つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

幻想世界と言えばこの方々

2006-10-30 23:44:20 | 事典/図典
さて、こういうのも紹介しないとウチではない第699回は、

タイトル:光脈水焔譜
著者:加藤龍勇(旧:加藤洋之)&後藤啓介
出版社:朝日ソノラマ(初版:H4)

であります。



【天使役を演じているノッペラ星人】

(※上の絵は私がマウスで描いたラクガキで、タイトルも適当に付けたものです。元ネタは本書の中の……)


合作絵師『加藤龍勇(旧:加藤洋之)&後藤啓介』の画集です。
全127点、うち82点がカラー、45点がモノクロ。
巻末にすべてのカラー画の解説もあり、思う存分、両氏の世界を堪能出来ます。

え? 『加藤龍勇&後藤啓介』を知らない?
『ねこたま』とか『オーラバトラー戦記(旧版)』とか『月のしずく100%ジュース』のイラストを描かれてる方々ですってば!

絵を言葉で表現するほど虚しいものはありませんが、敢えて画風を説明すると――。

植物的な衣類と、鉱物的な機械と、アンドロイド的な美しさを備えた人々が存在する幻想世界。

何言ってるか解りませんか?
すいません、言ってる私もよく解りません。(爆)
てっとり早くどんな絵か知りたい方は、両氏のホームページを御覧下さい。

『studio burabura』

本書に収録されているイラストですが、雑誌・小説の表紙・挿絵がメインです。
とりあえず、目に付いたものを適当に挙げていくと――。

・『獅子王』扉絵。
・『オーラバトラー戦記』表紙・口絵。
・『ねこたま』『まさかな』表紙。
・『スクラップ・ドリーマー』口絵。
・『ハイブリッド・チャイルド』表紙。
・『ダーティ・プリンス』表紙。
・『ドラゴンマガジン』目次イラスト。
・『超弦世界のマリア』挿絵。

他にもありますが割愛。
上記の作品を読んだことがある方は、九割ぐらいは絵に惹かれて買った筈。
これらのとてつもなく綺麗な絵に引っかからん奴などいるわけがないっ!(いつになく独善的な見解)

どこかで両氏の絵を見たことがあり、もっと見てみたいな~と思ったなら、本書はかなりオススメです。
あ、もちろん、ファンは問答無用で買い。(義務)
生憎、私はCDロム画集『夢帽子 before and after blue』は持っていないので、被るイラストがあるかどうかは未確認だったりしますが……アナログにはアナログの良さがあるよ、うん。

さすがにでかいからねぇ

2006-07-29 15:19:33 | 事典/図典
さて、実は手頃なのってなかなかないのよねの第606回は、

タイトル:中国の神話 天地を分けた巨人
著者:君島久子
出版社:筑摩書房

であります。

どちらかと言えば、神話学と言うより神話物語。
一般向けよりもやや平易に、子供向けとも見えるくらいの本。

とは言え、本書の刊行当時1983年ではまだ一貫した体系立てたものが整備されていなかったのか、中国の少数民族のものがほとんどで、漢民族のものは少数。
それを天地創造から起源伝説まで、大きく4つの章に分け、その中に4~6話の神話が収録されている。

I 天地創造神話
「天地を分けた巨人 盤古」(漢民族)
「天地のはじめ」-巨人グミヤーの話(プーラン族)
「人類の祖、チプマとチミマ」(アチャン族)
羿げい、太陽を射る」(漢民族)

盤古の神話や羿あたりのは有名だが、グミヤーの話も、羿のものと同様、たくさんある太陽や月を射落としてひとつづつにする、など共通項も見える。
ただ、4話しかないのはちと物足りない。

II 民族の創世記
「土をこねて人をつくる」(トウロン族)
「生き残った兄妹」(ミャオ族)
「人類遷徙記-洪水伝説」(ナシ族)
「創世記」(リス族)
「盤王の伝説」(ヤオ族)
「竹の息子たち」(イ族)

「土をこねて~」は女禍が人を作ったとする神話と共通のものがあったり、洪水伝説とかは世界中の神話にも見られるもの。
「竹の息子たち」は、竹取物語にも似た竹から子供が生まれてと言うもので、興味深かったねぇ。

III 天と地の神話
「太陽をさがしに」(チワン族)
「月へのぼった女神」(漢民族)
「七人の兄弟星の物語」(チベット族)
「水仙姫」(ヤオ族)
「天神・地神-岩になった若者」(蒙古族)

「太陽をさがしに」は妊娠している女性が途中産んだ子供の2代に渡って太陽を見つけると言うもので、「月へのぼった女神」は有名な月女神の嫦娥の物語。
けっこう読んだことのある神話が多かったかな。

IV 起源伝説
「火の神と煙の神」(シェ族)
「穀物の種の来歴」(チベット族)
「紅い箱-文字のはじまり」(イ族)
「天上から稲をぬすむ」(ハニ族)
「いれずみのはじまり」(リー族)

このあたりはけっこう、天上の者と地上の者が結婚し、そのために何らかの起源が人間に伝わった、という類の神話が主体。
まぁ、もらったり結婚したりするのに、とんでもない条件を突きつけられて、それを天上の者が助言して解決する、と言うのがけっこう定番かも。

以上が本書に収録されている神話のすべて。
やはりやや子供向けっぽい向きもあり、平易で読みやすい。
入門書としては申し分ないとは思うが、それなりに知っているひとにとっては物足りないかなぁ。

けども、総じては良書と言えるだろうね。
読んでみたいけど、どれがいいのかわからない、なんて初心者にはオススメ。

梅雨時でも

2006-07-08 14:48:01 | 事典/図典
さて、曇り空も風情はあるのねの第585回は、

タイトル:雲の名前の手帖
著者:高橋健司
出版社:ブティック社

であります。

第111回にある「空の名前」とおなじ著者が、タイトルどおり、雲のみを題材にした写真と短い解説文の本。

構成は次のとおり。

I 低気圧の雲
低気圧、と言うと雨。
天気予報を見ても、通勤通学がめんどくさくなる単語だけど、低気圧がやってくる前の晴れた時間帯から次第に雨を予感させ、そして雨が上がったあとの雲までを紹介。

さらにこの中からも細かく分類されており、「巻雲」「巻積雲」「巻層雲」「高積雲」「高層雲」「層積雲」「層雲」「乱層雲」とそれぞれの特徴ごとにあり、これとはちょっと異なって「暖域の雲」「寒冷前線の雲」とある。

II 晴天時の雲
晴天のときと言うと、雲ひとつない、と言う表現があるように雲がないほうが気持ちいいのは気持ちいいけど、小さく孤立したような雲から、太陽に暖められて起きる積乱雲(入道雲)など、晴天時に特徴的な積雲、積乱雲を紹介。

III 風が造る景色
文中にあるけれど、風が山にぶつかって上昇気流になって雲を作る。
たとえばそんなふうに出来る独特の雲を紹介。

IV 光が作る景色
太陽の光を透かして出来る雲間の後光や彩雲や、夕焼け空が彩りを添えて様々な表情を変える空の世界を紹介。

このあとは参考という感じで、「低気圧の雲」であった各種類の「雲の見分け方」、「雲のできるわけ」、「天気図で空をよむ」、「低気圧の雲」に対応した低気圧に伴う雲の分布の一例を解説した「雲の流れ」と言うのが掲載されている。

なんか、こういう本を読む(見る)と、梅雨時の曇り空でも何となく憂鬱な感じがしなくなるもんだねぇ(^^

さておき、ほんとうにいろんな雲があって、いろんな形があって、いろんな名前がある雲の写真が豊富に掲載されていて、また、解説も写真を鑑賞するには邪魔にならない程度でちょうどいい。
これを読んで、俄か雲博士になるもいいし、晴れた日には外で、雨の日には窓越しに移り変わる雲の表情にまったりとするのもいいだろうね。

それにしても、ふと見た雲が、何かに似て見えたりするけれど、写真の中にあった入道雲の写真は、かなり秀逸。
ほんとうに入道がふたり、向かい合ってるふうに見えるんだもんなぁ。

それも入るんかいっ!

2006-06-25 17:57:29 | 事典/図典
さて、人間から人外への第572回は、

タイトル:天使の事典 KNOW YOUR ANGELS バビロニアから現代まで
著者:John E. Ronner 訳:鏡リュウジ・宇佐和通
出版社:柏書房

であります。

その名のとおり……と言うか、これ以上説明のしようがないくらい、タイトルどおりのストレートな本。

構成としては、原書のアルファベット順から五十音順に改められており、誰もが知っている大天使ミカエルなどのキリスト教の天使はもちろん、ユダヤ教、イスラム教と言った一連の宗教に登場する天使も扱っている。
また、堕天使ももともとは天使と言うことで、サタンやルシフェル、ベールゼブブなどの悪魔も収録。

さらには天使に関する詳細な著述を行ったトマス・アクイナスなどの人物や、テレビドラマや映画に登場する天使などもあり、はたまた天使関係の本を著した作者や、いわゆる天使関係のフリークで作られた団体まで入っていたりする。
(おまけに、そこの連絡先住所まで書いてある)

挙げ句の果てには、菩薩まで天使扱いである。

……をい……。

確かに、訳者あとがきにあるように、内容的にはけっこうお手軽で、本の下段2センチ程度のスペースに解説や天使に関する宗教画などが挿入されており、文字だけではない魅力があるにはある。
事典としても、ただ単に天使だけの紹介ではなく、天使にまつわる周辺の宗教家や団体、概念などにも触れており、広く浅くにはいいかもしれない。

……しれないが……、無節操すぎるぞ。

確かに、神の意志に従って人間に影響を及ぼす存在、と解釈すれば何とか理解できる神話や他宗教の神もあろう。
とは言え、菩薩は如来とは異なる存在ではあるが、仏は仏で神の僕というわけではなかろうし、ヴァルキューレもオーディンの命に従って活動はするがれっきとした女神であろう。
それを一緒くたにして「天使」と銘打った事典の一項目にするのもねぇ……。
もともとアメリカで出版されたものだが、向こうの人間にいらん誤解を与えそうな内容だ。

まぁ、だからと言ってまったく見るべきところがないかと言えば、ときおり見られる天使に助けられたとする体験談は興味深い。
いろいろと思うところはあるが、それを天使にせずにいろいろと別のに当てはめたりしていけば、物書きのひとつのネタにはなるかな、とね。
……逆に言えば、それくらいしかおもしろみがない、とも言えるが(笑)

まぁ、天使だけのことでいいながら、Wikipediaで検索したほうが早いし金もかからないのはホント(爆)

入門用

2006-06-23 21:31:49 | 事典/図典
さて、第570回は、

タイトル:陰陽師列伝 日本史の闇の血脈
著者:志村有弘
出版社:学習研究社

であります。

安倍晴明に代表される陰陽師。
その晴明を筆頭に比較的名の知れた奈良時代から鎌倉、江戸時代に至る陰陽師を紹介したもの。

構成は、

序章 秘法
初っぱなから何だが、秘法なんて大仰なものではなく、陰陽道とは、そして陰陽師とはどんなことをする者なのか、そんなことを短く解説しているだけである。
それなりに知識のあるひとにとっては、斜め読みで十分。

第一章 列伝
陰陽道を日本に導入したとする吉備真備から、晴明関係で有名な賀茂忠行、保憲親子、安倍晴明とその子孫などを各人物ごとに紹介。
「今昔物語集」と言った物語や「小右記」と言った日記などに記載されている事柄から、各人がどういうことをしたのかなどを描いている。

もちろん、文献の中での扱いによって内容の多寡は生じてしまうが、概して有名な話を収録しており、入門書としてはいいが、やはりここも多少の知識があれば物足りないだろう。
実際、「今癪物語集」とかを読んだこともあるし、それなりに陰陽道関係の本を読んだことがある私にはかなり物足りない。
ほとんどが知っている話だったりするし。

第二章 奇談
列伝よりもむしろこちらのほうが興味深かった。
上記の文献などに名は乗らないものの、逸話、説話として残っている民間の陰陽師の話を紹介している。
もっとも、何となくこれは聞いたような気がするものもあったりするけど。

参考 カラー口絵
中国から渡来した妖狐玉藻前たまものまえを、晴明の子孫安倍泰成が妖狐と看破し、それを上総介かずさのすけ三浦介みうらのすけが退治する物語の紹介。
なんでここだけカラーで、絵物語が入っているのか疑問。

第三章 暗躍
ここでは主に源平の時代に、ときの権力者に伺候した陰陽師の紹介をしている。
藤原頼長、平清盛、源頼朝、実朝と続く。

第四章 残照
陰陽師たちのその後、と言うことで、第三章の暗躍以後、江戸時代などでの主に晴明の子孫である安倍家(土御門家)を中心に紹介。

……と言うのが主な内容で、あとに付録が収録されている。

しかしまぁ、タイトルにも書いたし、中にも書いたけど、入門書だぁね。
夢枕獏の「陰陽師」シリーズや映画など、興味を持ったひとが最初に手に取るには、解説も冗長にならずわかりやすいのでオススメできる。
そうでなければ、他のもう少し専門的な部分にも触れたもののほうが満足できるだろう。

200%趣味(笑)

2006-04-12 22:35:07 | 事典/図典
さて、記念も差し迫ってきたなの第498回は、

タイトル:猫のほんね
著者:野矢雅彦 写真:植木裕幸、福田豊文
出版社:中公文庫

であります。

表紙の写真にノックアウトされました(爆)

……いや、ホントなんだけど、それはさておき、本書は獣医の著者が猫の仕草や行動、表情などから、猫がそのときどんな感情の状態にあるのか、と言うことを豊富な写真を用いながら解説したもの。
いまならばニャウリンガルなんてのもあって、いちいちそんなことをせんでも……、と言う気がしないでもないけど、そこはそれ、やはり猫好きならば自分の目で判断すべし……。

と言いたいところだけど(^^;

で、内容はと言うと、各章のタイトルどおりの解説になっている。
最初から「喜ぶ」「遊ぶ」「追いかける」「狙う」「おねだりする」「驚く」「不思議がる」「怒る」「おびえる」「退屈する」「無視する」「人見知りする」「寂しがる」「くつろぐ」「眠たがる」の15パターン。
それぞれの解説はとても短いが、丁寧で豊富な写真と相俟って不足することはない。
それに、こうしてどういう仕草、行動のときに、どういう感情を表しているかを読みながら、実際に写真で示されると「なるほど……」と思う。

昔、知人宅が猫屋敷でよく猫をかまっていたけど、そのときにこの本で猫の様子がよくわかっていたらなぁ、と言う気にはなったなぁ。

あとは、丁寧でわかりやすい解説だけでなく、写真もまたいい。

なにせ使われている写真のほとんどが仔猫!!
ちっこくて、愛嬌たっぷりで、かわいくて、愛らしい仔猫が満載!!
いっちょまえに何かを狙って伏せてたり、高いところでおすまししてたりするのもまたかわいい。

原っぱを元気いっぱいに走ってるところもかわいいし、2匹でじゃれあってるところも、あくびしてるところも、ちゃっかり障子戸を開けたりするところも、寝こけてるところも、全部かわいい。

……あ、いかんいかん、これ以上いくと取り乱してしまいそうだ……(爆)

さておき、猫の様子もわかって、写真も豊富で一石二鳥……と言いたいところだけど、文庫でフルカラー、値段は600円(税込み)
となると当然枚数も少ないわけで、純粋に猫の写真を楽しみたいなら写真集とかのほうがいいかも、と言う気がしないでもない。
まぁ、文庫だし、お手軽な値段でもあるので好きなひとにはいいだろうね。

ただし、通勤のときには読まないほうがいいかもしれない。
あまりのかわいさに頬が緩みっぱなしになって、怪しいひとになりかねないので(笑)

三部作よりは数出てるよなぁ

2006-02-12 16:25:46 | 事典/図典
さて、とうとうこのひとが出てしまうの第439回は、

タイトル:TALES
著者:いのまたむつみ
出版社:エンターブレイン

であります。

副題に「Tales of Destiny2・Tales of Destiny・Tales of Eternia いのまたむつみ画集」とあるように、ナムコが制作・販売しているアクションRPGの「テイルズシリーズ」の画集。

小説の表紙絵や挿絵では、「宇宙皇子」「風の大陸」シリーズで、アニメでは「ウィンダリア」「ブレンパワード」などのキャラクターデザインを手がけたいのまたむつみさんの最新の画集でもある。

もともとがゲームのもの、と言っても、最近はメディアミックスで小説になったり、後日談などがドラマCDになったりと、いろんなジャンルになっているから、そういうので描かれたイラストなども収録されている。

その関係もあって、収録されているのは、販促用のポスターなどに使われるような大きめのイラスト、それぞれのキャラクターごとのイラスト、小説の表紙絵に使われたもの、ドラマCDのジャケットのイラスト、あと弱冠のラフ画など。
大きめのイラストには、ところどころにいのまたさんのコメントも入っている。

順番は、副題そのままで、「Tales of Destiny2」から始まり、「Tales of Destiny」、「Tales of Eternia」となっている。
ちなみにゲームの発売は、「Tales of Destiny」「Tales of Eternia」「Tales of Destiny2」

あとは、最後のほうに、各ゲームごとでのインタビューがある。
とは言うものの、各4ページで、ラフ画3ページ、インタビュー1ページ程度なのでかなり物足りない。
どうせなら、もっとしっかりとあってほしかったところ。

まぁ、画集なんだからと言えばそれまでだが……。

で、なんでこんなもので書評?
なんてことは言いっこなしで。

ただ単に、私がいのまたさんの大ファンなだけ(爆)

何がいいって、キャラクターもそうだけど、あの色遣いがかなりツボ(笑)
あの淡い色彩がなんと言ってもいい。
特に、線のことなんかどうでもいいように滲んで、はみ出した感じのがまたよい。

この画集のイラストはゲームのものなので、比較的しっかりした色遣いではあるけれど、らしさは十二分に感じられるので無問題。
てか、なんてったって、いったい何年ぶりだ!? ってくらいの画集なので、さらに無問題(爆)

う~む、今度実家に戻ったときにいままでの画集を漁ってこようっと……。

美しきアンドロイド達

2006-01-25 16:54:58 | 事典/図典
さて、またも珍しいものを扱ってみる第421回は、

タイトル:鶴田一郎展 ~美と幻想のミューズたち~
制作:集巧社
発行:産経新聞大阪本社

であります。

平成10年に三越高松店で行われた『鶴田一郎展』で買った画集です。
衝動買いでしたが、充分に元は取れました……やはり鶴田一郎はいい!

鶴田一郎って誰? とか言ってる人はいませんよね?
数年前まで、ノエビアのCMの顔だったあの美人画の方ですよ。
コスメティック・ルネサンスって言えば解りますか?

当時××歳だった私は、「ナマで鶴田一郎の美人画が見られる!」ということで、速攻で三越デパートに殴り込みをかけました。
いやー、楽しかった! ひたすら、「美しい~!」と叫びまくってました、もちろん心の中でですけど。

最初期の点描画から最新作まで、ズラリと並んだ作品群の中で一際眼を引いたのが縦長の巨大な作品『彼方へ』(94年作)。
満月の夜、滝に囲まれた岩場の上に立つ黒衣の美女を描いた幻想的な作品で、他の作品とは段違いの圧倒的な美しさを誇っていました。
本書にも収録されてますが、やはりもう一度ナマで見てみたいと思う……。

ちなみに鶴田一郎と言うと、オールバックの髪を後ろで束ね、切れ長で水色の眼を持つ色白の美人を描く人……というイメージがありませんか?
実は銀河帝国興亡史の初期三部作の表紙は鶴田氏だったりします。(宇宙戦艦や戦闘機が戦ってる奴)
展示会で見た、『赤と黒の誘惑』や最近の作品である『ときめき』もノエビアCMの作品とは大きく違います、どれも好きだけど。

気になった方は下記のサイトをチェックしてみて下さい。

鶴田一郎公式サイト
http://www.tsuruta-bijinga.com/

本書に収録されている作品のいくつかを閲覧できます。
『彼方へ』もあるのですが、画像が小さい……。(泣)

現在入手不可能なのものを書評に載せるなっ! と、お怒りの方はCD-ROMで出ている『鶴田一郎作品集』をどうぞ。
もっとも、私の手元にはまだ届いてないので、中に何が何作入っているかまだチェックできていませんが……。(爆)

ほんとうに読みやすいのか!?

2005-07-02 16:18:31 | 事典/図典
さて、乱読と言うにはかなーり違うような気がするの第214回は、

タイトル:有職故実図典 -服装と故実-
著者:鈴木敬三
出版社:吉川弘文館

であります。

誰が読むんだ、こんな本!

って、ここにいます(笑)

有職故実、と言うと古来の朝廷や武家の礼式・典故・官職・法令・装束・武具などを研究する学問で、別にこれを専門に学んだことはないけれど、枕草子を始めとする中古古典が好きで、この手のものも読んだりする。

礼式、典故、官職、法令とかのほうは講談社学術文庫の「有職故実(上)(下)」を持ってるんだけど、服飾関係はそうでもない。
やっぱりこの手のがあるとないとじゃ、古典を読むときもイメージのしやすさが違うし、言葉もわかる。

と言うわけで、2800円という値段にもかかわらず買ってみた。

構成は「男装」「女装」「武装」で、それぞれの服飾について、解説と、必ずひとつは図が入っている。
また、「男装」には、束帯、衣冠、直衣、狩衣など、女装は「女房装束」が中心、「武装」は鎧から太刀、鎧直垂など、細分化されていて、さらに解説がまた細かい。

たとえば、束帯では、武官の持つ矢を収める容器(やなぐい、という)とか、帯とかの、各部の名前、役割、着方まで説明されている。

ちと、細かすぎる感じはしないでもない。

まぁでも、読む以外にも資料として使うつもりで買ったので、それはそれでいいんだけど、ただやっぱりむずい。

再版の序には、「一般の方々にもそのまま読んでも理解していただけるように、文章を現代調に直した」とあるけど、これのどこか「読みやすいように」なのかはかなーり疑問。

確かに現代文にはなっているけれど、それが読みやすいかどうかは違うんだと思うんだけど、これ、現代文に直した鈴木真弓さんは、これで「一般の方々」に読みやすくなったと、ほんとうに思ってんのかなぁ。

もっとも、「一般の方々」の中でも、かなり限定された私のようなタイプでないと手に取るわきゃないだろうけど(笑)

だけど、「男装」の直衣や狩衣、女房装束とか、中古古典に馴染みがあると、ほー、っと言うところがあって、やっぱりこの手のが好きだから、おもしろかったのはおもしろかったんだけどね。

事典と言うには微妙なところも

2005-06-12 15:25:04 | 事典/図典
さて、ぶっといので時間がかかったの第194回は、

タイトル:世界神話事典
著者:大林太良、伊藤清司、吉田敦彦、松村一男
出版社:角川選書

であります。

事典と言うことで、世界のあらゆる地域の神話が網羅されている。
誰でも知っているギリシャ神話から日本神話などは当然、東南アジアやメラネシア、アフリカ、南北アメリカ、オーストラリアなどなど、ほんとうにいろんな神話が収められている。

構成は、

総説
共通テーマに見る神話
地域別に見る神話

の3つに大別されている。

総説と共通テーマに見る神話、と言うことで、ただ単に神話を集めて事典にしただけのものではない。
学問としての神話……神話学の本でもある。

と言うわけで、神話が目当てのひとはかなりきついと思う。

ちなみに私もいろんな地域の神話がありそうなので買ってみたものの、はっきり言って総説はうざかった。
別に何とか型の神話だとか、どういう影響を受けたとか、そんなのはぜんぜんいらなかったので、これには閉口した。

しかも、そのぶん、神話そのものがほとんど概要ばかりだし、いろんなのが散らばっていて、地域別に見る神話までけっこう読むのがめんどくさかった。

地域別に見る神話でも、神話そのものは概要版でそれぞれ特徴的なものや有名なものが主体。

とは言うものの、ここに来てようやく目当てのネタになってくるのでおもしろかった。
特に、アメリカとかアフリカ、メラネシア、ポリネシアなど、いままでまったく聞いたことがないような神話は興味深い。

もっとも、物書き的には読み物以外にも、こういうのは資料として使えるから、決して損をしたような感じはないけどね。

読み物として2200円はちと高いけど(^^;