さて、記念すべきキリ番のイブ(?)な第299回は、
タイトル:有職故実(上)
著者:石村貞吉 (校訂:嵐義人)
出版社:講談社学術文庫
であります。
340ページあまりの文庫で1100円!
た、高い……(笑)
しかも巻頭の「自序」には、「昭和28年暮」とあり、古い本を文庫版に復刻した、と言う感じのもの。
有職故実というと、まぁ、平たく言えば、昔の制度や行事などを研究する学問で、「枕草子」や「更級日記」などの随筆や日記文学、「源氏物語」などの物語、「大鏡」などの歴史物語を読むときに、ある程度は必要になる貴族たちの肩書きや、節会などの行事などを知ることができるもの。
もちろん、そうした制度が「延喜式」に代表されるように、奈良・平安時代に概ね固まったこともあって、そういう時代のがほとんどだけど、それより時代が下ったときの話もある。
なので、はっきり言って、この手の本は興味のあるひとでなければ、これっぽっちもおもしろくないんじゃないかなぁ。
強いて言えば、官職・位階くらいは、いわゆる奈良・平安時代をベースにした小説やマンガを読むときに、知っているのと知らないのとでは違うので、せいぜいこの部分くらいかなぁ。
まぁ、かくいう私も興味のあるものとは言いつつも、平安ものを書くときに必要なので半分は資料的な意味合いがあるんだけどね。
さて、本書は大きく4つの項目に分けて解説されている。
「官職位階」は、その名のとおり、用いられた官職及び位階についての章。
ある官職名が、どういう職掌を持ち、位としてはどこに位置するのか、と言うことが、また各組織がどういう仕事をする組織なのか、どう改廃されてきたのかなどまで、詳細に解説されている。
「平安京及び大内裏」は、ホントそのまんま京と大内裏の解説。
平安京のほうは数ある大路の名称や、どこにどういうものがあるのかや、市ではどういうものを売り買いしていたのか、右京と左京の違いなどが詳細に述べられている。
大内裏も、どういう施設がどこにあって、どの殿舎につながっているか、どの殿舎の東西にあるかなどが書かれている。
大内裏のほうは古典を読んでいるとよく見かける名前があるけど、こういう地理とか、構造物のことを文章のみで表現されると、かなり掴みにくいところがあるので、図とか絵をふんだんに使ったものにしてほしかったなぁ、と言うところ。
「儀式典礼」は、即位のことや婚礼、元服、裳着などの成人の儀式などについて。
「年中行事」は1年の宮中で行われる行事や節会などの解説と、その手順……どの官職位階の者が何をするのかなどについて、詳細に解説されている。
上巻はここまでで、下巻はどちらかと言うと制度とかに関するものではなく、服飾などの風俗に関することになっているけど、それは次に。
……にしても、いくら興味があるとは言っても、解説に現代語訳のない原文の引用(漢文であれば読み下し文)が入っているのはちとつらい。
昔と違ってそこまで読めるほうではないので……。
まぁでも、やっぱり官職だの何だのは読んでいておもしろい(と思うのは私だけか(笑))
「枕草子」を始め、「源氏物語」「とりかえばや物語」などの物語は読んでるし、「更級日記」や「蜻蛉日記」などの日記文学もかじったことがあるので、あのキャラはこういう仕事をするところにいたのか、などと思い起こしてみたりするのが楽しい。
行事なども「枕草子」とかには出てきたりするので、こういうのを読んで、また古典を読み返してみる、と言うのもいいかもしれない。
古典好きなら、と言う注意書きつきにはなるだろうけど。
(下巻に続く)
タイトル:有職故実(上)
著者:石村貞吉 (校訂:嵐義人)
出版社:講談社学術文庫
であります。
340ページあまりの文庫で1100円!
た、高い……(笑)
しかも巻頭の「自序」には、「昭和28年暮」とあり、古い本を文庫版に復刻した、と言う感じのもの。
有職故実というと、まぁ、平たく言えば、昔の制度や行事などを研究する学問で、「枕草子」や「更級日記」などの随筆や日記文学、「源氏物語」などの物語、「大鏡」などの歴史物語を読むときに、ある程度は必要になる貴族たちの肩書きや、節会などの行事などを知ることができるもの。
もちろん、そうした制度が「延喜式」に代表されるように、奈良・平安時代に概ね固まったこともあって、そういう時代のがほとんどだけど、それより時代が下ったときの話もある。
なので、はっきり言って、この手の本は興味のあるひとでなければ、これっぽっちもおもしろくないんじゃないかなぁ。
強いて言えば、官職・位階くらいは、いわゆる奈良・平安時代をベースにした小説やマンガを読むときに、知っているのと知らないのとでは違うので、せいぜいこの部分くらいかなぁ。
まぁ、かくいう私も興味のあるものとは言いつつも、平安ものを書くときに必要なので半分は資料的な意味合いがあるんだけどね。
さて、本書は大きく4つの項目に分けて解説されている。
「官職位階」は、その名のとおり、用いられた官職及び位階についての章。
ある官職名が、どういう職掌を持ち、位としてはどこに位置するのか、と言うことが、また各組織がどういう仕事をする組織なのか、どう改廃されてきたのかなどまで、詳細に解説されている。
「平安京及び大内裏」は、ホントそのまんま京と大内裏の解説。
平安京のほうは数ある大路の名称や、どこにどういうものがあるのかや、市ではどういうものを売り買いしていたのか、右京と左京の違いなどが詳細に述べられている。
大内裏も、どういう施設がどこにあって、どの殿舎につながっているか、どの殿舎の東西にあるかなどが書かれている。
大内裏のほうは古典を読んでいるとよく見かける名前があるけど、こういう地理とか、構造物のことを文章のみで表現されると、かなり掴みにくいところがあるので、図とか絵をふんだんに使ったものにしてほしかったなぁ、と言うところ。
「儀式典礼」は、即位のことや婚礼、元服、裳着などの成人の儀式などについて。
「年中行事」は1年の宮中で行われる行事や節会などの解説と、その手順……どの官職位階の者が何をするのかなどについて、詳細に解説されている。
上巻はここまでで、下巻はどちらかと言うと制度とかに関するものではなく、服飾などの風俗に関することになっているけど、それは次に。
……にしても、いくら興味があるとは言っても、解説に現代語訳のない原文の引用(漢文であれば読み下し文)が入っているのはちとつらい。
昔と違ってそこまで読めるほうではないので……。
まぁでも、やっぱり官職だの何だのは読んでいておもしろい(と思うのは私だけか(笑))
「枕草子」を始め、「源氏物語」「とりかえばや物語」などの物語は読んでるし、「更級日記」や「蜻蛉日記」などの日記文学もかじったことがあるので、あのキャラはこういう仕事をするところにいたのか、などと思い起こしてみたりするのが楽しい。
行事なども「枕草子」とかには出てきたりするので、こういうのを読んで、また古典を読み返してみる、と言うのもいいかもしれない。
古典好きなら、と言う注意書きつきにはなるだろうけど。
(下巻に続く)