~YONARA。

鈴:キャッツ・アイと言えば、エンディングの影絵がちょっとセクシーで好きなんだけどね(笑)
と言うわけで、説明するよりいまは文庫版もあることなので、懐かしさも込めてもう一度読んでみてはいかが?
と言うわけで、次回は江戸時代の古典をもじったものだったはずだがね。
ではでは、さいなら、さいならっ、…さいならっ!

201号室の怪

2005-08-24 11:42:22 | ミステリ
さて、推理小説読むのも久しぶりな第267回は、

タイトル:倒錯の死角(アングル)――201号室の女
著者:折原一
文庫名:講談社文庫

であります。

この方、初めて読みます。
叙述トリックってこう仕掛けるんだぁ、と勉強になりました。(笑)

翻訳家、大沢芳男には人には言えない趣味があった。
屋根裏部屋から双眼鏡で向かいのアパートを覗くという。
だが、201号室の女の死体を見た時から、何かが狂い始めた!

序盤の大沢の身の上話、妄想の拡大ははっきり言って退屈です。
登場人物が揃い、各々の心情と目的が判明してから面白くなります。
日記形式で語られる日常、その中を動く者達の思惑。

探偵が出てきて、犯人当てて解決! という作品ではありません。
作者が仕掛けてくる謎と罠を読者が読み解いていくタイプの話です。
そういう意味では、キャラクター全員が犯人とも言えます。
日付が記載されているため、時間的なトリックだとは思ったのですが、方法までは考えつかなかったのがちょっと悔しい。(笑)

日記の真相はちょっとずるいんでないかいとか、自画自賛のような文章を作品内に入れるのは最低だな、とか引っかかる部分は多々ありますが、辻褄合わせは上手くいってるので推理小説としてはいい出来だと思います。

トリック好きにはオススメ、かな。
一人称と三人称がころころ変わりますが、割と読みやすいです。
二度読むと印象が変わる……とは思うけど、二度読む気になるほど魅力を感じないのが難点。
(単に、推理小説が肌に合わないだけなのか……?)

レパントの一番長い日

2005-08-23 13:12:38 | 時代劇・歴史物
さて、歴史物のカテゴリー作った方がいいかなと思う第266回は、

タイトル:レパントの海戦
著者:塩野七生
文庫名:新潮文庫

であります。

『ローマ人の物語』、で知られる塩野七生の単行本です。
ガレー船最後の花舞台、レパントの海戦をダイナミックに描きます。

まず最初に断っておきますが、これは歴史書ではありません。
大河ドラマです――いや、冗談抜きで。

物語は1569年、後のレパントの戦いの指揮官の一人アゴスティーノ・バルバリーゴがキプロス島駐在の任務を終えてヴェネツィアに帰還したところから始まります。

ここで、既に普通の歴史書とは書き方が違っています。
文体は小説のそれで、あちこちにバルバリーゴの心情が現れている。
子持ちの未亡人に心を移したり、少年の中に漢を見たりするのです。
台詞はほとんどありませんが、中身は歴史小説そのもの。

視点はバルバリーゴに留まらず、他の人物にも移ります。
トルコ駐在のヴェネチア大使とか、ローマに派遣された外交官とか。
彼らの眼を通して、当時の地中海の姿が浮かび上がって来ます。
ところどころに挿入される資料も強力な説得力を持っています。

時折、残してきた家族を気にかけるバルバリーゴ。
それぞれの思惑を持ち、ぶつかり合う各国の海将達。
ところどころに見え隠れするヴェネツィア贔屓の視点。
とにかく飛び交う『男たち』というキーワード!

七生イズム全開ですね
(何だそれは?)

決戦に至るまでの経過、戦闘時の模様など非常に詳しく解ります。
こういう歴史の書き方は嫌いな人もいらっしゃるかも知れませんが、普通に物語として読むなら非常に面白いと思います。
カテゴリーも小説にしたし……。(笑)

蛇足。
読んだ後で気付いたのですが、これ三部作の最終巻だったんですね。
ま、前二作も読む予定なので、それについてはまたいずれ。

ファンタジー買います?

2005-08-22 00:22:42 | ファンタジー(異世界)
さて、ハヤカワFTも久々だなと思う第265回は、

タイトル:魔法の王国売ります!
著者:テリー・ブルックス
文庫名:ハヤカワ文庫

であります。

妻を失って抜け殻と化した弁護士ベン・ホリデイ。
ある日、彼の元へ妻宛の商品カタログが送られてくる。
その中に、特に目を引く広告が一つあった――魔法の王国売ります。

半信半疑ながらもバイヤーと接触し、彼は購入を決意する。
価格は100万ドル、決して安くはない、だが惜しくもなかった。
辛い思い出を振り切り、新たな人生を手にするため、ベンは旅立つ。

しかし、上手い話には落とし穴がある。
そして、この取引もその例外ではなかった。
寂れた王国ランドオーバーの王となったベンの運命やいかに……。

努力・友情・勝利から成る、ユーモア・ファンタジーです。
現実逃避のために幻想世界へ来た筈がそこでも苦労するところとか。
へっぽこな従者達と親交を深めていき、チーム一丸で闘うとことか。
ようやく何かが掴めたと思った時、巨大な敵と対峙するとことか。
もろハリウッドですね。(笑)

でも、主人公のベンは巻き込まれ型の情けない奴ではありません。
状況に振り回されながらも、ちゃんと自分の意思を通します。
職業柄か、素直に引き下がるということを知りません、突撃あるのみ。
時に臆病、時に喧嘩っ早い……でも誠実かつ責任感の強い人物です。
うーん、素敵なオヂサンだ。

脇を固めるサブキャラ達もいい味出してます。
情熱はあるが実力はかなり怪しい宮廷魔術師クエスター。
皮肉屋だが、認めた相手には礼を尽くす宮廷書記アバーナシィ。
ちょっと電波入ってるけど(笑)、無条件にベンを愛するウィロウ。
怖~い魔女とか、ちょっとすれた感じのドラゴンとかも出ます。

ちなみにこれ、ランドオーバーと呼ばれるシリーズの一作目です。
二作目以降は正式に王となったベンの苦労が語られるらしい……。
綺麗にまとまってるので、本巻で終わりでもいいかなと思います。

都合良くいかない、現実っぽいファンタジーが好きな人向け。
ダジャレはあまり出てきませんが、会話に味があります。