つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

精霊ポーの心臓を11人売ります

2005-09-21 13:22:00 | その他
さて、エッセイ読んだのは久々な第295回は、

タイトル:思い出を切りぬくとき
著者:萩尾望都
出版社:あんず堂

であります。

少女漫画界の巨星、萩尾望都のエッセイ集。
第一期と第二期にまたがる1976~86年に書かれたもので、そこかしこに時代の雰囲気が溢れてます。

漫画家としての苦労話。
趣味のバレエ、演劇鑑賞の話。
アニメ、映画の好みの話。
日常生活、家族、友人の話。
テーマに統一性はありませんが、気軽なお喋りといった感じの文章で、どれもすらすらっと楽しく読めます。

ミステリー好きなんだけど、自分で描けないとか。
一つ一つ、ミステリに必要と思われる要素を列挙しますが……。
最後に出した結論が、こんなもんどうやって描けるんだァ。(笑)

望都子と呼ばれていたので、それが本名だと思っていたとか。
お母さんは望都子、お父さんは望都と名付けたかったらしいです。
デビュー後、ファンに男性の名前だと思われて轟沈……。

作家と編集の関係とか。
描きたいものと描かせたいものの不一致。
妥協か強行か? これは多分現代でも同じでしょうね。

一番面白かったのは『トーマの心臓』の裏話。
初回の読者アンケートが最下位だったとか。
打ち切って『ポーの一族』の続きを描けとせかされたりとか。

萩尾ファンは必読。
ファンじゃなくても、漫画の楽屋話として楽しめると思います
青池保子、山岸凉子、山田ミネコ等、同時代漫画家の方々の話がちょこっと出ててきたりもします、オススメ。



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