つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

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また新たな企画でレッツゴー

2005-03-31 03:36:51 | 木曜漫画劇場(紅組)
さて、木曜企画発動な第121回は、

タイトル:あかく咲く声(1)(2)(3)
著者:緑川ゆき
出版社:白泉社

であります。

扇:鈍い視点と中途半端な知識で世紀末のSFを斬るSENです。

鈴:感性街道まっしぐらのLINNです。

扇:今週から、木曜は『漫画の部屋』とすることにしました。ルールル・ルルル・ルールルという音楽は流れませんが、SEN-LINN揃って登場し、てきとーに好きな漫画の話をします。一応、書評……だよね。

鈴:たぶん、……いや、きっと、書評だ。
で、第1回は、「あかく咲く声」であります。

扇:表紙買いの人はちょっとつまづくかな? 作品の雰囲気には合ってると思うけど、輪郭がちと甘い気がする。

鈴:確かにな。線も粗いし、今風の小綺麗な絵というわけではないな。

扇:粗筋をさらっと言うと、声で相手を支配できる少年が犯罪者と戦う話。「ジャスト三秒だ……声は聞けたかよ?」

鈴:それを言うなら夢だろ。
しかも戦う、と言うよりその声の特性故に協力している、と言う感じだな。
ただし、やはり白泉社のマンガだけあって、らぶすとぉりぃと言うものを忘れてはいない。

扇:ヒロインの国府さん、いい娘だねぇ。シンデレラじゃないのは少女漫画の特徴だけど、無敵というわけでもないし。主人公の辛島君と並ぶと熟年カップルそのまんまだったりするが。

鈴:そうだなぁ。
でも、熟年ってのはちとな。辛島と国府……絵柄と相俟って、ふたりでいるときの雰囲気というのはとても落ちていてるし、ふわりと優しい感じで好きだぞ。

扇:もうちょっと細かく解説するか。まず、主人公の辛島君。命令や願望を口にすると、意識してなくても他人に暗示をかけて従わせてしまう超能力者。おかげで親しい人と話す時以外は無口。警察に協力して犯人を逮捕する時は狐の仮面を被っている。

鈴:うぅむ、事務的な説明やな。まぁ、でも狐の仮面というのは最初のときに出てきたし、ずっとこれだな。

扇:なんで狐の面なのかは三巻で明かされる。で、ヒロインの国府さん。主人公との距離感を掴むのに腐心する健気なお方。パワーはあるし、辛島君に対して偏見もないが、自己分析が少々甘いところがある。浮き沈みは激しいけどそこが可愛い。

鈴:そうだね。絵柄と相俟って、とてもかわいらしい子になっている。
つか、ふたりだけのコマって、なんかほっとするようないい雰囲気になってるんだよなぁ。
ラストでふたりだけのシーンって特にな。
まぁ、自己分析ってのはこの年代に求めるのは酷と言うものだらう。

扇:ところがぎっちょん、三人目の坂本君。行動派で分析型。主人公達より半歩先の視点でものを見てるキャラクターで、たびたび鋭い突っ込みを入れる。一見ノリは軽いが、実は一番冷めた奴。嫌いって人もいたみたいだね、割と完璧キャラだし。

鈴:あぁ、そうだね。
でも、こういうキャラがいないとな。辛島と国府ふたりだけだと、のほほーんな雰囲気で話にしまりがなくなるから、こういうのがいないと。

扇:そういえば、一見のほほんな人で警察官の川口さん。辛島君と組んで犯人をしばく、いわゆる父親役の人。子供好き、に見えるがこれは辛島君と出会ってからのこと。以前はどちらかというと無気力というか、他人に干渉しないタイプの人だった。

鈴:そういえばそうだったな。国府が取り上げられがちだけど、坂本、川口ともに、辛島、国府のふたりに感化されて、いい方向に向かってってなぁ。

扇:そう、辛島&国府は他人を不安にさせるタイプのコンビだったしね。メインキャラはそんなところかな。この四人と、犯人やら同級生やら謎の女性やらが絡んで話が進行する群像劇です。全体的に優しい感じが漂ってるけど、割と刑事物してたりするので冗長にならずに済んでます。好きなのは坂本が辛島の暗部を指摘して、国府がそれを受け止める話かな。

鈴:健気だねぇ、国府。
でも、ホント、優しい話でございます。辛島&国府のふたりのほっとするような、いわゆる癒し系とも言える物語を堪能してもらいたいものだね。

扇:というわけで、今日はこんなところです。大した解説ではありませんが、気になったなら上のアマゾン・リンクにも行ってみて下さい。

鈴:そうだね。
……と言うより、けっこう読んでほしいな。理性派のSEN、感性派のLINNともにオススメなのはけっこう少ないので、話題にできるだけ、ダメなものはないと思うぞ(笑)

扇:うむ、とりあえず画面中に愛が飛び交ったり、謎の言語が聞こえたり、都合のいい足長美形脳みそ猿以下の男も出てこないから少女漫画アレルギーの人にも読んで欲しいね。てとこで、さよなら、さよなら、さよならぁ~。

鈴;ホンットに、いいマンガってのはいいですねぇ



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セルダンがやらねば誰がやる?

2005-03-30 20:15:00 | SF(海外)
さて、最近営業サボっている第120回は、

タイトル:ファウンデーションへの序曲(上)(下)
著者:アイザック・アシモフ
文庫名:ハヤカワ文庫

であります。

ドラクエIIIIIやったことありますか?
私はIIが一番好きなんですけど、大抵の人はIII最高って言います。なぜじゃ。

かなりいい加減な説明ですが、ファウンデーション三部作をドラクエI、『~の彼方へ』と『~と地球』をドラクエIIとすると、本書及び次作『ファウンデーションの誕生』はドラクエIIIに位置づけされます。そして伝説へ……つまり、ファウンデーションの生みの親である勇者(嘘)ハリ・セルダンの物語ですね。しかし、ゲームやってない人には意味不明だなこの解説。

目に見えぬ腐食が銀河帝国を蝕み、科学もすたれ始めている世紀末。
時の皇帝の耳をくすぐる、非常に興味深い噂があった。
ある男が、数学的に未来を予測することを可能にしたというのだ。
奴の名はハリ・セルダン!
皇帝は彼を呼び出し、心理歴史学の有用性について尋ねる。
しかしそれは未完成であり、同時に皇帝の望むものでもなかった。

帝国の未来を憂慮するジャーナリストがいた。
首都トランターの出生率の低下、貿易の停滞、人民の無気力化。
彼――ヒューミンは来るべき無政府状態を救い得る者を探し、発見した。
奴の名はハリ・セルダン!
彼はセルダンに心理歴史学の有用性を説き、完成することを要請した。
これが、以後の銀河史を大きく変えることになる。

彼は辺境の一数学者に過ぎなかった。
彼は純粋に数学的興味から理論を導き出したに過ぎなかった。
彼は心理歴史学に他の者が感じたような驚異的な機能を求めてはいなかった。
奴の名はハリ・セルダン!
後に神格化され、最も敬われ、最も恐れられる男。
奴の名はハリ・セルダン!
銀河の未来を選択し、見えざる手で人々を支配すると言われる男。
奴の名はハリ・セルダン!
三十二歳の彼は、自身の未来を知ることなく迷い続ける。

B級映画の話をしているわけではない。

本作はファウンデーション・シリーズの第六作目ですが――恐らくアシモフ自身がそれまでの作品を前提として読んでもらうという形に疲れていたのでしょう――完全に独立した作品として成立しています。これから読み始めても支障がないぐらいです。(もっとも、読んだら読んだで第五部のネタが少し割れてしまうのだけど)

ちょっとアシモフを知らない人のために捕捉。
数学的に未来を予測、と書くと随分固いイメージがありますがそんなことはないです。
アシモフの基本は「おしゃべり」であり、必要なことはすべて会話で読み取れます。
だから、予備知識として『××理論』だとか『××の定理』だとか『××の法則』などの数学的知識を学んでおく必要はまったくなし。

実際のとこ彼にハマった理由はコレだったりします。

ハードSFが悪いとは言いませんし、好きです。
でも純粋に物語だけを楽しみたい人にとっては、敷居が高いかも。
それがSFだ! とか主張されると困るけど、SF嫌いを育てているのもそこじゃないかなぁ……。
読書を志すなら必要な知識は学ぶべきだとは思いますが、あんまり専門的過ぎると避けたくなるのも仕方ないかと思ったりします。

というわけで、改めて主張。
本作に限らずファウンデーション・シリーズはSF嫌いの人にもオススメ。
ド派手な戦闘も口から酸を吐く異星人も格好いいメカとかも出てきませんが、物語としては一級品です。



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ァはトレヴァイズのァ

2005-03-29 15:12:26 | SF(海外)
さて、ネタバレ禁止を自分に課しつつ第119回は、

タイトル:ファウンデーションと地球(上)(下)
著者:アイザック・アシモフ
文庫名:ハヤカワ文庫

であります。

前作、『ファウンデーションの彼方へ』の続編です。
主人公はまたもゴラン・トレヴァイズ。(響きがいいのでこっちでいきます)

前作のラストで、トレヴァイズはある重要な決断を下しました。
しかしその直後に、彼は自分の直感に疑問を抱き始めます。
飽くまで直感は直感でしかないため自分自身を納得させることのできない彼は、自分の出した結論をより明確なものにするべく、手がかりを求めて地球を目指します。
要するに前作では地球を発見できなかったってことですね。わっ、既にネタバレだよ。

この世界において、地球は忘れられた伝説上の星となっています。
各地に痕跡は残っているのですが、確固たる記録は旧帝国最大の知識の集積場である銀河図書館にすら存在していません。
トレヴァイズ達が探索の果てに見るものとは? 現在の地球とは? そして、最後に待ち受けるこの先の未来とは?

またも抽象的な書き方になって申し訳ありません。
第四部、第五部はアシモフが描いた未来史の最後尾であり、他の作品で提示されてきた様々な設定が収束されているため、ちょっとでも何かを明かすとすぐさまネタバレになってしまうのです。
単独でも読めないことはありませんが、少なくとも『ファウンデーションの彼方へ』だけは先に読んで下さい。アシモフ自身は冒頭で、『ファウンデーションと地球』は独立している、と書いていますが、深読みしようとするとやはり苦しいです。

この後もファウンデーション・シリーズは続きますが、時代的には過去に遡るため、事実上本作が最後の銀河帝国興亡史ということになります。
願わくば他界されてしまう前にこの先を書いて欲しかったところですが、それには長い月日が必要とされたかも知れません。
本作の最後で再びトレヴァイズはある予想をするのですが、展開を持て余した末にアシモフが出した苦しい結論、だと感じました。もちろん作品的には充分に面白いのですが、これに不満を覚えた方は少なからずいたようです。

私的には三重丸のオススメ。でも、初めて、もしくはつまみ食いでアシモフを読んでいる方にはオススメしない。
単独で作品が成立しにくくなるのがシリーズものの悲しいところだけど、このシリーズに限っては仕方がない、と言いたいなぁ。贔屓し過ぎかも知れないけど。

ちょっと話を変えて――トレヴァイズに限らず、アシモフの作品にはところどころで作者とダブって見えるキャラクターがよく登場します。他に挙げるとすれば、ハリ・セルダンとイライジャ・ベイリでしょうか。

彼らに共通しているのは、常に『完璧』を疑うところです。トレヴァイズは自分の直感を疑い、セルダンは自ら編み出した心理歴史学を疑い、ベイリは訪れた世界そのものを疑い、そしてアシモフは自分の作り出した設定を真っ向から疑います。

思えば後年のアシモフの作品は、前作に挑戦するような形で展開されていました。
『神々自身』は単発ですがテーゼ、アンチテーゼ、ジンテーゼの三部構成になっています。

自らが老いたる巨竜である旧帝国と同じような立場になりながら、それでも前進を続けようとしたアシモフに敬意を表しつつ……今回はこれまで。



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意外と私以外にSENは沢山いた……

2005-03-28 20:19:44 | SF(海外)
さて、前の記事を忘れかけている第118回は、

タイトル:ファウンデーションの彼方へ(上)(下)
著者:アイザック・アシモフ
文庫名:ハヤカワ文庫

であります。

第64回第66回第68回で紹介したファウンデーション・シリーズの第四部です。
いずれ書こう……と思っていたら、いつのまにか一ヶ月半過ぎてしまいました、とほほ。

ハリ・セルダンがファウンデーションを設立して五百年。
ミュールの危機も去り、第一ファウンデーションは安定を維持したまま新帝国成立までの道程の折り返し地点を迎えようとしていました。
銀河系の三分の一以上に彼らの名は知れ渡り、その権威はもはや旧帝国を凌ぐほど。誰の目にも、このまま残る五百年が過ぎることは明らかでした。

しかし、光あるところ影がある。(このフレーズ、前も使ったような気が……)
そんなファウンデーションの快進撃を信じない人間がいました。
類い希なる直感力を持つその男――ゴラン・トレヴィズは、余りにも正確に進むセルダン・プランに疑問を抱き、議会でそれをぶちまけたのです。
当然の如く彼は逮捕され、危険分子として市長の査問を受けることになりました。

しかし、ここでちょっと事情が違っていたことが解ります。プランに疑問を持つ者は何も彼一人ではなかったのです。
半ば流刑のような形でターミナスを追い出され、トレヴィズは学者のジャノヴ・ペロラットと共に宇宙へ旅立ちました。目指すは人類発祥の地と言われる星――地球。

科学の発展で五百年前から続く神話を崩そうとする第一ファウンデーション。
自分達の持つ力を信じ、飽くまでプランを遂行しようとする第二ファウンデーション。
二つの巨大勢力に翻弄されるトレヴィズ達……そして新たな存在との接触。
探索の果てに、彼らは銀河全体を揺るがす大事件へと首を突っ込むことになります。

抽象的な書き方で申し訳ありませんが、粗筋はそんなところです。
全部説明しようとすると、ファウンデーション三部作、イライジャ・ベイリ・シリーズ、最低でもこの二つを読んでいない方には激しくネタバレになってしまうのです……うががが。

とりあえず、上記の二つのシリーズを読んだ上で、これから本書にかかろうという方にオススメします。もうなんというか、三十年越しに書いたとは思えない盛り上がり方で、これ読まずしてアシモフ好きは名乗れないってぐらい読ませる作品です。

ちなみに、私が読んだのはハードカバー版だったのですが、そちらは主人公の名前がゴラン・トレヴァイズとなっていました。文庫版よりこっちの方が良かった……。



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やはりいい短編は難しい

2005-03-27 11:25:14 | 恋愛小説
さて、久々に短編集を読んだなぁの第117回は、

タイトル:縁切り神社
著者:田口ランディ
出版社:幻冬舎文庫

であります。

都合12編の短編を収録した本で、1本の長さが概ね20~30ページ前後と通勤の電車やバスの中で読むのに適した長さになっている。

では、それぞれの……と言いたいところではあるけど……、とりあえず、それぞれの話のタイトルは、
再会
悲しい夢
アイシテル
夜桜
夜と月と波
縁切り神社
世界中の男の子をお守りください
島の思い出
どぜう、泣く
恋人たち
エイプリルフールの女
真実の死

このうち、半分は「別れた元彼と再会したりして、自分が誰も愛していなかったことを自覚する」話。

この時点でもうそれぞれを評する気なし。

amazonのあおりに「男女のリアルで意外な一幕を描く傑作・恋愛小説集」とあったけど、どこが?

とは言うものの、短編集なので「これは!」というのがないわけではない。
この中でいちばん気に入ったのは「島の思い出」

末期ガンの母、自殺した父……そんな中で仕事も辞め、恋人とも別れ、母の看病をする主人公。
そんな環境から逃げたくて屋久島の縄文杉を見るための旅に出る。
そこで出会うガイドの男性の言葉や主人公の心理描写など、重くなりすぎない程度に、逃げたくなる環境の深刻さや主人公の心の動きがうまく描かれている。

そして最後にたったひとりで縄文杉のもとへ行き、孤独を感じながらも凛として空を見上げる主人公の姿はほっとさせられる。

この話だけは冒頭からラストの一文まで、ストーリーの流れもよく、ラストの一文もうまいと思う。

これ以外だと、最初の「再会」
いろんな男と付き合って変わった女と変わらない元彼の男。
再会したあとのセックスの中で変わりように戸惑う男に、最後に女のほうが「もう一回、しようか?」としょぼくれた男に向かって、あけっぴろげに言うセリフは、くすりとさせられる。

こういうときは男より女性のほうが潔い、と思ったり、ね。

まぁ、まったく見るべきところがない、とは言わないし、どうしようもなくはずれ、とも言わない。
1話1話を読む時間は短くてすむし、このひとの作品を読んだことがない、と言う場合にはどういう作家なのかを知るにはいいかもしれない。

でも、やっぱり、山田詠美の「色彩の息子」のように、インパクト、発想、描写のすばらしさなどなど、とにかく「すごいっ!」と思わせられるような短編は、なかなかないよなぁ。
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夢~で、会いましょお~

2005-03-26 22:38:17 | ファンタジー(異世界)
さて、前回ベタ褒めしといて今度はこき下ろすかも、な第116回は、

タイトル:12月のベロニカ
著者:貴子潤一郎
文庫名:富士見ファンタジア文庫

であります。

第41回で紹介した貴子潤一郎のデビュー長編です。
女神ファウゼルに選ばれ、ベロニカの名を継ぐと共に眠りに落ちてしまうヒロイン。それを守る十三人の騎士の一人にして彼女の幼馴染みである主人公。そして、騎士達の危機を救った隻腕の剣士ハキュリーの物語。

本作の外伝『眠り姫』を読んだ時から嫌な予感はしていました。
この人、長編は向いていないんじゃないかなぁ、と。
舞台をファンタジー世界に移し、眠り姫を女神に選ばれた巫女とした本作。
一抹の不安を抱えたまま、私はページをめくっていきました。

予感が当たるのって痛い……。

ハズレ、とは言いません。
非常に綺麗な話で、すんなり読めます。
キャラの扱いがバランス取れてないような気がしましたが致命的ではないです。

でも、一章読んだ時点でネタと構成とラストが全部読めちゃうのはちょっとどころじゃなく痛かった……。仕掛けを使うなとは言いません。しかし、複線の張り方が余りにも素直すぎます。『眠り姫』は簡素だったけど、こちらは冗長な感じ。短編でおさまるネタを引き延ばしたという感が否めません。

短編作家としてはかなり好きなんだけどなぁ。
無論、次作で凄い長編を出してくれたらそれはそれで嬉しいんだけど。
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星はしゃべりません

2005-03-25 00:38:50 | マンガ(少年漫画)
さて、こちらもマンガにご登場願う第115回は、

タイトル:ほしのこえ
原作:新海誠  漫画:佐原ミズ
出版社:講談社

であります。

というわけでこちらも漫画に登場願います。
特別好きだというわけではなく、すぐ手元にあったので。(ひどっ)

時は2046年。
中学三年生のミカコとノボルの道は大きく分かれた。
ミカコはトレーサーと呼ばれる人型兵器に乗るため宇宙へ。
ノボルは軍の適性検査に引っかからず、高校へと進学する。
未知の生命体と戦うミカコとその身を案ずるノボル。
そんな彼らをつなぎ止めているのは携帯メールのみ。
だが、二人の日常は否応なしにかけ離れていき、時間と距離が細い絆を浸食していく。
メールも、ミカコが地球を離れるにつれて往復時間が延びていき……ついに。

私は『らぶすとぉりぃ』という奴が苦手です。
でもこれはすんなり読めました、あまりベタベタしてなかったからかな?

ロボット意味ねーじゃん、とか。
なんで宇宙で携帯メールなの? とか。
結局、異星人タルシアンて何よ? とか。
色々と突っ込み所はありますが、

気にするな、そんなものは些事だっ!

到着時間が表示される携帯のディスプレイを見ながら、それでも会いたいと呟くわけですよ。地球と宇宙じゃ時間の流れが違うので、ノボルの方が先に歳を食っていくのですよ。とても、『究極の長距離恋愛』なんて言葉だけじゃ表せない悲惨なものがそこにはあったりするのです。ま、SFネタとしては過去にもありましたが。

絵が非常に綺麗なのとテンポが良いのが相まって一気に読んでしまいますが、ところどころにうっかり読み飛ばしてしまう情報が落ちてたりします。実は携帯メールの到着表示も、これ書いてる最中に気付いたりした。(爆)

数字にこだわってはいけません、素直にらぶすとぉりぃとして読むのが吉。
ちなみに元はOVAで、小説も出てるらしいですね。はて、手を出すべきか……。
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珍しい題材

2005-03-24 23:00:05 | マンガ(少年漫画)
さて、とうとうマンガにご登場願う第114回は、

タイトル:武神戯曲(1)(2)(3)
著者:上田宏
出版社:電撃コミックス

であります。

この作品、極めて珍しく「京劇」をテーマにした作品であります。

京劇と言うと耳慣れないかもしれないので、少し説明を。
と言っても、日本の歌舞伎にあたる中国の伝統音楽劇。ただし、歌舞伎と違って活劇がとても派手で見栄えがする。

派手な衣装やメイク、立ち回りなど、京劇は娯楽性の高い演劇としていまなお中国で愛されている大衆演劇。

そういう題材を扱う、と言うので中国文化好みの私としては手を出さずにはいられない(笑)

でも、変わったものを題材にしながらけっこう秀逸。

主人公はいわゆるタイムスリップをして、中国に行ってしまう。
頼りは中国で京劇の役者をしていたと言う祖父。
時代は日本が中国を植民地化していたころで、日本人への風当たりは強い。

そんな中、京劇の学校に通いながら祖父を捜す主人公。

たった3巻で終わったのが残念なくらい出来がよい。

京劇らしい立ち回りの練習や舞台、衣装、1話1話の合間に入る京劇の説明。
絵柄はすっきりしているし、日本人であるが故に何かと阻害されがちな主人公の前向きに生きていく姿もいい。

ただ、ほんとうに3巻で終わってしまったのだけが残念。
もっともっと京劇のおもしろさを伝える、と言うのを続けてもらいたかった。

そういう意味では、電撃の編集部には一言言いたいくらいだね。

でも、いままでの中国もの、と言うのとは毛色が違った作品でけっこうオススメ。

これ読んで、マジで京劇見に行きてぇ、とか思ったくらいだったしね。



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出る出る出る出る、ついに出る!

2005-03-23 23:49:56 | ゲームブック
さて、漫画ではないけど漫画のような第113回は、

タイトル:ゼルダの伝説――蜃気楼城の戦い
著者:樋口明雄
文庫名:双葉文庫

であります。

ディスク・システムって、つおい?

うちにそんな高級なものはございませんでしたよ、はい。

本書は超有名アクションRPG『ゼル伝』のゲームブックです。
ストーリー的にはゲームの後日談で、リンクとゼルダがよろしくやっているというお話。

じゃなくて。(それもあるにはあるが)

魔界からやってきた魔将軍ガイアなるヒゲが渋いオジサマがいまして、こいつがリンクが苦労して集めたトライフォースを四つに破壊したのです。おかげで魔物が復活し、ハイラルは荒れ放題。

おまけにこの方、結婚秒読み寸前だったリンクとゼルダに呪いをかけました。クリスタルムーンと呼ばれる水晶球にリンクは夜、ゼルダは昼に封じ込められてしまい、二人は出会うことが出来ない。

無論、草刈り大好きな勇者リンクとちょっとチャネラー気味の王女ゼルダがこんな横暴を許しておくはずがありません。二人は昼と夜、互いの時間をフル活用して、ガイアの居城――蜃気楼城(ミラージュ・キャッスル)を目指すのでありました……。

と~っても工夫の多い作品で、かなり好きでした。場所を移動すると時間が経過し、昼夜の入れ替わりと共にキャラが交代するシステムや、ゴールなのにあっちこっちに幻のように現れては消える蜃気楼城など、今読んでもかなり斬新な気がします。(ゲームブックって大抵一本道だったしねぇ)

あ、そうそう。知らない方のために説明しておくと、ゲームブックとはサウンドノベルの原型になった、選択肢を選んで読み進めていく小説のことです。選んだ選択肢によっては、あっさり死にますし、体力ゲージの増減も自分で紙に書いてチェックします。コンピューター・ゲームに慣れた人にとってはイマイチ面倒かもしれませんが、私のような『懐が寒いガキンチョ』にとってはかなり有り難い代物でした。今はすたれちゃったけど。

もし、発見できたら暇つぶしに読んでみて下さい。コンピューター・ゲームとは違った味わいがあります。

蛇足ながら、表紙の絵と中の絵はかなり違います。私は中の方が好み。


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いちおうSFだと思う

2005-03-22 20:20:55 | SF(国内)
さて、いつになったらマンガが出てくるのだろうの第112回は、

タイトル:ザンヤルマの剣士
著者:麻生俊平
出版社:富士見ファンタジア文庫

であります。

既出のものだけど、今回は各巻ごとに。
と言うより、すでに富士見ファンタジアでは、このひとの作品しか買わなくなったくらい、唯一この文庫では好きなほうなので。

さて、第1巻の今回は、主人公の矢神遼がある紳士からタイトルにもなっている「ザンヤルマの剣」をもらうところからの話。

遙か過去に栄えた文明であるイェマドの遺産……という時点で、どうやらSF臭くなってくる。

話の内容は限りなく人間を書いているので、なかなかそういうふうには見えないかもしれないけど。

つか、既出にも書いたけど、主人公の遼はとにかくどこにでもいるような平凡で、取り立てて何か得意なことやスポーツがあるわけでもない、この文庫のカラーからしては異色のキャラ。

遺産を受け取ってから起きる殺人事件に、自分がやったのではないかと悩んだり、自殺を考えたり、そもそもこの話が暗いのは主人公の性格の暗さも十二分に関わっている。

もうひとりの主人公でヒロインの、遼の幼馴染みの従妹の朝霞万里絵のほうが、状況判断は速いし、行動力、それを実行できるだけのスキルがあるくらいだし。

ともあれ、殺人事件となると今度はミステリーか? と言う感じになってくるけど、遼と万里絵、イェマドの生き残りのふたりを加えて、誰が遺産を使って殺人事件を起こしているのかを調べていく。

そこで浮上してきたのが、遼のよく知っているひとで、さらに憧れていたひとだったので、遼の煩悶は強くなる。

そんな中、感情を制御しきれずに殺人を繰り返したそのひとを助けたくて奮闘するが、結局、精神崩壊で精神病院行き。

……うーむ、救いがないな、第1巻。
よくこれで富士見ファンタジアの編集部、OK出したなぁ(笑)
いまのライトノベルの王道を突っ走ってるのを見ると、そう思う。

まぁ、だいたい物語の半分くらいは心理描写に費やされていて、男性作家の割には、人間を描くことに腐心してるように見える。

SFと言うには設定の甘さは否めないし、描写力もいいとは言えないところもある。
ただ、何も特別な存在でもない等身大の主人公が悩みながらも様々な困難に立ち向かっていく、と言う定番さは安心できるかも(笑)
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