つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

お久しぶ~り~ね♪

2005-09-09 20:45:43 | 伝奇小説
さて、菊地秀行以来かもな第283回は、

タイトル:ヴァンパイヤー戦争1 吸血神ヴァーオゥの復活
著者:笠井潔
出版社:講談社文庫

であります。

なんか、ぼちぼち数出てるし、人気あんのかなぁ、と思ってたら1995年に出た話の文庫版だったのね……。
まぁ、とは言うものの、伝奇ものってそういや読んでないなぁ、と言うのと、平積みされてたので手に取りやすかったのもあってお買い上げ。

ストーリーは、タイトルのとおり、吸血鬼ものではあるけれど、話のスケールはけっこうでかい。
最初はNASAが作った基地が襲撃され、その犯人が吸血鬼で……と言うくらいなんだけど、そのうち、あれよあれよと言う間にムー大陸だの、地球以外の知的生命体同士の宇宙間大戦争だのと広がっていく。

そうした世界観の中の主人公が、ソ連の国家保安委員会訓練学校を主席で卒業した九鬼鴻三郎、そしてヴァンパイヤーやKGB、CIAなどの諜報機関に狙われ、九鬼と行動をともにすることになるモデルのラミア・ヴィンダウ。

あとはいろんなキャラが出てくるけれど、最初のカラーで描かれた人物紹介のところで死んでないキャラのほうが少ないんじゃないかと思えるので割愛。
……つか、死にすぎ。

これはこの1巻だけなのかもしれないけど、構成と言うか、大雑把に分けると、戦闘シーン、セックスシーン、それ以外で3回くらい(だったと思う)パターンにしてくれてたのがなんだかなぁ、な気分だった。
戦闘シーンじゃ2,30ページ前にようやく名前が出てきたキャラがあっさり殺されるし、名前のないキャラはそりゃもうばったばったと殺されていく。

伝奇なんだからそういうものだ、と言えばまぁそうなんだろうけど……。

あと、説明文が多すぎ&長すぎ。
スケールがでかいので、それなりに説明が必要なのはわかるけど、見開きに渡って延々と説明台詞(又は文)と言うのは読んでいてうんざりしてくる。
文章もすらすらと言うわけではなく、ところどころ引っかかって止まるところがあったりするし。

……といろいろと気に入らないところをあげつつも、だからおもしろくないか、と言われれば、そうでもない。
たいていは人間を描いた比較的世界の狭い話を読むことが多いので、こういう「どーだっ!」ってくらいのスケールの話を読むのは、久しぶりと言うのもあってよかった。
続きもそれなりに気にはなってたけど、読んだその日に本屋に行って、まったく2巻を買う、と言うことを失念して別の文庫を手にレジ行きだったので、まー、気になるとは言ってもこの程度のもの、なのかもしれない。