つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

隠れん坊

2006-01-31 12:19:18 | 学術書/新書
さて、最後まで見つけてもらえなかった覚えがある第427回は、

タイトル:神隠しと日本人
著者:小松和彦
文庫名:角川ソフィア文庫

であります。

神隠しと聞いて、何を連想しますか?
千と千尋の神隠し? いや、ジブリはラピュタがあればそれでいいです。
神隠し連続殺人事件? 何か、ぼさぼさ頭の探偵とか出てきそうですね。
未来へタイムスリップして救世主伝説? それは『リュウ』ですってば。
中国風の世界へ連れ去られて国造り……って、それは『十二国記』

いい加減、しつこくなってきたのでやめます。

というわけで(なにがだ?)、神隠しの研究本です。
原題は『神隠し――異界からのいざない』、弱冠の加筆・修正あり。
特に専門的知識がなくても読めますし、約230頁と長さも手頃。

神隠し事件の真相を探る、いわゆる謎解き本ではありません。
背後の真相は種類こそあれど簡単に想像がつく、とした上で、なぜ神隠しという概念が生まれたのか、なぜ必要とされたのかを探るのが主題です。

まず何を以て神隠しとするか、すなわち、神隠しの定義。
次いで、神隠しに共通するお約束――目隠しされるとか、失踪者の草履が揃えてあったりとか、消えた者を探す方法とか、色々。

筆者はここで神隠しを四つのタイプに分類しています。
A1――戻ってきた失踪者が自分の体験を覚えている。
A2――戻ってきたけど、失踪者は自分の体験を覚えていない。
B――失踪者は戻ってこない。その後の消息は不明。
C――失踪者が死体で発見される。

そしてさらに、A1タイプの神隠し事件で語られた体験談、大陸から伝来した神仙伝説、天狗信仰、鬼伝説などが融合して生まれた様々な神隠し譚を紹介。
『浦島太郎』のような異界訪問譚も外部の人間から見ると神隠しであることを指摘した上で、最後に神隠しという社会装置の有用性について述べています。

広く浅く、体系的に述べているので、てっとり早く神隠しを知りたい方には最適の書と言えるでしょう。
時代ごとの細かい変化や事件の暗部などを理解したいというディープな神隠しマニア(?)の方は、ぶっとい専門書を漁るしかないかと思われますが……。

ともあれ、通して読めば神隠しという言葉にどっぷり浸かれます、オススメ。
様々なタイプの神隠し事件が引用されており、資料としても役に立ちます。
昔話、伝説に限らず、近年の事件についても触れているのも良し。

本能寺に燃えろ!

2006-01-30 21:21:06 | 学術書/新書
さて、今だと館ひろしだなーと思う第426回は、

タイトル:謎とき本能寺の変
著者:藤田達夫
文庫名:講談社現代新書

であります。


(タラララ~♪ タタタ~♪)

疲れた顔でデスクに座るお市。
お市「人間五十年なら……あと一年で兄上は死ぬわ」
柴田「冗談でもそんなことを口にしてはならん!」

茶室でぎろりと部下を睨む光秀。
明智「私の事を嗅ぎ回っている者がいる?」
部下「いや、あんた堂々と反逆宣言してるし」


(タタタタタ♪ タタタ♪ タタタ♪)

堺の街でうめく家康。
徳川「明智の背後には、とんでもない大物がおる!」
半蔵「格好付ける前にさっさと伊賀越えましょうね」

新幹線に乗る秀吉。
サル「殿を殺めたのが誰かは問題ではないわ」
部下「そういうこと言うからお市さんに嫌われるんですよ」


(タララララ~♪ タタタ~~~~~ッ♪)

本能寺跡地に立つお市。カメラ目線で――
「犯人が解ったわ」

『女検事お市(3)――本能寺に消えた兄』
一五八二年、六月二日放映。

なぜか土曜ワイド劇場。
(解りにくくてすいません……ちなみに火サス・バージョンはこっち


前フリはさておき……誰もが知っている本能寺の変、の謎解き本。
当時のトップスター暗殺というだけでも話題としては充分だけど、その下手人があっさり殺されたということで、昔から人気のあるテーマですね。
真相当てとしては、○○黒幕説、○○共謀説、光秀単独犯行説、ちょっと変わったところで信長自殺説がありますが、本書では黒幕説を扱っています。

では、各章のちょっとした解説を。

・第一章 明智光秀が背いた原因は何か?
本能寺までの信長の歩みを追いつつ、彼が目指したもの、他の人々との軋轢などについて考察しています。天下人としての意識、統一後の支配構想、具体的な政策などがおぼろげながらに見えてきます。

それと並行して、反信長包囲網を形成した足利義昭、最後に手を下した明智光秀、二人の立場と動向についても探っていきます。資料として紹介されている、謀反に先だって光秀が上杉に送った書状、がなかなか面白いです。

第二章 画策する足利義昭
信長によって京を追われた足利義昭のその後の動向。ここで作者は将軍追放(一五七三)を以て室町幕府滅亡とする通説を否定し、義昭は毛利の力をバックに幕府を維持していたと論じます。

さらに、義昭が行った対信長工作、光秀との利害の一致、光秀が雑賀衆に宛てた書状に義昭を暗示する箇所があることなどを挙げ、明智光秀の背後にいたのは足利義昭であると結論づけています。

第三章 「秀吉神話」を解く
秀吉の行った情報戦、本能寺後の光秀の迷走、中国大返しから山崎の戦いまでの経緯、秀吉の天下統一、についてのさらっとした解説。歴史のおさらいといった感じで、特に目立った特徴はありません。

以上、各章解説でした。

本能寺の謎解きというより、非常に影の薄い足利義昭にスポットを当てた書と言った方が正しいかと思われます。
飽くまで義昭黒幕説の証明だけで、信長が無防備状態で本能寺にいたミステリの謎解きや、秀吉or家康陰謀説の潰し等は行っていません。
ま、新書なので分量の問題もあるでしょうが……。

歴史の再確認、という意味では面白いと思います。
ただし、「謎はすべて解けた!(どっかの探偵少年?)」みたいな内容を期待すると肩すかし喰らうので注意。

人気が出るのもわかるかな

2006-01-29 16:14:43 | ファンタジー(現世界)
さて、とうとう買ってしまったの第425回は、

タイトル:マリア様がみてる
著者:今野緒雪
出版社:集英社コバルト文庫

であります。

たぬきさんとのコメントのやりとりに出てきて、「買うとき」「読んだとき」「売るとき」の3段階で恥ずかしいと言うのを見て、これは読むしかない! と思って早速(たぶん)1巻を購入。

まず感想。

けっこう、いい……(笑)

これも「乃木坂春香の秘密」同様、いかにもなお約束ものではあるけれど、そのお約束がおもしろい。
と言うか、本書のいちばん初っぱなに書かれた言葉。
「ごきげんよう」
いわゆるお嬢さま属性が持つ、定番中の定番の挨拶言語。これを見た瞬間、私の頭のどっかでスイッチが切り替わったね(笑)

そういうものだとね。

さて、舞台は挨拶に「ごきげんよう」が挨拶の基本である私立リリアン女学園という幼稚舎からある一貫校の女子校。
ここに通う平凡(?)なお嬢さまである福沢祐巳が主人公。

このリリアン女学園、いつごろからかはわからないが、高等部には「姉妹」(スール)と呼ばれるシステムがある。
ロザリオを授受することで成立するこのシステムで、姉となる先輩は妹となる後輩を指導していくことで、清く正しい学園生活を受け継いでいくことになっている。

高等部に進学して、まだこの姉がいない祐巳は、ある朝、憧れの先輩である小笠原祥子に呼び止められ、セーラー服のタイが曲がっていることを指摘され、ついでに直してもらう。
その場面を授業以外はカメラを持ち、生徒を撮影するのが好きな写真部の武嶋蔦子に撮られていた。

この写真をもらう条件に、写真を文化祭のときの展示のパネルにすること、そして祥子の了解をもらってくることを突きつけられる。
結局、やっぱり憧れのひとと一緒の写真の誘惑に負けた祐巳は、祥子がいるはずの山百合会(生徒会)が利用している薔薇の館に赴く。

ちなみに、この山百合会は紅白黄の薔薇さま3人で構成され、その妹となった生徒たちが生徒会活動を行うことになっており、祥子は紅薔薇さまの妹として「紅薔薇のつぼみ」と言う二つ名を持っているため、薔薇の館にいる、というわけ。

……と、薔薇の館に来た祐巳と言い出しっぺの蔦子は、そこで憧れの先輩たちがいるはずのところで、場違いな大声を聞く。
何なのかよくわからないまま、祥子がいる部屋のドアを開けようとしたところへ、タイミングよくドアが開かれ、祐巳は祥子とぶつかってしまう。

祐巳を気遣う祥子は、だいじょうぶだと言う祐巳に、「お姉さまはいて?」と尋ねる。
もちろん、いないのでいないと答える祐巳。

そして次の瞬間、祥子は居並ぶ紅白黄の薔薇さまたちに堂々と宣言する。
「私は、今ここに福沢祐巳を妹とすることを宣言いたします」と。

と、序盤はこんな感じ。
ストーリーは、紅薔薇のつぼみたる祥子が妹宣言をしてから、文化祭で山百合会が行う演劇シンデレラまで。
この間に、山百合会に関わり、妹ではないながらも祥子と親交を深めていく姿などが描かれている。

前半はとてもテンポがよく、いかにも清楚なお嬢さまのはずの薔薇さま3人組にいじられたりする姿が読んでいておもしろい。
後半に行くに従って、主役であるシンデレラ役を拒否する祥子の姿やその理由などが明らかになったりと、ややテンポは落ちるが暗すぎず、ラストに結局祥子と祐巳が姉妹になるための展開として似合っている。

しかもどこからどうみても「ありえねぇ」と言うお嬢さま学校で繰り広げられるものだけに、ベタな少女マンガや少女小説は無理、というひとにはまず読めないだろうね。
展開やキャラ設定は、お約束の塊。
ノリがけっこうよくてさくさく読めるので、読めるひとなら、軽~く読むのにはいいんだろうとは思うんだろうけどねぇ。

あ、そうそう、もうひとつ、百合なのでそれがダメなひとも手を出さないほうが吉。
と言うか、大吉。
触ると大凶(笑)

とは言いつつも、私の場合、こんなんありえねぇ~! とか、さんざん笑ったけど(笑)

まぁでも、やっぱりこの一言に尽きるかな。

やっぱり、お約束っていいね(笑)



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意外と知らない

2006-01-28 22:54:58 | その他
さて、地元のは何だろの第424回は、

タイトル:知っておきたい日本の神様
著者:武光誠
出版社:講談社文庫

であります。

日本の神様、と言うことで「古事記」や「日本書紀」に出てくる神様の紹介とか解説が主眼ではない。
文庫の帯に「さあ、お参りに行こう!」とあるように、本書は神社が主眼。

構成は、概ね3つに分けられている。
まず第1章で、神社というものがどういうものなのかを解説し、全国に多くある神社のトップ六社の解説。

次が神様別の神社の解説。
第2章~第9章までの本書の大部分を占めている。
それぞれは、

第2章 一番古い神様たち
出雲の神々や、大国主命など、古事記や日本書紀の国造りや国譲りに出てくる神様を祀る神社が主体

第3章 神様の頂点、高天原の天照大神
天照大神を始めとして、伊弉諾尊や伊弉冉尊など、天つ神を祀る神社が主体

第4章 天照大神の家来筋の神々
タイトルのとおりで、大山祇神を祀る三島神社や武甕槌神を祀る鹿島神社などを開設。

第5章 地方の神々
日本神話に組み入れられなかったが、全国的に見て有力な地方豪族などの神々を祀る神社が主体。
日吉神社、松尾神社、貴船神社など。

第6章 神様にされた伝説上の人物
日本神話で人間とされてはいるが、史実ではなく伝説とされる人物の神社を解説。
日本武尊、神功皇后など。

第7章 神様になった人間
こちらは第6章とは違い、実在した人物が神様になって祀られている神社。
平将門、柿本人麻呂など。

第8章 外国から来た神様
主に七福神の誰かを祀る神社の紹介が主体で、あとは北極星である妙見菩薩を祀った妙見社や金毘羅神社など。

第9章 動物も自然も神様
これもそのまんまだなぁ。
狐、蛇、犬の動物、富士山、白山、阿蘇山に関わる神様の解説。

そして最後に第10章から、各個別の神様ではなく、「神道とは?」というテーマで語られている。

概ね200ページ程度の比較的薄めの文庫で、各神社の解説もさほど多くはない。
けれど、そこにどういう神様が祀られているのか、その神様はどういう神様なのか、どういう御利益があるのかなどが短いがしっかりと解説されている。

もっと詳しいルーツや、神様の物語などを求めるひとには、やや軽い内容と言えるかもしれないが、「お参りに行こう!」という文句のとおり、簡単な予備知識を得るものと考えて、実際の縁起などは行ってみて詳しく、と言う感じのものだろう。

とは言うものの、私もそこまで詳しくはないので、有名どころはきちんと解説されてて興味深く読めた。
入門書ということで、ちょっと興味を覚えたなら手に取るのに最適な本だろう。

最近多いな

2006-01-27 21:32:37 | ファンタジー(現世界)
さて、萌え企画の余り物の第423回は、

タイトル:ヴァルキュリアの機甲
著者:ゆうきりん
出版社:電撃文庫

であります。

2050年代、火星にまで進出した人類の故郷である地球には、ジャイアント・オーガニック、通称G・Oと呼ばれる巨大生物の存在に悩まされていた。
それはクラゲのようなものだったり、ムカデのような節足動物のようだったりするが、人口の多い場所へ上陸しては爆発し、周囲に甚大な被害を与えていた。

核攻撃まで持ち出してそれを止めようとしたが、このG・Oを倒すには至らず、この巨大生物を倒すには、ノルウェー中南部のヨートゥンハイメンで発掘された「黄昏の槍」、そしてこれを扱うことが出来る、5機の対G・O殲滅兵器ヴァルキュリアのみ。

……と来れば、何かのロボットもの? と言う気がしないでもないが、このヴァルキュリア、ロボットでも何でもなく、5人の平均身長16メートルという10代の少女が、装甲服に身を包んで戦っている、と言う代物。
そのヴァルキュリアたち、機甲兵の指揮を執ることになった航宙自衛隊の自衛官であった雨宮竜一郎中尉と、巨人少女たちとの戦いを描いた近未来SF、だろう。

まぁ、敵と戦うのが巨人とは言え、10代の少女たち。
指揮するのが弱冠22歳の若い青年。
設定や展開はベタだが、少女たちの生い立ちや、竜一郎が隊長に就任するまでの出来事など、重い部分は重く、戦闘シーンなど、派手なところは派手に、ラブコメ気配のところはそれなりに、うまく描いている。

名前は昔から知っていたのだが、一度も読んだことがなかったので、手に取ってみたのだが、ストーリーの作り方は手慣れた感じがうかがえる。
文章も、さすがに戦闘シーンとなると読みにくい、わかりにくい部分が見え隠れするし、単語の頭文字を取って短縮した単語がややくどいが、そういうところ以外ではテンポもよく、読みやすい。

展開も、盛り上げるところとそうでないところをしっかり心得ているのだろう。
初っぱなの戦闘シーンから、竜一郎がヴァルキュリアたちとの信頼を得ようとするところ、予定外のG・Oの出現で指揮を執れない状況、そしてラストのヴァルキュリアたちと竜一郎を交えての対G・O戦、一転気の抜けるようなのほほんとしたエピローグの竜一郎とヴァルキュリアたち。

ラノベとしては、しっかりとうまくまとめてくれていると思う。
もちろん、シリーズとして書いていくための引きというものもあるが、これもいいところで使っている。

キャラも雨宮中尉の典型的な熱血系や、ヴァルキュリアたちの特徴など、それぞれをはっきりとさせていて、掴みやすい。
他にも、12歳の少女で雨宮の上司である司令長官のヘルガやエンジニアの夏美なども同様に特徴がはっきりしている。

とりたてて、これは! と言うところはないが、そつなくうまく作っている作品でラノベ好きならば読んでみてもいいと勧められる作品ではないかだろうか。



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か・み・な・り・斬り~!

2006-01-26 11:25:38 | 木曜漫画劇場(白組)
さて、これも時代劇……? な第422回は、

タイトル:YAIBA(全24巻)
著者:青山剛昌
文庫名:少年サンデーコミックス

であります。

扇:暗黒淵って何よ? と相方に突っ込むSENでぇーす!

鈴:やみわだ、と読むのだよと言っておくLINNで~す。
って、「でぇーす」の「ぇ」はやめなさい。似合わないから(笑)

扇:どぇーす。

鈴:いったいどこの人間だ、おぬしは。

扇:どこから来たのと聞かれたら~、それは土星と答えるの~。
で、今回はYAIBAなわけだが……どこまで読んだのかね?

鈴:全部読んだぞ、どっかで……ないなぁ。
たぶん、古本屋で全巻買って読んだ憶えがある。

扇:珍しいな! お前が少年漫画全巻買うなんて!
私は新刊でほぼ揃えたぞ、最後らへんは……まぁ、深く追求するな。

鈴:古本だからな。

扇:作家が泣くと言っておろうが!

鈴:古本屋の利用率は君のほうが高いはずだぞ。
いったいどっちが泣かしまくってんだか……。

扇:応援してる作家さんは新刊で買うの~。
どうでもいい奴とか、読み捨てとか、絵以外興味がない奴とかは古本で買うけど。

鈴:応援してる作家を新刊で買うのは当たり前だってば。
まぁ、どうでもいいのに新刊の値段払うのはイヤなのはしょうがねぇけどな。
金返せ、とか言いたくなるし(爆)

扇:やっぱり、さぶいぼってカテゴリはいるかね?

鈴:別にさぶいぼだけが「金返せ」ってわけじゃないからな。
さぶいぼだけど、おもしろいのもないわけではないぞ、「乃木坂春香の秘密」とか(笑)

扇:よっぽど当たりだったんだな……珍しく。
表紙は、フ○ンス書院にしか見えなかったが。

鈴:当たり、とはどうかな。確かに、お約束の塊だったが、そのぶんよかったと言えたがね。
にして、フラ○ス書院かぁ。なら、同種の話を書く作家として、雑破業あたり、けっこう嫌いではないのとも関係してるのかもしれんな(笑)

扇:ざっぱGOGOGOか……読んでないけど、君の評価は高かったねぇ。

そろそろ真面目にやろうっと。
本作YAIBAの作者は『名探偵コナン』で知られる青山剛昌氏。(絵、全く変わってません)
現代を舞台に、サムライを目指す少年・刃と宿敵・鬼丸の戦いを描きます。
かなり勢いで描いてたのか、歴史上の人物が敵として出てきたり、最強のアイテム竜神の玉を求めて全国回ったり、路銀が尽きて競馬やったり、と先の読めない漫画でした、面白かったけど。(笑)

鈴:少年マンガらしい少年マンガだったねぇ、これ。
おもしろかったのはおもしろかったけど、そう何回も読み返せるものではなかったがね。
少年マンガはたいていそうだが。
……で、じゃぁ、解説もしたことだし、キャラ紹介行っとくかね。

扇:それはCMの後で。(俺、CM担当かよっ!)


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扇:では、キャラの紹介のコーナーに参りましょう。
主人公の鉄刃(くろがね やいば)。
真のサムライを目指す少年、なぜか最初はジャングルで修行していた。
実は400年間生きていた宮本武蔵に師事し、雷神の剣を手に鬼丸と戦う。
性格はスケベでお調子者、ただし、戦う時だけは真面目……でもないな。
せんぷう剣、かみなり斬り、風車など、誰かに敗れるたびに新しい技を覚えていくのは王道。(笑)

鈴:漢字にすると、間の抜けた名前だよなぁ、刃……。
って、なんかキャラとは関係のない話なので、キャラ紹介……って全部相棒が書いてるし!(爆)
まぁでも、お調子者というか、何も考えてない脳みそまで中山きんにくんと言うか……こういうコメディには合ってるキャラではあるね。

扇:ジンって言うと、どっかの格ゲーキャラになるがな。
では、ヒロインの峰さやか。
刃の居候先の娘……て、定番過ぎる。
あっぽで無宿人の刃に痛いツッコミを入れる役。
ちなみに、自分は可愛い普通の女の子だと思ってるフシがあるが、全然違う。

鈴:あぁ、あの関節技かましたときの音がすばらしく快感なゲームだな(笑)
さて、ヒロインか。
……絵も、性格も、コナンのヒロインの毛利蘭そのまんまに見えるのは私だけではあるまい。
まぁ、弱冠違うと言えなくもないが、まー、「まじっく快斗」のヒロインともぜんぜん一緒に見えるのも、気のせいではないだろう。

扇:まー、だからこそ灰原が目立つんだろうが。
では、刃のライバル鬼丸猛。
刃は雷神の剣の呪いに打ち勝ったが、こちらは風神に呑まれて鬼と化した。
プライドは変に高いが、脳の中身は刃並み……それでも格好良いけど。
部下のクモ男が提出する変な作戦を次々と実行し、日本を荒らし回ったが、実のところ一般人はノンビリと平和を謳歌していた。(笑)
鬼丸天下統一プロジェクトを成功させるも月世界から来たカグヤに敗北、その後ちょっとだけ刃と共闘した。

鈴:共闘したあと、また鬼丸との対決があったが、次の敵は前の敵より強い、と言う少年マンガの王道を思いっきり無視したこともあって、なんだかなぁで終わったな、鬼丸。
そう言う意味では、パワーアップすらさせてもらえなかった時点で作者の愛は冷め切ってたんかなぁ。

扇:ゾンビみたいな顔色で復活したナンパ剣士・佐々木小次郎とか、ことあるごとに腹を斬ろうとする柳生十兵衛とか、サブキャラで好きなのも結構いるんだけど、とりあえずこの三人だけにしとくか。
ギャグ漫画だけあって、スポッとかコンッとかスカッとか、気の抜ける効果音は多いですが、戦闘シーンは結構盛り上がります。掛け合い漫才みたいで楽しいし。(笑)

鈴:そう言う意味では、コナンとはまったく逆で、頭のないキャラばっか出てるよなぁ、これ。
まぁでも、コメディとしてはこういうのがたくさんいて、かき回してくれるほうがおもしろいので、成功している話ではあるな。

扇:さぁて、次回は明治を舞台にした妖怪話……だよね?
それでは、さーーーーーーーーーーーーーーーーよーな・ら。

鈴:あぁ、あーんなキャラやこーんな妖怪が出てくる妖怪話だ。
と言うわけで、気を持たせつつ今回はこの辺で。
さよ~な~ら~~~~~~~~~~~~~~~~~~

美しきアンドロイド達

2006-01-25 16:54:58 | 事典/図典
さて、またも珍しいものを扱ってみる第421回は、

タイトル:鶴田一郎展 ~美と幻想のミューズたち~
制作:集巧社
発行:産経新聞大阪本社

であります。

平成10年に三越高松店で行われた『鶴田一郎展』で買った画集です。
衝動買いでしたが、充分に元は取れました……やはり鶴田一郎はいい!

鶴田一郎って誰? とか言ってる人はいませんよね?
数年前まで、ノエビアのCMの顔だったあの美人画の方ですよ。
コスメティック・ルネサンスって言えば解りますか?

当時××歳だった私は、「ナマで鶴田一郎の美人画が見られる!」ということで、速攻で三越デパートに殴り込みをかけました。
いやー、楽しかった! ひたすら、「美しい~!」と叫びまくってました、もちろん心の中でですけど。

最初期の点描画から最新作まで、ズラリと並んだ作品群の中で一際眼を引いたのが縦長の巨大な作品『彼方へ』(94年作)。
満月の夜、滝に囲まれた岩場の上に立つ黒衣の美女を描いた幻想的な作品で、他の作品とは段違いの圧倒的な美しさを誇っていました。
本書にも収録されてますが、やはりもう一度ナマで見てみたいと思う……。

ちなみに鶴田一郎と言うと、オールバックの髪を後ろで束ね、切れ長で水色の眼を持つ色白の美人を描く人……というイメージがありませんか?
実は銀河帝国興亡史の初期三部作の表紙は鶴田氏だったりします。(宇宙戦艦や戦闘機が戦ってる奴)
展示会で見た、『赤と黒の誘惑』や最近の作品である『ときめき』もノエビアCMの作品とは大きく違います、どれも好きだけど。

気になった方は下記のサイトをチェックしてみて下さい。

鶴田一郎公式サイト
http://www.tsuruta-bijinga.com/

本書に収録されている作品のいくつかを閲覧できます。
『彼方へ』もあるのですが、画像が小さい……。(泣)

現在入手不可能なのものを書評に載せるなっ! と、お怒りの方はCD-ROMで出ている『鶴田一郎作品集』をどうぞ。
もっとも、私の手元にはまだ届いてないので、中に何が何作入っているかまだチェックできていませんが……。(爆)

全力で笑えっ!

2006-01-24 01:03:50 | ファンタジー(現世界)
さて、珍しく二冊目も拾ってみる第420回は、

タイトル:バッカーノ!2001
著者:成田良悟
文庫名:電撃文庫

であります。

『バッカーノ!』の五作目。
途中の三作は? と聞いてはいけない。
こういう読み方は邪道だと思うのですが、今回は番外編らしいのでお許しを。

エルマー・C・アルバトロス。
笑顔に執着し、ハッピーエンドの為には手段を選ばない男。
彼の出現が、外界と隔てられた村をじわじわと追い詰めていく。

フィル。
痛みしか与えられず、笑うことを忘れた少女。
彼女は使い捨てられている、一人……また一人と。

セラード・クェーツ。
自分以外の不死者をすべて滅し、孤高たらんとした男。
もはや現世にその姿はなく、生き延びた者達は安全を伝えるべく、各地へと飛ぶ。

年数で解るように、時代はセラードを滅ぼした後です。
行方不明だったエルマーと会うために、マイザーさん+三名の不死者が訪れた奇妙な村、そこには村人も知らない秘密が……といった話。
秘密と言ってもさほど大仰なものではありません、飽くまでキャラクターを書くための小道具の一つに留めている感じです。

で、肝心のキャラクターですが、相変わらず人間臭くていいです。
各章タイトルである『喜怒哀楽』と四人の不死者を対応させてるのも上手い。
敢えて気になる点を挙げるなら……この人達って数百年生きてるとは思えない、くらいでしょうか。

特に一人、と言うならやはり主人公(?)のエルマー。
各キャラが彼の性格について色々推測するけれど、本人はそこから斜め45ズレたところを浮いてるのがなかなか楽しい。
あとは武闘派不死者のナイルかな。「あえて言おう」の繰り返しが気になるけど、終盤、フィルに説教喰らわすくだりはかなり好きだなぁ。

一作目のように様々な出来事が絡み合い、ラストで収束する妙味はありませんが、初めから終わりまですっきりとまとまっています、オススメ。
以前気になった『……』の濫用がなくなってるのもポイントかな、その代わり『――』がやたら多くなったけどね。(爆)



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たまにはこういうものも……

2006-01-23 21:11:42 | その他
さて、当分やってないなぁ……と思う第419回は、

タイトル:ウィザードリィのすべて――ファミコン版
著者:ベニー松山
出版社:JICC出版局

であります。

ゲームの副読本&攻略本です。
あ、物を投げない! 貴方のPCモニターが壊れます!
お怒りになる前に、ちょっとした言い訳をさせて下さい、マジで。

つい先日相棒と秘密会議を行い、カテゴリーについて少し話をしました。
その結果、分類不能である『その他』と『小説全般』がこんなにあるのはマズイだろう、という結論に至ったのです。
じゃ、とりあえず『その他』から切り崩して行こうか、と提案した私は過去の記事をつらつら眺めていたのですが――

これ、書評?

みたいな記事がとにかく多い。(爆)
悟りましたね、ええ、確信しましたとも。
本来、ウチはまともな書評ページではない!(もう怖いもんナシ)

というわけで、超有名RPGウィザードリィ1&2の副読本兼攻略本です。
極端に情報量の少ないゲームに彩りを与えてくれる好著。
今でも、これ片手にウィズやってる人は少なくない……筈。

まずカラーページ、末弥純の美麗な絵で敵モンスターを堪能できます。
一体ごとに書かれた解説も秀逸で、想像の幅を広げてくれます。
もちろん、能力値や特殊攻撃などの攻略データも完備。

本編では、殆ど明らかにされていない世界観の独自解釈を展開。
冒険の舞台であるリルガミン、主人公達の職業、五種類の種族、怪物、戦場である迷宮、呪文など……ゲームやらなくても読んでいるだけで面白い。
攻略も詳細を究め、装備や呪文の細かい数値設定と効果、ほぼ完全なマップ、禁断のウル技(笑)など、知識0の人でもクリアできるようになっています。

使えて笑える欄外のマメ知識も要チェック。
いかにこの作者がウィズフリークかがよーく解ります。
あ、おまけとして読者投稿ページもあったりします。

普通に、ファンタジー解説本の一つとして楽しめます、オススメ。
現在でも見つかるかどうかは……あははは。

思えば、パソコン版を知る者にとってファミコン版1は衝撃的な作品でした。
何たって絵を描いてるのがジルオールの末弥純!(そっちか!)
コマンド式なので、テレポーターのスペルを間違えることもない!

汚いドット絵の敵グラフィック。(グレーターデーモンは顔だけだったし)
いちいちキーボードでコマンド入力し、間違えると即座に行動失敗となっていた罠解除や呪文詠唱。(呪文を唱えるという意味では気分的に好きではあるけど)
そういう環境に慣れていた者にとってはまさに天地がひっくり返るぐらいの進化で、オールドファンが今でも遊んでいるのも頷けます。

もっとも、私は『ささえの盾』以外のアイテム集めた時点でやめちゃったライトゲーマーだったりしますが。(笑)

こっちのラノベ

2006-01-22 19:41:01 | ファンタジー(現世界)
さて、電撃を男性向けとするならの第418回は、

タイトル:魔女の結婚
著者:谷瑞恵
出版社:集英社コバルト文庫

であります。

電撃だのスニーカーだの、いちおう男性向けラノベに括られるであろうラノベばっかりだったので、たまにはこっちのラノベも読んでみるかと言うことで、適当にコバルト文庫の棚を見ていたら結構シリーズとして続いていたみたいなので購入。

舞台は中世ヨーロッパ。
ケルトのある一族の巫女姫であるエレインは、カエサル率いるローマ軍の侵略に遭い、巫女姫として村の者を「歓びの野」へ導く。
つまり、全員で服毒自殺を行う。

エレインもおなじように毒を服み、死んだ……はずだったのだが、ひとりの青年魔術師によって目覚める。
しかし、目覚めたそこはローマ帝国などとうの昔に滅んでしまったあとの時代。
1500年もの長い時間、エレインは眠り続けていた。

しかし、巫女姫でありながら、ふつうの少女のように「運命の人」との結婚を望んでいたエレインは、かつて自分が生きていた時代とは違うにも関わらず「これも運命の人が、この時代に待っているからだ」と信じて、自分を目覚めさせた青年魔術師にくっついて、青年魔術師が依頼を受けた湖岸の古城へ向かう。

そこで出会った依頼対象である貴族の少年ステファン、かつて親友であった女戦士ノーナの生まれ変わりとしか思えない剣士ミシェル、吟遊詩人のアート、そして口も性格も悪い青年魔術師のマティアスを交え、ステファンの病気を治すために行動しながら、マティアスの心の変化を中心に物語は描かれている。

感想、微妙……

おもしろかった? と聞かれれば、おもしろくなかった、と答える。
でも、じゃぁぜんぜんダメ? と聞かれれば、そうは言わない、と答える。
なんか、目録の「△」にとてもふさわしい、かなり中途半端な感じ。

キャラも立っているかと言われれば、微妙。
立っているようで立っていないようで、これも中途半端。
話も、中世ヨーロッパと言いながらも、雰囲気に乏しい。
ヒロインのエレインはケルト人で、マティアスもドルイド(ケルト人社会における神官のようなもの)の一種のように描かれているが、こちらもケルトの匂いはほとんどしない。

まぁ、ラノベだし、そういうものだと思って読めばいいのかもしれないが……。

あと文章もいまいち。
表現力に難ありと言っていいだろう。
ときどき……と言うより、ぼちぼちくらいの割合で、描写が迷う。
読んでいてすんなりと場面転換がされない、キャラの心理描写や行動の変化が掴みにくいなどのまずいところがある。

でも、すごい下手かと言えば、まぁ、そうでもなさそうな……。

とにかく、個人的にはとても中途半端で、かなり消化不良。
ストーリーは、まぁ、これはまずいと言うところがなかったので、もろもろの目につくところを差っ引いて、やっぱり「△」が似合う作品。



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