つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

ホタルとマユの三分間書評『ドリームノッカー チョコの奇妙な文化祭』

2008-04-29 17:47:22 | ホタルとマユ関連
さて、ちょいと新企画な第967回は、

タイトル:ドリームノッカー チョコの奇妙な文化祭
著者:御影
出版社:メディアワークス 電撃文庫(初版:'06)

であります。


―まずは御挨拶―


 「皆さん初めまして、ホタルです♪」
 「マユっす」
 「……愛想悪っ!」
 「そっかぁ?」
 「第一印象は肝心ですよ~。デビューでこけた人の末路って、それはそれは悲惨ですから――」
 「あ~、あ~、マイクのテスト中」
 「無視かっ!」
 「これまで記事を担当してきたロートル二人がくたばったので、何の因果か、某パソコンのフォルダで放置プレイ喰らってたあたしらが狩り出されることになったっす。おおよそ三分で読める程度に本の話をするんで、お暇な方は読んでって下しゃんせ」
 「不定期更新なので、あまり期待せず、思い出した頃にチェックして頂けると嬉しいです~」
 「笑顔でネガティブなこと口走ってんじゃねぇよ……」
 「それと、今までの木劇やおしゃべりと違って、こちらは完全に一人で書いてます。どっちが書いてるかは例によって秘密です」
 「なーに、どうせすぐバレるさ」


―どんな作品?―


 「さて、栄えある第一回目の紹介ですが、定番の電撃文庫から、『ドリームノッカー チョコの奇妙な文化祭』です」
 「中身はともかくとして……タイトルが気に食わねぇ
 「何か問題あります? ストーリーにもちゃんと合ってると思いますけど?」
 「背表紙には書いてないが、正式には『ドリームノッカー チョコの奇妙な文化祭 ~Chocolate in the cage~』なんだ。英語部分をどっかで見たことないか?」
 「あ~、これは某人気漫画の英文タイトルそのままですね……」
 「あたしはこういうプライドのない奴が死ぬ程嫌いだ」
 「え、えーと……単なるお遊びってことで見逃してあげては?」
 「パロディが悪いとは言わねぇよ。でもそれなら、最初っから堂々とそれで行けってんだ。なんつーか、ほんのちょっと自分の好きな作品をつまみ食いしてみましたって感じのセコイ根性がとにかくムカツク。あー、前にもいたな、『天使禁猟区』のタイトル持ってきた馬鹿が」
 「(何か二人組の片割れが取り憑いてるみたいだからほっとこっと)
内容的には、女の子が沢山出てくる学園ミステリです。掲載誌が『電撃G's magazine』だったこと、作者の御影さんがパソゲーのシナリオライターであることから、いかにもギャルゲーの臭いがしてきそうですが、実は百合物だったりします」
 「百合物だろうがギャルゲーに変わりはないだろ……じゃなくて、その解説は何か間違ってねーか?
真面目に解説すっと、演劇部の一年生で文化祭講演の主役に抜擢された少女・チョコが、親友の夢野ほとりと共に、今回の演目『トイボックス』にまつわる事件に巻き込まれていく――といった話だ」
 「実はこの『トイボックス』、五年前に上演された時にも事件を起こしてるんですよね~。こういう曰く付きの作品! ってネタ大好きです」
 「演劇とか、映画をキーにしたミステリでは定番の手だな。それ故、安易に使うと大コケをかますんだが……『トイボックス』のモチーフになった『不思議の国のアリス』の主人公と同じ名を持つ新入部員・有栖川恋――通称アリスが絡む序盤は素直に面白かった。劇のリハーサル中に奇妙な事件が起こり、直接それに関わったチョコが探偵役になるという展開は無理がねーし、少ない情報を元に犯人捜しをする過程も上手く書いてると思う。何より、与えられた情報だけで謎解きができるってのが、あたし的にかなりポイント高ぇ」
 「思いっきり、ミステリ読みしてますねぇ……。私は、さりげなく大胆にチョコちゃんに魔の手を伸ばす夢野嬢が気になって、犯人とか全然気にしてませんでした」
 「そういう小ネタを楽しむ読み方もアリだろ。何にせよ、先を読む気にさせるという役目をきっちり果たしてる時点で、この導入部は満点に近い。そいでもって、一つ目の事件が終わってもまだ謎が残る、という引きで話は続くんだが……問題はそっからだな」
 「不気味な謎を残して第一の事件が終わり、息つく間もなく第二の事件が起こる面白い展開だったと思いますけど? チョコちゃんと夢野嬢の絡みもちゃんとあったし、私は大満足です。何たって膝枕ですよ、膝枕!
 「頼むから、あたしの前で百合の世界に没入すんな。
話の流れ自体は問題ないと言えばないんたが、こっから先、大して意味ないキャラが増えてくるのと、超常現象物にシフトするのが何ともなぁ……」
 「う~ん、ミステリファンからしたらどうかな? とは思うけど、私はホラーファンタジー好きなので素直に雰囲気に浸れましたよ~。電話越しの会話ばかりでどこにいるのか解らないチョコのお兄さんとか、行方不明になった筈なのに出没する怪人物とか、すぐ側にいるのに一番奇妙な存在の夢野嬢とか、謎なキャラクター達が気になってとんとん拍子で読んじゃいました」
 「あたしが深読みし過ぎた……と言っちまったら、それまでなんだけどな」


―総評としては?―


 「とにかく不思議がいっぱいで楽しいです! 色々寄り道もしてるけど、最後はちゃんと主人公二人の関係を描いて終わらせてるのも好き」
 「ストーリーの核となる『トイボックス』の内容が、最初の部分しか明かされないまま話が進行するのは難あり。基本的に主人公の一人称なので、チョコは理解してても読者が理解してないことが多くなり易いにも関わらず、必要な情報まで制限されたんではかなわない」
 「それは……不思議時空を創造するためには致し方ない処置なのでは? 解らない分、想像の余地があるとも言えますし」
 「じゃあせめて、目の前の事態に真面目に対処しろ。チョコ含めて、出てくるキャラのほとんどが何の疑問も抱かずに超常現象を受け入れるってのは極めて不自然だ。主人公のチョコに至っては、何の脈絡もなしに不思議現象を理解してるし……まったく、読者を置き去りにするにも程がある」
 「チョコ以外のキャラクターが異常事態に対処できる件については、ラストで一応説明が付いてたんじゃないかと。反則的な技ではあるけど、ファンタジーなら特に問題はないと思います」
 「それを言っちまったら、何でもありってことになるぞ……。あー、それと、チョコとほとり以外のキャラが、ギャルゲーにありがちな設定でデコレーションしただけの薄い連中ってのも引っかかったな。もっとも、こういう記号人間が多く出てくるのはミステリではいつものことではあるが」
 「何でもありって楽しいですよ。
ミステリ要素にこだわらず、禁断の愛に溢れた奇妙で不思議な世界を堪能しましょう。つーかぶっちゃけ、チョコちゃんと夢野嬢さえいればそれでいいっ!」
 「結局そこに帰るのか……。最後に、謎解き好きに忠告しとくが、チョコというあだ名から本名を予想するのはやめとけ。終盤で出てくる過去話が元になってるんで、いくら考えても無駄だ。ここらへんも、期待だけさせといて肩すかしって感じだったな」
 「オチはどうしましょう?」
 「某絶対運命黙示録なアニメ視てたら簡単にネタが割れるんで注意してくれ。どうだ、いいオチだろ?」
 「ああっ、最後の最後に超危険な発言をっ!」



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お知らせ

2008-04-27 13:55:47 | 雑記
お知らせ

鈴:突然ですが、お知らせです。

昨年5月から何とか継続してきた「つれづれ読書日記」ですが、諸般の事情のため、完全不定期更新とさせていただくことにしました。

扇:既読の作品は多いのですが……いや、言いますまい。
あと、二人とも読んでいる作品を選ぶ余裕がなくなったのも理由の一つです。

鈴:そうね。
ですが、完全に休止するわけではありません。
記事を書くスパンは長くなるかもしれませんが、号外や通常の記事など、不定期で更新はしていきたいと思っています。

扇:1000+1回までは今のペースで頑張る予定だったのですが……私はともかくLINN君は高齢なので、健康面を考慮して苦渋の決断を致しました。

鈴:同い年やろ!!
……おほん……ともあれ、少なくとも1000回の大台まではもう少し! なので時間がかかってもそこまでは行きたいと思いますので、ご愛読いただいている方々、ご容赦くださいませ。

扇:本当に御容赦下さいませ。
くれぐれもLINN君を市中引き回しの上、打ち首獄門にしたりしないで下さい。
してもあまり痛手はありませんが、ほんのちょっと可哀相なので許してあげて下さい。

鈴:いつの時代やねんっ!
ったく……。

ともあれ、来週からは少し寂しくなろうかとは思いますが、なるべく更新はしていきたいと思いますので、今後とも「つれづれ読書日記」をご愛顧くださいませ。

扇:この一年で、色んなとこが休眠状態になったなァ……寂しい話だ。

鈴:まぁ、それだけ長く続けるのが難しいってことなんだろう。
そのあおり……なんてことはないけど、こういう次第になりましたので、ご承知おきください。
それでは、また号外なり記事なりでお会いいたしましょう。

LINN 拝
SEN-LINN 拝



(扇:LINN拝……私は入ってないのか?)

(鈴:このあと、おなじように入れると思ったんだが……(爆) じゃぁ、修正しとくわ。)

好きこそものの上手なれ……って上手すぎやねんっ!

2008-04-24 17:43:00 | おしゃべり
さて、第966回であります。

扇:既に暑さで死んでるSENデース。

鈴:最近SLにハマってるLINNで~す。

扇:暑い~……暑い熱い厚いアツイ~。

鈴:広島じゃぁ確か25度超えて夏日になった、って話だからなぁ。
さすがに私もスーツの上着は脱いでたな。
昼過ぎてからだけど(笑)

扇:で、そんな暑い中で、お前は電車ごっこやってるわけか……。
で、機械の身体を手に入れるのはいつなんだ?

鈴:誰が蒸気機関車の話をしとるかっ!!
しかも機械の身体って手に入れ……てメタボ解消できるならいいかなぁ(爆)

扇:ん? 他にSLって何かあったか?
俺は、金髪美人と怪しい車掌さんが乗ってる奴しか知らんぞ。

鈴:他に心当たりがなくても、その線路がなくても走っていくヤツだけになるのはどうかと思うぞ。
しかし、なんでそこにちびっ子がひとりいないんだ?
主人公だろ、いちおう、あれが。

扇:いや、SLと言えばアレだ! アレ以外不要っ!
某主人公が座ってる席には、私が座るから別にいらん。

鈴:うわっ、言っちゃったよ……。
それにしても、金髪姉ちゃんと車掌、どっちの隣に座るんだ?

扇:車掌だ。(即答)
銀河旅行の醍醐味は、金髪姐さんと差し向かいで話すことにある。

鈴:即答かよっ!!
だが、相棒がそこまで金髪姉ちゃんが好きだとは知らんかった……。

扇:金髪姐さんは、究極のロマンの一つだぞ――マ×コン疑惑が浮上するという難点はあるがな。
てなわけで、そろそろ今日のテーマにいくとしますかね。


『Wikipediaに吠えろ!』


扇:今日のテーマはぁ――。

鈴:「異能忠敬」!!

扇:本当に吠えてるなァ……。(笑)
って、伊能先生はいつから異能者になったんだっ!

鈴:え? でもある意味異能だろ~。
Wikiに載ってる年表見ただけで、もうそろそろ骨壺に片足突っ込んでる年齢で測量初めてほぼ日本の海岸線測量し終わった、っつー時点でおかしいだろ(笑)

扇:まぁなぁ……50で楽隠居してパソコン習い始め、56でOSの開発に着手って、かなり人外だ。
ちなみに、本当は「伊能忠敬」です。

鈴:現代的にたとえるとそんな感じだよなぁ。
しかもその年齢で始めたにも関わらず、とてつもない業績を上げてるし。
いまで考えると……ちょうどLinuxを作ったLinus氏がいちばん近いかな。
金儲けを考えてなかったから、M$とは言えんし。

扇:まぁ、「窓」作った奴とは違うわな。
で、本来の伊能先生の話に戻るが……この人、名主の出だったのね。
婿養子で伊能家再興して、んで、楽隠居した後、測量のお勉強って……よー解らん人だ。(笑)

鈴:そう、名主なんだよなぁ。
よく銅像とかの絵が帯刀してるから、もともと武士の出だと思ってたけど、武士でも何でもなかったんだよなぁ。
だが、商人として成功、測量でも実力発揮、果ては海岸線の極めて正確な測量をしちまった、ってマルチな才能の持ち主だよなぁ。
平賀源内も有名だが、派手さが目立って有名って感じだけど、伊能先生は地味だけどすごいから、どー考えても伊能先生のほうが上だよな。

扇:をいをい、伊能先生と源内比べちゃいかんよ、次元が違うから。
つーか、そこの記事で伊能小図紹介されてるけど、この時代に緯度経度書き込んであるってどうよ!?
しかも、今の地図と比べても全く見劣りしないっつーか、正確過ぎって時点で、頭おかしい(最上級の賛辞)ってこの人。

鈴:まぁ、確かにな。
ジャンルは違えど、次元が違うのは納得(笑)
しかし、正確すぎってのは、なんかテレビ……NHKだったっけなぁ。
いまのGPS測量と比べて、伊能先生の測量技術は当時の技術を遙かに上回っていた、って話だったし。
江戸時代にいまのGPS測量と比べられる測量技術を持ってるひとって……まぁ、人外だな(笑)

扇:きっと、生まれつきGPS搭載してたんだらう。
しかし、弟子に間宮林蔵がいたってのも面白いな。
ん? 間宮林蔵のプロフィール読んでるけど……江戸時代後期の日本人冒険家、幕府隠密……隠密?

鈴:測量士の弟子が隠密?
……そりゃまぁ、いろいろ出歩いても怪しまれないだろうけどよ……。
でも、街中測量するわけにはいかんから、あんまり役に立ってない気がする(笑)

扇:海岸線専門だからな。(笑)
でも、テレビ戦輪でやってた『伊能先生旅日記』では、しょっちゅう一行と別行動取ってたから、一応町中のスパイ活動もしてたと思うぞ。
伊能先生が、「林蔵、いるかい?」って呼んだら三秒以内に現れるけど。

鈴:どこのテレビ局だよ、それはっ!!
それに呼んでも現れねぇって。
街中にいるのを海岸線に呼ぶんだぞ!? いくら海岸線に近くても3秒で現れるかい。
どっかの○七やあるまいし。

扇:ここまでの放送は、受精から納骨まで、暮らしを支配するsen-linnの提供でお送り致しました。
ここからの放送は、遺伝子から卵子まで、何でも揃う銭麟屋の提供でお送り致します。
大丈夫、隠密はどこにいたって現れるのが時代劇の絶対法則だっ!

鈴:ええいっ、怪しげな会社を勝手に作るんじゃねぇっ!!!
しかも私ならゼッタイにそんな怪しさ120%の会社なんぞの世話にならんぞ(笑)
……でだ、時代劇に伊能先生は出てこんわいっ!!(一部除く)

扇:だからっ! テレビ占琳で、毎週冥曜日28時94分から放映されてるんだってば!
駄目だな~リンリン、君も真のインテリゲンチャならテレビ繊厘ぐらい見なさい。

鈴:そんなころころ変わる名前のテレビ局の番組なんかいぢでも見んぞ。
それに、そんな土星の曜日と時間じゃ放映時間がわからん(笑)

扇:は、何を言ってる?
土星はいつも土曜日だぞ。
お後がよろしいようで。


『今週の一冊』


扇:というわけで今週の一冊は、以前LINN君が紹介した、『お留守バンパイア』であります。

鈴:いや、バンパイアのほうは初手の数ページくらいで逃げたし。(素)

扇:はい、幻聴は無視無視。(素)
というわけで今週の一冊は、以前間宮LINN蔵が紹介した、『お留守バンパイアハンターD』であります。

鈴:ええいっ! 隠密を引っ張るな!!
それにバンパイアハンターって放浪しまくってるからいつも留守だぞ。
家があればの話だが(笑)

扇:えーと、隠密行動してる奴は無視して。
というわけで今週の一冊は、以前中坊LINN太郎が紹介した、『お留守魔界医師メフィストフェレス』であります。
病院を抜け出しては、世界の危機に立ち向かったり、怪しい能力満載の異能者を治療したり、ちょっとネクロノミコンとか探してみたりするお茶目な医師が主人公の伝奇ホラーファンタジーです。

鈴:……もう、どこまでネタが続くかほっといてみようっと。
さて、今週の一冊ですが……ってまだ続けるんかいっ!
世界の危機に立ち向かうのはいいし、怪しいヤツだが治療行為をするのは100歩譲ってまだいい。
ネクロノミコンなんか探してる時点でお茶目もクソもねぇっ!!

扇:ここだけの話、原作読んだことないので、彼が本当にネクロノミコン探してるかは知りません。(でも、菊地だから充分あり得る気が……)
で、真面目な話、今週の一冊ですが、以前リンリンリリンが紹介した、『お留守バンシー』であります。
まぁ、いわゆるロリコン向けのラノベですね。(毒)

鈴:まぁ、私もメフィスト主人公の話は読んだことないからなぁ。
で、ようやく真面目にだが……ロリコン向けのラノベ……言っちまったよ、こいつ……(笑)

扇:否定できるか?(素)

鈴:ロリコンなのは主人公だけじゃないかっ!!

扇:いや、あれで充分だろ。
つーか、この娘の見た目を十二歳にしたのも、例の破廉恥極まりないネタのためだけだろーし。
あ、未読の方のために過去記事リンク入れとくの忘れた。(→こちらです)

鈴:あー、あのネタか……。
……。
……。
……。
やめとこう、いろんな意味でやう゛ぁい(笑)

扇:これが、ナ×レオン文庫とかフ×ンス書院とか富×美書房なら、そのままヤヴァイとこまで突っ走ってしまうんだろうが、さすがに電撃でそこまでするわけにはいかんかったようだな……チッ。
あれで、御子様の教育上大変よろしくない領域まで突っ走ってくれたら、お馬鹿作品として一級品になれたんだが、微妙なとこでどーでもいい横槍入れて、後はお約束でお茶を濁したのは頂けん。
つーか、あの魔女の姐さん、ぱっとしなかったなァ。

鈴:……なんか微妙に一昔前って文庫名ばっかりやな(笑)
だが、さすがに電撃では出来まいて。富士見ミステリーではナポ○オン文庫にしたほうがいいんじゃないか? ってのはあったが。
だが、ストーリーそのものは悪くはなかっただろ?
まぁ、感性派には雰囲気は感じられてよかったほうだがな。

扇:えーと、細部無視したら、基本的にお前さんのレビューと変わらんな――珍しく!
文章に引っかかるところはないし、キャラもコメディらしいのを揃えてるし、ストーリーも……もちっと起伏が欲しいところだが、少なくとも破綻はしてない。
メガヒットではないが、特に毒を吐きまくる必要はない、良品だと思うぜよ。

鈴:それは確かに珍しい(笑)
良品でもラノベ点加えて、だろ?(笑)

扇:ラノベ点は……敢えて言うまい。(爆)
何か全然紹介になってない気がするのでまとめると、ロリバンシーのアリアがヘタレ吸血鬼の命令に従って、お城の留守を守る話です。
可愛いガーゴイル(つーかまんまペンギン)とか、軟派なデュラハン(実は露出狂?)とか、貞淑なサキュバス(単位が足りないってどうよ?)とか、アンデッドの庭師(さりげにこいつが一番まとも……)とか、美のためには手段を選ばない魔女(キャラ的にはこいつが一番薄い)といった愉快な仲間達と共に、迫り来る法王庁の刺客を迎え撃つ(激しく疑問)アリアの明日はどっちだ!?

鈴:……まぁ、確かに明日はどっちだ!? だろうなぁ。
刺客がそもそも○○だし……。

扇:うーん、刺客が○○で、やってきた理由が『例のアレ』ってとこまでは良かったんだが、やっぱりそこから先が尻すぼみだったのが惜しいねぇ。
デュラハン戦うも力不足! とか、サキュバス色仕掛けで轟沈! とか、ちょこちょこ笑えるネタはあるものの、肝心のクルセイダー対魔女の対決が盛り上がらなかったのが致命的。
つーかあれだ、魔女の姐さんをもっとキレた性格にするべきだったんだと思うよ。あれじゃマトモ過ぎだ――ん? 俺何か変なこと言った?

鈴:思いっきり言ってるよ!!
まぁでも、対決する相手が○○なのに、魔女のほうがちょっとマッドサイエンティスト入ってる程度じゃぁ、キャラの濃さですでに負けている(笑)

扇:確かにキャラの濃さでは、ルイラムさんの方が数段上だわな。
「おまえの××を××にきたのだよ」って言っちゃった時点で、オルレーユ城の奇妙な面々を軽く凌駕しちまったもんなァ。
いや~、あの直後の掛け合い漫才が面白すぎただけに、余計、魔女の薄さが目立った。
ま、そこに書いた通り、予定調和ではあるもののオチはちゃんと付けてはあるから作品としちゃまとまってはいるがね。

鈴:そね。これでオチがまずかったら、○はつけていないな、私も。
文章もきちんとしてたし、ちゃんとコメディしてたしなぁ。

扇:だな。
ただ、コメディとしてはもう一歩突き抜けて欲しかった……てとこで、今回はこれまでかね。
次回、読書異聞ちゅれぢゅれ・第968話
「よみごろしのはなし」
――君は書宇宙コスモを感じたことがあるか!? 

鈴:そうだな。
では、この相棒の最後の言葉ネタもどこまで続くか見物だと思いつつ、私はいつものように去ります。
では、さよ~なら~

扇:(ところで……結局、SLって何JAROぅ?)

鈴:(!Σ( ̄□ ̄;) ……いや、Second Lifeって仮想空間の名前だったんだが……やっぱり知名度低いんだなぁ)


to be continued……



――【つれづれナビ!】――
 ◆ 『お留守バンシー』のまとめページへ
 ◇ 『ライトノベル一覧表(その1)』へ
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ベストセラー作家……だけど

2008-04-20 18:50:30 | 小説全般
さて、第965回は、

タイトル:ガールズ・ブルー
著者:あさのあつこ
出版社:ポプラ社 ポプラ文庫(初版:'08)

であります。

あさのあつこ、と言えば「バッテリー」がベストセラーになって、ドラマ化までされたり(されてるはず)と、いわゆる時のひとって感じだろうか。
だいたい、そういうベストセラー作家ってのは読まないほうなんだけど、いまいち探すのがめんどくさかったので手に取ったわけなんだけど……。

こういういい加減な選び方をしたときほど、いい作品だったりする確率は高かったり……(^_^;

ともあれ、ストーリーは。

『高校なのに、中学並みの授業をして、それでも毎年進級できない脱落者が出る、地元でも有数のダメ学校、稲野原高校に通う2年生の理穂。
夏も間近の6月、バイト先で知り合った彼氏に振られたりはしたものの、幼馴染みの美咲や如月、友人のスウちゃんたちとともに、誰かの誕生日には必ずやるゲームをしていた。

携帯を取り出し、最後まで鳴らなかったひとがその場の食事代を支払う、というゲームをしながらお喋りに花を咲かせる。
学校のレベルは低いけれど、高校生活を謳歌する少年少女たち。
優秀な兄弟、連続して起きた猫殺しの事件、夏祭り、友人たちと老いた飼い犬の染子と行った海……。

日常の中で、それぞれが様々な思いを抱えながら、けれど理穂たちは元気に、いつものように毎日を過ごしていく。』

……短っ!(笑)
と言うか、ストーリー紹介するような話じゃないよなぁ、これ。
100%、主人公の理穂と幼馴染みの友人、美咲を中心として描かれる少年少女たちの「日常」でしかないし。

とは言え、この作品、理穂や美咲、如月と言ったメインキャラたちがとても生き生きしていて、キャラもしっかりしているから、単に日常を描いているだけで大きな事件とか、出来事がないにもかかわらず、読んでいて飽きない。

解説にも理穂と美咲、このふたりの魅力のことを述べているが確かにそのとおり。(解説なんてほとんど信用しないんだけど、これは納得)
優秀だがやや不登校気味の弟の真央を持つが、ふつうの少女である理穂。
超虚弱児で生まれ、入院が定例行事になっているが、歯に衣着せぬ言動と強固な意志とプライドを持つ美咲。
また、理穂とおなじように野球でプロも注目する兄、睦月がいるがマイペースで独特のキャラを持つ如月。

それぞれがしっかりとした個性と魅力を持っていて、それが行動や言動から十二分に感じられる。
だから、「単なる日常」だけど淡々とした印象がない。
むしろその逆の印象すら受けるくらいの作品になっている。

日常の中に事件を織り込んで話を作るより、日常に徹する話を書くほうがよほど難しいと思うのだが、それをきっちりと描ききる著者の力量はすごい、としか言いようがない。
ベストセラーになった「バッテリー」のほうは知らないが、これだけのものを書けるのであれば、ベストセラー作家になるのも頷ける。

文句なし……とまでは言わないけど、読むひとを限定せずにオススメできる小説と言うのはかなり久々ではないだろうか。
様々な事件や社会の歪みを抱える現代に生きる少年少女たちの、生き生きとした日常を是非とも感じてもらいたい一品だろう。

と言うわけで、かなり久々、総評、良品。
2巻も出てるみたいだし、早速買ってくるかな。

仮(あ、タイトル入れ忘れた)

2008-04-17 19:57:33 | おしゃべり
さて、第964回であります。

鈴:さっそく「人工呼吸の必要」を読んだLINNで~す。

扇:『お留守バンシー』を読んでいるSENでーす。

鈴:読んでるのか……。
あれはどうかなぁ。感性派にはOKなんだが……。
しかし、「人工呼吸の必要」は確かに、「花にアラシ」よりはよっぽどかマシだったな。

扇:今の所、綺麗にまとめてるなといった印象かな。
ただ、このまままったりと最後までいくとなると……俺的には辛いかも知れん。
『人工呼吸の必要』は良かったろ? 見知らぬ女生徒に寝込みを襲われる(?)という凄い始まり方をしているが、最後まで無理なくまとめている良作だと思う。
主人公の男の脳はかなり変だと思うが。(笑)

鈴:そーねー。
ラストの余韻もしっかりあったし、見せ方もよかったし、確かにいま連載してるのよりはよっぽどかいいな。
だが、ふつうに見ればヒロインのほうが変なんだが、よくよく見れば彼氏のほうが変ってのはそのとおりだな(笑)
ヒロインはタイトルに沿った行動をしてるだけだし。

扇:そう、キス魔であることを除けば、このヒロインってかなり常識人なんだよな……ってこのままいくと内容を全部喋っちまいそうなので、次のコーナーに移ろう。

鈴:そうだな。
じゃぁ、今回の振目は……。


『振り返れば目録!』


鈴:では、今回の振目は2007年3月であります。
では、いつもどおり、○のほうから。
なんかあるかえ?

扇:何だそのサイコロ賭博みたいな略称は?
えーと、この月は結構豊作なんだよなぁ……『スーパー・ブラックオニキス』『夜のピクニック』『カンビュセスの籤』と、ジャンルはバラバラだが粒が揃っている。
敢えて選ぶとしたら、カレとカノジョと召喚魔法かな。
キャラ物としてもラブコメとしても良くできた作品だと思う。
つーか、電撃のラノベで全巻読破したのってこれだけかも知れん……。(爆)

鈴:「カレとカノジョと召喚魔法」か。そういや、けっこう褒めてたなぁ。
……つか、三重丸ってラノベにしてはかなりオススメな部類に入るんだな。
えーっと、じゃぁこっちのオススメは……狼と香辛料IVだろうなぁ。
いわゆる「戦い」のないファンタジーで、ラブコメ、商人ネタなど、いちばん出来がよかった巻だったなぁ。

扇:オススメのラノベの違いが、俺達の嗜好の違いをよく表してるな。
何だかんだ言って俺は好戦的な部類に入るんだろう、カレカノもさりげにバトル物だし。
狼と香辛料』は、一冊目を買ったにも関わらず停滞したまんまだなァ……いや、悪い作品だとは言わないんだが、あの異常なまでの経済話に引いてしまってどうもねぇ。

鈴:経済話か……あれはけっこう私もきつい、と言うか理解するのに苦労したわ(笑)
……と言うか、この作品が好きなひとってほとんどのひとが商い関係の話を理解してないんじゃないかと思うけどな(毒)
たいていはホロ萌えだと思うぞ(毒毒毒)

扇:まぁ、最初でいきなり脱ぐしな、ホロ。

鈴:脱ぐと言うか、すでに初手でだし(笑)
……と、これくらいにして、じゃぁ、次はいつものように盛り上がってしまう×のほうに行くかね。
×というとこっちは水の舳先(著者:玄侑宗久)だが、あえて言うなら赤城山卓球場に歌声は響く(著者:野村美月)かな。

扇:敢えて? ああ、△になってるな、『赤城山~』
しかし、よく△にしたな……これ。
記事読む限り、×以外考えられんぞ。

鈴:あぁ、だってかなりぎりぎりだし、感性派オンリーで△ってレベルだからな。
本気で甘々に点数つけて△にしたくらいだし、たぶん……と言うか、相棒が読んだら毒満載で敵作りまくりな話だと思うぞ(爆)

扇:史上初の×三つ出すかも知れんな、てなわけでやめとこう。
えーと、こっちの×はGOSICK ―ゴシック―しかないな。
そっちの×に比べると、さほどキツイことは書いてないね。

鈴:×というと「水の舳先」になるが……いーや、もう。
坊さんは、法事だの葬式だので仏の教えの講釈垂れてりゃいーんだよ。
って本気で思ったくらい、くだらなくてどーでもいー作品だったなぁ。
芥川賞か、直木賞か、そういうのの賞の候補になるのが不思議なくらいの話ではあったな(毒×100)
だが、「GOSICK ―ゴシック―」の記事は、よっぽどかひどいこと書いてると思うぞ。
「劣化コピー」に「二級」「三人称の地の文が物凄く下手」って、私のよりは直截的だと思うぞ。

扇:小説内で宗教談義するのはちょっとな……。
とりあえず、小説として成り立ってないものは勘弁ってのは同感だ。
あれ……? 劣化コピーとか言って――るな、キャラに関してだが。(爆)
まーなんつーか、内容が終わってても、ゴスロリホームズのヴィクトリカがいるからオッケェ! って人はあれでいーんだろーけどね。(毒花満開)

鈴:確かにキャラ萌えのひとにはそれがいーんだろーけどさ。
それしかネタ……というか、訴求力がないってのはかなり終わってる気がせんでもないな。
だが、それでもこの著者、直木賞(だっけ?)取ったってのは……なんか、不思議というか何というか……。
まー、そのあたりを言い出すとキリがなさそうだし、いい頃合いだし、次のコーナーに行くかね。


『今週の一冊』


鈴:では、今週の一冊ですが、ちょうど1ヶ月くらい前に紹介した作品の新刊「キングダム(第9巻)」(著者:原泰久)であります。
8巻まででひとつの大きな戦を経て、異例の出世を遂げた主人公の信くん。
しかし、ようやく自国に戻った秦王・政に刺客が差し向けられており、信は政を助けるべく、刺客に立ち向かうが、その刺客たちの中に、先の戦でおなじ伍で戦った羌女・(「女普vが表示されない場合は、「やまいだれ」に「鬼」)がいた。

……と言ったところが8巻だったっけなぁ。
で、そのあとがこの9巻。

扇:表示されない……。
羌に「やまいだれ+鬼」でキョウカイですね。
前巻まではよく解らない不思議ちゃんキャラだったのですが、本巻でその全貌が明らかになりました。
でもさりげに一番美味しいとこ持ってったのはヒゲのオヤヂ。(笑)

鈴:ヒゲ……昌文君かいな?
壁のおっちゃんもヒゲ付き……だが、オヤヂと言う単語が似合うのはやはり昌文君だろうなぁ(笑)
しかし、この9巻はいちおう政たち×刺客……なんだが、完全にキョウカイ編って感じだな。

扇:つーか、武官引退した人間の強さぢゃないよ昌文君。(笑)
巻全体では間違いなくキョウカイの話だわな。
信くんとの対決、人外モード発動、河了貂との接触、過去話と、エピソード満載だ。
しかし……キョウカイが融通きかないからかも知れんが、今回の信くんは妙に大人だったなァ……成長してるからと言えばそれまでなんだが。

鈴:引退して文官やってるはずだから、鍛えてる余裕はないはずなんだろうけどなぁ。
つか、刺客の背中にある鞘ごとぶった切んなよ、おやぢ……。
それにしてもキョウカイ編……なんか、前も政と運び屋の姐さんの過去話とかあったが、脇の話になって、ちとどうかと思ったが、前の過去話よりはよかったな。
時間軸が一緒だし、信や政と絡ませやすそうなエピソードになってるし。
だが、信が大人……う~ん、相対的にそう見えるんかな、キョウカイの関係で。

扇:オヤヂより壁の方が文官っぽいんだよなぁ……基本的に冷静だし。
同じ過去話としては、キョウカイの方が出来は良かったな。
蠱毒方式で最強キャラを作るってのはよくあるネタだが、キョウカイ覚醒のシーンは、よくぞ言った! って感じだったので結構好き。
元々、信くん自体頭はいい方だと思うけどね。自分で計算してどーのこーのってのは苦手みたいだが、人の話を理解する才能は図抜けてると思ふ。

鈴:壁のほうが文官っぽいのは納得(笑)
やっぱいいとこの坊っちゃんだから武官とは言え、そういうふうに見えるんだろうな。
キョウカイのシーン……あぁ、あれか。
あの一言で終わらせてるのは印象的でいいシーンだ。
で、信くんだが、計算型ではないのは確かだが、すさまじく勘はいいとは私も思う。
王騎将軍と話した5巻か、6巻か……あれだけでかな~り勉強させてもらったと思う……と言うか、あれだけで直感的であれ理解できてるのは頭がいいとか、そういうのを超越してる気がせんでもない(笑)

扇:うむ、だが今回で頑張り過ぎたんで、キョウカイはしばらく姿を消すだろうな。
次に再会する時は、仇敵が政の命を狙ってきた時とか、そんな所だろう。
ま、まぁ……信くんの思考回路って、どう考えても高等教育受けてる人間のそれだから、あれで視野が広がったのも納得……できないこともない。
つーか、それを考えると、信に勉強教えた(と思われる)漂って、人外クラスの天才児だったんだなァ――返す返すも惜しい漢だ。

鈴:あ、それは私も考えた……と言うか、定番かな、新たな刺客が仇敵で、ってのは。
しかし、できないこともない、って弱気やな(笑)
でも確かに漂ってのは初手で死んだのが惜しいくらいだな。あれだけやんちゃな信相手に腕は互角で勉強まで(たぶんさりげに)教えてた、と考えると人外ではあるな。
とは言え、このマンガ、王騎将軍とか、昌文君とか、人外クラス多すぎだけどさ(笑)

扇:そうかー、漂って、成長したら王騎将軍になってたんだぁ~。
そう考えると、信くんってマトモだよなァ……。

鈴:政とおなじ顔で、化粧して、お姉言葉使う……想像したくねぇ~……(爆)
だが、確かにあれだけ人外クラスで個性が強い連中が多いと、信くんは直情型ってだけのふつうの少年……あくまであの剣の腕の上達の早さを除けば、だろうが。

扇:で、時々、政のフリして壁あたりをからかうんだな?
「お前、百人将に降格」
「ええっ! マヂですか、大王様!?
「ココココ、冗談ですよ。漂冗談」
信くんもびっくりだぜ!

鈴:わははははははははっ!!
その想像はおもろいわ(笑)
つか、この9巻、ラストに2ページほど小ネタがあるが、そのあたりでやってくれると笑えそうだなぁ。
だが、信もびっくり、っつかその場で漂に剣向けそうだな。
気色悪くて(笑)

扇:オネェ言葉で、文武両道で、オマケに大王様と同じ顔って時点でキャラ立ちまくりだからな。(笑)
確かに、信とは毎日のように喧嘩してそうだな、「お前は俺の知ってる漂じゃねぇぇぇっ!」って感じで……何か、ほんと信が普通人に見えてきた。
というわけで最後は全く関係ない話になってしまいましたが、相変わらずオススメです。歴史に興味がない方も、一度拾ってみて下さい。
次回、読書大戦turedure・第966話
「誰がために書は叫ぶ」
――ダテに活字は見てねぇぜ! 

鈴:見えてきた、と言うか、完全にふつうの子ってイメージがついた気がする……。
ともあれ、今回は新刊で出ている9巻だけ取り上げましたが、この9巻も戦いのシーンにキョウカイのエピソードと内容も見所も盛りだくさん。
まだまだオススメできるクオリティと内容ですので、ご安心を。
……と言うか、そろそろ大人買いしないときつい巻数になるので、このあたりで買ったほうがいいと思いますぞえ。
と言うわけで、相棒のようにネタがないので、私はいつものようにさよ~なら~


to be continued……

やっぱりこの頃がいちばんかなぁ

2008-04-13 21:36:19 | マンガ(少女漫画)
さて、第963回は、

タイトル:瞳のなかの王国(全3巻)
著者:岡野史佳
出版社:白泉社 花とゆめコミックス(初版:'92~)

であります。

初版が92年って……古いなぁ。16年も前だし。
……と言うか、岡野さんの作品は好きな作品がたくさんあるにも関わらず、目録見るといままで一度も紹介したことがないとは思わなかったなぁ。

てなわけで、先々週に引き続き、マンガネタですが個人的に岡野作品の中ではトップ3に入る本作。
ストーリーは、

『高校1年生の倉本深青は、朝のテレビで放映されていたイルカショーの話題に興味を引かれ、放課後、その水族館へ足を運んだ。
イルカショーはもう終わっている時間帯だったが、ショーが行われているプールへ向かった深青は、プールでイルカと親しそうにしている少年を見かける。

その少年はおなじ高校の1年生で、遅刻・早退は当たり前、無愛想で不良だと噂の幾見一矢だった。
けれど、水族館でイルカと戯れるときの姿に惹かれる深青は、水族館へ足繁く通うようになり、次第に一矢と、その友達であるイルカのドリー、水族館で働く一矢の従兄やトレーナーの雪乃と言った関係者と親しくなっていく。

そんな中、芸の飲み込みが早く、頭のいいドリーに言葉を憶えさせようとする試みをきっかけに、一矢とドリーを取り巻く環境は大きく変わっていく。
テレビの取材をきっかけにした騒動や、ドリーをより本格的な実験を行うために水族館から移動させる話……そうした中で、一矢は協力する代わりに条件を出した。

ドリーを海へ帰す……それがかなわなければ実験の話を呑む、と。
しかし、それは一矢にとって最悪の結果を生み出し、深青は様々に揺れる一矢の姿を見るに従って、より一矢に惹かれていく。』

平たく言えば、水族館で飼われているイルカのドリーを介して描かれる深青と一矢のラブストーリー……と言うことになるのだが、雰囲気をとても大事にする感性派の私にとっては、ストーリーもそうだが、それ以上に作品の中に描かれる「海」の青さや包容力と言った雰囲気に、十二分に浸れると言うのがこの作品が好きな最大の理由のひとつ。

とは言っても、単に雰囲気だけかと言うとそういうわけではなく、主人公でありヒロインの深青という名前や、タイトルにあるキーワードなどを効果的に作品中に織り込んで描かれており、作品そのものの作りもけっこうしっかりしている。
もちろん、深青と一矢ふたりだけの話ではなく、一連の中で別のメインキャラの話もあって、そうした話がより深青と一矢の特徴を際立たせていたりと、そつがない。

また、ラブストーリーとは言いながらもさぶいぼが立つようなタイプの甘々さ加減はほとんどないし、ラストのハッピーエンドもしっとりと落ち着いたものになっていて、恋愛ものが苦手なひとでもあっさりと読めるのではないだろうか。

ただ、全編通して透明感のある落ち着いた作品なので、盛り上がりには乏しいし、毒と言った要素は皆無。
そういうところはまったく期待しないほうがいい。
逆に、濃ゆい作品ばっかり読んで食傷気味のときの清涼剤としてはいいかもしれない(笑)

とは言え、手に入るかなぁ、この作品……。
岡野さん自体、もう白泉社から別のところに移ってるから古本屋以外で手に入れる術がないのは痛い。
つか、それでなかったらもうダメだしなぁ。
まぁ、読んでみたい、と言う場合には古本屋を気長に探し歩くしかないでしょう。

てなわけで、雰囲気を楽しめる感性派にはオススメの部類に入るんだけど、入手性の悪さとか、盛り上がりに欠ける展開と言った欠点があるので、文句なし……とはやはり言い難いかねぇ。
もっとも、全3巻で短く、あっさり読めるし、いいところもあるので、及第には違いないんだけど……良品とまではぎりぎり言えない、そんなところかな。



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さよならだけが人生、ってわけではないらしい

2008-04-10 08:12:23 | 木曜漫画劇場(紅組)
さて、第962回は、

タイトル:花にアラシ
著者:高木しげよし
出版社:白泉社 花とゆめコミックス

であります。

扇:百日咳が万年咳と化してるSENでーす。

鈴:「ドルアーガの塔」のアニメを見てげんなりしたLINNで~す。

扇:あれは、ホラーにしないと駄目だ。
ドルアーガの派生作品は無数にあるが、ホラー要素を排して成功したものは一つもない。

鈴:ホラー……ジャンルはホラーかどうかは別にして、ゲームそのものの「わからない」って部分がまったくなかったからなぁ。
結局、ドルアーガって名前だけ使って往年の定番ファンタジーをやりそうな感じではあるがな。
まぁ、1話だけ見て判断できるわけではないんだが……あんま期待はしてない(爆)
だが、そこまで私はドルアーガ関連の派生作品を知らんのだが、そんなに出てたんだっけか?

扇:ゲームがイシター、カイ、ブルクリ、ドルアーガの不思議なダンジョンで四本。
あと、小説とかゲームブックがちらほら、かな。
実はボードゲームなんてのも存在した……欲しかったなぁ、あれ。

鈴:不思議なダンジョン……どっかのパクリじゃあるまいし……。
つか、なんかやる気が失せるネーミングやな。
小説とかゲームブックは、そっちがネタにしてたからわかるが……ボードゲーム……やっぱ60階までやるのか?(笑)

扇:パクリじゃなくて、製作チームが同じなんだ。
ドルアーガらしさを出すため、隠し宝箱探しを入れたのはいいんだが、それ以外の部分がいかにも単調でなぁ……元々、不思議なダンジョンシリーズ自体好きではなかったので、60階クリアした時点で速攻売った。
ちなみに、ボードゲームの方は6階ぐらいじゃなかったかなぁ。

鈴:売った……ってやったのかよ。
だが、ボードゲームの6階ってのは短ぇなぁ……。
まぁ、ボードゲームってジャンルだから仕方がないと言えば仕方がないんだが……もともとのゲームを知ってるとその階数だけで萎えそうだ(笑)

扇:なに、某社から出ていたゲームブックも6階建てだったぞ。(笑)
話をアニメの方に戻して、と、原作のゲームが情報を極端に制限して、不気味な空気を出してたってのに、それを綺麗さっぱり消しちまった時点で別物になるのは必然だな。
何せ、元ゲーと来たら……何も考えずに進んでたら暗闇に放り出されるわ、いきなりテレポートしてきたマジシャンに電撃喰らうわ、ようやく最上階まで来たところでいきなり12階まで叩き落とされるわと、かなり理不尽な方法で悲惨な目に遭うマゾゲーだったからなァ。(遠い目)

鈴:マゾゲーね……。
あれをクリアしようと金をつぎ込んだヤツは確実にマゾだな(笑)
まぁ、あの当時はゲーセンで使う金には制限があったからあれだが、ファミコン版が出てからは、友人宅で5,6人集まって、それでもクリアできないっつー、ろくでもないゲームだったからなぁ。
だいたい、シューティングやアクションが得意な私がプレイヤーで、頭脳派の連中が宝箱探しやってたのに、たぶん20階くらいまでしか行かなった気がする。
小学生にはまぁ、これくらいが限度ってとこだったんだろうなぁ(遠い目)

扇:つーか、宝箱をテキトーに出して進んでた人間が地獄を見るのが20階だからな。
何せこの階、19階のブック・オブ・ライトを取ってないと、真っ暗闇に叩き込まれる。
あれを最初見た時は目が点になったぜ……まさか、そういう面なのか? って本気で考えたからな。
しかも、ブック・オブ・ライトの出現条件は、『扉を開けた後しばらく待つ』って……制作者は鬼か? 扉を開けたらそのまま次の階に進むに決まっとろうがっ!

鈴:まぁ、さすが遠藤と言うべきだろうか……。
つか、ろくでもない宝箱の出現方法多すぎ……。
そういや、このゲーム、まともにクリアしたことねぇや。
つか、オレ、ドルアーガそのものを見たっけなぁ。
いまはネットでいろいろ見れるからあれだけど、当時は小学生数人集まってせいぜし30階ぐらいが限度だった気がする……。

扇:俺は一応、攻略本片手にファミコン版とゲームボーイ版とプレステ版はクリアしたぞ。
つーか、忘れた頃にやりたくなるんだよなぁ……これ。
やってると次第にくたびれて来るんだが、飽きが来る頃に新キャラ出たりして、上手いことメリハリを付けてくれている。

鈴:おぉっ、クリアしたのか……。
こっちはあの当時からやって、クリアできなくてそれっきりだったからなぁ。
いまやれば、クリアできるとは思うが……まぁ、やめておこう。
ハマったらハマったで、それしかしなくなりそうな気がする(爆)
……っと、なんかドルアーガネタで盛り上がった感じだが、そろそろ次に行くかね。

扇:えーと、じゃあ今日のお題を……あったあった。
この記事書き終わったら速攻売りだな、これ。(ぼそっ)
とてつもない怪力を誇る普通(?)の女子高生・国見理子が、金持ち一族の御曹司・龍華嵐にあの手この手で迫られるラブコメです。
以上。

鈴:……えーっと、すまんが、タイトルも著者名もまったく思い出せんのだが、どの雑誌でやってたんだ?(爆)

扇:お前、ララデラ読んでたんぢゃなかったか?
詳しくは、平成18年9月号、及び、平成19年1、7、9月号を読め。
どーせ、部屋に転がってるだろ?

鈴:LaLaDX!?
……(検索中、検索中……)
あー、見つけたわ。
そっかぁ、このマンガ、「花にアラシ」で著者が高木しげよしだったんだぁ。
初めて知った(爆)

扇:オチが付いたので、これで終わります。
ごきげんよう。

鈴:終わるなよっ!!
ったく、せめて少しくらいキャラ紹介とか、ストーリー紹介とか、してやれよ。
……っと、その前にいつものようにCMかな。


つれづれ読書日記


つれづれ読書日記まったりと営業中

微妙にですが、新規作家増えてます。
初回からの総目録、作家一覧、どちらも継続更新中。
数は少ないですが、つれづれ号外専用の目録もあったりします。
ちなみに、姉妹サイト『閃鈴電脳遊戯館』は……すいません、更新止まってます。(爆)

御覧になりたい方は、最新記事の☆『目録へのショートカット』兼『総合案内板』、もしくはこちらから!


つれづれ読書日記


扇:では、主人公の国見理子。
運動部の猛者が束になっても適わない程の怪力娘。
本人は至って平凡であることを主張するが、力の使い方はよく御存知のようだ。
つーか普通の人間は、当たり前のように校舎の三階から飛び降りて、すたすた歩いていったりしません。
性格的には、ちょっと気弱なツンデレ……うが~、他に特筆すべき特徴がない。

鈴:では、主人公の相手役、龍華嵐。
龍華グループの御曹司で、自身もいくつもの会社を駆け回る経営者としてはトップクラスの実力を持つ、(確か)高校生。
運転手が、理子を引きそうになったが、理子がそれを軽々とよけてしまった、そのことで惚れてしまう、というあんた、金持ちだから価値観おかしいよねって理由のみで理子をつけ回すことになり、トラブルメーカーまっしぐらな彼氏役。
つか、惚れる理由がなに?って突っ込んではいけない……と思う(爆)

扇:少なくとも、『ちょっと運動神経がいいだけの普通の女の子(本人談)』は、突っ込んできた車をかわして、ボンネットの上に飛び乗るなんてことはしねーわな。
ってことはこの男、単純に理子のスペックに惚れたのか? 最低だねぇ。
ま、一目惚れの理由なんて、実際のとこ本人にしか理解できないから何でもいーけど。
それよっか、この二人含めて、出てくるキャラ全員のパチモン臭さはどーにかならんかな?
どいつもこいつも、巷に転がってるキャラクターの劣化コピーにしか見えないんだがこれいかに。


鈴:最低って言ってやんなよ。
いちおう、惚れる理由にはしてんだからよ。まぁ、無理はあるのはわかりきってるんだがな。
だが、いろいろとネタは作ってはいるが、実際その辺に転がってるのと大差ないってのはあるわなぁ。
まぢでLaLaDXで、リアルタイムに読んでて、タイトルどころか、著者名すら思い出せなかった時点で終わってるし(爆)

扇:ずばっと言っちゃうと、キャラが軽いんだよね。
コメディ物のキャラらしく、『いい意味でケーハク』なのではなくて、単に薄っぺらなだけってのが致命的。
台詞は面白みがないし、バックグラウンドもいーかげんだし、心理描写はごく当たり前のことを文字にしてるだけ。
これでビジュアルが良ければまだマシなんだが……新人にしゃ安定してる絵なんじゃない? ってレベルなんで、プラス要素無し。

鈴:プラス要素なしの割には単行本になってるってのが白泉社の基準のわからんとこだよなぁ。
だいたい絵は安定してる連中(好みで言えば、ふたりほどいるけどさ)もいるが、それでも単行本にならんってのはけっこういるからなぁ。
……なんか、私好みのふたりが哀れになってきてしもたわ……。

扇:そこは……アンケート結果によるんだろうなァ、某週間少年誌と同じ系列の会社だし。
ストーリーの話をすると、この手の身分違いのラブコメ定番の事件が起こって、流れで解決して終わり――をい
盛り上がりも盛り下がりも、つーか、オチすらもねぇぞこの話。
オチが弱いとかいう生易しいレベルではない……オチがそもそもないんだ!

鈴:まー、定番と言うか、御曹司の事件に巻き込まれて解決しておしまい、ってのが1話以降のお約束になってるからなぁ。
何度も言うが、これで単行本になるだけの理由がはっきり言ってわからん。

扇:余程悔しいんだな、お前。(笑)
ちなみに、似たような作品で過去に紹介した『ディア マイン』があるけど、あれと比べると、この作品がいかにダメダメかが簡単に解る。
要するにこれ、キャラの足下が固まってないから、会話にも行動にもまったくと言っていいほど説得力がないし、オチも付かないのだ。
もっともコメディとしてキレが良ければ勢いで読めないこともないのだが……間の取り方がイマイチなんで笑えない。
総評としては、ド下手――これに尽きるね。

鈴:うむっ!
つーか、せめて1冊くらい短編集出してやれよ!! ってのはけっこういるからなぁ。
選考基準云々別にしても増刷せんでも初版のみで売り上げになるだけのファンはいるはずだ!! ……と思う……はず……だろう(弱気(爆))
(ちなみにそのひとの名前は、山代遠波に天野忍だ)
しかし、ど下手まで言うかね……まぁ、タイトルも著者も思い出せなかった私が言う台詞ではない気はせんでもないが……(笑)

扇:山代遠波に天野忍――誰?
見たことも聞いたことも食べたこともないなァ……ララデラ読んでないから当然かも知れんが。
うーん、でも、ド下手以外に言いようがないと思うぜ。
同時収録されてる受賞作『人工呼吸の必要』が素薔薇しいだけに、どんだけレベルダウンしたんだこの人? って感じだ。

鈴:まぁ、しゃぁないわな。LaLaDXでしか描いてないはずだから。
「人工呼吸の必要」……聞いたことがあるタイトルやな。
だが、そこまで褒めるとは、ホントにいい出来だったんだな。

扇:えーと……載ってたのがララデラの18年1月号だ。
受賞作だけあって思い入れが強かったのか、手放しに褒められる出来のいい短編だったぞ。
キャラではなくストーリーで読ませるあたり、実はこの人キャラ物苦手? って気はしたけどな。
と、いい感じにシメたところで、今週はお開きと致します。
次回、読書戦記turedure・第964話
「毒の華は華麗に咲き誇る」
――表紙の向こうで何かが起こる。

鈴:18年1月号か……ちょいと探して読んでみよう。
……って、なにミステリっちっくに〆てんだよっ!!
と言いつつ、新しい終わり方でなんかけっこういいな、なんてちらっと思っても、相棒に言うのもシャクなのでこの辺で逃げます。
それでは、私はいつものように、再見~

いろいろ読まないとなぁ

2008-04-06 18:03:51 | ファンタジー(異世界)
さて、ラノベとかマンガとかが多いなぁの第961回であります。

タイトル:狼と香辛料VII
著者:支倉凍砂
出版社:メディアワークス 電撃文庫(初版:'08)

であります。

6巻を読んでから、7巻読んで記事にするかどうか考えて……なんて考えてて、あっさり7巻が出てました。
早いな! と思って買ってはみたものの……短編集でした。
短編集、と言っても実際は中編1本に短編2本という構成ではあるんだけど。

では、それぞれのストーリーをば。

「少年と少女と白い花」
『ある領主の屋敷で下男として働いていた少年クラスは、突然現領主の弟が現れ、現領主が死んだと言われて屋敷を追い出されてしまった。僅かな食料と水のみを持たされて。
しかし、クラスはそのことをまったく悲観していなかった。むしろ自由になれたこと、そして一緒に旅をすることになった少女アリエスがいてくれたから。

だが、鳥や馬すら知らない超世間知らずのアリエスと、まだ稚いクラスの旅はとても楽観視できるものではなかった。
ある夜、いつものように野宿をすることになったふたりに、狼の群れが近づいてくる。
身を守るものと言えば、杖代わりにしている棒きれひとつ。

絶体絶命の状況は、唐突に狼たちが去っていくという不可思議な行動によって救われる。それと同時に、ひとの姿をしながらも耳と狼の尻尾を備えた少女ホロがふたりのもとへ現れた。』

ホロがひとり旅の途中に出会ったクラスとアリエスの物語で、ロレンスとは出会う前の物語。
世間知らずで、しかもまだまだ10代半ばといった程度のふたりと、老獪なホロ、という構図で、ホロの年上のお姉さんっぷりが存分に発揮されている作品。

まぁ、ロレンスは(少しは)海千山千の行商人で、クラスとアリエスは純朴な少年少女なので、こういう構図になるのは当然と言えば当然。

ストーリーは……ホロは出ているが、どちらかと言うとクラスとアリエスふたりが中心の展開。
男だからアリエスを守らなければならない、という可愛らしいクラスの矜恃や、仕組まれた、これまた可愛らしい罠など、少年が少女を守る小さなナイトを気取った定番のお話。

あまりにも普通すぎて、さして見るべきところはないが、定番なので安心して読める中編ではあろう。
心を広く持って、よくやったね、とほほえましく読んであげるのが吉。

「林檎の赤 空の青」
『ホロは大量に買ってしまった林檎120個を前に苦慮していた。いくら好きだとは言ってもこれだけ大量にあれば飽きてしまうもの。
林檎の別の食べ方の話をロレンスからひとしきり聞いたあと、ふたりはこれから迎える冬に向け、冬用の服を買いに出かけることにした。』

これは……ロレンスが怪我をした記述があるので5巻と6巻の間の話、ということになるんだろう。
著者もあとがきで「長編の幕間」と言っているとおり、単にロレンスとホロの日常を描いただけの話で、さして見るべきところなし。

「狼と琥珀色の憂鬱」
『ロレンスとホロは、羊飼いのノーラとともにささやかな祝宴を行っていた。
だが、ホロはたった1杯の酒でもう酔いが回ってきてしまっていた。
体調が悪い、ということには気付いていたが、ささやかとは言え、祝宴を台無しにするわけにもいかず、耐えていたホロだったが、いつしかそれも限界に達し……』

えーっと、ノーラが出てくるというと……(検索中)……2巻のあと、というくらいか。
いろんな出来事が重なり、疲労がたまったホロが倒れてしまい、そのことでいろいろと考え事をするホロの姿……つまり心理が描かれた話で、完全にホロ視点の文体、という本編や前2作とは趣の異なる作品。

一言で言ってしまえば、いままでのラブコメ路線を補完するだけの短編。
……なのだが、あとがきで「最もプッシュするところ」と言っているだけあって、めっさ読みにくい。
だいたいホロとロレンスのやりとりとか、地の文とか、無駄に回りくどい悪癖があるのに、これはそれが極まってる印象。

それにストーリーそのものも「ラブコメ路線の補完」ってだけなので、読後感は「あっそ」しかないくらい。
まぁ、本編も完全にラブコメに走ってるし、キャラ萌えのひとにはホロの心理というものが知れておもしろいのかもしれないが、ラブコメまっしぐらにいまいちな評価をしてる私としては評価は低い。


というわけで、都合3編。
「ふつうで定番」「中途半端」「ラブコメ路線の補完」……唯一読めるのが最初の中編だけってのは……かなり痛い……。
なんか、最初のころはぼちぼちで、3巻とか4巻はよくなってるなぁと期待できるものだったんだけど、このところ、出来が悪くなってるとしか言いようがない。
そんなわけで、総評としては落第。

まぁ、本編ではないので、今後記事にするかどうかは次の本編を読んで、ってとこかな。
もっとも、もうほとんど期待しないけど。



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幽夢で会いましょう

2008-04-03 18:48:17 | おしゃべり
さて、第960回であります。

鈴:引導……じゃなくて異動なしでまったりしてるLINNで~す。

扇:あれ、そろそろ沖ノ鳥島に転勤になるんぢゃなかったのか? と突っ込むSENでーす。

鈴:どぅあれがそんなところに転勤するかっ!!
つか、転勤先にそんなところはぬぁい!

扇:ないのか?
まぁ確かに、あの土地、ちょっと不便だからなぁ。

鈴:ちょっとどころではないわいっ。
だいたい満潮時に沈む島に暮らすヤツがどこにおるか!
まぁ、相棒が先に転勤して1年くらい住んでくれれば考えんでもないぞ。

扇:うちもあそこに支部はないから無理だ。
とりあえず土地買って、住民票登録して、船買って、うーむ……意外と苦労しそうだな。
LINN君が先に転勤してくれたら、あそこで世界制服宣言するつもりだったんだが。

鈴:買う以前に売ってくれんと思うぞ、あそこ……。
それに苦労も何も輸送費の関係で物価は半端じゃなく高くなること請け合いだから金が持たん。
……って、制服宣言してどーすんだよ。
あー、でも相棒がセーラー服とか着て宣言するなら、遠くのほうから船の上でまったり眺めておくわ。

扇:グラサンとコート着て、マトリックスごっこぐらいならやるけどね。
というわけで、どーでもいい話はこのぐらいにして、次のコーナーに参りましょう。

鈴:制服じゃねぇじゃんかよ。
せっかく笑える写真が撮れると思ったのに……。
ともあれ、確かにいいころなので、次のコーナーに参りましょう。


『Wikipediaに聞け!』


鈴:今週のWikiですが、すでに放送回数8000回を超え、「る~るる♪ るるるる~るる♪」のテーマでおなじみの「馬頭の部屋」です。
ちなみに、ゲストは登場キャラ、スタッフなどです。

扇:すさまじくマイナーなネタだな……をい。
そもそもアスキーコミック読んでる人が少ないし、さらにその中でBREAK-AGE人限定、さらにさらにそのファンブックに掲載されたコラムのネタって……何人の人間が解るんだ?
つーか、持ってる私ですらすっかり忘れてたぞ。(爆)

鈴:マイナー……う~む、本屋でバイトしてたときは売れてた覚えがあるんだがなぁ。本編は。
でもわかる人間がいたらいたで反応してくれそうな気がせんでもないが……。
まぁ、とりあえず真面目に行っとくか。
……てなわけで、本来のWikiネタは「徹子の部屋」でございます。
2007年3月2日で8000回を突破した長寿番組で、すでに32年を経過している……って……やめよう、年齢がバレる(爆)

扇:えーと、私達がちょうど――。

鈴:せっかく言わなかったのにわざわざ言うんじゃねぇっ!!
ったく、まぁ、とりあえず、「徹子の部屋」ですが、なぜか千代の富士(現九重親方)が出る回だけはきちんとビデオに撮って見てた覚えがあるなぁ。

扇:なんつーか、そこらへんに趣味が出てるねぇ。
あ~、俺も福本先生が出てる回は撮っときたかったなぁ……。
しかし、ほんと色んな人出てるよなぁ……閣下とか、マシュー南とか、鳥山明とか。(驚)

鈴:まぁ、九重親方は趣味だが……福本先生のときは見たかったなぁ、確かに。
あとは閣下か。これも見たかった……。
しかし、鳥山明……石ノ森とか、横山光輝とか、あのあたりの大御所ならわからんでもないんだが、鳥山……。
しかもアニメはフジテレビだから系列アニメの関係でもないのによく呼ばれたよなぁ。
……というか、黒柳徹子のゲストの選び方もいまいちよぉわからんな。

扇:うーん、鳥山は年齢層吹っ飛ばして有名になったからぢゃないか?
ゲストの選び方に関しては確かに、よく解らんな。
土日休みとはいえ、毎日やってるわけだから、呼ぶ人間の消費が半端じゃないし、収録日の都合もある筈なんだが……よーやる。

鈴:まぁ、8000回だからなぁ。
いちばん多い永六輔で24回……つーことは推測して30年間でゲスト5000人は下らんと言うことか……。
よくそれだけの人間相手に喋ってるわ、あのひと。
そういや、確か「メントレ」で黒柳がゲストで出たとき、オープニングのゲスト紹介をTOKIOがやってみるというネタがあったが、誰ひとりとして出来てなかったな。

扇:5000人……長寿トーク番組って偉大だねぇ。
あー、まくし立てるように紹介するあれか。確かアドリブなんだよな、あれ。
TOKIOが全員失敗したってのはよく解る――年季が違いすぎるからな。(笑)

鈴:確か、アドリブだったはず……メントレでそう言ってた憶えがあるな。
年季は……黒柳自体、テレビ草創期からの人間だからそのあたりもあるんだろうけどな。
しかし、やはり長寿番組で名前が知れてるだけあって、パロディはけっこうあるな。

扇:あー、確かにこれだけ長いと当然パロディも沢山出るわな。
『徹子さんいらっしゃい』とか『アタック徹子』とか『北斗の部屋』とか。

鈴:んなパロディがあるかぁぁっっ!!
ゲストは常に黒柳徹子か!?
回答者は4人とも黒柳徹子か?
黒柳徹子が「あたたたたたたたた、終わったぁっ!!」とか叫ぶのか!?

扇:いいな、それ。(素)
ゲストは常に黒柳徹子で、司会が毎回変わるトーク番組――一発ネタとしてはアリやね。
クイズ番組の方は、「えー、11番に白柳さんが入って、12番の赤柳さんが白柳さんに変わります」ってとこか。
トーク終わるたびにゲストに北斗神拳を叩き込むケンシロウ顔の黒柳徹子……とりあえず、いずれ誰も番組に出なくなるな。(笑)
個人的には、二番目の『アタック徹子』が一番好みかな、今ならCG処理で簡単にやれそうだし。

鈴:素でいいなっていうなよ!!
とは言え、まぁ現実的なのは確かに「アタック徹子」くらいだろうなぁ。
でも司会の児玉さん、なんかすんげぇ苦労しそうな気がする……。
というか、黒柳、クイズ番組強いからおもしろみは薄そうな……1回も間違いで立たずに終わりそうやな。

扇:となると、勝負は早押しだな。
って……同じ画像使ってるんだから、全員同時か。(爆)
何か勝手に嘘パロディ番組作っちゃったところで、そろそろ次のネタかね。

鈴:そうだな、じゃぁ次のコーナーをば。


『今週の一冊』


鈴:では、今週の一冊は、長い間お世話になりました。
ということで、これが現時点で最後の巻「華胥の幽夢 十二国記」であります。
長編ばっかりの十二国記シリーズにはめずらしい短編集でございます。

扇:略して「華幽」ですね。
「華夢」だと某少女漫画雑誌になってしまうので、こちらが妥当でしょう。

鈴:ええいっ、いちいち略さんでもええっ!!
とは言え、「かゆう」でも「はなゆう」でもなんか雅な感じがすんなぁ。

扇:おや? のつもりだったんだが。(笑)
いや~、風邪が治んなくてねぇ~。

鈴:そっちかよ……。
風邪絡みなら確かに粥だが……ここんとこ、粥なんかぜんぜん食ってないな。
風邪ひこうが、胃が悪かろうが食生活に変わりはない。
……ってこのコーナーは食い物の話するところじゃなくて本の話をするとこだ!!

扇:と言うわけで、不真面目なLINN君はほっといて本の話をしましょう。
現在出版されている十二国記の最終作で、このシリーズ唯一の短編集。
真面目な解説に関しては、過去記事を御覧下さい。
はい、不真面目な話再開していいよ。

鈴:不真面目な話を出したのはどっちやねんっ!!
しかも再開ってな……。
じゃぁ、真面目にしよっと。
というわけで、1話目の「冬栄」
……なんか、邪推しなくても泰麒(ちびバージョン)ファンのために書かれたんじゃないか、って気がする話だったなぁ。
まぁ、ここの王様も後宮で野良仕事してるってなかなかいいキャラしてたけど。

扇:明らかに泰麒ファンのための話だろ、これ。
最初の一枚絵は見事に泰麒(ショタバージョン)と驍宗先生のツーショットだしな!
後は適当に虐めて、最後にまた驍宗のとこに戻してやればオッケェ!

鈴:……思いっきり泰麒(ちびバージョン)ファンにケンカ売ってんな……。
まぁでも、もういぢめるにしても、おもしろみのないデカブツになっちまったけどな(爆)
では、2話目「乗月」
これはNHKのアニメでも、「風の万里 黎明の空」が終わった後にきっちりとやってます。
メインは本編で脇役だった月渓と……えーっと、熊! そう、熊! 名前が出てこんっ!

扇:でも、泰麒の人気が出たのは、可愛いからってのは事実だろう。
って……面白みのないデカブツってヒデェ言い方だな、をい。私でもそこまでは言わんぞ。
熊? あー、桓タイだったかな? 和州の乱の時に、先頭きって戦ってた奴だ。
『風の万里 黎明の空』の時は豪快なイメージだったが、この話は舞台が他国ってこともあって、かなり真面目な感じだねぇ。

鈴:先頭きって、ってのはどっちかって言うと虎嘯だろうけどな。
でも、アニメでも小説でも、攻城兵器出てきたときは見せ場もらってたな、桓タイ。
しかし、この乗月、そっちのレビューに「簒奪者となることを拒み、一州侯に戻ろうとする月渓とそれを止めようとする人々の会話は非常に重みがあり、読ませます。」とあるが、まぁ、そのとおりだな。
桓タイの言った「月陰の朝」ってのもなかなか気の利いた台詞でよかったし。

扇:実はインテリだったんだな、桓タイ! ってびっくりした記憶がある。
月渓の名前と月陰を引っかけてあるところがなかなかオシャレだ。
ともあれ、本書中で最も短編として完成度が高い話だと思うね。アニメの方も見たが、一話でキッチリ終わっていて好印象。

鈴:そうね。小説版もアニメも両方うまい具合に作ってたよなぁ。
では、3話目の「書簡」
出来云々は置いてしまえば、やっぱりいちばんのお気に入り(笑)
王様だけど友達という妙な関係の陽子と楽俊のやりとりが、なんかまったりとして、乗月読んだあとにあるのはちょうどいいまったり感。
あー、いま思うと、この短編、アニメにしてほしかったなぁ(笑)

扇:無理だろ。(きっぱり)
書簡の内容をそのまま動画にしようとしたら、一話じゃ終わらない。
かといって、間に書簡の朗読を挟むとテンポが悪い上に、凄まじいダイジェスト版になってしまう。
ま、諦めれ。

鈴:諦める以前に、もうアニメ終わってるし!
でもまぁ、乗月はきっちり作ってくれたので、よしとすっか。
では、4話目「華胥」
泰麒(ちびバージョン)の人気取りでほんわりした「冬栄」、いい話で終わる「乗月」、まったり感の「書簡」から一転、非常に重い政治の話。
なーんか、真面目すぎて読んでて暗くなりそうな話。
話の中身としては、わからんでもないが、雰囲気重視の感性派としては、ここまで重いのはちょっとねぇ……。

扇:ちと教訓話臭い嫌いはあるが、全体的にまとまっている良くできた話。
ストーリーとしては、理想だけ追い求めて崩れた国を立て直そうした挙げ句、自滅した連中の話、で済むのだが、殺人事件の謎解きをするミステリ要素が入っているのが大きな特徴。

鈴:じゃぁ、最後かな、次が。
では5話目「帰山」
狐と狸の化かし合い。
それだけ(笑)

扇:『図南の翼』のゲストキャラ・利広と、某超大国の暴れん坊将軍のトークライブ。(笑)
どっちも切れ者だけどふざけた性格なので、かなり面白い会話だったな。
しかし、お互い相手の正体に気付いてないフリするあたり……本当に狐と狸だ。

鈴:気付いていないふり……まぁ、そうね。
完全に相手が誰かわかっていながらの会話ってのが見え見えだったから、ホントに狐と狸だよなぁ。
だが、単に放蕩息子やってたのと、ひとつの国で海千山千の連中を相手に戦ってきた誰かさんとじゃぁ、ちと放蕩息子のほうが分が悪かったようだな。

扇:まぁ、最後の騙し合いからすると、やや後者の方が有利ってとこかね。
年齢だけなら利広の方が断然上なんだが、これだけ生きてると百年程度の差って大したことないし。
というわけで、十二国記から切り離して読むのはちと厳しいですが、シリーズの一部としてはどれも出来がいい作品ばかりの、お得な短編集です。
本編がまったく進んでないという不満は……まぁ、置いておきましょう。

鈴:置いておけるのか!?
まぁ、どーせ先がどうなるか見えてるから書けない、ってのもあるとは思うが、ファンとしてはやっぱ出せよ、って気にはなるからなぁ。
ともあれ、十二国記シリーズもこれが最後、ということでネタがねぇなぁ、なんて本音は言わないでおくことにして。
では、今回の木曜劇場……じゃぁねぇな。
おしゃべりは、この辺でお開きであります。
では、皆々様、ごきげんよう~♪

扇:ネタがねぇって……言ってるよ、しっかり。
しかしお前さん、酔うと本当に口が汚くなるねぇ。
さて、呆けた相方はほっといて、私も退散致します。さよーなーらー♪



to be continued……



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