さて、思えば結構遠くへ来たもんだ、な第301回は、
タイトル:邪馬台国はどこですか?
著者:鯨 統一郎
文庫名:創元推理文庫
であります。
どこにでもある、地下一階のバー。
バーテンダーの松永は今日もまた三人の常連相手に悪戦苦闘している。
彼らが揃うと、決まって歴史談義に花が咲く、酒のペースも速くなる。
注文を受け、話に相づちを打ち、訪ねられたらそれなりの答えを返さなくてはならない……ただ、松永自身がそれを楽しんでいるのも確かだった。
美貌の文学部助手、早乙女静香が常識を声高に叫び、
正体不明の男、宮田六郎が奇説を展開してみせ、
三谷敦彦教授が慎重に捕捉を入れる。
さて、今日のお題は……?
全六編の歴史ミステリ短編集です。
釈迦、邪馬台国、聖徳太子、織田信長、明治維新、ジーザス。
誰もが知っている歴史の常識に軽妙な会話でメスを入れていく好著。
歴史ミステリと言うよりは、小論文を会話調にしてみましたって感じの作品ですが、それが面白い。
特筆すべきは、毎回奇説を提示し、証明してしまう宮田六郎。
彼は何も好きこのんで奇抜な答えを出しているわけではありません。
冷静に定説の矛盾点を突き、妥当と思われる筋道をたどっていくとこういう事実が浮かび上がってくるよ、と言っているだけです。
これに対するは保守派の急先鋒、早乙女静香。
知識はさすがと言うべきですが、それを確固たるものと信じて疑わない。
散々に宮田にやりこめらても、次に会った時は再び彼を馬鹿呼ばわりするあたり、学習能力がないと言うか……この方自身がお馬鹿というか……対抗馬としては非常に頼りないキャラでした、盛り上げ役としては一級なんだけど。
面白かったのは、邪馬台国とキリストの話、かなり説得力がありました。
逆に信長と明治維新の話は……なんかこじつけっぽかった。
歴史詳しい人は必読。
ミステリ好きにはオススメしませんが、歴史好きなら絶対のオススメ。
是非是非、無学な私に変わって、宮田君に反論してやって下さい。(笑)
最後に、巻頭に掲げられた一文を紹介しておきましょう。
『この作品がフィクションであるという保証はどこにもありません』
古典ギャグの一つですが、本書にはピッタリ合ってると思います。
『たろけさんの記事』にトラックバックさせて頂きました!
タイトル:邪馬台国はどこですか?
著者:鯨 統一郎
文庫名:創元推理文庫
であります。
どこにでもある、地下一階のバー。
バーテンダーの松永は今日もまた三人の常連相手に悪戦苦闘している。
彼らが揃うと、決まって歴史談義に花が咲く、酒のペースも速くなる。
注文を受け、話に相づちを打ち、訪ねられたらそれなりの答えを返さなくてはならない……ただ、松永自身がそれを楽しんでいるのも確かだった。
美貌の文学部助手、早乙女静香が常識を声高に叫び、
正体不明の男、宮田六郎が奇説を展開してみせ、
三谷敦彦教授が慎重に捕捉を入れる。
さて、今日のお題は……?
全六編の歴史ミステリ短編集です。
釈迦、邪馬台国、聖徳太子、織田信長、明治維新、ジーザス。
誰もが知っている歴史の常識に軽妙な会話でメスを入れていく好著。
歴史ミステリと言うよりは、小論文を会話調にしてみましたって感じの作品ですが、それが面白い。
特筆すべきは、毎回奇説を提示し、証明してしまう宮田六郎。
彼は何も好きこのんで奇抜な答えを出しているわけではありません。
冷静に定説の矛盾点を突き、妥当と思われる筋道をたどっていくとこういう事実が浮かび上がってくるよ、と言っているだけです。
これに対するは保守派の急先鋒、早乙女静香。
知識はさすがと言うべきですが、それを確固たるものと信じて疑わない。
散々に宮田にやりこめらても、次に会った時は再び彼を馬鹿呼ばわりするあたり、学習能力がないと言うか……この方自身がお馬鹿というか……対抗馬としては非常に頼りないキャラでした、盛り上げ役としては一級なんだけど。
面白かったのは、邪馬台国とキリストの話、かなり説得力がありました。
逆に信長と明治維新の話は……なんかこじつけっぽかった。
歴史詳しい人は必読。
ミステリ好きにはオススメしませんが、歴史好きなら絶対のオススメ。
是非是非、無学な私に変わって、宮田君に反論してやって下さい。(笑)
最後に、巻頭に掲げられた一文を紹介しておきましょう。
『この作品がフィクションであるという保証はどこにもありません』
古典ギャグの一つですが、本書にはピッタリ合ってると思います。
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