つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

締めって大切よね

2007-12-16 16:20:43 | ミステリ+ホラー
さて、このカテゴリは2冊目だわの第929回は、

タイトル:ヘカテの時間
著者:山崎洋子
出版社:双葉社 双葉文庫(初版:'98)

であります。

そういや、このカテゴリってあんまり使った憶えがないなぁ、と思って探してみたら、クロスレビューの「失踪HOLIDAY」だけだった……。
まぁ、もともとミステリ系は相棒の領分なので、ほとんど食指が動かない……はずなんだけど、これ始めてからふつうに読んだりしてるなぁ(笑)

さておき、本書ですが、1冊完結のミステリです。
ストーリーは、

『出版社に勤める今岡晃子は、雑誌「光海」の記事のために、美人実業家として名を馳せ、その後殺人を犯しながらも心神喪失を理由に無罪となった若平未来の取材を持ちかけられる。
それは、殺された相手が、実質は何もなかったとは言え、晃子の婚約者とされていた男だったからだった。
つまらない仕事ばかりに独り立ちの機会を窺っていた晃子はこの話に乗ることにした。

一方、ゴーストライターを生業にしている森山真也は、突然未来の訪問を受ける。
退院したばかりの未来は、一度だけゴーストライターとして仕事をし、入院したときに親切な手紙をくれた真也を頼ってきたのだ。
そこへ、真也のもとに身を寄せていると聞いた晃子が訪れ、取材の申し込みをする。

婚約者だった、と言う背景で取材に応じるよう迫る晃子に、釈然としない真也、意外にも応じる姿勢を見せる未来の3人のところへ、真也の恋人だった女性が押しかけてくる。
嫉妬にかられ、騒ぐその女性を晃子は不運にも身を守るために殺してしまう。

誰もが混乱する中、晃子は自分たち3人しかいないことを利用し、このまま死体を隠すことを提案し、未来も同意、真也も渋々ながら協力することに。
そうして3人は不慮の事故によって否応なしに行動を共にする運命共同体となった。』

体裁としては、章ごとに晃子、真也、未来の3人の名前を挙げて、その人物の一人称で物語が進むもの。
そうすることで、不慮の事故で殺人を犯してしまった晃子や、付き合わされる格好になった真也、キーパーソンでもある未来などの心の動きや考えなどが、しっかりと、丁寧に描くことが出来ている。

と言うか、ミステリとか、ホラーとか、そういうところよりも主人公である3人の人物がほんとうに丁寧に描かれているところは秀逸。
晃子の、結婚を延期してまで独り立ちの機会を逃すまいとする姿や、不慮の事態とは言え、殺人を犯してしまったあとの思考、行動など、確かに現実にいそうな女性像としてうまく描かれている。

真也も、どこか冷めた最初の姿から恋人のような存在だった女性の死と、共犯関係にされてしまったあとの悩み、心の脆さなどと言った部分などがうまく描かれ、納得させられるだけのキャラになっている。

未来は……最初は、晃子と真也がほとんどで、さほど一人称として出てこないのだが、3人の中で異質な存在として、晃子、真也の目を通して描かれ、さらに時々一人称で語られることでミステリっぽい雰囲気を醸し出している。

ほんとうに、人物を描くと言う点に関してはすごい。
ただし、ミステリとしてどうかと言うと、はっきり言って、不可解な事態のほとんどは中盤に至るまでにわかってしまうくらいだし、ホラーとしての要素も、怖さと言った部分はほとんど感じられないくらい弱い。
いちおうカテゴリとしては「ミステリ+ホラー」に分類したけれど、そういうところを期待するとバカを見そうだぁね。

構成とか、人物描写とかはまったく問題ないし、文章も丁寧に心理描写などが書かれているだけに、読みやすいから、余計にミステリとしてもホラーとしても中途半端なのは残念。

……比較的、いいことを書いておきながら、ぢつは総評としては×。
ジャンルとしての中途半端さとか、人物の描き方がうまいとか、そういうところは十分評価できるのだが……。
ラストがダメダメすぎ。

最後の最後で、「なんじゃ、そりゃ」って感じの部分があって、それがそれまでのを思いっきりぶち壊してくれた感じで、通勤時のバスの中で読んでてそのまま投げ捨ててやろうかと思ったくらいだったわ。
まぁ、図書館の本なのでさすがにそれは出来ないけど、もし買ってたら、その辺のゴミ箱行きなくらい、げんなりするラスト。

これさえなければ、良品に近い及第、と言ってもよかったのに……。
てなわけで、総評は上記のとおり、落第。
もし読むなら、ホントに最後の最後の15行だけは読まないほうがいいと思う。

ゴスロリホームズ登場

2007-03-14 23:50:13 | ミステリ+ホラー
さて、絵って偉大だと思う第834回は、

タイトル:GOSICK ―ゴシック―
著者:桜庭一樹
出版社:富士見書房 富士見ミステリー文庫(初版:H15)

であります。

長い沈黙期間を経て、再登場! な方です。
第821回で、富士見ミステリー文庫思いっきりけなしてるやん、というツッコミはない方向で。(爆)
同作者の『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が結構当たりだったし、これも割と人気がある作品みたいなので、手に取ってみました。



時は一九一四年。
答えを求める『彼ら』に老婆ロクサーヌは、巨大な箱を水面に浮かべるよう命じた。
雷鳴轟く中、しわがれた声が箱を用意した後の行動を指示する――野兎を走らせろ!

それから十年後、場所はヨーロッパの小国、ソヴュール王国にある聖マルグリット学園。
東洋の島国からの留学生・九城一弥は、クラスメートのアブリルに怪談話を聞かされていた。
すべての乗員を消し去った後、海の底に沈んだ豪華客船『Queen Berry号』……それは今でも、嵐の夜に突如としてその巨体を現すのだという。

怪談話も終わり、一弥はいつものように聖マルグリット大図書館の階段を上っていた。
一番上の秘密の部屋にいるエメラルド・グリーンの瞳の陶人形に、授業のプリントを渡すために。
陶人形の名はヴィクトリカ――常に、退屈を紛らわせてくれる混沌(カオス)を求めている少女である。

一弥が先生から聞いた『占い師ロクサーヌ殺人事件』は、果たしてヴィクトリカの退屈を紛らわせてくれるのか――?



シャーロック・ホームズの劣化コピーである少女・ヴィクトリカと真面目で純情な少年・一弥が、十年前に沈んだ筈の船『Queen Berry号』で怪事件に巻き込まれるミステリです。
シリーズ物の初巻ということで、序盤はキャラ紹介がメインかな? と思っていたのですが、学園の近くで起こった殺人事件をヴィクトリカが解決し、その絡みで二人は旅行に出発、気付いたら謎の招待状を手にしていたというかなり強引な展開で、あっという間に舞台は『Queen Berry号』に移ります。
さらに、食事に眠り薬を盛られ、目覚めてみると船には二人を含めて十二人の乗客しか残っていない……そんな、『キューブ』や『そして扉が閉ざされた』を彷彿とさせる美味しい展開が続き、私としてはかなーり期待したのですが……。

密室脱出物としては二級

――でした。

そもそも、目覚めてすぐに十二人の内七人を切り捨てちゃう時点で無茶苦茶です。
これが、読者も知らない人間が五人ならドラマになるのですが、五人中二人が主人公な時点で、推理も緊張感もありません。
しかも、主人公達の物語と並行して十年前の出来事を描く章『モノローグ』があるため、あっさりとネタは割れます。(をい)

奇妙な展開に混乱する人々に、偉そうに講釈する探偵役・ヴィクトリカのキャラもイマイチ。
『頭でっかちなガキンチョ』という表現がぴったりはまる彼女は、「湧き出る『知恵の泉』が教えてくれた」とかいう決まり文句をのたまいつつ、いくつかの謎を解くのですが……誰でも解ることを大げさに言ってるだけです。
いわゆる、他がおバカだから相対的に賢く見えるキャラの典型で、作者がホームズごっこをやりたいから出した、という印象しかありませんでした。どうにかしてくれ。

まぁそれでも、謎の老婆ロクサーヌが十年前にやらせた『野兎狩り』とか、『モノローグ』でのバトルロワイヤル的展開など、面白いと思える部分がないではありません。
しかし、それを考慮しても致命的な点が一つ。

この方、三人称の地の文が物凄く下手……。

一弥の一人称の文章を無理矢理三人称にして、時折別の視点を混ぜてあるのですが、上手くいってません。
神の視点か個人の視点か曖昧だったり、一弥の視点の筈なのに別の視点が混入してたり、もうボロボロ。
『モノローグ』の方は某人物の一人称で書かれており、そっちがかなり上手いだけに、主人公サイドの地の文の粗さがやけに目立ちました。

面白いネタを扱っているのに、それを生かし切れていません。合掌。
キャラ物、ミステリー、ホラー、色々な要素を入れていますが、どれも決定打になっていない、中途半端な作品です。



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一言で真相が言える作品の解説は難しい……

2006-07-11 23:52:52 | ミステリ+ホラー
さて、お初のようでお初でない方な第588回は、

タイトル:プラスティック
著者:井上夢人
文庫名:双葉文庫

であります。

二人で一人のミステリ作家『岡嶋二人』の一人、井上夢人のミステリ長編です。
ネタそのものはともかく、書き方がすごく特殊なので、どうやって説明したものかと悩み中。(笑)



五十四個に分けられた奇妙な文書ファイルを『貴方』は読んでいる。
一つめのファイルは向井洵子という名の主婦が書いた日記のようだ。
そこには、夫不在の時に起こった奇妙な出来事に怯え、次第に追い詰められていく彼女の心情がつづられていたが、ようやく夫が帰って来るという日で唐突に終わっていた。

二つめのファイルは『貴方』宛のメッセージだった。
どこか学者然とした男・高幡英世は、異なる複数の人物によって書かれた文書を編集したのが自分であることを明かし、このまま読み進めることを促す。
それと最後に、一つめのファイルに登場した向井洵子が、途切れた日記の後にどうなったかがごく簡潔に述べられていた――。



異なる人物が書いたファイルを読み進めていくことで、次第に全体像が見えてくるというタイプのミステリです。
この手の断片的に情報を明かしていく手法は、読者の知的好奇心をあおる効果がある反面、物語が空中分解する危険を常にはらんでいるのですが、これはかなり上手い方。
ビックリマンチョコの裏書きを読む感覚で、サクサク読めました。いや、冗談じゃなくて、あれも限られた情報から一本の物語を構築していくタイプの作品なんですってば。(笑)

一つ目のファイルで普通の主婦を襲う異常事態を描き、二つ目でこの特殊な文書ファイルの解説、そして三つ目で洵子の日記を読んだ別の人物の考察を入れる、と、一人になってもテンポの良さと読者を引っ張っていく力は健在。
群像劇として見るには個々のキャラクターに魅力が薄い気がするのですが、各人の性格よりも立ち位置の方に重点を置いた物語なので仕方がないかな、とは思います。
むしろ、きっちりその方向に読者を誘導している構成の素晴らしさを褒めるべきか。

ちなみにこの物語、真相そのものは非常に単純です。
序盤からヒントが出まくっているので、勘のいい人はすぐに気づいてしまうかも。
ただ、解っても解らなくても特に支障はありません、全体の三分の二を消化したところで堂々と真相が明かされ、以後はそれに基づいた物語が展開されます。

岡嶋二人ファンなら文句なしにオススメ。
ミステリのネタとしてはちょっと……という方もいるかも知れませんが、トリック当てや犯人捜しにこだわらなければ楽しめると思います。



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一番恐いのはだ~れだ?

2006-07-05 23:35:56 | ミステリ+ホラー
さて、割と拾い物だった第582回は、

タイトル:ブラディ・ローズ
著者:今邑 彩
文庫名:創元推理文庫

であります。

お初の作家さんです、何となく拾ってきました。
薔薇が咲き誇る洋館の女主人となった主人公に、何者かの悪意が迫ります。



去年の五月、相澤花梨は苑田俊春と出会った。
東京のど真ん中にある洋館、その庭園で彼は薔薇の木を見回っていた。
薔薇という共通の話題を介して、花梨は俊春の茶会に誘われる。

俊春は、薔薇好きの妻・雪子を事故で亡くしたという。
一方花梨は、薔薇好きだった父を失い、孤独を感じていた。
花梨は、最初の出会いの時に俊春を父と錯覚したことを告白し、貴方もそうではないかと期待を込めて尋ねるが、俊春は即座に否定した――貴方は雪子には全く似ていない。

俊春の妹・晶の話により、雪子は事故ではなく、自殺であることが判明した。
さらに、俊春の後妻・良江が現れたことにより、花梨はショックを受ける。
それでも……お茶会に参加することをやめることはできず、数ヶ月が過ぎた――。



正直、序盤は痛かったです。
孤独を埋める方法を探している主人公、薔薇の庭園での運命的な出会い、再婚したものの幸せを感じていない男……おいおい、シンデレラストーリーかよっ! と三歩ぐらい後退。
花梨と俊春はどちらも夢見がちと言うかかなり妄想入ってる性格で、晶もファンタジー世界に生きてるような台詞を吐きまくる変人、そして話題は伝説の美少女・雪子に薔薇の歴史!

ここは私の馴染める世界じゃなさそうだ……と、本気で退却しかけたが、さすがにこれだけでレビュー書くのは問題あるのでもう少し読んでみる。

すいません、一気に読めました。

良江が雪子と同じ死に方をして、花梨がその後釜に座った途端、妙に甘ったるかった空気が毒満載のダークなカラーに変貌。
特殊な便箋に入った脅迫状が届くわ、自殺する直前までの良江の日記が見つかるわ、雪子の存在自体が不気味だわと、甘い妄想を一気に吹き飛ばすハードな展開がいい。
役に立たない旦那、不審な発言を繰り返す晶、雪子の話になると目の色を変える家政婦、おどおどしてるが怪しい位置にいるお手伝い、謎の園丁に囲まれた花梨の明日はどっちだ!
(実は花梨もどちらかと言うとダークサイド寄りだったりしますが……あははは)

モロ私好みの世界というのをさっ引いて、単純にミステリとして読んでもいい出来でした。
密閉型ミステリのお約束として、主人公以外全員疑わしいように描いてありますし、三番目の妻である花梨が二番目の妻と同じ体験をするという仕掛けも面白い。
そして、何と言っても秀逸なのがエピローグ! この真相と毒は素敵だ……。

それでも一応、引っかかるところはあります。
些細と言えば些細なのですが、同じ疑問を感じた人がいないか聞いてみたいところ。
(以下、ネタバレなので反転)
序盤(P32)、晶は雪子の部屋に入り、出窓から死体を確認したことを告白しています。
にも関わらずP75では、さも当然のように自分は雪子の部屋に入ったことはないとぬかし、花梨も晶の足が不自由だからという理由でそれを認めています。
花梨が健忘症なのか、単純に作者のミスなのか?


ミステリというよりはホラーです、でもオススメ。
腹に一物抱えた人々の不気味な戦いを御堪能下さい。

どちらかと言うとホラー?

2006-06-02 22:21:06 | ミステリ+ホラー
さて、クロスレビューの片割れの第549回は、

タイトル:失踪HOLIDAY
著者:乙一
出版社:角川スニーカー文庫

であります。

第469回で紹介した乙一の短編と中編が1編づつ収録された作品集。
とりあえず、各話ごとに。

「しあわせは子猫のかたち」
世をすね……るところまではぎりぎり行ってないが、世間より自分の世界に閉じ籠もっていたい主人公の『ぼく』は大学進学を機に、伯父が所有している家へと引っ越す。
そこはしかし最近、前に住んでいた住人が強盗に襲われ、殺されていたと言う曰く付き。

とは言え、住むことになった主人公は奇怪な出来事に遭遇する。
消したはずのテレビで『大岡越前』が映っていたり、探していた爪切りがいつの間にかテーブルに置いてあったり……。
それはこの家で殺された前の住人雪村サキだった。

主人公とサキ、サキが飼っていた仔猫。
サキが撮った写真から窺える自分とはまったく正反対のサキ。苦手なタイプのはずなのにいつの間にかそこにいるのが当たり前になり……。

ストーリーはヒキコモリ一歩手前の青年が、きっかけとなるひととの出会いや関わりを通じて少し前向きになる。
そんなありふれた物語で、きっかけとなる人物が幽霊と仔猫ってだけの話。

……ではあるが、ストーリーはともかくかなり好みの静かなやわらかい雰囲気に溢れた良品。
話の途中で出てくるサキを殺した強盗とか、池で溺れ死んだ大学生の話とか、ミステリっぽいところはあるが、このあたりはどうでもよかったり(笑)
個人的にはかなり好きだが、主人公に拒否反応を示す可能性ありかも。

「失踪HOLIDAY」
6歳になるまで貧乏街道まっしぐらだったナオは、母の再婚をきっかけに大金持ちのお嬢さまに。
だがその母とも再婚後2年で死に別れ、血のつながらない家でいつ追い出されるかと不安な日々を送っているといつの間にか中学生。

そんな14歳のあるとき、再度の再婚をした父の妻、いわゆる継母とケンカをし、衝動的に家をでてしまったナオはそのまま行方をくらませてしまう。
使用人たちが住んでいる家の離れに住んでいる使用人のクニコの部屋に(笑)
最初は旅行などで長期間部屋を空けるときに部屋に侵入したと思われる人物……継母のキョウコの犯行現場を見つけるつもりだったが、ある出来事をきっかけに狂言誘拐を企む。

狂言、と思いながらもいつの間にかことが大きくなってしまい、一計を案じて解決を狙うナオだったが……。

これはナオの子供らしくもかわいいわがままさが、くすっと笑えてしまうところがなかなかよい。
特にネガティブな話題を否定する「断じてそういうわけではないのである」という下りが小さいころのところから使われており、「ぜんっぜん変わっとらんな、ナオ」と思えてかわいらしい(笑)

また狂言誘拐の真っ直中で、クニコとともに過ごす数日間、狭い部屋でふたり、こたつで生活する場面などもほんわかした雰囲気がある。
わがままではっきりしているナオとおっとりと鈍いクニコの対比もいい味を出している。

ストーリーは……正直、なんか拍子抜けというか、「あー、そういうことね」くらいかなぁ。
「あ、そう」とか「ふ~ん」よりはよっぽどかマシだけど。

しかし、男性作家にしては久々に味のあるいい雰囲気を醸し出す物語を作るひとだねぇ。
2作中どっちが好きかと言えば、「しあわせは子猫のかたち」のほうかな。
主人公はいまいちだが。

ともあれ、ほんっとうに久々に男性作家にしてはこれはオススメな部類に入る作品だね。



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知らぬが仏

2006-05-22 23:52:47 | ミステリ+ホラー
さて、再びこの方にハマるのか? な第538回は、

タイトル:天帝妖狐
著者:乙一
文庫名:集英社文庫

であります。

乙一の作品集です。
黒か白かと言われると……どっちも混じってる、かな。
二作品あるので、それぞれ感想を書いていきます。

『A MASKED BALL ア マスクド ボール――及びトイレのタバコさんの出現と消失』

高校二年の秋、隠れて煙草を吸う場所として使っていたトイレで、ある出来事が起こった。
それまでずっと綺麗な状態を保っていた個室の壁に、「ラクガキヲスルベカラズ」という落書きが書かれていたのだ。
次の日には、別の落書きがツッコミを入れ、同じ日の夕方にはさらに二つの落書きが増えた。
『僕』も加わり、以後、顔も本名も解らない五人の奇妙な会話が続くことになるが――。

今で言うところの、匿名のネット掲示板会話をトイレの壁でやったような話。

すぐ近くに本人がいること、正体を看破しようと思えば容易にできること等が独特の緊迫感を生んでいる。
この色彩は、偽名すら名乗らずにカタカナだけで書き込みを行う『カタカナ君』の暴走により、一層濃くなってゆく。
主人公と匿名の人々の会話、主人公と友人達の平凡な会話、二つが次第に接近していき、一つのカタスロフ(というほど大げさではないが)に収束していく展開は見事。

それにしてもこの主人公、結構幸せ者だなぁ……程よく善人な人々に囲まれてるし。


『天帝妖狐』

ある日杏子は、包帯で顔を隠した青年・夜木を助けた。
全身から不気味な気配を発散していたにも関わらず、常に腰が低く、食事も固辞する夜木に興味を覚え、彼女は自宅に彼を住まわせることを決める。
だが、周囲は夜木をそっとしてはおかなかった……ある事件を機に、彼は杏子の前から姿を消した――。

夜木から杏子に宛てた手紙と、杏子の回想が交互に綴られるホラー。
手紙で語られる夜木の過去、特にコックリさんで呼び出された存在との会話、は非常~に不気味。
違う世界に住む男女が出会い、ぎこちない接触を経て救いの片鱗を見る展開は後の白乙一を彷彿とさせるが、事実上ハッピーエンドではないのは個人的にマル。


あれ……終わっちゃった。
長さ的には中編二つ、といったところです。
『A MASKED BALL~』は軽めの文章で読みやすい一方、『天帝妖狐』は結構重めなので、続けて読むとちょっと感覚狂うかも。

どちらも水準の高い作品だと思いますが、好みでいくと前者でしょうか。
結構ヤバめの展開の割には、超がつくほど善人な主人公や、少しひねってあるヒロイン(?)のおかげで、妙に爽やかな作品に仕上がっています。
後者も悪い作品ではないのですが、途中から淡々とし過ぎてて、最後まで特に変化が感じられなかったのが難点。

いい作品集だと思います、オススメ。
さて、次は何を拾ってこようかな……。



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死人が見ている……

2006-04-19 19:34:58 | ミステリ+ホラー
さて、そういえば読んでなかった第505回は、

タイトル:夏と花火と私の死体
著者:乙一
文庫名:集英社文庫

であります。

業界を震撼させた、乙一のデビュー作。
死人の視点で語られる、ひと夏の恐怖の物語です。

九歳の夏、五月は友人の弥生とともに木登りをしていた。
弥生の兄・健を待ちながら、二人はとりとめもない話を続ける。
話が家の事情の話になった時、弥生は意外な告白をした。

弥生の秘密を知ってしまったことに気後れして、五月も一つの告白をした。
それがどういう意味を持つかも解らずに……。
健がやってくるのが見えた直後、弥生の手に押されて、五月は木から転落した――。

石の上に落ちて死んだ後も、五月は健と弥生を見ていた。
弥生は自分が殺人を犯したことを伏せたまま泣きじゃくっている。
いつも優しい笑みを見せる健が言った――死体をどこかに隠そう。

非常に合理的な話です。
弥生が主人公を殺すことから、健がその死体を隠そうとして計画を立てる所まで、登場人物の行動は非常に理に適っています。
乙一作品には、異常なシチュエーションに置かれた人々が、道徳とか人情とかすっぱ抜いて計算だけで動く話が多いのですが、これもその一つかと。

あらゆる登場人物を観察し、ついでに心まで覗いてしまう五月の視点が面白い。
殺されたということについて、何の感情も抱いていないのです。
淡々と、兄妹が自分の死体を処理しているのを眺めているだけで、結果がどうなるかについては特に興味がないといった感じ。

では彼らはロボットみたいな存在なのかと言うと、そうでもない。
弥生の動機は感情から来たものだし、極めて冷静に死体を処理する健も微妙な所で内面を見せます。
彼らにはブレーキがないだけなのです。子供だから、と言ってしまうこともできるのですが、ラストにそれを覆すような恐い真相が……。(秘密)

ちょっと気になったのが、主人公の一人称なのに、幽霊となる以前から視点がふらふらしてる部分があること、それと、なぜかラストでいきなり地の文の口調が変わってしまうこと。
単純にミスなのかな……と思って読み返してみたら、冒頭一行目でいきなり解答が示されてました。
答え言っちゃうと、これ回想なのです、やられました。(爆)

物凄くオススメってわけではないけど、ファンなら一度は読んでみて欲しい不思議な作品です、短いし。
ただ、一緒に掲載されている『優子』はイマイチかなぁ……情報が少なすぎて、何回でもどんでん返しが可能になっているのがすっきりしない。



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ドンブラコ

2006-03-29 18:21:59 | ミステリ+ホラー
さて、ここ数年、船には乗っていない第484回は、

タイトル:船上にて
著者:若竹七海
文庫名:講談社文庫

であります。

若竹七海のオムニバス短編集。
いつもの如く、ハッピーエンド好きな方々には向かない作品揃いです。(笑)
例によって、一つずつ感想を書いていきます。

『時間』……川村静馬は在学中に好きだった五十嵐洋子のことを考えながら、大学の構内に立っていた。つい先日、彼女が一年前に亡くなったことを知ったのだ。死の直前に彼女は言ったという、時間だ、時間だわ、と――。時間、及び、真実という言葉に関する考察。静馬と洋子のロマンチストっぷりにかなり引いた。最後にさらりと、別の真実を暗示しているのは悪くない。

『タッチアウト』……橋爪幸彦は、苦痛と共に病院のベッドで目覚めた。記憶を探り、なぜ自分が怪我をしているのかを知ろうとする。そして、思い出した、愛する女に殴打されたことを――。エリート気質の少年・幸彦の妄執が凄まじい。短編ならではの細かい仕掛がしてあり、最後に「あ、そうか」と思わせてくれる。ただ、面白い作品かと聞かれると、疑問。

『優しい水』……次々と夢を見る、私。頭がはっきりしてきても、何かを忘れている、私。なぜか、ビルとビルの隙間に倒れている、私。左手を上げると、そこには――。主人公の一人称には閉口した。おしゃべりそのままと言った感じで、読み辛いことこの上ない。ただ、妙に軽いノリが、えげつないオチを引き立てているので帳消し。結構好きな作品。

『手紙嫌い』……手紙嫌いの志逗子。彼女はひょんなことから、どうしても手紙を書かなくてはならない状況に追い込まれる。意を決して、『実践・特殊手紙文例集』なる怪しい書物を購入するのだが――。ページの半分ぐらいが怪しい論文で埋められており、読んでて疲れた。ブラックジョークにしても、くどい。

『黒い水滴』……私、は久々に日本に帰ってきた。ある目的を胸に秘めて、空港のロビーに出る。別れた男の所有物、十三しか違わない義理の娘・渚がそこに立っていた――。本書中で最もミステリらしいミステリ。ちょっとしたアリバイ崩しができる。主人公と死んだ男、どっちもタチが悪いのは御約束。

『てるてる坊主』……輝男、広美、恭平は幼い頃からの友達だった。だが、その関係は唐突に壊れた。友達ではないと自覚した瞬間に――。この手のタイプの話を見ると、妙に身構えてしまうようになった。誘導するのが作者の仕事なら、それを暴くのが読者の仕事である。小説を読む姿勢として褒められた物ではないかも知れないが……って、内容について全然触れてないな。(笑)

『かさねことのは』……精神カウンセラーの春日が私に出した問題。それは、八通の手紙を読み、そこに登場する人物の間に何があったかを当てろ、というものだった。私はその挑戦を受けて立つが――。他人の手紙ほど、読んでてくたびれるものはない。仕掛も何もかも無視して、ささっと読み飛ばしてしまった。ラストは、はぁ、そうですか、といった感じ。

『船上にて』……ニューヨーク発、フランス行きの船上で、私は一人の老紳士と知り合った。たまたま手にしていたO・ヘンリーの著作に、彼が興味を示したのである。意気投合した私達は食事をともにするが、その後、事件が発生し――。O・ヘンリーについて詳しい人はオチが読めてしまうし、知らない人はさっぱり解らない、何とも言えない作品。珍しく、ブラックじゃないのが、特徴と言えば特徴。

『優しい水』と『黒い水滴』は好きなんですが、他はどうかなぁ……といった感じ。
相変わらず毒は入ってるけど、『依頼人は死んだ』ほどではありません。
まー、こんなこと言ってたら作者に、「私は毒の入ってない作品以外書いちゃいかんのか」と怒られそうですが。(爆)

軽く、ミステリを味わいたい人向き。
若竹ファンは……スルーしてもいいかも。



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失踪してみました

2006-03-14 22:06:48 | ミステリ+ホラー
さて、長らく読んでいなかったが、の第469回は、

タイトル:失踪HOLIDAY
著者:乙一
文庫名:角川スニーカー文庫

であります。

短編と中編を一つずつ収録した、乙一の作品集。
どちらかと言うと、白乙一(専門用語?)は苦手なのですが、これは面白かった。
それぞれ分けて感想を述べます。


『しあわせは子猫のかたち』

他人と接することが苦手で、孤独を愛する主人公。
彼は、叔父の所有する旧家を借りて念願の一人暮らしを始めた。
空き家と思いきや、中には家具が揃っており、生活臭が漂っていた。

前の住人はつい最近亡くなったのだと叔父は言う。
家具と一緒に、家主面した猫が一匹、家の中をうろついていた。
そして、しばらくすると周囲に奇妙な現象が起こり始めた――。

光を嫌う主人公が、かすかな光に惹かれていくという……切ない系(?)の話。
メインは主人公と前の住人の接触ですが、ミステリ要素も入っています。
『未来予報 あした、晴れればいい』『CALLING YOU』に雰囲気がよく似ており、あちらが好きな方にはオススメ。

ただ……このタイプの話が好きな方には悪いのだけど、私にはピンときません。
いつものように、綺麗だけど、それだけかなって印象です。
多分、感動するところがちょっとズレているのでしょう、御容赦下さい。


『失踪HOLIDAY』

母が再婚したことで、少しばかり羽振りのいい家の子になったナオ。
しかし、わずか二年で母は病死してしまう。
まだ八歳のナオは、血のつながりのない人々に囲まれて怯えていた。

六年が過ぎても、ナオはまだ不安だった……父が再婚したのである。
再婚相手と笑顔で火花を散らしたが、状況は全く好転しない。
さらに、自分のいない間に誰かが部屋に侵入していることを知り、犯人は再婚相手に違いないと断定した時、ナオは決めた――家出してやるっ!

主人公のナオが素晴らしいです。
ジャイアンに匹敵する我が儘な部分と、他人の心に過敏に反応してしまう繊細な部分が見事に同居しており、見てるだけで楽しい。
計算高いかと思いきや、妙に抜けたところもあって、かなりいいキャラに仕上がっています。

あと、忘れてはならないのが、彼女の一時的な保護者となる使用人・クニコさん。
ちょっととぼけた感じで、気の弱いタイプ……に見えるのですが、なかなかどうして、要所要所で結構図太いところを見せてくれます。(笑)
位置的には優しいお母さん役、といったところですが……実は(真相に触れるので削除)、それでも物凄~くいい人なのは間違いないけど。

ストーリー的には、善人しか出てこないドタバタ喜劇といったところ。
居心地のいいクニコの部屋に居座るうちに、当初の目的を忘れて自分で状況を悪化させていくナオの姿は滑稽……いや、微笑ましいです。
自分の部屋に入ったのは誰なのか、家族は本当に自分を心配しているのか、父親は自分のためにどこまでしてくれるのか、確認作業の果てに迎える結末は――。

ミステリとしてはイマイチかも知れませんが、コメディとしては一級。
ナオの成長物語としてもかなりいいデキです。
何よりオチが素晴らしい……というか、個人的には『しあわせは子猫のかたち』よりこっちの方が綺麗だと思う。


白乙一が好きな方なら、文句なしにオススメの作品集です。
黒乙一が好きな人には合わない、とは言いませんが……。



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探偵は生きている

2006-03-13 22:13:45 | ミステリ+ホラー
さて、最近はまりつつある第468回は、

タイトル:依頼人は死んだ
著者:若竹七海
文庫名:文春文庫

であります。

人気キャラクター葉村晶が主人公の連作短編集です。
小林警部補がいなくなったことで、毒が『プレゼント』の二倍になりました。(笑)
例によって一つずつ感想を述べていきます。

『濃紺の悪魔』……再び、長谷川探偵事務所の仕事を受けることになった葉村晶。一日三万円という美味しすぎる話の裏には、やはり事情があって――。葉村がボディガードをするという異色編。依頼人である松島詩織の言っていることは嘘か真か? これだけ読むとあっさり答えが出ているように思えるが、実は本書書き下ろしの『都合のいい地獄』を読むと(以下略)。短編としてはまとまっているが、いまいち葉村のキレが悪い。探偵業を離れて、勘が鈍ったか?(笑) 

『詩人の死』……葉村の友人・相場みのりの婚約者が自殺した。みのりは自分の母親の言葉に婚約者の死の原因があるのではないかと疑い、探りを入れて欲しいと葉村に頼むのだが――。娘を支配し続ける母親、詩人気取りの馬鹿男、責任の所在を押しつけ合う関係者達等々、悪意の象徴が次々と登場する、葉村シリーズの真骨頂とも言うべき作品。真相ぼかしが上手くいってるとは思えないが、オチはちゃんとついている。ちなみに、憤りをぶつける相手をみつけられず、葉村に絡む相場みのりもかなりのエゴイスト。『悪いうさぎ』にも登場しており、そこでも悪意を撒き散らしている。

『たぶん、暑かったから』……破天荒な母絡みで持ち込まれた依頼。自己満足のため、自分の娘の起こした事件の調査を依頼する女。葉村は気が進まないまま、既に解決された事件を掘り起こすが――。凄まじい破壊力を誇るオチがすべて(笑)。それに比べれば、鬱陶しい依頼人や下品な記者、被害者にまつわる黒い噂なぞ可愛いものである。何度もこれをやられると腹が立つが、一作だけならかなりいい感じ。以下、激しくネタバレなので反転。
暑かったから、って……もしかしてムルソー君ですか?

『鉄格子の女』……自殺した画家の目録を作って欲しい、という奇妙な依頼。葉村は調査を進めるうちに、仕事抜きで彼の絵に興味を持ち始める――。一枚の絵をめぐる謎解きミステリ。珍しく、依頼人のキャラクターが軽い。その姉もさっぱりした性格で、作品のトーンを明るくしている。最後のひっかけもさらっとしており、重い作品が続いて疲れた読者にとっては清涼剤となるかも。ただし、オチそのものはブラックである。(爆)

『アヴェ・マリア』……『ぼく』は教会から盗まれた聖母マリアを求めてさまよっていた。だが、調査が進展したと思った矢先に長谷川所長が現れ――。『プレゼント』でも書いたけど、このパターン多すぎ。いい加減慣れてしまって面白くない。例によって、人の心の不気味さは出ているのだが、二度読む気なし。

『依頼人は死んだ』……鬱陶しい友人のパーティ。葉村は、そこで出会った女性に相談を持ちかけられる。受けてもいない健康診断の結果が郵送されてきて、ガンと宣告されたと言うのだ――。被害者の死により誰が得をするのか、を探っていくスタンダードな犯人当て。最初の状況設定が面白かったのでかなり期待したが、その後の展開は起伏に乏しく、最後まで読んで萎えた。ただ、依頼人が死亡するという異常事態を作ることで、葉村のキャラを引き出しているのはいい。

『女探偵の夏休み』……葉村晶はルームメイトの相場みのりに連れられて海辺のホテルに来ていた。しかし、何かが引っかかる。彼女には何が目論見があるのではないか――。珍しく、相場の方にスポットを当てた作品。微妙に『詩人の死』ともリンクしている。大嫌いな相場&無味乾燥なサブキャラクター集団に辟易して、殆ど読み飛ばしてしまった。当然、トリックにも気付かず。(うががが)

『わたしの調査に手加減はない』……死んだ友人が夢に現れるのだと、依頼人は言った。葉村は、精神心理学の分野など畑違いだと言って追い返そうとするが――。またしても、嫌~な依頼人登場。あからさまに怪しい上、犯人を知っているなどと言い出す始末。若竹七海は、こういう悪意の塊みたいな人間書かせたら本当に上手い。ストーリーは故人の足跡を追っていくシンプルなもので、特に引っかけはない。ダークだが、ラストは多少鬱憤が晴れる。

『都合のいい地獄』……本書の他の短編とリンクするサイコ・ホラー。ネタバレになるので敢えて解説はしない。ただ、私が読んでるのは若竹七海であって、恩田陸じゃなかったよな? と思ってしまった。好きなオチだけど(笑)

というわけで、人の悪意が詰まった素敵な短編集です。
短編毎に好き嫌いがはっきり分かれるかと思いますが、少なくとも、名探偵・葉村晶の活躍は堪能できます。
さて……来週は『悪いうさぎ』かな。



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