つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

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マジックと魔法は違うんだが……

2006-11-30 22:04:31 | 木曜漫画劇場(白組)
さて、いつ復活するんだろう? な、第730回は、

タイトル:まじっく快斗(1~3:以下続刊?)
著者:青山剛昌
出版社:小学館 少年サンデーコミックス

であります。

扇:何となく風邪気味なSENでーす。

鈴:このところ、かかってる回数が多くなった気がするLINNで~す。

扇:ん? 風邪って一回ひいたら一年は無事じゃないのか?

鈴:インフルエンザとかのウィルスなら1回やったらいーんだろーが……ねぇ。

扇:問題! インフルエンザと風邪の違いを明確に述べよ。

鈴:はいっ! わかりませんっ!!!

扇:駄目じゃん……俺もかなり怪しいが。
ま、風邪は複数の感染症の総称だが、インフルエンザは飽くまでインフルエンザ・ウィルスに感染した時の呼び名ってことで……場合によっちゃ死ぬが。

鈴:死ぬなぁ、インフルエンザ……。
……そういえば、感染症で思い出したが結核の診断を喰らって、隔離病棟でぴんぴんしてたヤツがいたなぁ……(遠い目)

扇:化物クラスの体力だな……。
結核って、昔は不治の病だった筈なんだが。

鈴:なに、形意拳の鍛錬者だったからたぶん気功で治してたんだろう、きっと(爆)
まー、それでもじゅーぶん、化け物だがなぁ。

扇:波動拳で治してたのか……。
確かに化物だな。

鈴:いや、あれ、喰らったらダメージ喰らうだけなんだけど……。

扇:あれも気孔じゃないのか?
某キャラなんかしょっちゅう叫んでるぞ、「気孔拳っ!」って。

鈴:あれを気功にしたら、世の気功やってる人間のすべてを敵に回すと思うぞ。

扇:そっか、気孔って飛ばないんだ~。

鈴:飛ぶか!!!
……なんか、気功に対する世の間違った認識をそのまま言ってんな、相棒。
しかも漢字がそもそも違うし。

扇:!Σ( ̄□ ̄;)
気にするな、ちょっとした変換ミスだ。
間違った認識と言えば……『あやかしあやし』がしっかり時代劇の矛盾にツッコミ入れてたね。五話の、切り捨て御免の話。

鈴:だが、マニアが見れば、突っ込まれるのは必至だがな>誤変換
で、あー、あの斬り捨て御免な。あれはなぁ……「仏ゾーン」でも思いっきりぶつかっただけで斬られてたし、さも当たり前のようにいろんなとこで使われてたからなぁ。
目から鱗は……落ちんかったが(笑)

扇:うむ、武士だからって適当にアヤ付けて町人斬るのが当たり前……ってのは大いなる間違いなんだが、そこを突っ込んでくれたのは良かった。
俺に言わせりゃ常識なんだが、いかんせん、時代劇のイメージが強いのかねぇ。

鈴:常識ねぇ……きっと知らない人間のほうが多いと思うがねぇ。
まぁだが、いちおう史実や時代背景を曲げないことを標榜してるから、その辺りは当然しっかりしとかんとあかんのだろうけどな。

扇:まぁにゃ。
何でアステカ人の子が日本にいるかは今のところ不明だが。
(※SENはこの時まだ六話を視ていません)

鈴:それを言ってはいけない。
きっと、そのうち、何らかの設定が明かされると思っておこう。
……つーか、それがないと、いちおう、こいつ、ヒロインっぽいから、ないと話にならん。

扇:歳の差が凄まじいけど、一応ヒロインだな。
この子だけ肝食ってないところからして、最後に一人だけ生き残るってパターンぽいし。

鈴:まぁ、逆に先にこの子だけ、あと数話くらいで死ぬのもあるだろうな。
まーでも、女性キャラ少ないから死なない可能性のほうが高いかもしれんが(笑)

扇:で、亡骸を抱えて主人公が絶叫か……あり得る。
女性キャラと言えば、追加で誰か出るかも知れんがね。
何にせよ、敵が妖夷な割には普通に時代劇やってくれてるんで、今のところは安心して視られる番組だ。

鈴:追加はまぁ、あるだろうなぁ……。
と言うか、あのふたりだけじゃなぁ。鳥居さんとこのお姉さん、はよ死にそうやし(笑)
ともあれ、アニメ版の「鋼の錬金術師」で素晴らしいラストを作ってくれた會川氏が構成してんだから、まぁ、ろくでもないラストだけは作るまい。

扇:うむ、今のアニメでは割とオススメできる作品の一つだな。
って、何で『木曜動画劇場』になってるんだっ!

鈴:え? いーんじゃないのか?
最近、おもしろいアニメってあんまりないんだし。
途中は見れてもラストが終わってる話ってけっこうあるしなぁ。
……それでもなんかのでーぶいでーは買っちまってるが(爆)

扇:ああ、魔女刃ね。(笑)

鈴:日本語に変換すんなよ……そのまんまだが……。
まぁ、あれはあれでいいのさっ。それなりにおもしろかったから(爆)

扇:ま、あんたが満足してるならそれでいいがね。
じゃそろそろ、『木曜漫画劇場』の仕事に戻ろう。
解説よろ。

鈴:じゃぁ、「名探偵コナン」の対極で、主人公がこそ泥、それ以外、ほぼ同じ。
以上。

扇:合ってるんだが……何だかな。
コナンの悪役がヤバげな連中なのに対し、こっちはちとマヌケなのが違いと言えば違いか。
コナンに出張した時の役回りから想像付くでしょうが、元ネタは怪盗ルパンです。(笑)
んじゃ、CM。


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扇:では、主人公の怪盗キッド、こと、黒羽快斗。
でかコナン(工藤新一)の泥棒版。
以上。

鈴:では、ヒロインの中森青子。
キッドを追う中森銀三警部の娘で、コナンで登場する毛利蘭の本編版。
以上。

扇:をい、それで終わりかよ。

鈴:だって、コナンと設定、ほとんど一緒だし

扇:言うな。
いくらこの二人の会話が、でかコナン&蘭の会話と1ナノメートルも違いがないからって、そこまで言うのはひどいと思うぞっ!

鈴:でかコナンって……新一って言ってやれよっ!!!
でも、この主人公&ヒロインの構図って、「YAIBA」のときも大して変わってないし、いまさらじゃん?

扇:奴は『でかコナン』でいいんだよ、所詮、『探偵物語』のオマージュなんだから。
そう言えば、『YAIBA』の二人もまったく同じだったなァ……少年漫画らしいと言えば、らしいが。
敢えて違いを探すとしたら……コナンより快斗&刃の方が助平で、刃よりコナン&快斗の方が賢しいってことぐらいか。

鈴:それって、特筆しないとわからないくらいの差なんだけどさ。
その割に、こいつ、自分の別の作品のキャラを他の作品で出すの、好きだよなぁ。
この作品にも、 「YAIBA」のキャラ出てたし。
まぁ、ヒロインの女のコが快斗にほだされてるのは、わかる気がする。
あんなちんくしゃより、見た目だけはよさげなほうに靡くのは当然だろうしな。

扇:そいや快斗にはキザ属性があったな、他の二人と違って。
まぁ、シルクハット被って決めポーズすりゃ、それなりには見えるわな。
でも、こうやって小さな違いを探さないといけない時点で……何だかなぁという気はする。
ヒロイン三人組に至っては、そもそも違い自体がないからな。(爆)

鈴:まー、ないわな。
この辺りは、設定の甘さを露呈してるわな。
岡田○武みたいな設定屋と組ませると、かなり読める作品を作れそうな気はせんでもないがね。

扇:あれだな、画面四隅に証・明・完・了のデカ文字が炸裂するわけだ。(笑)

鈴:それは岡田がマンガ描いた場合だけやっ!!!
ったく……あんなあざといやり方するのは、こいつくらいのもんやで。
まー、はまったときには、かなり笑えるが(爆)

扇:ギャグでやるならいいんだがな――島本あたりが。(笑)
えーと、話を戻して、ストーリー的には完全なドタバタコメディやね。
その意味では、死体がわんさか出てくるコナンと作風は全然違うな。

鈴:いちおう、盗まれるか、盗まれないか、って話だからなぁ。
推理ものとは違って、人死にが出にくい話ではある。

扇:快斗を付け狙うマッドなお嬢さん(名前失念)といい、敵役のホームズもどき(同じく名前失念)といい、どいつもこいつもギャク畑のキャラだから、暗い話になりにくというのはあったな。
個人的には、二巻でやった楽屋オチ、の路線でやってくれたらもっと楽しめた。

鈴:楽屋オチね。まぁ、あれはあとがきっぽい話としては楽しめたからなぁ。
延々続けるのは何だが、数巻で終わる話でやってくれるなら、おもしろいのは確かだね。
と言うわけで、なんか褒めてんのか、褒めてないのか、いまいち微妙なところだとは思いつつも、今回の木曜劇場はこの辺でお開きです。
まぁ、少なくとも、YAIBAやコナンよりはおもしろくなかったと思ったりもする今日このごろなところで、さよ~なら~

扇:YAIBA>コナン>快斗ってとこかね。
やはり、ライバルキャラがへっぽこ過ぎたのがちと痛かった。
でもまぁ……まだ終わってないので、今後に期待しましょう。(爆)
では今日はこのへんで、さようならぁ
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影武者少女がゆく!

2006-11-29 21:05:38 | ファンタジー(異世界)
さて、珍しい文庫を手に取ってみた第729回は、

タイトル:帝国の娘 (前編) 流血女神伝
著者:須賀しのぶ
出版社:集英社 コバルト文庫(初版:H11)

であります。

須賀しのぶの長編ファンタジー。
ルトヴィア帝国皇帝候補・アルゼウス皇子の影武者となった少女カリエの戦いを描きます。
私はコバルトにはあまり手を出さない方なのですが、評判良いので読んでみることにしました。



寒空の下、カリエは猟銃を手にして獲物を探していた。
いつもは反対する父が、何故か今日に限って狩りを命じたからだ。
出かける時、母が商品にする予定の外套をかけてくれたのも妙だった。

寒さに耐えかねて道を引き返す途中、カリエは一人の美しい青年に出会った。
彼の名はエディアルド。カリエを迎えに来たのだと言う。
状況を飲み込めないカリエに、エディアルドは冷たく言い放った――お前はもう、両親のもとへは帰れない。

意識を取り戻した時、カリエは自分が四大公爵一つ・ゼカロ家に売られたことを知った。
現れたルドヴィア帝国皇妃フリアナは、熱病に犯された自分の息子アルゼウスの身代わりにカリエを選んだことを告げる。
ルドヴィア帝国には特殊な皇位継承制度があり、皇帝候補者たる者は十四歳になる前にカデーレ宮に入らねばならない……が、今のアルゼウスは歩くこともままならぬため、顔姿の似たカリエを代役として連れて来たのだ。

エディアルドの厳しい訓練に耐え抜いたカリエは、春の訪れとともに皇都を目指すのだが――。



で、とりあえず読んでみたのですが――。

この作者、思いっきり『樹なつみ』属性じゃねぇかっ!

かなり面白かったです、はい。
キャラもストーリーもど真ん中ストレートに王道なのですが、とにかく作りがしっかりしている。
カリエ個人の物語に、現在の情勢や帝国の歴史等を無理なく織り込んでおり、ミクロなドラマとマクロなドラマを綺麗に同時進行させています……上手い。

で、その主人公カリエですが――かなりハイスペックだったりします。
たかだか三ヶ月の訓練で礼儀作法を身に付け、皇帝と居並ぶ貴族の前できっちりアルゼウス皇子を演じきるって……どういう度胸と知能指数してるんだか。
しょっちゅう他人の裏を読むし、学習能力は高いし、根性座ってるしと、とんでもなく強力なヒロインです。完全なる王道キャラですが、格好いいので問題なし。

もっとも、そこは若干十四歳の少女、完璧超人というわけにはいきません。
エディアルドの前では素に戻ってしまうし、精神的打撃を受けるたびにどん底まで落ちるし、気に入った人物の前では仮面があっさり剥がれるしと、とにかく感情の起伏が激しい。
あと、物凄く惚れっぽいという弱点があり、これが出るとお馬鹿指数が増大してトラブルを引き起こします。つーか、『運命の相手』が今まで三人いて、今回現れた美形剣士で四人目って――をい!(笑)

そんな、カリエを押さえるのが従者にして相棒のエディアルド。
いわゆる外見堅物、中身御子様な彼氏役の典型で、冷血顔と怒り顔をいったりきたりしつつ、たまにささやかな優しさを見せて株を上げるという常套手段を使ってきます――基本ですね。
皇子に心酔しており、こんな小娘に『私の皇子』の身代わりができるものかぁ~! とばかりに冷たい態度でカリエをしごきますが、怒りが頂点に達すると美形らしからぬ口調にチェンジするのは結構笑えます。

ストーリーですが、男装した女の子が美形の男に囲まれてアン×ェリークごっこを――。

じゃなくて(それもないとは言えんが)、皇帝候補として奮闘するカリエの成長物語です。
いくら頑張ったところでエドは褒めてくれないし、かといって手ぇ抜くのはプライドが許さないし、弟属性バリバリの皇子様は守ってあげたいし、自分と皇子が似てるのはもしかして……といった彼女の葛藤を上手く描いています。
カリエが現在の位置に立つことになった背景、サブキャラ達の立場、他国との関係にもかなりのページを裂き、大河物としても読めるように仕上げているのは見事。

文句なし、三重丸のオススメ。
『惚れっぽい猪(作者談)』の活躍を御堪能下さい。(笑)
下巻は、出番のなかった他の皇子達が登場してさらに盛り上がるようですが、それについてはまた来週



――【つれづれナビ!】――
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二人で一人……とは違います

2006-11-28 23:54:35 | その他
さて、このジャンルは初めてだ、な第728回は、

タイトル:おかしな二人
著者:ニール・サイモン
出版社:早川書房 ハヤカワ演劇文庫(初版:H18)

であります。

ブロードウェィの喜劇王ニール・サイモンの戯曲です。
おかしな二人組の共同生活と破綻、そして……を描くコメディ。



ある蒸し暑い夏の夜……スピード、マレー、ロイ、ヴィニーの四人はオスカー・マディソンの家で週に一度のポーカーに熱中していた。
家主のオスカーは四十三歳のスポーツ記者。離婚後は一人暮らしをしており、皆で集まるには都合がいい。
部屋が荒れ放題なこと、胃を壊しそうなつまみが出ること、家主が妻に払う慰謝料について愚痴を撒き散らしながら借金を重ねること、を我慢する必要があるものの、皆は概ねこの時間を楽しんでいた。

椅子は六つあるが、今日は一人分開いている。
いつもならここで灰皿を綺麗にしている筈の男――フィリックス・アンガーが来ていないのだ。
敢えて考えないようにしていたが、立て続けに電話が鳴り、フィリックスが行方不明になったこと、愛妻と離婚したこと、自殺すると言って家を飛び出したことが判明すると、さすがの悪友達も慌て始めた。

この世の終わりのような顔をして、フィリックスはやってきた。
泣き叫ぶ彼を強引に落ち着かせ、メンバーは一人ずつ帰っていく。
なおも妻と子への未練を口にするフィリックスに、オスカーは言ってしまった――ここで一緒に暮らそう、と。



他人を支配したがる人間は、程度の差はあれど煙たがられるものです。
特に、自覚がないタイプは致命的です……いや、その方が多いけど。
フィリックス・アンガーはこれにピッタリ当てはまる、物凄く鬱陶しい男です。

料理が大好きで、、飲み物とつまみは常に欠かさず、ポーカーをしている最中でも割り込んで個人の好みを尋ね、暇さえあれば台所で何か作っている。
異常と言える程の潔癖性で、部屋はいつもピカピカにし、コースターなしにグラスを置いたら小言を言い、空気清浄機を勝手に止めたらチクチクと釘を刺す。
お喋りが大好きで、相手の状況を無視して、離婚調停中の妻への愛を延々と語り続ける……。

頼むから静かにしてくれ。

すいません、私はせいぜい三日が限界です。
こんなのと四六時中一緒にいたら、オスカーならずとも辟易するでしょう。
オスカーのいい加減な性格も問題あると思いますが、にしてもフィリックスの干渉ぶりはひどい。

全三幕の芝居で、第一幕はフィリックスがオスカーの家に転がり込む話、第二幕は猛威を振るうフィリックスと我慢の限界に達したオスカーの激突、第三幕は遂に訪れた破局とその後の後始末、といったところ。

軽妙な会話は絶品で、二人の両極端な性格を上手く表現しています。
ポーカー四人組の区別が付かないかも知れませんが、こだわらなくても特に問題ありません。
翻訳の問題なのか、そこかしこに女言葉が出てくるのはちょっと引っかかりますが……。
(特にフィリックスはその傾向が強いです。そういうキャラと言ってしまえばそうなのですが)

良くできたコメディです。オススメ。
特に専門用語も出てこないので、普段演劇見ない方でも読めます。
上手が右側、下手が左側ということだけ覚えておけば充分です。(笑)
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ギャグのネタではない

2006-11-27 23:52:25 | その他
さて、真っ先に神宮寺三郎が浮かんでしまった第727回は、

タイトル:ザ・ハードボイルド――ものにこだわる探偵たち
著者:馬場啓一
出版社:CBS・ソニー出版(初版:H61)

であります。

ハードボイルドと聞いて、貴方は何を連想するだろうか?

酒、煙草、トレンチコートー――基本中の基本だろう。
車、コーヒー、ギャンブルー――うん、悪くないラインだ。
ソフト帽、グラサン、ベスパP150X――いや、それはちょっと限定し過ぎかも知れない。

本書は、ハードボイルド小説の主人公達の特徴を調べ、系統別に分けてまとめた解説本です。
これさえ読めばハードボイルド物を理解できる……というわけではありませんが、パロディを書くネタには困りません。(笑)
以下、各章について簡単に解説します。

『第1章 酒と酒場』……酒の蘊蓄をたれたり、酒場で女性を口説くのは、ハードボイルド野郎共の特徴である。まず一杯、物語はいつもそこから始まり、そこで終わるのだ。一番長いが、酒の銘柄の解説が多く、興味のない方にはただただ退屈な章だったりする。

『第2章 煙草のけむり』……ハードボイルド野郎共にとって、酒がガソリンなら煙草はオイルである。考えをまとめる時、会話のきっかけをつかむ時、彼らは決まって煙草に火をつける。煙草の銘柄の細かい解説はないが、当然、嫌煙家が楽しめる章ではない。

『第3章 探偵と遊戯』……遊戯と言うより、勝負といった方が正しいだろう。ポーカー、ビリヤード、チェス、果ては依頼人との金銭交渉まで、彼らの周囲には勝負が溢れている。ページ数も内容もちょっと薄い章。ま、賭け事について詳しく語り出したらキリがないが。

『第4章 道具と小物たち』……ライター、ナイフ、カメラ、テープレコーダーなどの用例。これまたページ数、内容ともに薄い。酒に力を入れすぎたからか?

『MID-NIGHT SECRET』……筆者+温水ゆかり+内藤陳の対談。ハードボイルド四方山話。

『第6章 銃と武器たち』……銃は戦闘シーンの主役である。酒や煙草と違って生死に関わるため、ハードボイルド野郎共のこだわりも半端ではない。もっとも、殺陣に比べて銃撃戦ってあまり盛り上がらないが。

『第7章 あの車を追え』……車はハードボイルド野郎共の顔である。自分の車の話題が出ると、彼らは(飽くまで平静を装って)くどくどと語るのが常だ。性能を取るか、見た目を取るか、両方取るかは個人によって違うが、走ればそれでいいと言う者は一人もいない。

『第8章 事件当時の服装』……帽子とトレンチコートが基本。このイメージを確立したのは、やはりチャンドラーだろう。他の服装もあるが、今でも根強い人気を誇るファッションである――これで大体説明がつく章。

『第9章 戦いと休息の部屋』……ねぐらの話。一等地に事務所を構え、家具に使う金をケチるのが王道だろう。ただし、ソファだけは大きいものを買わなくてはならない。色々なことに使えるからだ。(笑)

『第10章 男の食卓』……値段は安く済ませるが、味と手間には妙にこだわるのがハードボイルド野郎共の食事である。特にコーヒーと卵にはやたらとうるさい。こういう客を店側が敬遠するのは至極当然と言える。

ベースはチャンドラーで、それと一緒に他作品の描写を紹介している、といった感じの本です。
チャンドラーマニアの方なら、「この程度のことは誰でも知っている」と笑ってしまうかも。
ちなみに私は一冊も読んだことがありません。(笑)

引用と解説の繰り返しなので、読み物としては二級。
ハードボイルド物(もしくはそのパロディ)を書く時のカタログとしては便利かも。
もっとも、気合い入れて書こうとすると、もっと細かい資料が必要になると思いますが……。
コメント

こっちのほうが

2006-11-26 17:39:51 | 小説全般
さて、第726回は、

タイトル:樹上のゆりかご
著者:荻原規子
出版社:理論社(初版:H14)

であります。

この著者の作品と言えば、マンガにもなった「西の善き魔女」とかが有名で、読んだことはあったりするんだけど、今回は別のものを。
と言うか……読んだあとで、実は別の作品(「これは王国のかぎ」)の主人公のその後の物語、と言うことでけっこうげんなり……(笑)
さておき、ストーリーは、


辰川高校2年生の上田ひろみは、友人のドリちゃんこと、中村夢乃から昨年のクラスメイトだった加藤健一から頼み事がある、と聞く。
いまいち乗り気はしなかったその頼みは、進学校ながら、勉強以上に精力を傾ける3つのイベントのひとつ、合唱祭のお昼に、パンの売り子をすると言うものだった。

すでに夢乃は鳴海知章から同様の依頼を受け、承諾済みとあれば断る理由もなく、引き受けることになった。
……のだが、この売り子がきっかけで生徒会活動に引っ張り込まれることになる。

いつのまにやら生徒会執行部の仕事をするようになった日々の中で出会った近衛有理と過ごす時間に、有理が語る「名前のない顔のないもの」
そんな中で、合唱祭のパンに混入されたカミソリ事件に始まる、演劇コンクール、続いての体育祭の準備中の脅迫状事件やぼや騒ぎ。
いったい犯人は誰なのか、……伝統のイベントに水を差す事件にひろみは……。


えー、「西の善き魔女」よりはおもしろく読めました。
……と言うか、こっちのほうがかなりマシ……。

文章はひろみの一人称だけど、一人称で語られる範囲で描かれているが描写に過不足はなく、夢乃や生徒会メンバー、有理と言った他のキャラもしっかりと描かれている。
また、生徒会にいながらも立ち位置が微妙なひろみを中心にしているにもかかわらず、しっかりと物語を作っているところはうまい。
また、随所にひろみの呟きのような形で入る軽い一言のようなものも、重くなりそうな雰囲気の中で、くすっと笑えるところがあり、いいアクセントになっている。

事件の部分に関しては、ちとオチが弱いところがあるが、その他の展開については問題なし。
「名前のない顔のないもの」というのも、はっきりと作中では語られないものの、どういうものなのか、と言うことは流れで読んだとしてもきちんと理解できるだけの情報量がある。
もっとも、作品のテーマとしては、こうした学園ものの作品ではありふれたもので、大して見るべきところはないが、そうしたテーマを語る上でのキャラ配置は適格。
あと、タイトルの「ゆりかご」に対してもきちんとフォローがあり、消化不良を起こすようなところがあまりないのはいい。

総じて良品と言える学園ものであろう。
……しかし……、前の作品があることを事前に知ってれば……。
どうも順番が逆になると読む気がしなくなるんだけど、なかなかおもしろかったから読んでみっかな。
コメント

ありふれたものと思いきや

2006-11-25 01:57:34 | 小説全般
さて、久々にあとがきに納得したの第725回は、

タイトル:ドールハウス
著者:姫野カオルコ
出版社:角川書店 角川文庫(初版:H9 講談社文庫刊:H6)

であります。

またもやお初の作家……というか、700回を超えてお初でない作家の数って何割くらいなんだろ……。
まぁ、作家別カテゴリの数からはじき出せばいいだけなんだけど、めんどくさいので紹介に行こっと。


大屋敷理加子は、虫垂炎のために入院していた病院で、同部屋になっている高校生の留美が残した食事を弟が当たり前のように食べ始めたのを見て、目を瞠る。
それは理加子の中ではあり得ない出来事だが、そんな「ふつう」の生活を夢見ていた。

偏執な両親のもと、大学を卒業し、図書館の司書となり、幼いころから両親の偏執を「日常」として過ごしてきた理加子は、司書の同期である美枝との食事の約束で出向いたイタリア料理店で、美枝の恋人、小林の友人である江木という男性と出会う。
次第に図書館に顔を出し、電話をかけてくるようになる江木。
そんな江木という存在や、小林から聞いたテレビ局のシナリオ大賞をきっかけに、両親の偏執にがんじがらめにされた理加子は、何もなかった29年間の埋め合わせをしようとする。


裏表紙の煽り文句を見れば、主人公の大屋敷理加子と言う女性の自立の物語、と言うありふれたネタを扱った小説……なのだが、これがなかなか、読み応えがあった。

躾と言う名目で、不良になるからと言う理由で、理加子は幼いころから、繁華街へ出かけるのにも父親の許可がいり、映画や読書はもちろんのこと、電話は聞き耳を立てられ、手紙は事前に見られるような偏執な父親と接していた。
また、自らの都合のいい妄想しか押しつけず、結婚すら認めない母親。
しかし、一人っ子で「家」や育ててもらった恩というものを意識し、両親に逆らえない理加子。

とにかく理加子を中心としたキャラが濃い。
かなり極端だとは思うが、さりとて、未だに残る家存続の意識を、こうしたキャラを通じてしっかりと描写しているところはおもしろい。
また、偏執なまでの両親に育てられた理加子のキャラも破綻はなく、脇キャラの美枝、小林のふたりも、理加子を核としたテーマの中でひとつのパターンを提示するものとして、物語の邪魔になることもなく、いいアクセントになっている。

その他、偏執的な両親の滑稽さや、シナリオに込めた理加子の気持ちなど、おかしさや切実さを感じさせるところも多々あり、流れで読み進めるだけにしてもおもしろく読める部分もある。
文句なし……とまでは言わないが、十分良品。

3部作のひとつ、と言うことなので、あと2冊もちと手に取ってみるかな。
コメント

Simple is Best?

2006-11-24 20:58:50 | 伝奇小説
さて、これはこれでひとつの特徴なのかもの第724回は、

タイトル:陰陽祓い 鬼龍光一シリーズ1
著者:今野敏
出版社:学習研究社 学研M文庫(初版:H13)

であります。

名前だけは知っていたけど、読んだことがなかった作家だったのでいい機会だと思って手に取ってみたもの。
いろいろと出てる本のタイトルから、ジャンルとしては伝奇小説だろうと思っていたけれど、これも見事な伝奇小説。

さて、ストーリー紹介は次のとおり。

少年課の巡査部長である富野輝彦は、暴行の上、絞殺する、と言う連続強姦殺人事件の捜査本部に、心理学者の本宮奈緒美とともに参加していた。
手口から同一犯であるとされる殺人事件。
被害者がうち捨てられた現場で、本宮とともに捜査に当たっていた富野は、そこでひとりの男に目をとめる。
職務質問から、鬼龍光一と名乗った男は、茫洋とした様子ながらもはっきりと富野にお祓い師だと告げる。
さらに、この事件は警察の領分ではないと言い切った。

妙な男だと思いつつも、捜査を続ける富野たちだが、犯人逮捕に際し、その犯人とともに、またもや鬼龍の姿を見る。
しかし、逮捕したのも束の間、またもや似た手口での強姦殺人事件が発生し、富野は再び捜査本部へ出向く。
行きずりの犯罪で捜査に行き詰まる中、富野は鬼龍の語る「亡者」と言うキーワードに鬼龍を訪い……。

陰陽のバランスが崩れた亡者を祓う鬼龍光一と、一連の連続殺人事件を追う富野巡査部長とが、ともに事件の捜査を進め、殺人事件のもととなった亡者を突き止め、祓うまでを描いた伝奇小説。
ストーリーの進み方は、殺人事件やその他、黒幕となる亡者によって亡者にされた少年少女たちの行動などを辿り、黒幕と対峙する、というもの。

よく言えば、とても素直なストーリー展開。
黒幕が誰か、なんてのはだいたい半分も読めば、想像がつく……と言うより、3分の1くらい読んで、「あ、こいつだな」と思ったのがビンゴだったりする(笑)
脇道に逸れることもないし、一本のまっすぐな線のような進み方なので、あれこれと予想する楽しさはないが、安心して読める作品であろう。
ただ、伝奇小説という割に、派手な戦闘シーンなどはほとんどなく、そうしたところを期待すると拍子抜けするかもしれない。

また、文章もストーリー上の事実、行動などを淡々と簡潔に描写しており、読みやすく、読み始めてしまえばすらすらと読み進めることが出来る。
逆に言えば、まったく味気ない文章で、情緒的な部分の微片もないが、これはこれで意外と悪くない、と思ったりして。

全体としては、突出したものもなければ、反対にここが悪い、と言うところもなく、中途半端、と言うのが一番ふさわしいかも。
あえてオススメする理由も見つからないし、さりとてオススメしない理由も見つからないもんなぁ。
総評は……悪くはない、と言う程度なのでいちおう及第、かな。
コメント

これぞ童話っ!(笑)

2006-11-23 21:43:32 | 木曜漫画劇場(紅組)
さて、どう考えてもおっさんだよなぁの第723回は、

タイトル:ルードヴィッヒ革命
著者:由貴香織里
出版社:白泉社 花とゆめコミックス

であります。

鈴:いちおうおっさん年齢なので王子に共感してしまうLINNで~す。

扇:胸で女を判別してたのか……と冷たい視線を向けるSENでーす。

鈴:別に、判別はしておらんが、やっぱりないよりあるほうがよい、と言うのは男の性であらう?
しかし、こういうのもあれば、その逆もあったりと世の中、よぉわからん分類がけっこうあったり……。

扇:イマイチ何が言いたいのか良く解らんが、それは貧×のことかね?
(危険な単語なので伏字)

鈴:……まぁ、そういう噂もあるが(爆)
しかし、こういう話題になると、いらんトラックバックは増えそうだな。

:言えてる……。
×ロワード書くと、面白いぐらい拾ってくれるからかなわん。

鈴:なに、第704回なんか「玉×輿」に思いっきり引っかかってたぞ。
明らかにロボット検索の感じでキーワード拾ってるんだろうが……、METAあたりで弾くことは出来んのかのぅ……。

聖飢魔IIで弾くのか?

鈴:なんでそこで閣下が出てくるっ!!!
(ちなみに、METAはHTMLのメタ情報を指定する構文で、検索ロボットの制御をすることが出来る構文を含んでいる)

:メタル情報って何? エレキ弾くの?

鈴:誰が弾くかっ!!!
どうせひくなら……あ、いかん、やめておこう……。

下劣な……。
ところで、いい加減アイコン会話に付き合わんかね?

鈴:いったい何を想像してんのかなぁ……?
しかし、アイコン会話は……性に合わん(どきっぱり(笑))
……つか、ひとが絵を描けんと知っておきながら~……意地でも使わんぞっ!!!(爆)

:今のリンリンをアイコンで表すと、ってとこだろうな。
しかし、マヂで絵描くならともかく、俺がここに載せてるようなものだったら、適当に練習すりゃ誰でも描けると思うぞ。
まぁ……三週間前の俺のように、ボールマウス使ってるなら話は別だが。(爆)

鈴:なに、描く以上、少しでもマシなものを~、とか思ってまうから絵を描くのはどんなもんでも無理やねん。
小説よりも、あとで見直したときの「気に入らねぇ……」度数はスピリタス並に高いでな。

扇:しょうがない、今日の所は合わせてやるか。
ところで、スピリチュアって何よ?
(後で『鈴』の文字のとこを全部アイコンにかえてやろ~っと)

鈴:スピリチュア……って……美輪明宏を思い出すからやめい(ちなみに、スピリタスはアルコール度数96の、ほとんどエチルアルコールのスピリッツだ)
……で、いかに変えたところで即刻戻してやらう(笑)

扇:何でそこで『オーラの泉』が出てくるんだっ!(見てないけど)
いかんねぇ旧世代は……小説でこれをやれとは言わんが、ここは絵文字もありの世界なんだから、もうちょっと柔軟な思考をだな。

鈴:だって、スピリチュア……っつったら、スピリチュアルを連想するのは仕方あるまい。
だが……、テキストならテキストONLY~、って気がするからな。
前持ってたホームページでも、絵は……友人にもらったのが1枚あっただけだったしなぁ。

扇:まぁ、なるべく俺の記事だけに張ることにするよ。
(後でLINNの古い記事に画像張ってやろっと……ヒヒヒ)

鈴:そうしてくれ。
(ヒヒヒ、ってヒヒじじいみたいで、ひっひっひっ、よりもなんかいやらしいな)

扇:で、張るのは『付喪堂骨董店』がいいかね? それとも『夜陰譚』か?
(君のやらしさは今日のオープニングで証明されたがね)

鈴:どっちも却下。
(なに、世の男性諸氏の心の声を代弁しただけだよ。私ではぬぁい)

扇:却下しやがった……俺の絵が下手だからというならまだ納得がいくが、絵の存在自体を否定するのはラノベを否定するのに近いぞ。何せ、表紙が九割だからな。(笑)
(これ描いてるの女性だけどね)

鈴:別に絵の上手下手を理由にするつもりではないがね。うまかろうが下手だろうが、気分的にイヤなだけだ。
とは言え、ラノベの表紙9割を否定するつもりは、これっぽっちもないがね。
もし、でびゆぅできると仮定するなら、表紙絵はかなり気になるわなぁ。これで初手の売上が決まるだけに(笑)
(女性だが、初手のところにあるとおり、おっさんな見方だよなぁ)

扇:新人作家の場合、98%絵だな。残り2%はタイトルと粗筋。
一に表紙、二に挿絵、三四がキャラで、五はその他(作家名、文庫名)の世界だし……。
(ほんと、この人オヂサン趣味だよなぁ……『天使禁猟区』の時もそうだったが)

鈴:言うてやるな……それが事実とは言え……。
(「天使禁猟区」のとき……それって九雷ちゃんのこと?)

扇:つーか、平積みしてあるラノベの表紙見たら一目瞭然だろ。
いかにして、ヒロインで釣るか! これが勝負の分かれ目だ。
(九雷? 誰だそれ? 俺が言ってるのは主役の妹だ)

鈴:まぁ、100%否定できないのが現実だな(笑)
(あー、確かにあの子もいー身体してたなぁ……(←おっさん))

扇:LINN君が暴走し始めたんで、そろそろ本題に入りましょうかね。
グリム童話をモチーフにしたブラックコメディです。
全四話。由貴香織里調に脚色された童話の登場人物達が、欲望の赴くままに暴れ回ります……いや、ホント、洒落抜きで好き放題に。(爆)


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鈴:誰が暴走だ、誰がっ!!!
……ったく、じゃぁ、キャラ紹介に行くかねぇ。
では、全編通しての主人公ルードヴィッヒ(王子)
女遊びが過ぎて、父王に嫁探しに行くように言われて旅に出た放蕩王子。嫁候補の女性の基準は巨乳美女と言うわかりやすい趣味に加え、サドという童話(お子様向け)の王子とはかけ離れたぶっ飛んだ王子様。

扇:では、全編通してのサブキャラ、ヴィルヘルム。
由貴ワールドお馴染み、長い黒髪の美青年だが、立場は王子の丁稚。
巨乳美女にしか興味がない王子にかいがいしく仕え、身の回りの苦労を一手に引き受ける。
主役との関係だけ見ると、某伯爵様に仕えた里夫さんと良く似ているが、裏の顔とかはないし、戦闘力も低いし、性格穏和だし……と、ポジションの割には本当にただの一般人である。(悲惨)

鈴:では、次のキャラは、第1話に登場する白雪姫。
白い雪……と言うより、キャラの性格は白さに隠れたどろどろっぷりの素晴らしい腹黒姫。
父王を手込めにし、母王妃を敵に回しながら、王妃の愛人までたぶらかし、ルードヴィッヒに助けられてはルードヴィッヒの父王に取り入った魔性の女。
ただし、ルードヴィッヒの狡猾さにはかなわなかったあたり、僅かなりともかわいいところはあったかもしれない。
……でも、暗殺者の頭を、真顔で斧使ってかち割るあたり、どーよ!? って気はしないでもない。

扇:あっさり白雪姫に完敗した王妃は……別に紹介しなくてもいっか。
では、次のキャラ。第2話、第4話に登場するリゼッテ。
人の良さにつけ込まれ、村中の人から利用されていた幼いヴィルヘルムの友達……だった娘。
本当はヴィルヘルムを馬鹿にしており、彼を通じてルードヴィッヒに取り入るつもりだったが、幼いながらも狡猾な王子に裏をかかれ、自らの手で両親を殺して逃亡する。
後に血の味を覚え、流しのスナイパー『赤頭巾』となる……凄い解釈だな、をい。
ちなみに、第2話の扉絵で猟銃を構えている彼女は妙に格好いい。

鈴:妙、じゃなくて格好いいんだけどな。
では第3話のヒロインで、茨姫のフリーデリーケ、愛称イーディケ姫。
何故糸巻きの錘!? とか、15年後!? とか言う突っ込みを受ける呪いのため100年間眠ることになった、さして胸の大きくないお姫さまだが、自らの力で張った茨の城を抜けてきたルードヴィッヒと、彼によって明かされた真実によって心の救いは得るが肉体は100年の歳月に耐えられなかった悲運の姫。
巨乳ではないが、何故かルードヴィッヒが求める姫だった。

扇:では、第三話の隠れヒロインで、イーディケに呪いをかけた魔女ドロテア。
古い表現だが、ボディコン、という呼称がそのまま当てはまるぶっ飛んだファッションセンスと肉体を誇り、老婆に変装していたにも関わらず王子の巨乳センサーであっさり正体を暴かれた。
実は隠れマゾであり、王子の鞭さばきに惚れ込むが、なぜかすげなく振られてしまう。
バレッタ……ぢゃなくてリゼッテと共に続編に登場するのは確実と思われる。
(作者が描けばの話だが……)

鈴:あー、いたなぁ、そんな魔女。……つか、この子のほうがキャラ的におもしろかったんだが……(笑)
では、次に「青ひげ」の童話から登場するアマーリエ。
髭面がイヤで領主の妻になることを拒み、何故かルードヴィッヒを身代わりにしたり、ヴィルにコナをかけたりする女のコ。まー、あの絵を見れば、あの髭面はイヤだよなぁ、と納得してしまいそうにはなる。
ルードヴィッヒも認める(はず)の巨乳だが、最後の最後でニセチチであることが判明し、呆気なくルードヴィッヒの基準からはずれることになる。
一言で言うと、かわいこぶってる今時の女のコ。

扇:当の青髭は……別にいいや。
ストーリー的には、三話が一番面白かったかな。
何せあのルードヴィッヒ王子がマヂで口説きにかかる話だったし。

鈴:口説きに行ってたなぁ、巨乳じゃないのに(笑)
まぁ、そういうところが、「ぢつは純愛なのよ、王子だって」みたいな感じはせんでもないが、読んでるほうからすれば、ぶっ飛びまくってる王子のほうが楽しいんだけどね。

扇:まぁ、王子の『嫁情報にはスリーサイズが不可欠』発言とか、あっぽの魔女のツッコミ所満載の呪いとか、笑える部分は沢山あるので良いではないか。
私の場合、一番ブラックな『白雪姫』も大好きなんだが、君はさすがに苦手かね?

鈴:よいな、っつーか、あの魔女、大好きなんだけど(爆)
白雪姫も、あれはけっこうダークで好きだぞ。見てる分にはね。

扇:大好きって言葉の中に、は何%混じってるのかね?
見てる分にはいいのか……そこらへん、まだまだ研究の余地がありそうだな。
というわけで、LINN君の隠れ属性が判明したところで閉幕と致します。ご機嫌よう。

鈴:はて、1桁であることには間違いはないな。>パーセント
って、隠れ属性って極めて誤解を招く発言をして逃げんじゃねぇよ!
と言うわけで、相棒を追いかけ、縛り上げ、鞭で打つために私もこの辺で。
では、さよな~ら~
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きっと……愛しすぎたから

2006-11-22 23:44:08 | ミステリ
さて、映画のテーマ曲だけは知ってたりする第722回は、

タイトル:天河伝説殺人事件()(
著者:内田康夫
出版社:角川書店 角川文庫(初版:S63)

であります。

お初の作家さんです。
映画化されてますが、残念ながら視ておりません。
なぜか、中森明菜の『二人静』だけは知ってたりしますが。(笑)



一人の男が東京新宿の高層ビルの前で急死した。
解剖により、死因が青酸性の毒物であることが判明し、捜査は他殺の線に傾く。
被害者には不審な点が二つあった……大阪にいる筈が東京を訪れていた事、そして、天河神社の御神体『五十鈴』のレプリカを手にしていた事である。

能の水上流宗家・水上和憲が引退することになり、彼の二人の孫の内、どちらかが後継者に選ばれることになった。
順当にいけば兄の和鷹だろうが、彼はその出自故に疎んじられており、異母妹の秀美が選ばれる可能性も低くはないだろう、というのが周囲の見解であった。
だが、和憲の引退能の最後の演目『道成寺』の最中に和鷹が急死し、事態は一変する。

ルポライター浅見光彦は、奈良県・吉野を取材中に一人の風変わりな老人と出会った。
独り言なのか、こちらに話しかけているのか解らない口調で、天河には何度も来ているが吉野に来るのは初めてだと老人は語る。
問題は宿に帰ってから起こった……新たにやってきた客の一人が、家出した老人を探していたのだ。自殺の可能性まであるのだと言うが――。



能楽を扱った長編ミステリです。
文章は軽すぎない程度に平易で、ページ数の割には最後まで結構短時間で読めます。
当然、能の説明もあるのですが、物語に支障がない程度に抑えられているのはいい感じ。

主人公は、この作者の持ちキャラ・浅見光彦。
いわゆるお坊ちゃんで、金銭的束縛は受けないものの家庭的束縛のために各地に飛ばされ、持ち前の人の良さで殺人事件に首を突っ込んでしまう、そんなキャラです。
女性に妙にモテるのは……まぁ、この手の話のお約束なので置いときましょう。(笑)

とにかく登場人物が多いので最初は混乱しますが、覚えておく必要のあるキャラクターは多くはありません。
では、顔キャラの扱いがいいのかと言うとそうでもなく、水上流のお家騒動の渦中にいる菜津美の性格が殆ど描かれていなかったり、東京の事件を吉野に持ち込んできた智春は浅見とちょっと絡んだだけで早々に退散したりと、切り捨てが結構激しいです。
推理力はあるけど何となく頼りない感じの探偵役・浅見に焦点を絞り、テンポ重視で進めていく作品だからこれで良いのかも知れませんが。

ミステリとしては……何だそりゃ? と言ったところ。
浅見の捜査は面白いけど、東京の事件と吉野の事件をつなぐ最重要人物を探す過程は――
推理でも何でもないですね。

非常に読みやすい作品です。謎解きに期待しなければオススメ。
色々煽った割には、枝葉のエピソード放り投げてさらっと終わらせてるので、読後に妙な虚しさを覚えたりもしますが……。
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で、鷺の墓って結局何だっけ?

2006-11-21 23:54:31 | 時代劇・歴史物
さて、何かしっくりこない第721回は、

タイトル:鷺の墓
著者:今井絵美子
出版社:角川春樹事務所 ハルキ文庫(初版:H17)

であります。

お初の作家さんです。
瀬戸内のある藩を舞台に、様々な人物の日常を描く連作短編集。
全五編を収録。例によって、一つずつ感想を述べていきます。


『鷺の墓』……ある日突然、馬廻り組に所属する保坂市之進は藩主の弟・松之助の警護の任を言い渡された。近習組に役替えになるわけではなく、飽くまで臨時の役目とのことだが、これを機に家禄が戻るかも知れないと彼は期待する。さっそく祖母の槇乃にそのことを伝えたが、なぜか返ってきた反応はつれないものだった――。

本書の主人公的存在・市之進の出生にまつわる話。他の話にも顔を出すお助けキャラ・保坂彦四郎も登場する。序盤はいかにも裏がありそうな雰囲気があるが、予想外のことなど何一つ起こらずにすべては終わる。結局の所、市之進の葛藤がすべてなのだが、それにしてはラストが軽くて薄い。


『空豆』……その面相故に空豆と呼ばれている男・栗栖又造には悩みがあった。家禄のことではない。妻に先立たれ、子もない身ならば、三十五石でも食うには困らぬ。荒れ放題の庭を見るのは悲しいが、悩む程ではない。今考えるべきなのは、妻の遺言に従って身の回りの世話をしてくれている姪の芙岐の縁組みである――。

出世にも人間関係にも興味を持たず、ただ朽ちていくだけの人生を選んだ男が、過去と現在の双方に追われて苦悩する姿を描いたリアリズム溢れる力作。自分自身は良くとも周囲はそうはいかぬという、現代にも通じる問題を扱っているが、ちゃんと時代劇ならではの展開を用意しているのも素晴らしい。


『無花果、朝霧に濡れて』……牛尾爽太郎の妻・紀和は、火の車の家計を支えるために針仕事を行っていた。しかも、義姉が持ち込んできた出世の話に乗るためには、五両もの大金が必要になる。意を決して、紀和は質屋へと向かうが――。

とにかく顔の広い男・保坂彦四郎が再登場し、紀和を助ける、ただそれだけの話。『鷺の墓』で彦四郎が語っていた駆け落ち騒ぎの真相が明かされるので、連作短編のつなぎとしては一応意味がある。しかし、昔の思い人に会っただけですべてが好転したような御都合主義全開のラストは頂けない。


『秋の食客』……十年目にしてようやく勘定方下役に出世し、田之庄町の組屋敷に移れるようになった祖江田藤吾。しかし、浮かれ気分も長くは続かなかった。高尾源太夫と名乗る無精髭の男が現れ、江戸留守居役の添え状を盾に居候を決め込んでしまったのだ。藤吾は何とかして源太夫を追い出そうと策を練るが――。

他四編とは異なり、妙に明るいタッチの作品。妙に器用で憎めない源太夫のキャラも面白いが、最初は源太夫を嫌がっていたのに、役に立つと解ると態度を一変させる瑠璃(藤吾の妻)もかなりいい味を出している。『空豆』の続編にあたり、あの話はその後どうなったの? というモヤモヤを晴らしてくれるのもありがたい。


『逃げ水』……ある日、市之進は落ち着いた雰囲気の美女とすれ違った。槇乃の話で、それが幼馴染みの野枝であり、遠方の嫁ぎ先から離縁されて戻ってきたのだと知る。市之進は彼女の力になりたいと望むのだが――。

市之進を主役とした悲恋物。枝エピソードとして、彦四郎が自分の宙ぶらりんな状態にケリを付ける話も挿入されている。彦四郎と野枝の物語に特に問題はない(同時に面白みもない)が、最後の最後になって唐突に明かされる真相と、取って付けたようなめでたしめでたしはいかがものか。特に、市之進が赤い糸という単語を持ち出すあたりは、はぁ? と首をかしげてしまった。ただし、タイトルだけは秀逸。


非常に時代の描写が細かい作品です。
これ書こうと思ったら並みの勉強量では足りないでしょう、とにかく知識が凄い。
不勉強な私の場合、ルビなかったら多分読めません。(爆)

ストーリーの進め方も特に問題はないのですが……オチがちょっと。
どの短編も、後にモヤモヤが残る中途半端な終わり方をしています。
これを味と取るか、単に下手と取るかで評価が大きく変わるでしょう。

チャンバラメインではない時代劇が好みの方には合うかも知れません。
でも、同じタイプの短編集なら『御宿かわせみ』の方が私は好きだなぁ……。
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