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思い出の釣り・これからの釣り

欧州の釣り、竹竿、その他、その時々の徒然の思いを綴るつもりです

Hardy Marston Double-Handed 10'4'' E20764 (1930年製)

2011-05-06 05:52:50 | Hardy Palakona
新年になってから、欧州出張、アフリカ出張と続き、特にアフリカ出張の際起こった今回の地震のため、春になったというのに全く釣りに行く気分になれない日々が続きましたが、5月の暖かさにようやく釣りに出かけようかという気分になってきた今日この頃です。しかし、ハーディーのトラウトフィッシャーバックに入れたままの毛鉤箱を見ると、釣りに行くにはかなり毛鉤を巻貯めなければなりません。数ヶ月毛鉤を巻いておらず、準備が出来るまでどれだけ時間がかかるものか、先が思いやられます。

という事で、またまた、竿の紹介でお茶を濁したく思います。




このMarston Double-Handedは、No.2 (ICI、IDIくらい)のシルクラインが適当な、普通の固さの竿でありながら、ダブルハンドという変わった竿です。グリップは14.5cmと非常に短く、握ると遊び(tolerance)は全くありません。そこに、ダブルハンドというより、エクステンションが付いたというのが正確な描写でしょう。更に、スピアが付いている事もこの竿がダブルハンド竿というよりも、変り種のシングルハンド+エクステンション鱒竿と定義付ける有力な証拠の様に思えます。
アクションは胴調子。1920年代くらいのハーディー竿の特徴というか、リングの数が少なく、この竿は10'4''の長さがありながら、リングの総数はトップも含めて8つだけです。
私はこの竿を基本的にシングルハンドで使っております。両手で持たなければならない理由が全く無いからです。




ジョイントはStud Lock、スパイクも付いております。段巻きはHoughtonの様に密に巻かれ豪華な印象です。


リングは1920年代までの竿によく見られるフルオープンブリッジ。メノウ入りトップとの組み合わせではプラスチックラインではなく、シルクラインを使うべき竿です。


スピアが仕込まれた竿尻。




Reel Holderは、Universal Reel Holderというもので、固定されたホルダーとスライド可変式のホルダーの組み合わせでリールシートの長短を自在に合わせる事が可能です。




3 3/8の1912年チェックPerfectと一緒に。


Marston RodのInscription。

ここ数年はとんと出番が無いこの竿ですが、20世紀から21世紀の変わり目の時期、大河川での釣り、湖の釣りと、頻繁に供を申し付けられたものです。




Orava川は、ポーランドとの国境に近いスロバキアの銘川です。この川はグレーリングの名所で、ある時期かなり通いました。Oravsky Podzamokの村では、中世の城が川を扼した風景が圧巻。




両方ともグレーリングです。お供はMarston Double-Handed。タモはSharpe'sのテレスコピック。これまた長年の相棒。


これは懐かしのEtrachsee。5月の初旬はまだ湖に氷が浮いている頃ですが、6月からは爽やかな釣が楽しめます。ボートからの釣にはこのMarstonの10'4''の長さと胴調子が丁度似合います。


アルプスイワナがLoch Styleの3本毛鉤のチームに襲い掛かります。


もう20年以上着ているBarbourのOiled Coatを脱いでのんびりとシルクラインを浮かべます。


釣果はまあまあのサイズの虹鱒君。

ああ、次回は釣行記を書きたいものです。

Hardy Halford (1912model) 9'6''

2011-01-10 03:34:54 | Hardy Palakona
以前投稿した際、iPhoneの写真で見難かったので再度写真のみ再掲します。


Hardyのバイブル本より当時のイラスト。


同じ1912年CheckのPerfect 3 3/8と一緒に。


太い段巻き。




メノウ入りリング。


1912年CheckのPerfectのリールフットが丁度収まるリールシート。60年代以降の竿では古いリールはフットが長すぎて使えません。


Stud Lock Joint。オスジョイントの突起(Stud)が上下しメスジョイントの穴でぴったり合わさる工夫。








春が待ち遠しいですね。

Hardy: WF Hardy 8'6'' (H/J 1968年7月製造)

2011-01-10 02:19:54 | Hardy Palakona
Hardy Brothers創業者はWilliamとJohn Jamesの兄弟。そのWilliamの孫でHardy Bros社の副社長を務めたJames Leighton Hardyが著した''The House The Hardy Brothers Built''はHardyに関心を持つ向きにはバイブル的な本です。その巻末には竿・リールの製造データが載っておりまして、私の所有する竿のデータ等はそれに依拠しております。
さて、バイブルのデータでは、Hardyの毛鉤用竹竿モデルで最後にデビューしたのは1969年に投入された''WF Hardy''、''Continental Special''、''Riccardi''の3モデルです。グラス竿全盛の時代、それらの寿命はいずれも短く、WF Hardyが69-71年、80年の4年間、Continental Specialが69-72年の4年間、Riccardiは69-71年の3年間のみです。
(私の竿の製造年はJ:1968年ですが、上記データとは合わないですね。。。これもHardy研究で時々ある問題ではあります)
その中でHardy一族で最後にHardyの社長を務めたWilliam Frederic Hardy(創業者Williamの孫、JL Hardyの従兄弟)の名を冠したWF Hardyが今回のテーマです。
この竿について幾つかの評価が書かれておりますが、大体のところを纏めると、近代Hardyの竿作りの集大成と言ってよいバランスの取れた、アキュラシーにも優れた竿というところでしょう。ラッピングは赤で、Hardyの考える中道''インターナショナル''なモデルという所でしょうか。但し、使ってみると目線より低いところで毛鉤をコントロールする事も出来る竿です。WFを使ったシュート用のアメリカンな竿(Hardyで言ったら緑のラッピング)とは異なり、黒ラッピングのPhantomの様にDTを使えばその真価が判ると思います。




リングはスネークではなくフルオープンブリッジ。これはPhantom、Continental Specialと違い伝統的な英国竿。Phantom、Continental Specialがそれぞれ米国、欧州大陸を意識した竿だからか?


黒の縁取りの赤ラッピング。最後期の特徴。


8'6''でAFTM 6番。日本では3番とかを先生方は奨めるのでしょうが、とんでもない。日本の渓流でも5-6番は使えるどころか、色々な釣りをするのに必要な重さです。


グリップとリールシートは樹脂の一体カバーとなっている。60年代の終わり以降の特徴。

製造された期間が非常に短く、Continental Special同様、中々目にする機会がありません。日本では今60歳を超えた方々で70年頃オリジナルを購入された方々がお持ちなくらいでしょうか。

Hardy Halford (Model 1912) 9'6'' (E41313、1937年製)

2010-12-18 06:08:10 | Hardy Palakona
F.M.Halfordといえば、その数々の著書で英国のチョークストリームにおけるドライフライの釣りを確立した事でその名を知られております。ドライフライ至上主義でウェットフライのスポーツ性をChuck and chance itといって否定した事で一部にはお嫌いな向きもあろうと思いますが、英国南部のチョークストリームでのドライフライというウットリするような世界ではその名は不朽の輝きを放っております。

いつぞやのViscount Greyの様に、有名人の名をつけた竿をHardyは世に問っておりますが、そのHalfordの名を冠したドライフライ竿がこの竿です。見た目はゴツイのですが、実際にはそんなに固くはなく、シルクラインを優雅に振る事の出来る竿です。


Halford Rod、Perfect Reel(1912年チェック)、幻のHardy Coronaシルクライン。この組み合わせで来年は鱒でも釣りましょうか。


段巻は太く、普通のPalakonaとは違います。Halfordの名を冠する竿ゆえの贅沢。


9つのリングは、全てメノウ入り。Hardy竿でもLRH Dryの初期型等のみにしか見られない贅沢。


フェルールはstud lock。


仕込みスピアの入ったボタン。

家人がカメラを持って長いこと出かけており、iPhoneカメラで撮影してます。済みません。

De Luxe 9'とPhantom 9' 3pcsのリングの位置

2010-11-27 07:59:10 | Hardy Palakona
私の手元には同じ9'ですが、2本継と3本継のPhantomがあります。



2本継の製造番号はH61356、1964年製、3本継は製造番号H57872、1963年製です。
2本継と3本継を比較すると、3本継の方がバットが太く感じられ振った感じも何となくトップが軽い、先調子な感じですが、リングの位置が違っております。3本継ぎの方がトップに近いほうにより密に10個のリングを配置しております。



それで今日気付いたのですが、Phantom 9'3pcsとDe Luxe 9' 3pcs(H41621C、1961年製)のリングの配置はほぼ一緒でした。




De Luxeのモッタリして胴にくる振り心地とPhantomの軽い先調子の違いはひとえにテーパーデザインによるものなのでしょうか。

Hardy Houghton 9'6''(D2009 1922年製)、11'(E57678 1946年製)

2010-11-20 04:36:42 | Hardy Palakona
英国南部の石灰台地を流れるチョークストリームのTest川とそこに漁場を有する19世紀より続く名門釣りクラブHoughton Club。クラブのメンバーは全員Lord、Sirの称号を有するという格式と、リバーキーパーWilliam Lunnの作り出したLunn's Particular、Houghton Ruby、Yellow Boy等のクラッシクな毛鉤でのドライフライオンリーの釣り。正に英国の釣りの昇華を象徴する釣文化の源泉です。そのHoughtonの名を冠したドライフライロッドとして完成したのがHoughtonです。
1894年から1957年まで生産されたこの竿、当初はチョークストリームのドライフライ竿としてデザインされましたが、その後第一次大戦、第二次大戦の激動を経て徐々にシートラウトや大型の鱒を釣るための竿に変化していきます。
最後期のモデルはHugh Falkusがシートラウト用に推奨する、パワフルながらも固すぎず、シートラウトの微妙なアタリも取る事が出来、かつ、取り込み時もその優雅なベンディングカーブで大物鱒の取り込みも楽に出来る竿へと変化しております。
私の手元にあるのは、1922年製の9'6''、1946年製の11'です。


下が9'6''、上が11'。グリップの形状等、違った竿になっております。


9'6''と11'、3本継でも長さに差があります。




9'6''はLockfast Jointです。


製造番号D2009


グリップ先端は金属製キャップ付き。




11'はStud Lock Jointです。


珍しい事にIntermediate Wrap:段巻きはありません。


スピアが仕込まれた竿尻は昔から変わっておりません。




一寸見ずらいのですが、9'のPerfectionと並べてみました。11'のシングルハンド竿。その長さは恐るべきものがあります。11'を振った後の9'はまるで爪楊枝のように感じます。
日本のシートラウト、桜鱒釣りでこの竿を使うような状況がありますでしょうか。桜鱒の釣りはダブルハンドに重いラインというのが相場でしょうが、ひょっとしたら桜鱒も夜釣りでは警戒心が薄れ大型鱒が活発に動くというような事ないのでしょうか。距離を投げる必要がそんなにないなら英国風の竹竿を使った味のあるスポーツが出来そうな予感がします。(おっと、日本の渓流では夜釣りは基本禁止ですね。。。)

Hardy Gold Medal 10' (E16387:1929年製, H58548:1964年製)

2010-09-26 05:55:44 | Hardy Palakona
漸く涼しくなってきましたので、戦前のパラコナがどうなっているのか、竿袋から出してみました。やはり思った通りコーティングが多少溶けて袋にくっ付いていましたが、まあそれ程酷くなかったので、ホッとしております。

今回は戦前と戦後のGold Medal 10'について一寸紹介しようと思います。
Perfection, CC de France, De Luxe, Phantomに比べ影が薄いのですが、Gold MedalはPerfectionと同様最も早くカタログに載ったパラコナ竿で、2ピースのPerfectionに対し3ピースである事が特徴です。1883年から1967年まで生産され、1971年まで生産されたPerfectionに比べ4年早く退役しておりますが、長年ハーディーを代表するパラコナ竿として頑張って来た竿です。

アクションは、Perfectionに比べ胴に乗ってくるアクション。但し、1929年製のものはどうもダブルビルドかスチールセンター入りの様で(或いは両方?)、1964年製のものに比べバットは細身ですが、しっかりしており、それ程には胴調子とは言えません。両方とも10フィート竿なので川でのドライ・ウェットだけでなく、湖でのボート釣りにも向いており、3本毛鉤のロッホ・スタイルの釣りにも重宝します。


上が1929年製、下が1964年製のものです。長さは同じでも、グリップの長さ形は違いますし、竹の太さも戦後のものの方が太く、リングの数も戦前のものは8個、戦後のものは11個と違います。








グリップは戦前のものはメタルキャップつきですが、戦後のものは無くなっております。



フルブリッジリングは、戦前のものは斜めに向いたもの、戦後のものは竿グリップに正対しております。戦前のものにはプラスチックラインは向かないのでもっぱらシルクラインを合わせております。



戦前のものは小さな文字、戦後のものは60年代の特徴である踊った様な大きな文字となっております。


2003年5月オーストリアのMur川で。


1999年新潟にて。

Hardy Continental Special 8'4''

2010-08-15 07:07:25 | Hardy Palakona
ハーディーの竿は基本的にキリのいい長さ、8'、8'6''、9'、10'というものです。2本継ぎの竿なら、ティップとバットは同じ長さ、3本継ぎでも全て同じ長さというのがハーディーの竿作りの流儀です。
そのハーディーの竿の中で唯一、ティップとバットの長さが違う竿、これが、Continental Specialです。







製造されたのは1969年から1972年の4年間のみで、ハーディーの竿の中ではかなりマイナーです。竿の長さは、6'8''、7'7''1/2、8'4''とキリの揃っていない3タイプがありますが、非常に興味深いのは、それぞれのスレッドの色が違っている事です。
以前書きましたが、ハーディーの60年代~70年代の竹竿では竿の調子をスレッドの色で明示していたのではと思われるのです。緑はラインループを目線より上、赤はラインループを丁度目線で、黒はラインループを目線より下にコントロールする竿というのがその説。黒と言えばPhantomですが、正にラインループを水面スレスレにコントロールする事の出来る名竿です。
さて、このContinental Specialの6'8''のスレッドは緑、7'7''1/2は多分赤、そしてこの8'4''のスレッドは黒と、同じモデル名でも調子にどうも差があるようなのです。


竿にはF/Kとあり、1970年1月製造と読み取れます。


竿の長さは8'4''


スレッドの色はPhantomと同じ黒。

名前のContinentalから判るように、この竿は欧州大陸、フランスのPezon et MichelのStaggered竿(ティップとバットの長さが違う)の影響を受けた、英国竿ではない(欧州)大陸用特製竿だったのでしょう。また、調子の違う竿を同じタイプ名に纏めたのは、きっとStaggered竿という共通項からそうしたのでしょう。


さて、Fario ClubのコピーであるSharpeのFarioと並べ比べてみると、Continental Specialの方が、ティップとバットの差が大きい事が判ります。


実測しますと、Continental Specialはティップ139cm、バット118cm、Farioはティップ138.5cm、バット122.5cm。ティップの長さは殆ど同一ですが、バットの長さで差が出てます。実際振ってみると、Continental Specialの方がFarioよりティップの返りが早く、シャープな感じがします。因みに両方の竿ともAFTM 6ですが、5のDTの方が私には使い易い様です。竿の調子はPezon et Michelの竿の様にパラボリックでティップの返りが早く、Perfection、Deluxe、そして、Phantomといった英国竿の調子とは違います。戦後、50年代のスエズ動乱で大国の地位を失った事を自覚させられ、60年代にはアフリカ植民地を失い、70年代には英国病と揶揄された経済の停滞と、落日の英国がもはや英国の価値観のみでの勝負を諦めた象徴なのかも知れません。

Hardy Viscount Grey 10'6''(H6957) and Pope 10'(H26210)

2010-07-16 10:18:50 | Hardy Palakona
ハーディーが1883年最初に世に送り出した竹竿は3pcsのGold Medalと2pcsのPerfectionです。この両タイプが最も長くハーディーの看板竿として製造され、Gold Medalは1967年、Perfectionは1971年までカタログに載り続けました。
Gold Medalには目立ったバリエーションは無いものの、Perfectionには幾つものバリエーションが製造され、一つのタイプとして製造され続けました。Featherweight Perfectionは日本でも知られたものの一つと思います。


(上からPerfection 9'、Pope 10'、Viscount Grey 10'6'')



そのPerfectionファミリーの内、私が所有しているものにViscount Grey10'6''、Pope10'があります。
Edward Grey(1862-1933)は1905~1916年まで大英帝国の外相を務め、第一次世界大戦の回避への悲壮な努力と共に、ロシアの総動員開始とそれに呼応したドイツの中立国ベルギー侵攻に際し条約上同国の中立を保証した英国の参戦を主導した事で知られております。
そのGreyは、一方、1899年Fly Fishingという名著を記す程の釣り好きで、また野鳥観察にも造詣が深いスポーツマンでもありました。


(晩年のViscount Grey:グレイ子爵)


(Fly Fishing)

そのGreyは1884年にハーディーより10'6''の二本継ぎの強い竹竿を購入し、それを愛用したそうです。間違いなくその竿はPerfectionだったと思いますが、標準より強めの竿だった様で、それが1902年より''Sir Edward Grey's Perfection''としてカタログに登場しました。Greyは外相を退いた後、準貴族から子爵(Viscount)へ受爵し、竿もそれに合わせ、1922年よりViscount Greyを名を改め、1957年まで製造されました。


(1884年にハーディー製の2pcs 10'6''の竹竿を買ったとあります)

私のViscount Greyは1956年製の最後期モデル。段巻きのバーガンティー色も未だ鮮やかで新品状態です。



元々は、強い風の中でも使えるドライフライ竿という位置付けだったのでしょうが、最後期モデルではシートラウト用の竿としての性格がより強くなっております。


(Viscount Greyの銘)


(Perfectionと比べ長いグリップ)

一方のPopeも、元々はドライフライ竿として1899年に登場し1970年まで製造されたハーディーの看板竿の一つ。最後はシートラウト竿として位置付けられた所はViscount Greyと同様です。段巻きは密で、スピアを標準装備しているところがPerfectionとの違い。私の竿は1959年製ですが、段巻きのバーガンディー色は褪せ、実戦を幾度も経た事が伺えます。

さて、日本で果たしてこの二本を使う機会があるのかは疑問ですが、伝統のPerfectionのアクションで多少の魚がかかっても余裕で取り込める長尺竹竿を何時までもきれいに振れるよう頑張りたいものです。


これはViscount Greyで釣った46cmのブラウントラウト。リールはSt. John、Kaizer Silk LineのNo.3 (AFTM6~7に相当)という道具立てでした。

Hardy Phantom 9'(H61358) 10'(H62000)

2010-07-03 13:02:05 | Hardy Palakona
Phantomは1962年から1972年まで製造された竿で、1911年から1961年まで製造されたC.C.de Franceの後継機種として投入されたと言われております。

この竿はHollokona、つまりバット部分が中空構造になった竿です。

アクションは所謂ドライフライアクションできびきびしておりますが、強くフォーワード・キャストをしても毛鉤で水面を叩く事なくフワリとドライフライを置く事が出来ます。前にも触れましたが、黒いスレッドを巻いたPhantomはラインを目線より低く伸ばす事が出来るので、水面スレスレに、超スローに、ドライフライを何度も飛ばす事が出来、ドライフライの魚へのアピールも大いに増す様です。

私のPhantomはどちらも1964年生まれ。しかしながら、10'の方はハーディーでPhantom 10'の実物見本として長いこと保管されたため、手元に来た時は新品でした。



上は10'、AFTMで7番、下は9'AFTMで6番です。ただ、実釣では夫々6番、5番に落として釣るのが個人的に丁度良い様に思います。それからドライフライを魚にアピールする釣りではコントロールが大切なのでラインはDTが必須です。PhantomはDTを前提に設計されているのか、特にオーバーロードになる事はないと思います。


上の10'の竿尻にはゴムのボタンがついておりリールが地面に直接着く事を防ぐ様になっております。9'はペゾンの竿の様に竿尻でリールを固定するタイプです。


竿の銘は60年代の竿に見られる大振りで踊った様な書体です。


ストリッピング・リングはメノウ入りです。


しかしながら、トップはメノウ入りではなく、PVCラインの使用を前提にして設計されている事が良く分かります。シルクラインはザラザラしているので、メノウ入りリング、フルブリッジリングが竿に付けられ、リールにはメノウ入り等のラインガードが着いてました。これらはPVCラインの導入により不要になり、今の竿に見られるスネークが普通になったと思われます。


10'で7番の竹竿と言うととんでもなくゴツイと思われるかも知れませんが、さにあらず。特にボートからの釣りでは良く使いました。写真で使っているのはGolden Princess。6番のDTを巻いても十分バッキングラインを巻く事が出来るサイズのLight Weightシリーズのリールです。正確ではありませんが、90年代初めに購入した物です。