さて、マンガが続くねぇの第1016回は、
タイトル:高杉さん家のおべんとう(1~5巻:以下続刊)
著者:柳原望
出版社:メディアファクトリー MFコミックス(初版:'10~)
LaLaDXを読んでいたときに、この人の作品はずっと読んでた。
けど、はっきり言って、いまいちパッとしない作品が多い印象で、1巻帯にある「一清&千沙姫シリーズ」って名前は聞いたことがあるから、LaLaDXで読んだことはあるんだろうけど、キャラも内容もまったく思い出せない。
なので単行本も買うこともなかったのだけど……。
本屋で1巻の試し読みができて、ぱらぱらっと3話くらいかなぁ、読んでみたところ、なかなかよい雰囲気を感じたのでとりあえず、出てある5冊、買ってみたんだけど……。
さて、ストーリーは、
『高杉温巳は困っていた。いろいろな意味で。
大学の地理学で博士号を取ったのはいいけれど、研究機関、大学教員の公募に落ちまくり、不況のおかげで就職もままならず。
両親が遺してくれたマンションのおかげで住むところには困らないけれど、非常勤講師などをやりながら何とか生活している三十路の31歳。
その温巳の目下の困難は、亡くなった叔母の美哉の娘である久留里の親代わり(正確には未成年後見人)になってほしい、というものだった。
美哉の遺言で、温巳が指名されていたと言うことだったのだが、久留里はこの春中学生になったばかりの12歳の少女。
はっきり言って無理だと思いつつも、弁護士に示された美哉の生命保険などから得られる養育費にぐらりと来るところへ、強引に久留里と引き合わされることに。
なし崩し的に「家族」とされてしまった温巳。
だが、困ったことはそれだけではなかった。叔母の美哉は、温巳が高校3年生のとき、美哉を迎えに行った両親が事故死してしまったことに責任を感じて温巳のもとを去っていった経緯があったのだ。
それが何の因果か、久留里を引き取ることになってしまって、どう接していいのかさっぱり。
とりあえず、家に連れて帰ったのはいいけれど、「家族」になるなんてどうすればいいのかわからない。ネットで検索してみてもネガティブな話題ばかりが眼について、結局諦めてご就寝。
翌朝、起きてから久留里のことを思い出した温巳は急いでキッチンへ向かうと、そこには朝ご飯を作っている久留里の姿。
おまけに貧乏だからと言うことで、久留里はお弁当まで作ってくれていた。
しかしながらお弁当と言っても文字通り蓋を開けてみればきんぴらごぼう1品のみ。
入り浸っている大学のゼミで同級生の香山や特別研究員の小坂にからかわれながらも、先日きんぴらごぼうは作れると、美哉に習ったと泣いていた久留里を思い出して、その特別な思いに気付く温巳。
それから数日、高杉家では保護者として成すべきこととして、ひとつのルールが決まった。
仕事をしている温巳は朝起きて、朝ご飯とお弁当を、久留里は晩ご飯を作る、と言うもの。
そうしておべんとうを通じて、温巳と久留里は一歩ずつ「家族」への道を歩いて行くことになる。』
うん、やっぱり第一印象って大事だねぇ。
1巻をぱらぱらっと読んで、いいと思って買ったものだけど、当たりだった。
てか、タイトルにも書いたけど、この人、こんないい雰囲気を持った作品を描けるんだなぁ、と正直感心したよ。
LaLaDX時代のを知っているだけに、余計に感心度合いが強かったねぇ。
まぁ、白泉社から離れて花ゆめのレーベルに合わせたものを描かなくていい、ってのもあるのかもしれないけど。
さて、ストーリーだけど、基本、1話完結の短編連作形式のお話。
タイトルにあるように、キーワードは「おべんとう」
おべんとうに入る1品を主体に、温巳と久留里の心の交流を描くのがメイン。
とは言っても、場所やネタは様々。温巳が入り浸っているゼミでの香山や小坂と言った面々とのやりとりや、温巳の就職問題、中学校へ通う久留里の日常や友達問題、はたまた温巳のフィールドワークに久留里やその友達がついていったりと、いろんなところでいろんなおべんとうの品や郷土料理などが披露されている。
また、テーマとなる1品には必ずレシピがついていて、これも感心させられる。レシピは温巳が美哉に作ってもらっていたころのものから、特別研究員の小坂の地元北海道のものだったり、舞台となっている名古屋特有のものだったりと、多種多様。
毎回テーマとなる1品を考えるのも苦労するだろうに、レシピまで入っているのにも感心。
帯に「ハートフルラブコメディ」とあるように、ほんとうにハートフルな雰囲気満載で読んでいてほんわかした気分になれるのがいい。
ラブコメディ部分は、人の機微にまったく気付かない残念男温巳に対する小坂と、「家族」の枠を越えてちょっと淡い恋心を温巳に抱く久留里のふたり。
しかし……、小坂は5巻時点で29歳と同じく5巻時点で34歳の温巳とは釣り合うが、久留里、君はまだ中学生だ。5巻時点で中学3年生になって卒業とは言え、温巳はもう34歳。いいのか、久留里!? 相手は19も年上のもうおっさんだぞ!(笑)
まぁ、温巳も温巳で小坂を逃せば、もうこのまま一生独身まっしぐらな気がしないでもないのだが……(笑)
さて、キャラのほうに移るとして、主人公の温巳。典型的な学者バカで人の機微にはこれっぽっちも気付かない残念三十路男(笑)
何とか久留里の保護者として奮闘しつつも、たいてい空回り気味なのがおもしろい。
また、あとがき曰く、いい加減就職しないと困ると言う理由で、1巻最後でゼミの助教授にしてもらったこれまた残念男(笑)
小坂さん、こんな男のどこがいいんですか? と聞きたいが、まぁ、そこはあばたもえくぼと言うことで(笑)
で、ヒロインの久留里。この子はとても個性的。
無口であまり感情を表に出さないけれど、時折見せる笑顔がとてもかわいい女のコ。
人付き合いが苦手で、当初は友達すらいなかったけれど、香山の娘のなつ希など、徐々に友達も増えていったりと、こちらは順調に成長中。
趣味は倹約。特売、底値、割引などに目がないとても中学生とは思えない渋い趣味で、温巳がときどき倹約を無視して買い物をすることに腹を立てることも。
喋り方も独特で、これも久留里のチャームポイントのひとつとなっていると言っていいでしょう。
あとは脇役の強引ぐマイウェイで温巳の同級生で准教授の香山、特別研究員の小坂、キノコ狩りで仲良くなった香山の娘で久留里のクラスメイトのなつ希など、適度に場をかき乱したり、コメディに仕立ててくれたりと、雰囲気を壊さない程度にいいキャラが揃っていて読んでいて楽しい。
5巻の帯で「マンガ大賞2012」ノミネート作品とあって、正直そういうのを見ると逆に引いてしまうタチなんだけど、これはコメディとしても楽しめるし、雰囲気も楽しめるとあって個人的にはかなりオススメなマンガだね。
基本1話完結の話なので、手軽にも読めるし、ゆっくりながらも「家族」となっていく温巳と久留里のストーリーも、穏やかな雰囲気と相俟ってじれったさを感じることもない。
総じて、オススメしやすい良品と言えるだろうね。
まだ5巻までしか出ていないので、お財布にも大ダメージを与えるほどではないので、読んだことのない方はハートフルな雰囲気を満喫してほしい、そんな作品だね。
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タイトル:高杉さん家のおべんとう(1~5巻:以下続刊)
著者:柳原望
出版社:メディアファクトリー MFコミックス(初版:'10~)
LaLaDXを読んでいたときに、この人の作品はずっと読んでた。
けど、はっきり言って、いまいちパッとしない作品が多い印象で、1巻帯にある「一清&千沙姫シリーズ」って名前は聞いたことがあるから、LaLaDXで読んだことはあるんだろうけど、キャラも内容もまったく思い出せない。
なので単行本も買うこともなかったのだけど……。
本屋で1巻の試し読みができて、ぱらぱらっと3話くらいかなぁ、読んでみたところ、なかなかよい雰囲気を感じたのでとりあえず、出てある5冊、買ってみたんだけど……。
さて、ストーリーは、
『高杉温巳は困っていた。いろいろな意味で。
大学の地理学で博士号を取ったのはいいけれど、研究機関、大学教員の公募に落ちまくり、不況のおかげで就職もままならず。
両親が遺してくれたマンションのおかげで住むところには困らないけれど、非常勤講師などをやりながら何とか生活している三十路の31歳。
その温巳の目下の困難は、亡くなった叔母の美哉の娘である久留里の親代わり(正確には未成年後見人)になってほしい、というものだった。
美哉の遺言で、温巳が指名されていたと言うことだったのだが、久留里はこの春中学生になったばかりの12歳の少女。
はっきり言って無理だと思いつつも、弁護士に示された美哉の生命保険などから得られる養育費にぐらりと来るところへ、強引に久留里と引き合わされることに。
なし崩し的に「家族」とされてしまった温巳。
だが、困ったことはそれだけではなかった。叔母の美哉は、温巳が高校3年生のとき、美哉を迎えに行った両親が事故死してしまったことに責任を感じて温巳のもとを去っていった経緯があったのだ。
それが何の因果か、久留里を引き取ることになってしまって、どう接していいのかさっぱり。
とりあえず、家に連れて帰ったのはいいけれど、「家族」になるなんてどうすればいいのかわからない。ネットで検索してみてもネガティブな話題ばかりが眼について、結局諦めてご就寝。
翌朝、起きてから久留里のことを思い出した温巳は急いでキッチンへ向かうと、そこには朝ご飯を作っている久留里の姿。
おまけに貧乏だからと言うことで、久留里はお弁当まで作ってくれていた。
しかしながらお弁当と言っても文字通り蓋を開けてみればきんぴらごぼう1品のみ。
入り浸っている大学のゼミで同級生の香山や特別研究員の小坂にからかわれながらも、先日きんぴらごぼうは作れると、美哉に習ったと泣いていた久留里を思い出して、その特別な思いに気付く温巳。
それから数日、高杉家では保護者として成すべきこととして、ひとつのルールが決まった。
仕事をしている温巳は朝起きて、朝ご飯とお弁当を、久留里は晩ご飯を作る、と言うもの。
そうしておべんとうを通じて、温巳と久留里は一歩ずつ「家族」への道を歩いて行くことになる。』
うん、やっぱり第一印象って大事だねぇ。
1巻をぱらぱらっと読んで、いいと思って買ったものだけど、当たりだった。
てか、タイトルにも書いたけど、この人、こんないい雰囲気を持った作品を描けるんだなぁ、と正直感心したよ。
LaLaDX時代のを知っているだけに、余計に感心度合いが強かったねぇ。
まぁ、白泉社から離れて花ゆめのレーベルに合わせたものを描かなくていい、ってのもあるのかもしれないけど。
さて、ストーリーだけど、基本、1話完結の短編連作形式のお話。
タイトルにあるように、キーワードは「おべんとう」
おべんとうに入る1品を主体に、温巳と久留里の心の交流を描くのがメイン。
とは言っても、場所やネタは様々。温巳が入り浸っているゼミでの香山や小坂と言った面々とのやりとりや、温巳の就職問題、中学校へ通う久留里の日常や友達問題、はたまた温巳のフィールドワークに久留里やその友達がついていったりと、いろんなところでいろんなおべんとうの品や郷土料理などが披露されている。
また、テーマとなる1品には必ずレシピがついていて、これも感心させられる。レシピは温巳が美哉に作ってもらっていたころのものから、特別研究員の小坂の地元北海道のものだったり、舞台となっている名古屋特有のものだったりと、多種多様。
毎回テーマとなる1品を考えるのも苦労するだろうに、レシピまで入っているのにも感心。
帯に「ハートフルラブコメディ」とあるように、ほんとうにハートフルな雰囲気満載で読んでいてほんわかした気分になれるのがいい。
ラブコメディ部分は、人の機微にまったく気付かない残念男温巳に対する小坂と、「家族」の枠を越えてちょっと淡い恋心を温巳に抱く久留里のふたり。
しかし……、小坂は5巻時点で29歳と同じく5巻時点で34歳の温巳とは釣り合うが、久留里、君はまだ中学生だ。5巻時点で中学3年生になって卒業とは言え、温巳はもう34歳。いいのか、久留里!? 相手は19も年上のもうおっさんだぞ!(笑)
まぁ、温巳も温巳で小坂を逃せば、もうこのまま一生独身まっしぐらな気がしないでもないのだが……(笑)
さて、キャラのほうに移るとして、主人公の温巳。典型的な学者バカで人の機微にはこれっぽっちも気付かない残念三十路男(笑)
何とか久留里の保護者として奮闘しつつも、たいてい空回り気味なのがおもしろい。
また、あとがき曰く、いい加減就職しないと困ると言う理由で、1巻最後でゼミの助教授にしてもらったこれまた残念男(笑)
小坂さん、こんな男のどこがいいんですか? と聞きたいが、まぁ、そこはあばたもえくぼと言うことで(笑)
で、ヒロインの久留里。この子はとても個性的。
無口であまり感情を表に出さないけれど、時折見せる笑顔がとてもかわいい女のコ。
人付き合いが苦手で、当初は友達すらいなかったけれど、香山の娘のなつ希など、徐々に友達も増えていったりと、こちらは順調に成長中。
趣味は倹約。特売、底値、割引などに目がないとても中学生とは思えない渋い趣味で、温巳がときどき倹約を無視して買い物をすることに腹を立てることも。
喋り方も独特で、これも久留里のチャームポイントのひとつとなっていると言っていいでしょう。
あとは脇役の強引ぐマイウェイで温巳の同級生で准教授の香山、特別研究員の小坂、キノコ狩りで仲良くなった香山の娘で久留里のクラスメイトのなつ希など、適度に場をかき乱したり、コメディに仕立ててくれたりと、雰囲気を壊さない程度にいいキャラが揃っていて読んでいて楽しい。
5巻の帯で「マンガ大賞2012」ノミネート作品とあって、正直そういうのを見ると逆に引いてしまうタチなんだけど、これはコメディとしても楽しめるし、雰囲気も楽しめるとあって個人的にはかなりオススメなマンガだね。
基本1話完結の話なので、手軽にも読めるし、ゆっくりながらも「家族」となっていく温巳と久留里のストーリーも、穏やかな雰囲気と相俟ってじれったさを感じることもない。
総じて、オススメしやすい良品と言えるだろうね。
まだ5巻までしか出ていないので、お財布にも大ダメージを与えるほどではないので、読んだことのない方はハートフルな雰囲気を満喫してほしい、そんな作品だね。
――【つれづれナビ!】――
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