つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

丸々一冊伏線かいな

2005-09-24 14:59:17 | 伝奇小説
さて、とりあえず読み進めているの第298回は、

タイトル:ヴァンパイヤー戦争3 妖僧スペシネフの陰謀
著者:笠井潔
出版社:講談社文庫

であります。

2巻で主人公の鴻三郎が出会った女性水城蒔恵とともに、日本でのヴァーオゥとの関わりにつながる歴史などが語られ、さらに3巻ではそのあたりのことが続けて語られている。

また、副題ともなっているスペシネフというKGBの黒幕も現れ、確かヒロインのはずだったラミアもようやく戻ってくる。
もっとも、ラミアの場合、戻ってくるとは言っても、登場シーンは短いので、ホントにこいつがヒロインなのだろうかとちと疑ってみたくなるくらいではあったけど(笑)

さらに、日本でヴァーオゥと関わる一族と鴻三郎の出生にまつわることなどを追い求めると言う要素も加わって、話は進んでいくんだけど、なんか3巻ってほとんど丸々伏線みたいな感じで、ちょっと落ち着いた話になっている。
鴻三郎の養父や妹まで出てきたり、蒔恵との別れなどがあったりして、そういう中から鴻三郎の人間臭さが少しは出てきた感じではあるけれど、まー、こういうジャンルのものだから、そこまでじっくりと書き込まれているわけではない。
当然、そういうことを期待しているわけでもないので、別にいいんだけどね。

もちろん、お約束の戦闘シーンもあり、鴻三郎絶体絶命の場面などは、ようやく黒幕が出てきたからか、ヴァンパイヤーを除けばだいたい人間相手だったのが、とうとう化け物まで出てきて、さらに伝奇っぽくなってきたのかな、とは思う。
でもどちらかと言うと次へつながる謎とか、そういうものを残して3巻終了、と言った感じかな。

まぁ、全11巻の長丁場なんだし、こういう巻もあるだろうとは思うので、そこはさして気にはならない。
でもちょっと盛り上がりに欠けるところがある、と言うのは、こういう位置づけの巻だから仕方がないとは思うしね。

……にしても、相変わらず解説は無駄に長い。
解説者も一緒だし。

ネットでこやつの名前を検索してみたらホームページがあって、ホラー系の評論家らしい。
……やっぱり評論家だったのね、とかなり納得。
無駄に長い解説も、引用の多さも、単語を横文字にしたがるところも、まー、そういう職業だからと100万歩くらい譲って、我慢してあげよう。
ページ数が値段に入っている、と言うところだけはまだ気に食わないけど。