つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

ふたりとも健在

2008-03-30 17:17:18 | マンガ(少女漫画)
さて、こんなもんが出ていたとはの第959回は、

タイトル:WジュリエットII(1~2巻:以下続刊)
著者:絵夢羅
出版社:白泉社 花とゆめコミックス(初版:'06~)

であります。

いやぁ、図書館通いすると本屋なんかにそうそう立ち寄らないもんだけど、久々に寄ってみたらこんなもん見つけてしまった……。
もともと演劇部を中心とした学園ものの前作「Wジュリエット」がけっこう好きだったので、懐かしさもあってめずらしく買っちまったよ(笑)

前作は第250回で紹介(古っ!)しているので、前作のほうはそちらを参照していただくとして、この「II」は、著者も言っているけれど、番外編的な要素が強い。
もちろん、主人公はヒロインの三浦糸とその彼氏の成田真ではあるけれど、話そのものは脇のメインキャラに焦点を絞ったものがほとんど。

では、ストーリーは、

『父親との賭にも勝ち、役者への道を進むことが出来た真と、やはり同じように役者として劇団に所属し、演劇に精を出す糸。
そんなふたりは20歳になって、入籍。一緒に暮らすようになったのはいいが、高校3年間、女装生活で男に間違われなかったほどの真は、舞台の出演をきっかけに大ブレイク。

とうとう芸能プロダクションと契約するまでになった真は、モデルに映画などなど、忙しい日々。
糸は劇団とバイト。しかもプロダクションとの契約の関係で結婚していることは伏せなければならない状況。

だが、そんな複雑な状況に陥ってしまったふたりのもとへ、高校時代から仲のよかった友人(それ以外含む(笑))や三浦家の兄弟たち、成田家の姉妹たちからいろんなトラブルが……』

上にも書いたとおり、基本的な話の流れは脇キャラを中心とした話の中で、糸と真の生活が描かれた短編連作……っぽい感じの話。
糸と真のほうは同じ映画の主役とヒロインをやったり、相変わらずのラブラブっぷりを披露してくれてはいるものの、前作よりは糖度は低め。

それもそのはず……というか、完全に脇キャラたちのラブコメの話に糸と真が関わる、といった話がけっこうあって、前作みたいに始終ベタベタする機会がない、ってだけだったりするんだけど(笑)

とはいえ、糸と真の甘さ加減が薄くなったぶん、脇キャラの話のラブ度がかなり上がっていたりする。
だいたい初手から糸の兄とその彼女の結婚話だし、やっぱり糸の兄と真の姉の結婚話だったり、高校時代の友人と傍若無人街道まっしぐらの先輩とのラブコメだったり、相変わらずのラブコメ&ハッピーエンド。

でも、真の両親の話や、高校時代の友人、与四郎と美咲の不器用な恋人関係を描いたものなど、ラブ度抑えめでいい感じの雰囲気の話もあったりして、前作とはだいぶん趣が違う。
これくらいの甘さなら、さぶいぼ症候群の方でも何とか耐えられるのではないか、と思える短編もある。
テンポの良さも相変わらず健在だし、前作を知っている、もしくは好きなひとにはかなりオススメできる続編ではないだろうか。

ただ……その前作ってのが……糖度100ってくらいのげろ甘マンガだし、続編ってことで前作を知らないとわからない部分も多いので、これを単品で読むとなると極めてオススメしにくい。

総評としては……う~ん、悩む……。
読みやすさは断然こっちのほうが上なのだが、読者限定ってのがやっぱりネックだよなぁ。
てなわけで、好み云々を除いても、ぎりぎり崖っぷちの及第ってとこか。
これで前作並みに糸と真のラブコメ一本だったら落第だったんだろうけどね。



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太鼓再び

2008-03-27 22:45:35 | おしゃべり
さて、第958回であります。

扇:今年度最後の風邪に取り憑かれてるSENでーす。

鈴:それはいったいどういう悪霊だ? と突っ込むLINNで~す。

扇:妖怪ぶるぶるだな。
げほげほとか、がくがくとか、探せば他にもいそうだけど。

鈴:悪霊じゃなくて妖怪かよ!!
相変わらず(?)わけのわからんもんに取り憑かれてんなぁ。

扇:御祓いするべきなんだろうが、最近、妖怪バスターもなかなか高額でなぁ。
ま、ほっといたらそのうち、LINN君に取り憑くだろう。

鈴:高額ってどれくらいだったんだ?
……って取り憑くかよ。あったかくなったから、そんな妖怪なんぞ撃退してくれるわ。

扇:えーと……下ヒトケタが確か千じゃきかなかった筈だ。
あー、そういや、そろそろお前の季節がやってくるんだったなァ……。
とりあえず、夏に激辛カレーとかはやめれ。

鈴:う~む……じゃぁちとつらいのぅ。
素直に風邪薬飲んで撃退するしかなかろう。
しかし、夏に激辛?
夏だから激辛なんだろう!
とはいえ、久しく激辛なんか食ってないからリハビリせんとあかんだろうなぁ。
10倍とかそれくらいから。

扇:リハビリで十倍かよ。
頭痛がひどくなりそうなので、さっさと次行きましょう。


『振り返れば目録!』


扇:さぁ~て、今週のフリ目は――
2006年7月の記事を振り返ってみたいと思います。
まずは私の当たりからですが……某魚座の聖闘士の必殺技ではない、ブラディ・ローズですね。
今邑彩という作家自体、まったく知らなかったのですが、これはかなりの当たりでした。
多少ひっかかる部分はありますが、ホラー好きには自信持ってオススメできます。

鈴:某魚座の聖闘士……あー、そういやいたなぁ。えらいナルシストのクセにあっさりとやられた不幸なヤツ……じゃなくて。
「ブラディ・ローズ」に今邑彩……こっちもぜんぜん知らんかったのぅ。
というより、図書館でこの名前、見覚えないんだよなぁ。書架に1冊くらいあれば女性作家っぽい名前だから手に取ってみたかもしれんのに。

じゃぁ、こっちの一押し。
……ってこっちは意外にないなぁ。あえて言うなら「みらい渾天儀」(著:天原ふおん)だが、これはほぼ完全に私の好みだからなぁ。

となると……○ではないが、世の男性諸君の夢をそのまんま描いてくれたというネタ的な意味でキスまでの距離 おいしいコーヒーの入れ方I(著:村山由佳)かな。
いやぁ、これはさぶいぼ耐性のある私でさえ、さぶいぼってしまうくらい、ベタ、王道、お約束だったからなぁ。

扇:うわ~……今、あらすじ読んだけど……死ねるな。
いや、取り立てて非難すべき点はまったくないんだが……読んだら多分、私は三日ぐらい帰って来られないぞ。
ロマンと言やロマンなんだが、ここまでダイレクトに来られると、全身麻酔喰らったような気分になるぜ。

鈴:そう、非難するところはあまりない。
ないんだが……まぢでさぶいぼ症候群のひとは大打撃を食らうこと確実なのが最大のネックではあるな。
だが、3日ですめばいいと思うぞ、相棒のばやい。
1週間くらい頭に残って、ふとしたことで思い出して悶え苦しんでしまう可能性もあるぞ(笑)

扇:まぁ、読むことはまずないから考えないことにしやう。
では、お待ちかねのワースト1だが……あら、×が二つしかない。
どっちかと聞かれたら、まぼろしの城だろうねぇ。
もう一言で、下手! としか言いようがないんだよ、これ。
不勉強だなぁ、と呆れる部分も多くて、正直疲れたという印象しかないな。

鈴:意外に少ないな。
こっちのほうは……それなりにあるな……。
じゃぁ、いちおう有名なひとということもあって、愛の工面(著:辻仁成)ってところかなぁ。
写真とショートショートを組み合わせた意欲作……と言えば聞こえはいいのかもしれないが、小説としては消化不良を起こすこと確実なだけで、著者自身の写真を載せたい、という願望で出来た本じゃないか、って邪推したくなるくらいのものだったなぁ(毒)

扇:企画としてはよくあるネタだが、それなら最初から短編として書くか、写真集として出すか、どっちかにしろって感じだな。
イラスト集なんかに、言葉が添えられてるってのは嫌いじゃないがね。
後藤&加藤さんも詩を乗っけてたりしてたし。

鈴:まぁな。そこが中途半端な感じだったから、おもしろみがぜんぜんなかったな。
イラスト集はなぁ……メインがイラストってのがはっきりしてるからいいんだけど……。
しかし、ホンットにこの月はいまいちな月だったんだなぁ。
×つけてるのを見るにつけ……おもしろくなかった読後の記憶が甦ってくるようだわい(爆)

扇:ま、そういう月もあるさね。
俺は当たり月だったから問題ないけど~。
んじゃ、気分良く次のコーナーに参りましょう。


『今週の一冊』


扇:えー、今週の一冊ですが、一度木劇で紹介した作品の完結編『金魚葬2』であります。

鈴:葬るなっ!!
ハッピーエンドのマンガなんだから、そんな不吉な漢字を使うんじゃねぇ。
やり直しっ!!

扇:久々にリテイク来たなぁ……。
では改めて、一度木劇で紹介した作品の完結編『金魚砲2』であります。
なんとなく、可愛らしい兵器ですね。(笑)

鈴:可愛らしかろうが何だろうが兵器は兵器だ。……つか、兵器にすんじゃねぇっ!!
さぁ、三度目の正直だ!
テイク3!!

扇:では、三度目の正直、一度木劇で紹介した作品の完結編『金魚道2』であります。
縁日で八耐とかやってそうですね。(笑)

鈴:そうそう、世界一の金魚を育てるべく奮闘する……ってぜんぜんちゃうわぁっっ!!
というわけで、相変わらずのボケツッコミもこのあたりで締めとかんとあかんので。
今週の一冊は「金魚奏」(2巻:簡潔)であります。

扇:で、そっちは素で誤植かよっ!

鈴:!Σ( ̄□ ̄;)
ちょっと変換間違いに気づかなかっただけじゃねぇかよ。
というわけで、前回1巻を紹介し、2巻でめでたく完結した「金魚奏」の2巻、完結編であります。
で、ちょっと趣向を変えて、2巻読んでどんなやった?

扇:一巻が新人離れした出来だったので、こけるかな? とも思ったが、安定した仕上がりだったね。
元々、愛憎の修羅場とか、耽美な世界とかを展開して下さる作品ではないので、非常に淡々と話は進むんだが、下手な小技を使って焦点がブレるなんてこともなくきちんと終わっている。
ハッピーエンドなのは始めっから解っちゃいるんだが、この主人公二人に関しては、皮肉抜きでお幸せにねと言えるので、悪くない。

鈴:まぁなぁ。
ホントに、最初の1巻で「空夢ノート」の言葉を引用したが、ホント、奇をてらうこともなく、ふたりの話で終始してくれたし(一部例外はあったが)、きっちりハッピーエンドで終わってくれたしなぁ。
とはいえ、いまLaLaDXで描いてるのも、脇はともかく、ふたりだけのお話やってるから、話の作りは素直なひとなんだろうな、このひと。
つーわけで、たぶん、このひとに「耽美」とか「どろどろ」とか、そういうのは描けないんじゃないかな。

扇:まぁ、この主役二人で耽美物やってもねぇ……。(笑)
基本的にどのキャラも素直な性格してるんで、こねくり回した話とかは向かんだろうな。
そういう意味では、今回は彼氏役の設定をヒネったおかげで一風変わった感じの話になったが、次回作以降どんな変化球をかますかが生き死にの分かれ目になりそうな気はするね。
ちなみに、これ以上変化球が出なかった場合、同じ作品を連発する危険性が極めて高い。

鈴:不吉なことを言うな……。
だが、新しい作品(LaLaDXで連載中)は、そこまでひねってはないが、相変わらず素直な作品で、好感は持てるぞ。
ただし、いまのところ、確か2話くらいしか描いてないが、ってもんがいっさい感じられん話ではあるな。
相棒にはかなり物足りないものにはなろうが……2巻くらいで終わってくれればネタにはならんこともない話……になるかもしれない……と思いたい……かな?(弱気(爆))

扇:そう言えば、本書そのものの話を全く使徒覧のだが……。
ちなみに、前巻の話はこちらです。(→過去記事
すぱっと言っちゃうと、雅生がオーストラリアに留学するかも? とゆー話が出て、まー、色々あって、最後はハッピーエンドってのが大まかなストーリー。

鈴:使徒覧って、どっかのマニア御用達アニメの一覧じゃねぇんだからよ……(ケンカ売ってる?(爆))
しかし、大まかなストーリー……って……まぁでも、それ以外に書きようがないんだよなぁ。
留学する、ということを知る飛鳥、離れたくない気持ちを抑えて応援して、けなげにがんばる姿、ってのは1巻とまったくおなじ。
最後は最後で戻ってきた雅生とめでたくハッピーエンド……なんだが、その最後の最後で弟の泰生が、「やべぇ、マジでかわいくなってるよ、こいつ」って感じの感想を持ったのはかなりGood(笑)
兄貴に譲ったのは間違いだったのか、泰生!?(笑)

扇:別に使徒って言葉は、ネタだけで中身空っぽな某アニメの専売特許じゃねぇから構わんよ。(あ、もっと喧嘩売った)
つーか、ここまでの過程で、泰生が飛鳥にそっち方面の興味をまったく示さない方が不思議なんだよなぁ。
まぁ、逆に言えばそれだけいい友達ってポジションが定着してたってことなんだろうが。
しかしあれだね、雅生のホームステイ先にパッキンの女の子がいたけど……物の見事に使い捨てキャラだったねぇ。
色々と雅生にモーションかけてたんだが、アフターケアも何もなしにあっさりとストーリーから消えた……をい。

鈴:売りまくってんな、本気で……。
でもまぁ、作品に戻るとすると、泰生はホンット、友達の関係を逸脱しなかったからいいキャラだった、とも言えるだろうなぁ。
「どろどろ」やるんなら、兄弟でおなじ女を巡って争う……なんてことになりかねんが、そこがないぶん、すっきりと素直な話になったんだろうなぁ。
まぁでも、その留学先の女のコはスルーされたってのは確かにかわいそうだったな(笑)
結局、ふたりの話にしかならないんだから、わざわざ出す必要があったのか? って疑問は……考えないでおこう(爆)

扇:二人の関係をきっちり描ききったということで、評価は二重丸。
ただし、別作品でもっぺん同じことやったら駄目だね。
てなわけで、作品としてはかなり好きなのですが、作家としてはまだまだ様子見といったところです。
ん? これでオチなのかな? とりあえず、ハッピーエンド好きの方なら安心して読めるし、二冊というお手頃な冊数で終わってるということもあるので、オススメ付けときます。
では、今日はこのへんで。

鈴:まぁ確かに、2巻で完結ってのはいいよな。
だらだら長く続けて、話を破綻させてくれるより、短くすっきり終わらせてくれたほうがよっぽどかよい。
そういう意味では、2巻完結、飛鳥と雅生のふたりのラブストーリーとして、ほんとうにピュア(恥ずっ)な話になっているので、さぶいぼ症候群のひとでも、あたたかく見守ってあげよう、と言うくらいの物語になっているので、オススメです。
ただし、オススメなのはこの作品であって、次以降がどうなるかは保証しませんのであしからず。
てなわけで、この作品に関してはオススメ印をつける、という結論になったと言うことで、お開き! であります。
というわけで、この辺で、さよ~な~ら~……じゃなくて、再見



to be continued……

レベルアップってなに?

2008-03-23 18:20:27 | ファンタジー(現世界)
さて、こういうパターンは初めてだなぁの第957回は、

タイトル:付喪堂骨董店3 ”不思議取り扱います”
著者:御堂彰彦
出版社:メディアワークス 電撃文庫(初版:'07)

であります。

1巻はクロスレビューで、2巻がおしゃべり、そして3巻は個人記事……って、初めてのパターンだよなぁ。
しかし、2巻であれだけボロクソ言ったのに3巻かよ! ってツッコミはなしの方向で(笑)

というか、やっぱ少しくらいは期待したいものじゃない。
1巻の出来がよかったんだし、2巻でこけたとはいえ、3巻は……って気になるっしょ。
でも買うんじゃなくて借りてるあたり、一抹の不安ってのがあったりするんだけど(爆)

では、いつものように4話構成の短編集なので各話から。

「第一章 箱」
『いつものように暇な付喪堂。長らく買い付けに出かけ、留守にしていたオーナーの都和子は、いくつもの戦利品を持って戻ってきた。
そのどれもは偽物ばかりで役に立たないものだったが、その偽物のせいで、刻也は咲とその友達の小学生、麻美ちゃんとともに、麻美ちゃんが可愛がっていた猫のミイを探す手伝いをさせられることに。

麻美ちゃんの心当たりである猫屋敷……この家の屋敷さんが怖いおばあさんらしくひとりでは行けなかったので咲についてきてもらった……でミイを探すものの見つからず。
だが、麻美ちゃんはミイが屋敷さんの家にいることに確信を持っていて、夜、屋敷さんの家を訪ね、そしていなくなってしまった。

後日の似たような時刻、刻也は屋敷さんの家で不思議な箱を目撃し……』

いちおう、いちばんミステリらしい話……になるんだろうか。
都和子が買ってきて偽物だった「永久に腐らない保存箱」といなくなったミイ、麻美ちゃん、本物の「箱」の持ち主の屋敷さんの一人称で語られる箱にまつわる罪……などなど、いちおう謎解き要素はあるし、ラストもちょいと捻ってたりと悪くはない。

……のだが、ミステリ好きには物足りないものと思料。

「第二章 人形」
『かつてまるで人間のような人形を作り出すふたりの人形師がいた。ひとりは自動人形の人形師でオートマタ、もうひとりは操り人形の人形師でマリオネット。
その再来と言われるふたりの人形師が、ある町におり、自動人形は西の人形師、操り人形は東の人形師と称されていた。

その西の人形師のお世話係アゲハは、人形にも関わらず主人の言葉を理解し、自ら行動できる人形だった。
朝起きて、自動人形たちに螺子を巻いたり、買い出しに出かけたり……そんなとき、アゲハはクモと名乗る少年に出会う。
アゲハとおなじ東の人形師に作られた人間のように振る舞うクモと出会うことによって、アゲハの運命は徐々に狂い始める。』

咲が「糸の絡まった螺子」であるアンティークに触れたことで語られる人形の切ない物語。
……つーか、1巻の第二章も咲がアンティークに触ってどうにかなったなぁ、と思い出してかなりげんなり。

ミステリ要素もなんか前も書いたんじゃなかったっけな、こいつ、と思ってしまう言葉遊びだし、アゲハとクモの切ない話を持ってきながら結局は刻也と咲のラブコメ一直線ってのもなんだかなぁ……。

「第三章 夢」
『七瀬麻耶は、もうずっと学校を休んでいた。大好きだった部活の先輩で彼氏でもある志賀が交通事故で即死。そのショックから立ち直れなかったからだった。
そんな麻耶が、ふらりと出かけたある日、道を聞こうと思って入った店……骨董店で、自らが望む夢を見ることが出来るアンティークの香炉を得る。

それにより、夢と言えど死んだはずの志賀と自らが望むふたりの生活を見ることが出来るようになった。
だが、所詮夢は夢。麻耶は、ついに夢に耽溺し、起きることをやめてしまった。

志賀とクラスメイトで、さらに志賀の友人でもあった新庄の頼みで麻耶の見舞いに訪れ、アンティークの存在を知った刻也は、都和子からそのアンティークの能力の詳細を聞き、麻耶を現実に引き戻そうとするが……』

個人的にはこの短編集の中でいちばんマシな物語。
ストーリーとしてははっきり言って、定番。ミステリ的な要素は希薄だが、定番だけあって安心して読める。
この手の物語だと、ラストは2種類しかないのだが、どっちを選んだか……まぁ、ここは好みの問題ではあろうが、個人的にはこのラストのほうが好き、かな。

ただねぇ……、そこまで書くんならとっとと刻也と咲をくっつけて完結させればいいじゃん、って気になるのは私だけではないはず。

「第四章 眠り姫」
『前章で使われた香炉のアンティーク。その中に残されていた灰による副作用で、刻也は朝八時から夜八時まで、咲は夜八時から朝八時までしか起きていられなくなってしまった。
副作用とは言え、刻也は学校とバイトだけで自由な時間のない日々。咲は天職と自認している接客業が出来ない時間帯にしか起きていない日々。

ストレスがたまるふたりに、解決策を探していた都和子がついにその方法を見つけた。
都和子は、その方法を告げた。
「キスをすればいいんだ」』

……
……
……

さいでっか……。

第二章、第三章であれだけ豪語(行動込み)しておいて、葛藤するなよ、刻也。
つーか、1巻2巻と甘々ベタベタだが、まだ耐えられる範囲だったが、これは私でさえも痒くなりかけたくらいげろ甘……。
感想とか評価とか以前に、「好きにして……」と投げときます。


というわけで、全4話。
総じて言うなら、第三章のところにも書いたけど、4巻か、せめて5巻くらいでもう咲の過去とか、いろいろとネタばらしして、ふたりをくっつけて終わらせてくれ。
っつーか、もうラブコメ街道一直線ね、この巻。

確かに、第二章、第三章と雰囲気のある作品もあるのだが、やはり1巻のクオリティには及ばない。
2巻よりは……若干マシだが、マシって程度。
むしろ、ラブコメ要素が強いぶん、そういうのがダメなひとにはもっと評価が下がるかもしれない。
逆に、キャラ萌えメインのひとにはそれなりにおもしろく読める、とは言えるが。

てなわけで、総じていまいちながら、特定のひとにはおもしろく読める要素がある、2巻よりは少しだけだけどマシ、ということで、総評としてはぎりぎり及第、と言ったところか。
ミステリではなくラブコメとして読むことをオススメします。



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まぢでいたらおもろいけど

2008-03-20 09:27:08 | 木曜漫画劇場(白組)
さて、当時いたらすんげぇ話題になっただろうなぁの第956回は、

タイトル:公権力横領捜査官 中坊林太郎(全2巻)
著者:原哲夫
出版社:集英社 プレイボーイコミックス(初版:'99)

であります。

鈴:親会社のアホさ加減に久しぶりにキレそうになったLINNで~す。

扇:子会社の悲哀をひしひしと感じているSENでーす。

鈴:……なんか、初手からディープな話になりそうだから話を変えたほうがよさそうな気がせんか?

扇:そだな、私はともかく君はかなりヤヴァい。
なぜかと言うと――。

鈴:って本気でやばそうなことを言うんじゃねぇっ!!

扇:実は、実はね。
LINN君は人間じゃないんだ。
今はもう惑星じゃない冥王星から来た、エイリアンなんだ。
口から酸は儚いけどね。(笑)

鈴:誰がエイリアンじゃっ!
自分こそ土星人のクセに何を言っている……って、酸は儚いってけっこういろんなもん溶かしてるヤツが儚いのか?

扇:そう、最後は自分自身の酸によって滅びるのさ。
ちなみに、高貴な土星人にそんな間抜けな弱点はない。
輪っかだ! 輪っかがある限り土星人は無敵だ!

鈴:滅びるのかよ……
って、高貴もクソもない気がするがのぅ。
結局、酸を吐く異星人だし。
それにしても、輪っかか!? 輪っかがすべてなのか!? サターン!?

扇:輪っかを制す者は宇宙を征す!
おお、何と美しいのだ土星の輪っかは……。
でかいだけが売りの風船星も、我々に対抗してしみったれた輪っかを付けているようだが、比較にならんな!

鈴:そりゃ、頭の上に輪っかがあったら征することは出来るかもしれんが。
つか……何を対抗してんねや、他の惑星と。
別にいーじゃんかよ、おなじ輪っか持ち同士、仲良くすればさ。
いちおうおまけの数も似たようなもんなんだしさ。

扇:仲良く?
あんな図体でかいだけの連中と馴れ合うつもりはない。
まぁ、輪っかもオマケもない水星人にこの感覚は解らんだろうがな。

鈴:シンプルイズベストだからいーんだよ。
それに輪っかなんか邪魔なだけだし、おまけもうざいだけだし~。
……って、なんで土星人水星人の話になってんだ?

扇:ん? ここは土星人の偉大さを紹介するページだろう?
アシスタントに水星人がいるが、細かいことは気にしてはいけない。
さぁ、みんな、土星人を賛美する歌を歌おう! 土星の輪っかは宇宙一ィィィィィィィィィ!

鈴:んなわけあるかぁっ!!
しかも宇宙一って、どこのドイツ人だ?
土星人じゃなかったのか?

扇:あっちは世界一、こっちは宇宙一だ、スケールが違う!
さて、読者の方々に土星人の魅力をお伝えした所で、今週の漫画紹介といくか。
えー、確かタイトルが、『中坊LINN太郎』だったかな?
中学生のLINN君が善良な金融業界の方々をシメて回るピカレスク・ロマンだ。

鈴:宇宙スケールにすると他になんかいくらでも輪っかがでかそうで、いいのを持ってそうな星はいくらでもあるような気がせんでもないが……。
さて、今週の木劇ですが……ひとを勝手に主人公にすんな!
そもそも中学生がどうやって金融業界シメんだよ。

扇:大丈夫、君ならきっとやれる! といいね。

鈴:出来るかぁっ!!
と言うか、なんで最後の最後で弱気なんだよ。
ったく、真面目にストーリー紹介すっか。

外圧に負けて時限立法で成立した公権力横領捜査室。
憲法違反並みの超法規的権限を持った組織の捜査官、中坊林太郎が金融業界にもぐり込み、公権力を濫用して私腹を肥やす者たちから強引に財産を取ってくる姿を描いた社会派(?)の青年(たぶん以上)マンガであります。

扇:固い解説だねぇ……。
現代に現れたケンシロウが、脅しと拳で銀行に巣くうワルをシメてく話、っつった方が解り易いだろうに。

鈴:普段固い解説やってるほうに言われたくはないわいっ!
まぁ、わかりやすいっちゃぁわかりやすいがな。
いかにも原哲夫のマンガ! って感じだし(笑)
じゃぁ、紹介もすんだし、キャラ紹介行くか。


つれづれ読書日記


つれづれ読書日記まったりと営業中

微妙にですが、新規作家増えてます。
初回からの総目録、作家一覧、どちらも継続更新中。
数は少ないですが、つれづれ号外専用の目録もあったりします。
ちなみに、姉妹サイト『閃鈴電脳遊戯館』は……すいません、更新止まってます。(爆)

御覧になりたい方は、最新記事の☆『目録へのショートカット』兼『総合案内板』、もしくはこちらから!


つれづれ読書日記


鈴:えー、では主人公の中坊林太郎。
公権力横領捜査室の唯一の捜査官。普段の見た目はケンシロウだが、捜査のために東西銀行にもぐり込んだときは撫でつけた髪に黒縁眼鏡という、いったいいつの時代のサラリーマンだ? って突っ込みたくなる出で立ちになる。
腕っ節は強いが、それ以外はケンシロウとか、他の原哲夫キャラほど超人的ではない……が、度胸だけは超人だよなぁ。
たいていはサラリーマンを演じているので低姿勢だが、親の話を持ち出されると「親は関係ねぇだろ、親は」という決め台詞とともに、普段の林太郎に戻って、強引な取り立てを行う。
……地上げ屋とか似合いそうだよなぁ、こいつ……(笑)

扇:相手が悪人ってだけで、やってることは地上げ屋と変わらんな。
そいや、父親を殺されたという過去があったけど、詳しいところは不明のままだったね。
多分、親父さんも黒い世界の連中と対決してたとかってことなんだろうけど。
えー……他に誰がいたっけ?(爆)

鈴:他に……ってな……。
まぁ、林太郎が目立ちすぎて他のメインキャラが薄いってのもあるんだろうが。
じゃぁ、次は虹野誠一。
東西銀行に勤めるバンカー(ゴルフとは関係なし)で、裏の汚い仕事を請け負っていたが、検察に嗅ぎつけられる、上司に尻尾切りにさせられそうになる、と言う状況に至って自殺を図る。
……が、裏の仕事をすべて記憶している、という能力のため、林太郎に助けられ、協力することになるひと。
でもよ、林太郎、あんまり社畜社畜って連呼してやんなよ。
気ぃ弱そうなおっさんなんだからよ(笑)

扇:でも、社畜って名言だよな。
会社の都合に振り回されて、それでも逆らうことが出来ず、最後は自殺未遂って、まんまだし。
この人最大の見せ場はやっぱあれだね、元上司に慰謝料(?)請求するとこ。
「これだぁ~!」って、指二本突き出して、請求額が二百万……いや、君が受けた被害を考えたら二千万でも安いだろ!

鈴:慰謝料……退職金とも言えるけどな。
それにしても、2百万ってとこが、小市民って感じだよなぁ、このひと。

じゃぁ、次か……誰だ……あぁ、そうだ、虹野とおんなじで死んだことにされて、協力するようになった業田竜彦。
もともとは業田開発という建設会社の2代目若社長で代議士とつるんで私腹を肥やしていた。
最初のほうで林太郎にシメられ、復讐しようとしたところにSWATまで投入され、さらに側近に口封じのために殺されかける、という意外にかわいそうなひと。

扇:中坊の拳による説教で改心した後は、妙に爽やか系になったな、この人。
まぁ、元は学生野球のスターだったみたいだし、元に戻ったといったところか。
もっとも、中坊がピンチに陥った時、さりげに裏社会人らしいやり方で突破口を開いたりもしてたけど。(笑)
と言うか……転向してからの見せ場ってそれだけだった気も……。

鈴:確かに、虹野は裏データを持ってるってのでけっこう役に立ってたが……。
だが、キャラっつーとこれくらいだよなぁ。
個人的には東西銀行の木暮泰造は、いい味出してるとは思うんだがな。
最終的には改心していいひとにしてもらったし。

扇:虹野に慰謝料請求された時、「二千万?」って微妙にセコイ金額言ってたのが印象的だったな。
小悪党らしく、転ぶのも早かったね……つーかこの漫画、大悪党って出てこなかった気もするけど。
多分、ラ×ウが出る予定だったんだろうが、その前に雑誌が休刊になっちゃったってとこかね。

鈴:ラオ○ねぇ。
ふつうにどつきあうならイメージできるが、金融業界のラオ○……いまいち想像つかん……。
つーか、どつきあいになるんだったら金融業界だの政治家だのぜんぜん関係なくなりそうだな。
それはそれで笑える気はするが。
……にしても、雑誌が休刊になった割には2巻できっちり締めてくれてるし、原哲夫らしい笑えるところもあって、なんでこれをネタにすることを思い出さなかったのか、不思議な気がするな。

扇:いや、展開考えるのは楽だよ。

×オウ「フン……所詮は中坊の息子か」
中坊「親は関係ねぇだろ、親はぁ~っ!」
ガシッ!
業田「あの野郎……中坊の突きを受け止めやがった!」
虹野「あ、あの方はまさか……!」

こんな感じでどうかね?
逆に、打ち切りになったのが幸いしたかも知れんな。
長く続いたら、多分、中坊が北斗神拳習得するはめになってたと思うぞ。

鈴:……いや、格闘マンガにするんならわかるけどさ。
って、それを修得したらもうあかんやろ。
社会派(?)マンガじゃなくなるし。

扇:え? 中坊林太郎は社会派格闘漫画だろ?
お後がよろしいようで

鈴:だから格闘マンガちゃうっちゅーねんっ!!
と、突っ込んだところで、再見~

だいじょうぶか、をい!?

2008-03-16 01:14:08 | ファンタジー(異世界)
さて、第955回は、

タイトル:ゆらぎの森のシエラ
著者:菅浩江
出版社:東京創元社 創元SF文庫(初版:'07)

であります。

なんか菅さんの本を読むのって久しぶりだなぁ、と思っていたら200回以上も前に読んだっきりでした(^_^;
しかも、2007年のとは新しいじゃん、と言うことで借りてみましたが……。

『都から多く離れた辺境の地キヌーヌ。
塩の霧に覆われ、作物も育たず、漁にも出られず、ひとびとの生活は困窮していた。
さらに霧によって枯れていく自然に反比例するように出現する異形の化け物たち。

そんなキヌーヌにある村にまた全身を甲冑に身を包んだ化け物が現れる。
ひとびとに手をかける化け物……金目は不意に不思議な声を聴く。
それによって失われていた自我を取り戻した金目は、自らが犯した所業に怖れ、自分を化け物に変えた主人パナードへの憎しみを募らせる。

そんな金目は、さまよい続けた森の中でひとりの少女シエラと出会う。
「騎士さま」と金目を呼ぶシエラは、不思議な少女だった。知恵遅れでまともに喋れないシエラは、自ら選んだあらゆるものと食べることによって、急速に成長していく。

成長を早めるシエラ……その背景には荒れていく自然、次々と現れる異形の化け物、その主であるパナード、そして昔話として忘れられつつあった妖精王と女王の伝説があった。
さらにそれは生物の根幹に関わる重大な出来事につながっていくのだが……』

読んでみて、まず「だいじょうぶか、菅さん!?」と思いました。
去年出版されたというのに……と思っていたら、もともとは89年に出たものの再版だということがわかって一安心。

まずはストーリーですが、流れだけを見れば単なるヒロイック・ファンタジー。
金目とシエラが出会い、パナードとの対決に向かう王道とも言えるもので、ストーリーそのものにはさして見るべきところはなし。
とは言え、煽り文句にはSFファンタジーとあるとおり、舞台は異世界ファンタジーだけど、その背景にあるものはきちんとSF的な要素が入っていて、そうしたSF要素が物語の重要なキーになっているところは、さすがにSF畑の人間と言ったところか。

ただ……読みづれぇ……。
もともと89年の作品だと知らなかったころは、ただひたすらにこの読みにくさ=下手さ加減はいかんともしがたい。
つか、菅さん、こんなに文章下手だったっけなぁ、って思うくらい情景が浮かばない。
比較的文章は簡潔なほうなのだが、簡潔な文章できっちりと読ませるのは難しい、というのがはっきりとわかるくらい。

これではストーリーがいくらよくても読む気が……。
まぁ、実際最後まで読むのにだいぶん苦労して、2週間以上読むのにかかっちまったんだけど~(笑)

さておき。
総じて、物語の背景となるSF的な要素やそれをファンタジーの中に溶け込ませて物語を進めるところはおもしろい。
ストーリーそのものは王道のヒロイック・ファンタジーだし、ラストもメインのふたり、サブのふたりとハッピーエンドに締めてくれているので、お話としては無難でオススメもしないが、「どうだ?」と訊ねられれば「悪くないよ」と返せるくらいだろう。
読みづらさという最大の欠点はあるものの、ここさえどうにかなればと言ったところか。

てなわけで、微妙~なところにいるのだが、ぎりぎり及第ってところかなぁ。
これがホントに最近書いたんならあっさり落第なんだけど、かなりの初期作品というところで甘めに。

めざせ中華統一

2008-03-13 06:14:54 | 木曜漫画劇場(白組)
さて、白組大攻勢な第954回は、

タイトル:キングダム(1巻~8巻:以下続刊)
著者:原泰久
出版社:集英社 ヤングジャンプコミックス(初版:'06)

であります。

扇:久々にメンソール吸ってるSENでーす。

鈴:久々にパソコン買ったら早速入院(=修理)になったLINNで~す(T_T)

扇:買った途端に入院か……。
ん? お前、どうやってこの記事書いてるんだ?

鈴:いままでのパソコンは健康体じゃっ!
入院したのは先々週買ったばっかのヤツだ。
つーか、めっさ最短やぞ。初めて電源入れた翌日に病院行き決定だったからな。
AMD好きでわざわざAthlonにしてやったのに……これで2度目や……。

扇:アーマゲドン好きで、わざわざトライアスロンにしたのか。
つくづくお前さんも、イバラの道が好きだねぇ……茶道の割には。

鈴:Advanced Micro Deviceをどー略したらアーマゲドンになるんだよっ!
でも、Athlonをトライアスロンはボケとしてなんかいまいちやぞ(素)
それにしても、茨の道とはなかなか言えんがのぅ。大昔とは違って、シェアはすでに20%を超えているからな、AMD。
……そういや、前にりるさんとこで見つけたあれはやったぞ。

扇:既に、世界の20%を支配したか……恐るべしハルマゲドン。
で、よーわからんパソコン関係の話は置いといて、遂に君も『ザ恋愛インタビュアー』に手を出してしまったか、ハッハッハ。
結果はどうだった? ちなみに私の結果はこれだ

鈴:はっはっは、っててめぇが先に見つけてやったんだろ!
だが、私のほうはこんな結果になったがな。

扇:私が先に見つけた? そんな昔のことは覚えていない。
ところで、総合的なイメージの第一位に、いかにも君らしいのが来てるね。
束縛(プレイ)が激しそう、とは……茶道の面目躍如といったところだな。

鈴:昔って先週がそんなに昔なんかいっ!
しかし、極めて怪しげな単語を付け加えんなっ!!
ったく、誰がそんな厳しいことをするかい。
それにしても、そっちの「おじいちゃんみたい」って総合的なイメージの1位、かなり納得したくなるんだが(笑)

扇:誰が楽隠居だ、誰がっ!
いや、確かにね、三十億年後ぐらいには、縁側で茶すするほのぼの生活送っててもいいかな~とか思ったりもするが、現時点ではパスだ。
つーか、一位がそれで二位が『生命力が強い』ってどうよ?
私は柳みたいな身体じゃないが、かと言ってマッチョダンディでもないぞ!

鈴:30億……そこまで生きるつもりか?
しかし、そっちの総合はなんか矛盾したのばっかやな。
じいさんみたいで生命力が強く、すぐキレるのに女性に優しくて余裕があるってどういうヤツやねん(笑)
こっちはそう矛盾した感じはないんだがなぁ。

扇:なに、地球が消滅するまで生きてるわけじゃないさ。
確かに……俺の結果をそのままキャラクターにしたら、多重人格者みたいになってしまうな。
その意味では、お前さんの結果には矛盾がないね。束縛が激しそうで、年下狙いで、恋愛下手で、元気がなくて、なよなよしてて……と、特に相反する結果はない。
実際の人物とまったく逆という些細な問題はあるが。(笑)

鈴:実際と逆ってのは些細なのか?
しかし、まぢで逆ってのは確かやなぁ。
5位の「なよなよしている」って、いままで一度たりとも言われたことがない。
つーか、自分では単にマイペースなだけなんだが、たいていのヤツに「貫禄がある」「堂々としている」と言われることは多々あるがな(爆)

扇:極めて些細な問題だ。
ちなみに、マイペースって言い方はソフト過ぎるな。もっとハードコアに尊大と書きたまえ。
話は変わって、『こんな人がお似合い』では、まったくもってフツーな結果が出たね。
私の場合、嗜好は「ノーマル」で、性格は「少しやんちゃで人なつこい人」だからなぁ。

鈴:……。
てめぇ、いいとこしか言ってねぇな。
性格のダントツ1位ぶっちぎりの振り回すような少しおかしい人ってのを抜かしてんじゃねぇかよっ!
しかし……正直、そこのノーマルなひと、ってのは……。
私のとこにもひとつくらいノーマルなヤツを入れろ~!(爆)

扇:システムの故障だ、本当は二位が正しい。
君の診断結果はなぁ……嗜好が「ドSの人」で、性格が「従順でおとなしい人」だもんなぁ。
実在したとしたら――素直に、「凄い人」って言うしかないよね。

鈴:すごい以前にそんなヤツおらんわいっ!!
それに、勝手にイメージの悪いヤツばっか引っ張ってくんなよ!
私の好みは「ドMのひと」で「従順でおとなしいひと」だ……って何言わす!!

扇:えー、LINN君が真性の茶道であることが判明したところで(この台詞もかなり定番化してきたな……)、そろそろ真面目な話に移りましょう。
今、一番熱い中国歴史漫画と言えば!

鈴:つか、そっちはそっちで2位、3位が「ややMのひと」と「ドMのひと」って出てる時点でひとのこと言えんぞ。
さておき、いま一番厚い中国歴史マンガかぁ。
やっぱ「三国志」(by 横山光輝)!!

扇:たわけ、とっくの昔に連載終了しとるわ。
それに、掲載誌はコミックトムではなく、ヤングジャンプだ。
もう一度言おう、今、最も熱い中国歴史漫画とは!

鈴:ヤンジャン……ヤンジャン……。
「封神演義」!(著者:藤崎竜)

扇:それも連載終了してる。
しかもそれ週間少年ジャンプだし、そもそも歴史漫画ぢゃねぇ!
いいや、素直に言ってしまおう――。

鈴:あ……。
そういや、これ、木劇だからいっちゃん頭にもうタイトルあるで?

扇:……。
秦が天下統一を果たす前の中国を舞台にした、本格歴史漫画です。
一兵卒から将軍まで登り詰める(予定の)主人公・信を中心に、後の始皇帝である政や将軍達の生き様をダイナミックに描きます。

鈴:なんだ、三点リーダか……せっかく久々に「!Σ( ̄□ ̄;)」が見れると思ったのに(笑)
さておき、なんか8巻まで出てる割にストーリー紹介が短いけど、実際これだけですんじゃうんだよなぁ。
じゃぁ、キャラ紹介……の前に定番(定型?)のCM~。


つれづれ読書日記


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微妙にですが、新規作家増えてます。
初回からの総目録、作家一覧、どちらも継続更新中。
数は少ないですが、つれづれ号外専用の目録もあったりします。
ちなみに、姉妹サイト『閃鈴電脳遊戯館』は……すいません、更新止まってます。(爆)

御覧になりたい方は、最新記事の☆『目録へのショートカット』兼『総合案内板』、もしくはこちらから!


つれづれ読書日記


扇:では、主人公の信。
戦国の七雄の一国・秦に住む孤児で、剣一つで身を立てていくことを夢見る血気盛んな少年。
相棒の漂と共に天下最強の大将軍になるため修行に明け暮れていたが、漂が政の影武者に選ばれたことで事態は急変、否応なしに王宮内の陰謀に巻き込まれていく。
とんでもない身体能力で数多くの敵を退けるいかにも少年漫画的な主人公だが、政との出会いで、剣だけですべてを乗り切ることは出来ないことも学んでいく、この先の成長が楽しみな子である。
ちなみに、一巻冒頭のシーンからすると、その正体は後の秦の将軍・李信のようだ。

鈴:確かに楽しみっちゃぁ楽しみだが……信、おまえ年齢の割に強すぎ……。
では、その相棒であった漂(ひょう)。
信と同様、孤児で剣の腕もほぼ互角。つーかWikiにあるが、「1253戦334勝332敗587引き分け+2戦分(勝敗不明)」ってなんだ、そりゃ、って言うこちらも子供な割に強さは反則。
ただし、政の影武者に選ばれてしまったのが不運。
刺客に襲われ、最期は信の前で力尽き、信に自分の夢も託して没する。
なんか、最初は主役っぽいのにあっさり殺されてしまったかわいそうな子だぁね。

扇:強過ぎっつーか……信は空飛べるからな、マヂで。
漂は、出番少ない割には上手いこと描かれてたよな。生き残ってたら、知勇を備えた凄い将軍になってた――と思えるぐらいに。

では、副主人公である政。
地位こそ秦王だが、その基盤はまだ脆弱で、死と隣り合わせの人生を送っている薄幸の少年。
漂の死の原因となったことから、当初は信に憎まれていたが、紆余曲折の末、互いに並んで中華の先を見据える仲となる。
悪知恵が働く上に腕も立ち、部下に下駄を預ける度量も持つスーパーキャラだが、変なとこで意地を張る子供っぽい面もある。(笑)

鈴:漂のほうが確実に頭はよかったな。
つか、生き残ってりゃ確実に信よりもいい将軍になってるって。
じゃぁ次は、河了貂(かりょうてん)。
もとは山民族の末裔だが、ある村でほとんど使いっ走りをさせられていたが、信と出会うことによって、使いっ走り人生から脱却。
……脱却したのはいいのだが、単に使いっ走りからおまけキャラになっただけという、ある意味、目立つところもなく、むしろ漂よりも生きてるぶん、かわいそうかもしれない(笑)
ただし、いちおうヒロインっぽいんだけどなぁ……。
8巻まで来て、その片鱗が1ナノメートル以下ってのはどうかと思う。

扇:立ち位置がモロに『どろろ』だからなぁ……河了貂。
ま、本誌ではそろそろ独自に動き始めたみたいだぞ、歴史上の誰になるのかはまだ不明だが。

では、政の脇を固める数少ない部下、ってことで昌文君と壁。
前者は元武人で、現在は文官として政を補佐する人物。
漂を召し抱え、影武者に起用するなど、政の身を守るため色々と献策を行うが、某スーパー将軍(笑)の介入により、王を危険に晒すという失態を演じる。
ガチガチの現実主義者に見えるが、漂の死にはそれなりに責任を感じていたらしく、下僕の身分である信に謝罪するという男気も見せた。結構味のあるオジサン。

で、その副官の壁。
政側の若手武官ナンバーワンで、後に千人将となる。
生まれはかなり良いようだが、元々偏見の少ない性格だったのか、信相手にも尊大な態度を取ることなく普通に付き合ってくれる気さくな人。
エリートのお坊ちゃんらしく体力面に難があったり、人の暗黒面にうとい等、少々頼りない所もあるが、 ここぞという場面では意地も見せたりするなかなか魅力的な人物。つーか、こういう上司って一人は欲しいよね。

鈴:独自か……少しはマシになってきつつある、というところか、河了貂。
で、昌文君と壁かぁ。
昌文君はまぁ、いまのところ、単なる忠義者って感じだなぁ。
壁は……いいひとだね、単純に。上司にひとり欲しいってのはわかるなぁ。

では、秦にいて立ち回りうまく、武力知力ともにいまのところ最強の王騎将軍
見た目とか喋り方はどー考えてもオ○マなのだが、とにかくいいところで出てきては圧倒的な強さを見せつけ、対魏戦でも呼ばれてないのに出てきてはこれまたいいところを持っていったり、信を教育したりと、たぶん脇キャラのひとりのはずなのに、むしろ信並みに目立っている素晴らしいひと。
つか、とりあえず8巻まで読んだけど、このひと出るだけでかなり空気変わるし(笑)

扇:王騎将軍、キャラの立ち方半端じゃないからなァ。
何かにつけて意味深な台詞を吐いては、「ココココ、冗談ですよ。王騎冗談」って、あンたが言うと洒落にならねぇんだよっ!
気まぐれに場をかき回してるように見えて状況ほとんど掴んでるし、ひとたび動けば誰が邪魔しようと一瞬で粉砕するし、相手が王だろうが大臣だろうが言いたい放題だし……いや、もうなんつーか無敵。
副官もいい味出してるだけに、今の所、こいつに匹敵する役者はいないと言える。

鈴:まぁ、とりあえず、いねぇな。
見た目で言えば、匹敵すると言えるのが楊端和。
山民族の長で、最初は仮面被った得体の知れない、さらに敵になるか味方になるかすらわからない微妙な立ち位置にいたのだが……蓋を開けてみれば、このマンガ中、最大の美人でおそらく、武力だけ見れば王騎将軍ともタメ張れるくらいの実力を持った最強の女性キャラ。
つか、もう女性キャラはこのひとだけでいいです、ってくらいかっこいいです(笑)

扇:楊端和が活躍する四巻のおまけ漫画は異常に気合いが入っていた。(笑)
化け物揃いの山の民の中にあって、最強の座に君臨してるって……もうそれだけで格好良すぎです。

んじゃ、最後にその楊端和の剣と呼ばれるバジオウ。
山の民の隊長格で、双刀を獲物とする凄腕の剣士。
常にクールな姿勢を崩さない上、二カ国語も話せる知的な男だが、実は内に獣を飼っており、非常時にはそれを解放することもある。
信ととっても仲が良いのだが、並んで喋ってるシーンを見ると、どっちが文化人を気取る漢民族で、どっちが野蛮人扱いされる山の民なんだか解らなくなる。(笑)
しかし、幼少時とは言え、こいつに勝った楊端和って……。

鈴:いや、楊端和様、初手から化け物ですから(笑)
まぁでも、この化け物がこれほどの美人ってのはインパクトあって、おもしろいキャラの作り方してるわね。
しかし、けっこう青年マンガにしてはキャラそれぞれいいのが揃ってるし、脇のはずなのに、しっかりとしてるのが多いし、まぁ、ちと昔話に花を咲かせたのがいまいち気にいらんが、それ以外は少年マンガと青年マンガの中間くらいで、どっちにもOKって感じの話で、意外におもしろかったな。

扇:意外に、は余計だ。
お前さん、本当に青年漫画に興味示さないよなァ。
まぁ、それを考慮して、これとか『ヴィンランド・サガ』とか『チェーザレ』とか、他とはレベルが段違いな作品だけ勧めるようにはしてるけどね。
ちなみに、玉石混淆でいいなら読んで欲しい作品はまだまだあるぞ。

鈴:つか、そもそも最近は少年、少女、青年、成年ともにさして興味はないからな。
だが、レベルが段違いってのは確かだね。
相棒とはタイプは違うが、やはりおもしろいものはおもしろいからなぁ。
だが、どちらかと言うと、これより「ヴィンランド・サガ」のほうが気にはなるな(笑)
まぁ、そうは言っても巻数の違いもあるんだろうがな。
とは言え、中国物とか、歴史物云々と言うより、キャラのかっこよさはかなり際立ってるし、一部どーでもいい昔話はあれど、全体的なクオリティは高いので私の評価としてもオススメです。
ただ、500円以上の値段ですでに8巻=4000円以上というのは、いっぺんに揃えるのはちと躊躇するかもしれないけど、見合うだけのものはあると言っていいでしょう。
と言うわけで、前のヴィンランドに引き続き、青年マンガながらけっこうOKなものだったなぁ、と思いつつ、この辺で今回の木曜劇場はお開き! であります。
では、再見~

扇:あはははは……六巻まで大人買いしちゃいました、面白いからいいけどね。
つーか、王騎将軍が出てくるところ読み返すだけでも楽しいです。(爆)
さて、LINN君のお墨付きも出た本作、歴史物としてもバトル物としてもかなり面白いです、オススメ、と個人記事っぽい台詞を入れて今週はここまで。
また、来週この時間にお目にかかります。ごきげんよう

誰かがそこに……

2008-03-10 21:33:51 | 小説全般
さて、一日遅れで申し訳ありませんな第953回は、

タイトル:暗いところで待ち合わせ
著者:乙一
出版社:幻冬舎 幻冬舎文庫(初版:'02)

であります。

久々に乙一読みました。
以前読んだのは……わっ、一年以上前だ。
名前だけは知っていたのですが、表紙にビビって手を出していなかったのは秘密。(爆)



視力を失った本間ミチルは、暖かい暗闇の中、いずれ訪れる静かな消滅を待っていた。
小学校以来の友人・二葉カズエと一緒に出かける以外、外との接触は皆無に等しい。
しかし、喉が渇けば水を飲むし、空腹になれば食事も摂る……何もせずじっとしていればすべては終わるのに……そんな意気地のない自分が嫌だった。

憎悪の対象だった人物が死んだにも関わらず、大石アキヒロは疲れ果てていた。
それまであった憎しみも、その原因が消えた嬉しさも、死を目の当たりにした悲しさもない。
あるのはただ虚夢だけだった……何もかもが抜け落ちてしまったと感じながら、彼は他人の家の片隅に座り続けていた。

事件のあった駅のすぐ近くにある家。
二人は互いに異なる理由で外界を避け、そこにいる。
息を潜めて存在を隠すアキヒロと、気付かない振りをするミチル……奇妙な同居生活が始まった――。



ミステリ、サスペンス、恋愛といった様々なジャンルの要素を盛り込んだ長編です。
白黒分けでいくと白乙一。『CALLING YOU』や『しあわせは子猫のかたち』と同じく、対人関係の構築が苦手で孤立しがちな主人公が、一人の異性との出会いで変わっていく様を描きます。
と、こう書くといつものパターンのように思えますが、今回は男女どちらも主人公扱いで、それぞれの境遇、心境、変化が交互に描写されており、非常に密度の高い作品に仕上がっています。

会話を交わすことなく、互いに相手のことを色々考える、という状況設定が非常に面白いです。
ミチルはアキヒロの存在を薄々感じてはいるのですが、一人暮らしということもあって、なかなか大胆な行動を取れません。
一方、アキヒロはアキヒロで警察に追われており、ミチルが自分を視認出来ないと解っていても、息を潜めてじっとしているしかない。

当然ながら、こんな状態が長続きする筈はありません。
アキヒロのミスもあって、二人ははっきりと、「ミチルはアキヒロの存在に気付いている」という認識を共有することになります。
相変わらず会話はないのだけれど、互いに相手の存在を認め、可能な限り干渉せずに時間を過ごす……ハタから見ると極めて異常な状況なのですが、相変わらず丁寧な心理描写でそういった違和感を感じさせないのはさすが乙一といったところ。

本作の白眉はやはり、ミチルが卵の殻を破壊する第三章でしょうか。
詳しいことは書けませんが、今までの静かな展開から一転、怒濤のイベントラッシュで物凄い盛り上がりを見せます。
ミチルはひたすら健気だし、アキヒロは格好良いし、さりげに、友人のカズエもいい仕事してたりと、もう満腹。
素晴らしいとしか言いようがないです、いやマヂで。

残る章では、アキヒロが逃走する原因となった事件の顛末が書かれます。
正直、ミステリとしては、「それしかないよね」という実に素直過ぎる展開で、多分ほとんどの人が序盤で予想が付いてしまうのではないかと。
じゃ、それが作品のクオリティを落としているかと言うと――さほど影響はありません。本作のメインは主役二人の再生であって、ミステリ要素なんてものは単なる枝葉に過ぎませんから。(さりげに凄いこと言ってるな、私)

久々に三重丸のオススメです。
いわゆる、乙一の『せつない系の話』が好きな方は、必読でしょう。
ちなみにホラー要素は皆無です、表紙とタイトルの割には。(笑)



――【つれづれナビ!】――
 ◆ 『乙一』のまとめページへ
 ◇ 『つれづれ総合案内所』へ

ちょいとこれは……

2008-03-06 19:02:55 | 木曜漫画劇場(紅組)
さて、前紹介してからそんなに経ってないよなぁの第952回は、

タイトル:月光スパイス
著者:斎藤けん
出版社:白泉社 花とゆめコミックス(初版:'08)

であります。

鈴:なんか微妙に方向性が偏ってきて、実は読者から引かれてるんじゃないかと心配してる小心者のLINNで~す。

扇:君の方向性が偏ってるのは初回からずっとぢゃないか、と優しくフォローするSENでーす。

鈴:何を言っている。
このブログをやらんかったらミステリなんぞ一顧だにせんぞ。
ただ、な~んか最近微妙に萌えに走ってる気がせんでもないかもしれないのだろうかな? ってありんこの足先くらい思っただけだぞ。
それに、それってぜんぜんフォローになってへんし。

扇:あー、それはあるかも知れんが……だったらついでに海外作品も読めよ。
海外作家一覧埋めてるの俺だけぢゃねぇか!
微妙にどころか、電撃文庫読み始めてから、お前さん萌え系に走りまくってるぞ。
フォローじゃない? ならアゲインストだな。ちなみに、左側は海、右側はバンカーだ。

鈴:海外作品……あれは訳文が受け付けないからダメだな。
と言うか、いままで何度か手を出したことはあるが……一度たりとも読み切ったことはない!(自慢)
でも、電撃というか、けっこういわゆるラノベ黎明期(ロードスとかの時代)からずっと読み続けてるから、その傾向はあったんだよねぇ。
つか、もうここまで来てるからいまさらだけど、基本オタだし(爆)

扇:何の自慢にもならんわっ!
駄目だな~リンリンは。それだから胃の中の河津掛けと言われるんだぞ。
ゴシック・ホラー読め! ハードボイルド読め! ついでにハーレクインも読め! 俺は全部遠慮するけどな!
基本オタだし……って、こういうブログ書いてる時点でそれはもう周知の事実だらう、俺は違うけどな!

鈴:あ、やっぱならんか、ちっ……。
さておき、胃の中の河津掛け……そうなるとどっかの貴ノ浪ってのしか思い浮かばないんだよなぁ。
いい身体してたのに、うだつの上がらん力士だった……(遠い目)
しかし、ホラーやハードボイルドはいい。
だが、ハーレクインなんぞ誰が読むかいっ!
つか、読め、っつーんなら先に読んで記事にしたら私も読むぞ。
たぶん、耐性付きの私でもさぶいぼ発症して悶えまくりそうだけど(笑)
だが、こういうブログ書いてる時点で……って自分だけ違うってのは無理やと思うぞ(素)

扇:貴ノ浪って誰?(素)
いや、ハードボイルドも結構きてると思うぞ。
バーボンとトレンチコートとコルトパイソン、んで、ヒロインにデリンジャー、後はやられ役のチンピラさえ出てくれればオッケーという男が自分に酔うための物語(偏見?)だから、お前さんなぞひとたまりもあるまい。
まぁ……俺もはっきり言って遠慮したいが。

鈴:まぁ、わからんならいいや>貴ノ浪
しかし、ひとたまりもないっつーか、ベタな恋愛とか、お約束な展開とか、そういうのはぜんぜん……とは言わないまでも、耐性はあるが、そのハードボイルドのお約束展開には、さすがにさぶいぼどころか、拒否反応出そうだな。
……そういや、その手の作品はいままで記事にしたことないんじゃかったか?
お互い。

扇:解説本なら、俺が一応ネタにしたぞ。(→過去記事
まーなんつーか、この手の話の主人公って、存在自体がギャグだよな。
家賃滞納してても追い出されないし、いつも金欠なのに餓えてる感じはしないし、組織と事を構えても次回作では何事もなく事務所で仕事待ちしてるし、事件には必ず美女が付録で付いてくるし……世界は、君が格好付けるために存在するんだね、きっと。(毒)

鈴:ギャグって言ってやんなよ、そういうのが好きなのがいるんだからよ!
まーでも、家賃だの、組織だの、そのあたりはハードボイルドの定番やね。
つか、ツッコミどころ満載だもんなぁ、この手の真性ハードボイルドは(笑)
それはそれでおもしろいんではないかえ? ギャグとして。
……ってギャグって言ってやんなよ、って言ってんな、私……(爆)

扇:男の子向けファンタジーという意味では、萌え系ストーリーと実は同じなんだよな――つまりギャグ。
自分に都合のいい夢を見るのは勝手だけど、ま、ほどほどにね、ってのは今まで散々言ってきたから、今更フォロー入れても仕方あるまい。
もっとも、女性にとって都合のいい夢を、雰囲気がいいと言って評価するレビュアーが身近にいたような記憶もあるがね。君、誰か知らないか?

鈴:まぁ、男性向けファンタジーってのは確かだね。
基本、主人公、不老不死だし(笑)
しかし、雰囲気がいいとか、身近ねぇ……。
誰だろうねぇ、それは。

扇:頭がLで、最後がNだった気がするなぁ……そいつのニックネーム。

鈴:ニックネーム?
誰だろう……。
なんか妙な方向に行きそうだから、そろそろ別の話しようっと。
と言うわけで、今回の木曜劇場の一冊であります「月光スパイス」
デビュー作である表題作から、「花の名前」の連載中、もしくは連載後などにLaLaDX他、白泉社系他誌に掲載されていた短編を収録した作品集であります。
では、各話から……の前にCM~。


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微妙にですが、新規作家増えてます。
初回からの総目録、作家一覧、どちらも継続更新中。
数は少ないですが、つれづれ号外専用の目録もあったりします。
ちなみに、姉妹サイト『閃鈴電脳遊戯館』は……すいません、更新止まってます。(爆)

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鈴:では、まず表題作……は最後なので、一つ目から(目はふたつあるひとしか出てきません)
第1話「カエル裁判」
『魔法に失敗してカエルになってしまった魔法使い。それを助けたカエルは、ひとつだけ願いをかなえてくれると言う言葉に、かわいい女の子になりたいと願う。
その言葉通り、人間となったカエルは魔法使いによって流された先でオルドーブルの皇太子に出会う。
恋をしたいと願って人間となったカエルは、拾ってくれた皇太子に恋をするようになるが……。』

えー、なんと言いましょうか……相棒、寸評よろしく。

扇:まー、一言で言うと、女の子は恋をした時から、超一流の魔法使いに早変わりってとこですかね。

鈴:それは「ときめきトゥナイト」の専売特許や(笑)
まー、ある意味間違いではないわなぁ。
でも、これはこれで実はカエルは……ってのが最後にあって、「あっそ」って感じの終わり方だったりして、いまいちなんだよなぁ。
てなわけで、次の話よろしく♪

扇:えー、一応補足しとくと、オチがバレバレのおとぎ話です。
猫被ってた魔法使いが、とっても邪悪な顔を見せるシーンだけ素敵ですが、それ以外見るべきとこがないかも……。

では次。
第2話「君に天使の祝福を!!」
『偉大なる修院長マザー・ディーアの元で、日々修行を続けている修道女マリー。彼女は町に使いに出かけた際、窃盗罪及び傷害罪で追われている少年ウィルと出会う。ナイフを突きつけられ、人質にされてしまったマリーは、ウィルに変装して逃げ出すことを勧めるが――』

えーと……マリー様最高!(つーか、それがすべて)
嘘吐かないとか言いつつ平気で嘘吐くわ、ウィル君を操作して女装させようとするわ、人質なのに偵察に出かけるわ、とても修道女とは思えない暴れっぷりが素敵でした。
もっとも、話の筋立てがイマイチなので、作品としては「をいをい」って感じですが。

鈴:すべて……まぁ、そのとおりだけどね。
クライマックスのシーンと言い、ウィルくん、なんかいちおう主人公だと思うんだけど、完全にマリーに食われてるわね。
では、第3話……と言いたいところだけど、これ、はっきり言って紹介すらしたくないくらい、どーでもいー。

扇:しかし、紹介せんわけにもいかんだろうよ。

第3話「森とお城」
『アルシュアヴェイスの森の中、ぽつんとたっている綺麗なま白いお城に、一人のお姫様が住んでいました。両親は物心つく前に亡くなっており、国の実権は腹黒い大臣達が握っていたため、姫様は何もすることがありませんでした。ある日彼女は、鳥の誘いに乗って城の外に出るのですが――』

何か色々と、自由に伴う代償だの、世間の厳しさだの、教訓めいたことを並べてはいるのですが、最後のオチが劣悪なので、すべて無意味になっています。
これならまだ、×××に売られてすれまくった挙げ句、脱走して強く逞しくせこく生き延びた方が、成長話として面白かった気が……。

鈴:まー、この手の天然お姫さま(貴族の娘もあり)が、×××に売られて、すれてんのか、すれてないのか、よくわかんないけど、って話はどっかで見た憶えがあるなぁ。
まぁいいや。この話はもー、私的にどーでもいーから。
さて、では第4話、表題作にもなっている「月光スパイス」
ストーリーは、
『草食、雑食など、いくつもの種族に分かれて暮らす世界。その中心には肉食獣の黒黒彪がいた。
でも、黒彪は隔離された土地でひとりきり。そこへうさぎ族の少年アリスが舞い込んでくる。
黒彪を怖れないアリスに黒彪は、食うぞと脅しながらもひとりぼっちの寂しさを紛らわせるために食欲を抑える日々。
それを解消するために訪れた魔女の館。そこで見つけた「月光スパイス」という万能の薬。アリスを手放したくない黒彪は、それを使って何も食べなくてもいいと言う願いをかなえるが……』

初期作品……というか、執筆年度が平成16年というふる~い作品。
ちなみに、LaLaDXでリアルタイムに読んでました(笑)
絵は……言ってはいけない。絵にさして拘らない私でさえ、粗い……と思ったくらいのものですが、作品の雰囲気は「花の名前」と似たセンシティブなお話で、この作品を読んだとき、こういう話を描けばこのひとは売れるだろう、と本気で思ったくらい、けっこう思い入れのある作品。
つか、似た雰囲気の「花の名前」が連載になったので、私的には「やっぱり」って感じ。

扇:ところで、凄く気になるんだが……。
この子、女の子だろ?
名前がアリスだし、一人称「私」だし、つーかそもそも何で男の子って思ったんだ?

鈴:見た目(きっぱり)
髪はショートだし、パーカーにショートパンツだから男の子。
別にいーじゃん、男の子でも。はっきりしたラブストーリーじゃないんだしさ。

扇:まー、この時の絵はかなりアレだったから、目の錯覚で女の子が男の子に見えたとしても不思議はないけどね。(色んな意味で皮肉)
はて、全四編紹介したが……好きだと言える作品が一つもないな。
辛うじて、「君に天使の祝福を!!」のマリーのキャラは好きなんだけど、事件そのものに関しては何だかなぁって感じだ。

鈴:まぁ、男の子だろうと女の子だろうと、別にかまやしないけどね。
私はいちばんこの話が好きだし、実際リアルタイムで読んで、この雰囲気を保って描けるなら売れるだろう……と思ったくらいだし。
実際、「花の名前」は連載にもなったし。
……だけど、なーんか他の短編はなぁ……。
「With」もいまいち好きになれなかったし、どーも「月光スパイス」と「花の名前」以外はちと……。

扇:つまり、今のところ一発屋ってことか?
『花の名前』以外も読んでみようかと思ってたが……激しく不安だな。
LINNの意見は十万億土の彼方に置いといて――四編すべて地雷の香りがするので、購入を控えることを推奨します。
前回ベタボメしといて今回奈落の底まで落とすという、いつものパターンですが、今日はこのへんでお別れ致しましょう。さっよーなら~

鈴:「花の名前」は売れたんだろうから弐発屋ってとこじゃないか?(笑)
だが、置いとく云々はさておき、まぢであんまりオススメできんなぁ、この短編集。
短編はもうちょい精進してくれ、ってのが正直なところ、か。
と言うわけで、売れた割には残念な結果になってしまいましたが、仕方がありません。
やっぱ、いい短編はマンガも小説も難しいよね、と思いつつ、今日はこの辺で。
再見~

これは一発ネタだと思うのだが……

2008-03-02 23:59:31 | ファンタジー(現世界)
さて、予告通りガガガ文庫な第951回は、

タイトル:学園カゲキ!
著者:山川 進
出版社:小学館 ガガガ文庫(初版:'07)

であります。

さー、やって参りました。
ラインナップ見ただけで、「やべぇ! 地雷原だ!」と叫びたくなるガガガ文庫です。
看板作品の『人類は衰退しました』はかなり面白かったのですが、果たしてこれは……?



放送の多極化と、極端なチャンネル数の増大により、テレビ局は深刻な人材不足に陥っていた。
事態を憂慮した放送事業者は、未来の人材を育成するための一大計画『KAGEKIプロジェクト』を立案する。
それは、歌劇学園と呼ばれるタレント養成校を中心に、許可を得ずとも撮影が出来る放送芸術特区『歌劇市』を造るという凄まじいものだった。

何の知識も持たずに入学した会澤拓海にとって、歌劇学園はまさに異空間だった。
昼の食事は全国中継されて視聴者のチェックが入るため気が抜けず、かと言って、放課後は至る所で撮影が行われるため現実と非現実の区別が付けづらい、では教室は安心かと言うと、何の前触れもなく始まるアドリブタイムによって演技力を問われる。
おまけに、クラスがそれぞれ一番組を受け持ち、出演・制作を行う学園ドラマ『学園カゲキ!』の存在があり、いきなり主役に抜擢されて早くも他の生徒とは別格の扱いを受ける者もいるなど、ひたすらテレビ番組制作を優先した仕様に、拓海はただ驚くばかりだった。

入学当初から『学園カゲキ!』の主役に抜擢されて注目を集めている橘九月、歌劇学園の内情に詳しく、着実にエリート街道を進んでいく加賀雅弥、上昇志向が強いがやることなすことすべて裏目に出る愛すべき自爆男・唐木亘、といった個性的すぎるクラスメイトに囲まれて、拓海は次第に歌劇学園に順応していくが――。



例によって、感想を一言で言うと――
引っかかるところは多々あるけど、一応面白かったです。
おお! 珍しく褒め言葉だ! え……褒めてない?

何と言っても目を引くのは、物語の舞台となる歌劇学園でしょう。
一つのことに特化した学校というネタは少なくありませんが、限られたページ内で結構凝った設定を披露してくれてます。
矛盾や突っ込み所も多いですが、上手く利用すれば色んなタイプの話を書けそうで、割と好み。

何も知らない拓海を主人公にすることで、奇妙な空間である歌劇学園の紹介と、エリートコースまっしぐらの九月との身分違い(?)の恋を両立させる、と、ストーリーラインは基本に忠実。
これに、クールに見えて実は熱くて照れ屋でエロス全開な雅弥の活躍、天然自爆男・唐木亘の失敗、プロ意識が強すぎる故に、普通に後輩として接してくれる拓海に惹かれていく二年生・姫儀千里の話、等の枝話で色付けをしています。
王道まっしぐらのキャラ小説、と言えますが、充分楽しませて頂いたので問題なし。

で、お待ちかねの引っかかる点。(待ってない?)

本作は、放送業界の毒に染まっていない主人公に、他のキャラ達が惹かれていくという体裁を取っているのですが……当の拓海のキャラがイマイチ定まってません。
ずばっと言ってしまうと、読んでいて、拓海をイイ子ちゃんにしたいという作者の願望しか伝わって来ないのです。だから、場面によって性格がズレるし、台詞もイマイチしっくりこない。
仮に作者を監督、拓海を主役とすると――演技指導がなってないと言えます。

あと、ストーリーについて。
本作には重要な隠し要素があり、そのため拓海は一度奈落の底に叩き落とされるのですが……某映画を視ていた場合、速攻でネタが割れます。(つーか、パクリと言い切っちゃっていいと思う、正直な話)
仮に映画を知らない方でも結構早い段階で気付き、終盤の真相明かしで脱力されるのはないかと。私は映画視てた方なので何とも言えませんが。

ただ、一応フォローしとくと、ネタは割れてもどう始末を付けるのかが気になって最後まで読めることは読めます。
オチそのものに関しては賛否両論でしょうが、当の拓海が納得してるんで、まぁいいか……ってとこでしょうか。
ちなみに、私なら学園を訴えるけどね。つーか、明らかに犯罪だろ。

色々と微妙なのでオススメは付けません。
主役以外のキャラは良くできてるので、キャラ物が好きな方は手に取ってみてもいいかも。
ただ、本作で大がかりなネタを使っちゃってるので、二作目は……あははははは。(爆)



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