つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

読者限定品

2006-03-31 03:14:50 | ファンタジー(異世界)
さて、つれづれに年度末は関係ないの第486回は、

タイトル:大鷲の誓い デルフィニア外伝
著者:茅田砂胡
出版社:中央公論社 C・NOVELS Fantasia

であります。

本編が終了して何年経ったんだろうねぇ、これ。
ってくらいあとになって出版されたデルフィニア戦記シリーズの外伝。

ストーリーはデルフィニアでは公爵にあり、ティレドン騎士団の団長でもあったバルロと、ラモナ騎士団の団長のナシアスのふたりの話。
時代はウォルが王に就く前で、当然デルフィニアでは主人公のひとりだったリィも出てこない、バルロとナシアスがまだ騎士団の団員であったころ。

騎士団同士の対抗試合で勝利したナシアスに、ひとりの少年が手合わせを求めてくる。
それがまだ騎士の叙勲すら受けていないバルロで、それを知らないナシアスはあっさりと勝ってしまう。

試合の後、ナシアスが王都へ赴く機会があったときに、バルロはナシアスを呼び、剣の相手をさせる。
ティレドン騎士団では、公爵家の総領息子で、当然次期公爵のバルロ相手に勝つわけにもいかないのだが、ナシアスはそれを試合の後で知っても、まったくそんなことなど頓着しない。

権勢にまったくとらわれずに接するナシアスは、公爵家の総領息子という立場に、否応なしにつきまとうしがらみとは無縁な関係を築ける間柄。
そんなふたりが団員から騎士、そして隣国パラストとの戦いを経て友情を深めていく、そんな話。
もちろん、公爵家で育ち、一般的な常識とはかけ離れた公爵家の常識に苦悩する、一般的な常識の持ち主であるナシアスの姿や、バルロの母である王妹の公爵夫人に絡んだ友情の危機的状況など、まぁ、スタンダードな出来事は十分に盛り込まれている。

最後のほうは、デルフィニア戦記本編よりもあと……リィがいなくなってからの話題も少し入っている。

デルフィニアが好きなひとにとってはきっとおもしろい話なんだろうなぁ、と思う。
著者らしいテンポの良さは健在で、とても読みやすい。
でもこのふたりだとどうしてもウォルとリィのような夫婦漫才にはならないので、そういう笑えるところが少ないのが残念なところかも。

まぁ、そんなところかな。
すごいおもしろい、と言うわけでもないし、本編読んでないとラストのほうのエピソードなんかはほとんどわからないだろうし、なんかホントに懐かしいなぁ、くらい。
まぁ、外伝なんだから本編知らないひとが買うとは思わないけど。

……にしても、最初表紙のイラスト見たときに、ほんとうにしばらく読んでなかったこともあって、ウォルとバルロのふたりかと思ったぞ(笑)

電波な人々

2006-03-30 21:46:32 | 木曜漫画劇場(紅組)
さて、実務者って大変よね、と思う第485回は、

タイトル:夢みる惑星(文庫版全3巻)
著者:佐藤史生
出版社:小学館文庫

であります。

鈴:「ふみお」じゃなくて「しお」だと聞いて「ん?」と思ったLINNで~す。

扇:『砂糖・塩』から来てるらしいぞ、とツッコムSENでーす。

鈴:なんか、安直だがいま聞くといいかもしれないペンネームだな。
読みにくいのとか多いから。

扇:そうだな、割と響きもいい。
ところで、このタイトルは何よ?

鈴:タイトル? 『夢みる惑星だろ』?

扇:違うっ!
この記事のタイトルだっ!

鈴:あぁ、電波ね。
葉っぱの名前の会社のゲームに出てきた人気キャラだろ。

扇:知らん。
電波って隠語の意味なら知ってるがな。

鈴:まぁ、知らんほうがいいけどな、葉っぱだし。
電波……隠語だったのか……。

扇:隠語じゃなかったのか?
要するに、アレなモノを感じるアレな――。

鈴:やめろっ!
それ以上言うと、ガ○タとかネット上では怖いひとたちにケンカを売ることになるぞ!
たたでさえ、ケンカ売りまくりなのにこれ以上敵を作ってどうするっ!

扇:そこまで人心を掴んでいるとは……電波って偉大だったんたな。
つか、特定するのはやめなさいよ、電波って言っても色々いるんだから。
まー、どれを指そうと、敵が増えるのに変わりはないがね。

鈴:偉大なのか!?
まぁ、いろいろいるのは確かだが、まぁあんまり関わり合いになりたくない方々な気はしないでもないが……。
はっ、またケンカ売ってる!?(笑)

扇:穿った見方をすれば、単に神(作者)の意思を代弁してるだけなんだがね。
妙に説明的だったり、説得的だったりする台詞を吐き出したら要注意だな。
前者は次回の伏線、後者は洗脳光線だ。

鈴:うわ、近寄りたくないな、それ……。
遠巻きに眺めて、「うわぁ、すごいなぁ」と見物するのが吉だな、そういうのは。

扇:お前、それ現実の話だろ。

鈴:あれ? 現実にいたらそう言う行動を取るって話じゃないのか?(笑)

扇:三千世界のどこに作者がおるとゆーのだっ!
まぁ、この世にシナリオと作者が存在するってのは、物語のネタとしてはよくあるがね。
ところで、って電波じゃなかったっけ?

鈴:んなわけあるかっ!
ったく、超電波の君に言われたくはないな。

扇:私が電波だと?
私は私という神の言葉を衆愚に伝えているに過ぎないよ。

鈴:そういうセリフが、超電波だと言うんだっ!

扇:やれやれ、凡愚に理解できる話ではなかったか……。
二億光年譲って私が電波だとしたら、君はだな。

鈴:……(さぶいぼ)
さて、作品の夢みる惑星であります。
どっかの王子さま(生まれのみ)が大神官になって、天災から逃れようと人民を洗脳……もとい、煽動する話であります。

扇:おのれ、人の会心の一撃を……。
ふむ、大筋はそんなとこだな。
電波と学者の境を泳いでいく主人公と、それに魅せられてあたふたする人々を描いた群像劇、と言ってもいいかも知れません。

鈴:じゃ、ストーリー紹介も終わったことだし、そろそろキャラ紹介だね。
と、その前にCM~~~~。

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鈴:では、主人公のイリス。
策略家。
以上。

扇:をい
やがて来る天変地異を予言した幻視者エル・ライジアの弟子(?)。
外界と接触を断ち、古代の知識を保存してきた神殿に祭り上げられ、大神官として王国救済のために四苦八苦する苦労人……楽しがってるフシもあるが。
悪知恵と見てくれは一級だが、幻視能力はほとんどなかったりする、与えられた役割のでかさにくらべて結構非力な人。
周囲が電波な人々ばっかりだったので、最後は諦めモードで役目をこなしていたが、シリンによって救い出された――良かったねぇ。(しみじみ)

鈴:じゃぁ、ちょうど出てきたので次、シリン。
このマンガのヒロインのくせに、途中から出てきた人気のある踊り子さん。
踊ることによって幻視能力を発揮するが、それがついぞ役に立ったシーンがなかったような気がする。
あ、イリスのハートをゲットしたときくらいかな。
ただし、気っぷのいい姐さんな感じで、キャラ的に好み(笑)

扇:そういえば、イリスと目と目で通じ合う以外、役に立たなかったな……。
踊りでアスカンタ中を動かしてみせると豪語し、実行してしまった恐るべきシャーマン……でも中身は恋に突っ走る粋な女性。
イリスを論破したり、カラの世話をしたり、幻視能力について穿った意見を述べたりと、かなり忙しいヒロインだった、ま、そこがいいのだが。

鈴:では次にカラ。
イリスが拾ってきたベニ・アスラ族の少年。
けっこう直情型の少年だが、物語にはいー感じで関わっている。

扇:笑顔で冷たい台詞を吐くイリスに、真っ向から立ち向かう少年。
奴隷として捕らわれていたが、イリスに助け出され、神殿の客人となる。
感覚一筋といった性格だが、言ってることはかなり正論なのでメインキャラの殆どに愛された、結構幸せな子。
大国に駆逐されたベニ・アスラ族の首長であり、後に一族再興のため旗揚げする。
責任を抱えることになって初めてイリスの苦労を思い知り、反省するところはなかなか可愛かった。

鈴:うわぁ……、木曜劇場に似合わない硬い解説……(笑)
じゃぁ、次、タジオン。アジアンではないよ。
典型的な直情系キャラ。子供のころから、女の子キャラのフェーベが好きだけど、フェーベはイリスに傾いてたりとか、電波なひとびとに囲まれて苦労したりとか、基本的に報われない子。
でも、このマンガ、タジオンいないとけっこう暗い重いだけの話になりそーな気がする。

扇:冗談のつもりだろうが、それ、イデオンに出てきた植民星の名前だぞ。
イリスの対極に位置する王子様、後に王様。
災害を避けるために遷都を行えと言うイリスと対立、実務者として俗世の苦労を一手に引き受ける……苦労人の鏡。
フェーベに全く興味を示さないイリスと、イリスに興味津々なフェーベの間に立って、真っ直ぐに自分の愛を貫いた凄い自制心の持ち主、でもある。
王様としてもかなり優秀だが、生まれる時代を間違えた……悲惨すぎ。

鈴:報われてないよなぁ、こいつ。
でも、フェーベも結局、現実的だよな。

扇:だな、イリスじゃなくタジオンを選んだのは賢い選択だと思う。
そういう意味では、シリンは本能の赴くままにイリスを選んだな。
どっちもいいカップルではあるんだが。

鈴:まぁ、そうだね。
じゃぁ、もういいころだし、そろそろ終わるかね。
しかし、いまから見ると絵柄が好き嫌いあるとは思うし、最初と最後がう~むなところがあるけど、途中けっこう読ませてくれた話ではある。
文庫で3巻完結だし、手に取るにはお手頃なところかもしれないね。
では、この辺で、さいならさいなら……さいならっ

扇:個人的にかなりオススメの作品。
この作者、非常に観念的な作品が多いのですが、本作はかなり解りやすいストーリーと人間ドラマがメインなので、普通に読めます。
イリスとタジオンに挟まれて苦労するズオー、神殿に対抗する科学者ラカン、寡黙な暗殺者ゲイル等、サブキャラも個性的。
絵は……ちょっとクセがあるので、苦手な人は苦手かも、私は結構好きだけど。
というわけで、今日のところはさようなら~。

ドンブラコ

2006-03-29 18:21:59 | ミステリ+ホラー
さて、ここ数年、船には乗っていない第484回は、

タイトル:船上にて
著者:若竹七海
文庫名:講談社文庫

であります。

若竹七海のオムニバス短編集。
いつもの如く、ハッピーエンド好きな方々には向かない作品揃いです。(笑)
例によって、一つずつ感想を書いていきます。

『時間』……川村静馬は在学中に好きだった五十嵐洋子のことを考えながら、大学の構内に立っていた。つい先日、彼女が一年前に亡くなったことを知ったのだ。死の直前に彼女は言ったという、時間だ、時間だわ、と――。時間、及び、真実という言葉に関する考察。静馬と洋子のロマンチストっぷりにかなり引いた。最後にさらりと、別の真実を暗示しているのは悪くない。

『タッチアウト』……橋爪幸彦は、苦痛と共に病院のベッドで目覚めた。記憶を探り、なぜ自分が怪我をしているのかを知ろうとする。そして、思い出した、愛する女に殴打されたことを――。エリート気質の少年・幸彦の妄執が凄まじい。短編ならではの細かい仕掛がしてあり、最後に「あ、そうか」と思わせてくれる。ただ、面白い作品かと聞かれると、疑問。

『優しい水』……次々と夢を見る、私。頭がはっきりしてきても、何かを忘れている、私。なぜか、ビルとビルの隙間に倒れている、私。左手を上げると、そこには――。主人公の一人称には閉口した。おしゃべりそのままと言った感じで、読み辛いことこの上ない。ただ、妙に軽いノリが、えげつないオチを引き立てているので帳消し。結構好きな作品。

『手紙嫌い』……手紙嫌いの志逗子。彼女はひょんなことから、どうしても手紙を書かなくてはならない状況に追い込まれる。意を決して、『実践・特殊手紙文例集』なる怪しい書物を購入するのだが――。ページの半分ぐらいが怪しい論文で埋められており、読んでて疲れた。ブラックジョークにしても、くどい。

『黒い水滴』……私、は久々に日本に帰ってきた。ある目的を胸に秘めて、空港のロビーに出る。別れた男の所有物、十三しか違わない義理の娘・渚がそこに立っていた――。本書中で最もミステリらしいミステリ。ちょっとしたアリバイ崩しができる。主人公と死んだ男、どっちもタチが悪いのは御約束。

『てるてる坊主』……輝男、広美、恭平は幼い頃からの友達だった。だが、その関係は唐突に壊れた。友達ではないと自覚した瞬間に――。この手のタイプの話を見ると、妙に身構えてしまうようになった。誘導するのが作者の仕事なら、それを暴くのが読者の仕事である。小説を読む姿勢として褒められた物ではないかも知れないが……って、内容について全然触れてないな。(笑)

『かさねことのは』……精神カウンセラーの春日が私に出した問題。それは、八通の手紙を読み、そこに登場する人物の間に何があったかを当てろ、というものだった。私はその挑戦を受けて立つが――。他人の手紙ほど、読んでてくたびれるものはない。仕掛も何もかも無視して、ささっと読み飛ばしてしまった。ラストは、はぁ、そうですか、といった感じ。

『船上にて』……ニューヨーク発、フランス行きの船上で、私は一人の老紳士と知り合った。たまたま手にしていたO・ヘンリーの著作に、彼が興味を示したのである。意気投合した私達は食事をともにするが、その後、事件が発生し――。O・ヘンリーについて詳しい人はオチが読めてしまうし、知らない人はさっぱり解らない、何とも言えない作品。珍しく、ブラックじゃないのが、特徴と言えば特徴。

『優しい水』と『黒い水滴』は好きなんですが、他はどうかなぁ……といった感じ。
相変わらず毒は入ってるけど、『依頼人は死んだ』ほどではありません。
まー、こんなこと言ってたら作者に、「私は毒の入ってない作品以外書いちゃいかんのか」と怒られそうですが。(爆)

軽く、ミステリを味わいたい人向き。
若竹ファンは……スルーしてもいいかも。



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目指すは地球

2006-03-28 23:57:12 | マンガ(少女漫画)
さて、映画はどうだったんだろうと思う第483回は、

タイトル:地球へ…テラ  (全三巻)
著者:竹宮恵子
文庫名:中公文庫コミック版

であります。

竹宮恵子の名を高からしめたSFアクション巨編。
新人類ミュウと旧人類の戦いを描きます。



遠い未来、人類は徹底した管理社会を築いていた。
機械による出産、成人検査、深層心理テスト……数々の鎖で人を縛り、異分子を排除することで、辛うじて崩壊を免れている清浄なる世界。
数ある管理政策の中で、最も重用視されていたのはESP検査――新人類ミュウを排除するためのシステムだった。

幼年育英都市アタラクシアの問題児ジョミー・マーキス・シンは、深層心理テストの最中に誰かの声を聞いた。
名前も顔も解らないその男は、君のテレパシー能力は拡大している、とジョミーに告げる。
さらに、彼はこうも言った、「君は戦士だ! 忘れるな」



竹宮恵子最大のヒット作です、多分。
ミュウの長ソルジャー・ブルーの洗礼(?)を受けた主人公ジョミーが、自分の所属していた社会から排除され、ミュウとして旧人類に戦いを挑む物語。
メインは超能力者対旧人類のドンパチなのですが、その合間に行われる、エゴ剥き出しな方々の舌戦がかなりいい味出してます。

まず最初に目に付くのが、ミュウの連中の性格の悪さ!
揃いも揃って卑屈な奴等ばっかりで、仲間に加わったばかりのジョミーを集団テレパシーでシメるわ、自分で何も決められん癖に彼の判断を責めるわ……。
一番マシな性格のブルーさんからして、弱冠十四歳の御子様捕まえて、僕の後を継いでミュウのリーダーやってね~、とか言い出す人ですし。(怒)

そんな劣悪な環境でもめげることなく、戦い続けるジョミー君は偉い。
持って生まれた頑固な性格と、強力なESPを駆使して、彼は安住の地ナスカを手に入れます――破壊されるけど。(爆)
守るべきものを根こそぎ奪われたジョミーは、旧人類の母星・地球との全面戦争に踏み切るのですが……。(以下略)

それと、旧人類側のメインキャラとしてキース・アニアンがいます。
ミュウに対抗する力を持つスーパーエリート……ですが、彼は出世の階段を登るたびに、旧人類の限界を強く感じるようになります。
友達は失うし、ミュウには段々押されていくし、エリートだと思ってたら出生に秘密があったり、と、ジョミーに負けず劣らず可哀相な人。

SFバトル物としてはかなり楽しめる部類だと思います。
ラストは、をいをい、って感じですが……ま、そこは置いときましょう。
割と短いおかげで、長くなると崩れまくるというパターンも踏んでいません。
(そう言えば、『天馬の血族』はひどかった……)


でも、あのエピローグはちょっとなぁ……。(まだ言うか)



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実はタイトルも引っかけ

2006-03-27 18:53:37 | SF(海外)
さて、しばらく二日酔いは経験してないなぁの第482回は、

タイトル:永遠の終り
著者:アイザック・アシモフ
文庫名:ハヤカワ文庫

であります。

アシモフ唯一のタイムトラベル長編です。
書こう書こうと思いつつ、忘れてました。

時間管理機関『永遠エターニティ』は、時間の枠外に存在し、人類平和のために時間矯正を行う特殊機関である。
だが、『永遠』に所属する者の中でも、航時機に乗り、別の時間に干渉することを許されるのは一部のエリートに過ぎない。
永遠人アンドリュウ・ハーランはその内の一人だった。

ある時、ハーランは482世紀の時間矯正の任務を言い渡される。
しかし彼は、任務の過程で出会った女性・ノイエスを愛してしまう。
時間矯正の結果、ノイエスが消滅してしまうことを知ったハーランは、『永遠』を欺いてでも彼女を生かそうとするが――!

例によって、ミステリ要素満載です。
計算上、どの時間軸にも存在しないことになってしまうノイエス。なぜか、それ以上先の未来に行くことができない時間の壁。そして、『永遠』発足の謎
色に目が眩んだ(失礼!)ことで始まったハーランの時間旅行は、ありとあらゆる謎を解くことに目的を変え、最終的にとんでもない事態を引き起こします。

あからさまに怪しい集団『永遠』の設定がいいです。
人類に危ない物(航時機含む)を持たせないことが平和につながると信じ、必死扱いて歴史を改竄してるってのが何とも。
崇高な理念を掲げてる割には、エリート意識丸出しだったり、内部で権力争いしてたりと……いかにも人間らしいですね。

こだわり体質のアシモフのこと、タイムマシン物の御約束への挑戦も忘れていません。
タイムパラドックスに近い事件を起こしてみたり、航時機に使用限界を設定してみたりと、そこかしこでお遊びを披露してくれます。
設定そのものが特異な分、ハーランの苦労は他のアシモフ作品の方々の倍増し、かも……危険な情事にいそしんでるのが悪いと言えば悪いのだが。(笑)

とまぁ色々書きましたが、この作品の最も特異な点は、
ラブストーリー
であることでしょう。

何せ、作品全体を支配しているのは、『永遠』でも航時機でも時間の流れでもなく、ハーランとノイエスの恋愛。
陰謀、策謀、危険に秘密と、いかにもミステリっぽいものが溢れているにも関わらず、最後は、この二人の感情がすべての決着をつけます。

読み終わった人に是非聞いてみたい!
――もし貴方がハーランだったら、最後の地でどうしますか?
(いや、あれは素晴らしいラストだと思うんですが……ハーランと違う行動を取る人がいてもいいんじゃないかな~、と思ったもので)

アシモフ好きな方、タイムトラベル物好きな方、どちらも満足できる完成度の高い作品です、かなりオススメ。
『永遠』を第二ファウンデーションのタイムパトロール版、と考えながら読むと、より楽しめるかも知れません。



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ほほぅ

2006-03-26 16:21:38 | ファンタジー(異世界)
さて、二日酔いで頭痛がしてるなぁの第481回は、

タイトル:彩雲国物語 黄金の約束
著者:雪乃紗衣
出版社:角川書店 角川ビーンズ文庫

であります。

目録探してみたら12月25日に1巻「はじまりの風は紅く」を読んでいて、その続きの2巻。
1巻では、主人公の秀麗が昏君の王をたたき直してくれと依頼され、後宮へ行き、そこで起きる事件などを経て、めでたしめでたしな話だった。
評価は甘々の及第点ではあったが、この2巻、なかなか好みとしてはいい感じになってきている。

さて、後宮を辞して、約束通りの報酬金500両ももらい、これで前の貧乏生活も改善された……はずの秀麗の住まう紅家は、家の修繕だの何だのとやっているうちに、あっさりといままでと変わらない生活に戻っていた。
雨漏りがしなくなったことと、麦飯が米飯になったことを除いて。

あと、匿名希望とありながら誰かがバレバレな王の劉輝から、傍目には嫌がらせとしか思えない非常識な贈り物が来ることが変わったことか。

そんな秀麗のところへ、ふたつの出来事が起きる。
ひとつは、伸び放題の髪と髭面の男が家の前で行き倒れていたこと。
もうひとつは、夏の暑さに次々とダウンした王宮で働くこと。

ストーリー的にはこのふたつが、同時並行的に進んでいく。
行き倒れの男のほうは、家人である静蘭や茶州という地方での権謀術数に絡んで。王宮で働くことは、男子専制の国試に女性も受験可能にするための話に。

まぁ、このふたつに関してはまぁいいだろう。
実際、ラストには秀麗は実験的に導入された国試に合格したことも書かれているし、むしろこういう話になるほうが個人的には好きだね。
べたべたに甘くなるよりは、こういうストーリー展開のほうがいい。

しかし、前の1巻のときも思ったけど、この作者、エピソード詰め込みすぎ。
メインの話は上記のふたつなのだが、この他にも、1巻で出てきた霄太師絡みのネタや、秀麗の父である邵可のネタなど、いろいろと取り混ぜてはいる。
……いるのだが、おかげで流れの悪いところが多々出てくる。

こういうスタイルが好きなひともいるとは思うが、そういうネタをやりたいなら短編集でもなんでもいいから、そういうところでじっくりやってくれ、と言いたくなる。
ムダにたくさん入れて、本来の話の流れを阻害するようであればなしにして、本編をじっくり書いてくれ。

文章的には、場面場面の変化や繋がりが悪いところがちらほら目につく。
最低でも、誰が喋っているのかわかるように地の文を入れるとか、口調の特徴をもう少し出すとかしといてもらいたいもの。

まぁでも、個人的には秀麗の今後が気になるところなので続きは買ってみるかなぁ。
男性キャラの新キャラも増えて、どんどん秀麗の周囲が逆ハーレム状態=や○いの匂いがしまくりなのがちときついかもしれんが。

こっちの絵のほうが味があるな

2006-03-25 15:23:55 | その他
さて、そろそろ考えないとなの第480回は、

タイトル:漫画版 あらしのよるに
著者:きむらゆういち 漫画:空十雲
出版社:講談社

であります。

東宝系で公開された同タイトルのアニメ映画の原作……ではなく、映画をマンガにしたもの。
ストーリーはと言うと、ヤギのメイとオオカミのガブの友情もの。
ある嵐の夜に、メイは仲間とはぐれて、ある小屋で雨風をしのいでいた。
真っ暗なその小屋で嵐を収まるのを待っていると、メイの他に誰かがやってきた。

真っ暗で姿が見えないその誰か。
それがオオカミのガブで、ふたりとも真っ暗な上に嵐のせいでやや鼻風邪気味。
メイもガブも、匂いで小屋にいる片割れがいったい何なのかはわからない。
わからないながらもいろいろと話をしたり、雷に怯えたりしているうちに、意気投合。

そして、変わらず相手が誰だかわからないまま、友達になり、今度一緒に食事をする約束をする。
ヤギとオオカミで。

1話がこのメイとガブの嵐の夜での出会いを描いたもの。
2話からふたりの話になり、約束どおりに一緒に食事(ガブは弁当を落っことしてなし)したりする。
けれど、やはりふたりはヤギとオオカミで、メイたちヤギにとってオオカミは仲間を襲う敵、オオカミは大切な餌。

お互い、仲間の中で本来友達になんかなれない相手と仲良くしていることを責められたりして、とうとうふたりは一緒に住んでいたところを離れ、山の向こうに旅立つことになる。

まぁ、旅立つところで終わりではないのだが、ほのぼのとしていて、こういうのをたまに読むのもいいなぁ、ってとこかな。
いかにもな友情話ではあるし、原作が絵本なのでストーリーはとてもわかりやすい。

それと、ガブのキャラがいい(笑)
1話はさておき、2話とかで弁当を落っことしたあと、友達になったメイを「何よりも友情を大切にする」と言いつつも、食べたくて食べたくてしょうがなかったり、メイの仲間を思わずおいしそうと言ってしまったり、すごい強いんだと言いながらもオオカミの中では下っ端だったり。
どこか抜けた感じのする絵柄もガブらしさが出ていて良い。

まぁ、映画館で見るよりこっちのほうが安上がり……という気はかなりあったけど、映画のほうも一度見てみてもいいかなぁ、と言う気にはなるかな。
絵柄のほうはマンガ版のほうが合ってると思うので実際に見に行くかは不明。

三人組

2006-03-24 21:02:13 | 小説全般
さて、別にズッコケはしないの第479回は、

タイトル:夏の庭-The Friends
著者:湯本香樹実
出版社:新潮文庫

であります。

主人公の「ぼく」こと木山と、塾やサッカークラブが一緒の友達河辺と山下の三人組。
そんな三人の中で山下はある日、祖母の葬式のために学校を休んだ。

戻ってきた山下の語る「死んだ人」
それをきっかけに三人は、ひとり暮らしでいまにも死にそうだと噂されていた老人の死ぬ瞬間を見るために、「観察」を始める。
最初は観察するだけだった老人と、ひょんなことから交流が始まり、洗濯物を干したり、草むしりをしたり、スイカを食べたり、戦争の話を聞いたり……。

いつの間にか、三人は夏休みの間、足繁く老人のもとへ通うようになっていく。

途中まではこんな感じかなぁ。
まぁ、平たく言えば小学六年生の三人組が、老人との交流、そして死を通して成長していくものだろうか。
奇を衒うところもなく、とてもわかりやすいストーリー展開で読みやすい。

肝心なことがいつも言えない、もしくはタイミングを逃してしまう木山や、貧乏揺すりがクセで独特の言動や行動をする河辺、でぶのあだ名そのままに太っていて臆病な山下。
それぞれの性格の違いもわかりやすく描かれている。
また、老人との交流だけではなく、それぞれの家族……いつもご飯を食べるときにじっと見つめている木山の母、親が離婚して母子家庭の河辺、とりあえず円満そうな魚屋の山下のストーリーも平行して描かれている。
ラストのほうではこの木山の家族の話のオチもあって、これもまぁ予想通りの展開で、わかりやすい。

……と、とにかくわかりやすい小説で、安心して読めるし、いいところだとは思うのだが、ただそれだけで作品の雰囲気も乏しく、おもしろみというものがほとんど感じられない。
三人組の各キャラも、わかりやすいのだがステロタイプでしかないからわかりやすい、と言う面もある。
老人の語る戦争の話や境遇、家族の話など、いろいろと思うところはあるが、いかんせんストーリーのおもしろみがほとんどないので、深く入っていけない。

映画化や舞台化されたり、10カ国以上で刊行されたりと人気がある話なんだろうがねぇ。
まぁ、200ページあまりの比較的薄い小説なので気軽に手に取れるほうではあるし、読みやすいのであまり本を読まないひとにはいいかもしれない。

主役はミッキー

2006-03-23 20:15:00 | 木曜漫画劇場(白組)
さて、かなーり懐かしい第478回は、

タイトル:エリア88(全23巻)
著者:新谷かおる
出版社:小学館

であります。

扇:残り87個についてはどうなったんだろう、とか考えるSENでーすっ。

鈴:それよりどう見てもタイトルがどっかのネズミと間違えられそうだなと思うLINNで~す。

扇:じゃあセラはミ○ーかよっ!

鈴:そうだろうな。
しかし、となるとネズミがキャットに乗るってことになるのだな。

扇:それ、本編読んでない人は全く解んないぞ……いつものことだが。
しかし、整備不良のドラ猫でよく最後まで戦ったもんだ。
とりあえず、空母をバルカンで沈められるなんてぬかすCPUはどうにかしろ。

鈴:どうにかするなら、マッコイじいさんとこ行け。

扇:次に来る奴は、ハープーン一発で国が滅ぼせるとかぬかすぞ、きっと。

鈴:それはさすがに言わんだろ。特攻しろと言うかもしれんが(笑)

扇:88のパイロットは、CPUの指示など聞かんとは思うがな。

鈴:まぁなぁ。CPUに言われる前に自分で気付いて弾幕避けてそうな連中に描いてるからなぁ。
メインキャラだけだが(笑)

扇:えーっと、血の代わりにコールタールが流れてて、妖怪百目みたいに手とか肩に目が付いている、だっけ?

鈴:コールタール流れてたらどっかの番組の血液サラサラ選手権でビリ確定だな。

扇:そういう問題か?
つーか、ツッコメよ。

鈴:じゃぁ、妖怪百目ってインドラ? とか(笑)

扇:蹴倒すぞ。
そこは目目連と言うべきだろうっ!
FC版鬼太郎では序盤のザコだったがね……。

鈴:じゃぁ、百々目鬼にしよか?
……って、また年のわかりそうなネタだな、FC版とは。

扇:また解りづらい奴を……どうせなら百目小僧ぐらいにしてくれ。
FC版は名作だぞっ! お前もちゃんと、目玉の親父の場所ぐらい覚えとけっ!

鈴:……名作っつってもなぁ。
そもそもFC版って○○年以上も前の話だから憶えとらん。

扇:覚えなさい。
基本は、妖奇魔境で稼ぐ! 妖炎魔境はロウソク一個残して粘る! 妖空魔境は操作性悪いからさっさとクリアする! 通常戦闘は毛針オンリー、ボス戦と隠しキャラ稼ぎの時のみ特殊攻撃を投入! 後は親父を取り落とさなければ完璧だ。

鈴:アクションゲームだったっけ、鬼太郎……。
ロールプレイングのほうは何となく憶えがあるんだがなぁ。

扇:リンリン、貴様、素で流したなっ!
2の方は知らん……そういやこの漫画もゲームになったね。
(フッ、さりげなく話を戻すことに成功したぜ)

鈴:どっかのパンダと間違えそうな名前で呼ぶな!!!!!!
……と、ゲームはやったことがあるぞ。横シューティングなので、ぜんっぜんダメだったがね。
(さりげにまた話を逸らしてしまったぜ)

扇:横シューやれよっ!
Rタイプにハマれ! フォースでバイド狩っとけ!

鈴:やーなこった(笑)
理詰めのシューティングなんて大っ嫌いだーーーーーー!!!!(笑)
縦や縦ぇ!

扇:貴様ぁ!
ちょっと怒○領蜂で縦シューの人気が出たからっていい気になってんじゃねぇぞ!
今度じっくり、Gダライアスのデカボスの恐怖を教えてやろう。

鈴:何を言う! もっともっともっともっと前には究極TIGERとかTATSUJINとかBATSUGUNとか名作はいくらでもあったわい!!
デカボスの恐怖? そんなの、1943改の大和に較べればヘでもないわいっ!(笑)

扇:つか、一番怖いのは一機も死なずにバトルガレッガのラスボスに挑むことだがね。
あれは落ちないぞ、つか、難易度設定がかなり間違っていると思う。

鈴:と言うか、このゲームはやらなかったなぁ。
つか、適当に弾幕の密度濃くしましたって感じでおもしろみもクソもなかったし。
魔法大作戦もこれっぽっちもおもしろくなかったしなぁ。
この会社のシューティングって合わなかったな。

扇:東亜プラン以外で他には?(先に釘を刺す奴)
コナミはツインビーだけだな、グラディウスあんまり好きじゃなかったし。
タイトーは……レイストームを筆頭に沢山ありすぎる、何より音楽がいい。
アイレムはやはりRタイプだが、デルタも良かったな。

鈴:西京。
ここの縦シューはなかなか手応えのあるシューティングがあってよかったぞ。
タイトーは、縦でも横でもないが、NIGHT STRIKERだな。

扇:弾が速くて難儀したが、ギガウィングは良かったなぁ。
後はトレジャーの斑鳩だな、あの美しさは半端ではない。

鈴:斑鳩ねぇ……。
あのシステムが嫌い。
シューティングとは、弾ぁ撃って、避けて、敵を倒す!
これ以外はいらぬぅっ!!!!

扇:フッ
単細胞生物の戯言だな。

鈴:そのタイプにシューティングの腕は叶わぬのだから、負け犬の遠吠えよのぅ( ̄ー ̄)ニヤリッ

扇:反射神経だけで生きてる獣に負けても悔しくはないな( ̄~ ̄)ウケケッ。

鈴:ふっ、にゃらば今度シューティングやってる後ろで「へっ」って鼻で笑ってやらう(笑)
……で、肝心の話はどうすべ?

扇:あ~、ミッキー紹介したからもういいや。

鈴:それで終わらすなぁっ!!!!!
では、ストーリー紹介にしよう。
主人公が戦闘機でばったばったと敵を撃ち落とし、美人の彼女までゲットしたにも関わらず、最終戦で記憶をなくしてハッピーエンドな話だ!

扇:どこから捕捉していいかも解らんような解説をほざくなっ!
親友にはめられ、中東のアスランという(架空の)国に送り込まれた主人公が、傭兵部隊エリア88の一員として戦うお話です。
そこは地獄の一丁目――契約期間を過ぎるか、指定金額を払うまでは自由の世界には戻れない過酷な戦場……主人公の運命は?
みたいな話です。

鈴:なんか本の帯とかにありそうな文章やなぁ。
じゃぁ、ストーリー紹介もやったことだし、キャラ紹介行っとくかね。

扇:の、前にCMです。


つれづれ読書日記


つれづれ読書日記、きっと進化中

『作家別目録』、何となく更新中!
『怪しいページ』も……片方が全然更新しやがりません。
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つれづれ読書日記


扇:では、一応主人公ということになっている風間真。
傭兵部隊エリア88のエースパイロット。
腕はいいんだが、性格は……まぁ、多くは語るまい。
どっちつかずで悩むタイプなので、主人公としては便利なタイプ。

鈴:じゃぁ、次、サキ・ヴァシュタール。
エリア88の司令官。以上。
……やめよう……相棒が怖い顔で睨んでいる……(笑)
司令官は司令官だけど、アスラン王国の王子様で、冷静沈着な指揮官。パイロットとしても超一流だが、死に方はけっこう情けない。

扇:では、この漫画の真の主人公ミッキー・サイモン。
愛機トム・キャットを駆る、エリア88のナンバー2。
二枚目、普段は明るいが戦闘時は冷静、かなり暗い過去も背負っていると完璧な二番手野郎。 
勝ち目のない戦いに率先して突っ込んでいく、浪花節全開な人でもあったりする。
ラストの死に方で、完全に主役を食った。(笑)

鈴:キム・アバ。南アフリカの小国ルンガ(架空)の第3王子。
ちっこいながらも主人公の真に傾倒したという稀有な少年。
とは言うものの、腕はよかったし、最終的にラストまでエリア88の出来事を憶えているキャラとして重要な役割を演じている。
セラとの漫才がけっこう楽しい。

扇:では、フルネーム不明のマッコイ爺さん。
金さえもらえばクレムリン宮殿だって引っぱってくると豪語する商売人。
空母から日用雑貨まで色んなものを仕入れてくるが、質が高いとは言い難い……。
この世界長いだけあって、シニカルな意見を口にすることも多い、かなり味のあるキャラ。(シンには極甘だったような気もするが)

鈴:次にグレッグ・ゲイツ。ひげ面のおやじキャラだが、けっこう要所要所でいい感じで活躍したり、こけたり、喋ったりするひと。
ひとりだけ空戦用ではなく、対地に強いA-10なんてのを乗り回してたのも
死に方も戦闘ではないけれど、グレッグらしいおじちゃんなところが出てて、けっこう好き。

扇:では、ゲイリー・マックバーン。
ミッキーの知り合いで、敵のエース。
優秀な指揮官であり、超一流のパイロットでもあるが上司に恵まれず、戦術的には勝っていても戦略的に負けを繰り返す悲惨な人。
それでも、病気の娘のために戦い続けていたが、あっさり死別。(泣)
最後にミッキーとの対決の場を用意してもらうも、セラの乱入によりお流れになってしまい……これ以上は憐れすぎるので書かないでおこう。

鈴:じゃぁ、最期にセイレーン・バルナック。
エリア88の紅一点だが、もともとは敵側の人間で、真に惚れてエリア88に属することになったが、最終的にはミッキーとくっつき、夫婦(?)揃ってラストにいい死に方をした。
真よりもむしろ、ミッキーとこのセラのほうが印象的だったり(^^;

扇:あれ……誰か忘れてないかな。
あ、思い出した、真をハメた男で、マックバーンの無能な上司でもある神崎悟。
ザコ、以上。

というわけで、かなり長くなりましたので、唐突に終わることにします。
懐かしい戦闘機やら、怪しい兵器(地上空母とか)が沢山でる漫画なので、そのテの話が好きな人にはたまらない作品でしょう。
ではでは、さようなら~。

鈴:無能だよなぁ。
なんのかんの言っても、ジュリオラに子供ができてしまう時点で、神崎、詰めが甘いぞ。
まぁでも、けっこう楽しめる作品ではあります。
他のはなんかなぁだけど、ね。
ではでは、この辺で。さよ~なら~

悟っちゃいました?

2006-03-22 16:43:12 | 小説全般
さて、名前だけは知っていたシリーズな第477回は、

タイトル:かもめのジョナサン
著者:リチャード・バック
文庫名:新潮文庫

であります。

映画化されてたんですね……初めて知りました。
飛ぶことにしか興味を持てないカモメの人生(?)を描いた物語です。
百三十頁ちょっと、と手頃な長さなので手に取ってみました。

カモメのジョナサン・リヴィングストンは今日も飛ぶ練習に夢中になっていた。
普通のカモメにとって、飛ぶこととは餌をとるための手段に過ぎない。
だが、ジョナサンにとっては、生きることと同義だった。

修練の果てに、ジョナサンは時速三百キロを越える超高速飛行を実現する。
だが、その見返りに得たものは、群れからの永久追放処分だった。
彼は流刑地である『遥かなる崖』を越えて、さらに遠くへと飛んでいった――。

『遥かなる崖』って、まんま彼岸ですね。

というツッコミは置いといて……本書は三部構成になっています。
カモメ一族のアウトサイダー、ジョナサンが群れを離れるのが第一部、より高次の飛行技術を学ぶのが第二部、覚えた技術を弟子に伝えるのが第三部。
作者本人が飛行機乗りだけあって、訓練の話や、飛行の描写はかなりリアリティがあり、面白いです。

ただ問題は……この話、第二部から妙に宗教的な色彩を帯びてきます。
より高次のカモメ(笑)に導かれて、飛ぶために生きている群れの一員となった所から雲行きが怪しくなり、天国とは何かという問題が出て――轟沈。
第三部に至っては、妙に悟っちゃったジョナサンが愛まで語り出す始末で……思わず、「どこの教祖様ですか?」と、聞いてみたくなりました。

それと、訳者の五木寛之も指摘しているのですが、この話には女性が殆ど出ません。
そういえば、どっかの偉い人も悟りを開くために奥さんと子供ほっぽり出しましたね。
ここらへんの考え方は東西似てるかも知れません。

第一部だけはかなり面白いです、それ以降は萎えるだけ。
疲れた時に読むと救われるかも知れません、飽くまで錯覚ですが。